─舞台裏/原作者に問う─
[原作者である田美院翔。
彼にこそこそとデータを送る。
こんなんどうでしょう。
撮影の待ち時間だとかにノートを開き、何やら書き込んで。
データを作り上げたのは帰宅後だったが、主な作業場は撮影現場だった。
そして、OKサインが出たので映画でも使われることになった。
本来、原作では文化祭のシーンは『歌声が響き渡る』程度で描写は終わっている。
それぞれ、その歌声を聴いた者の感じ方は別に書かれていたとしても、歌に関してはそれだけだ。
その為映画では主題歌を歌う予定もあったが、主題歌を歌う本人がそこで歌ってしまっては竹村茜ではなくNixになってしまう、と私の方から辞退させてもらったのだ。
その為、本来は名曲の何かをカバーして歌う予定だった。
いくつかピックアップされ、監督から指示された曲を練習もした。
けれど。私は竹村茜なら何を歌うだろうかと考えてみたのだ。
学生だから、歌いたい歌を思い切り歌えば良い。
下手でも良い、拙くて良い、それが自作でも誰かのカバーでも。
そして私なりの解釈で、竹村茜が歌いたい歌を考えてみたのだ。
そしてもし良ければそれを歌ってみたいと。
そしてその希望が通り、私は歌う。
竹村茜として、この歌を。]*