[…そして訪れた運命の日。十月十日の臨月の日。
全身から力が抜けていくのと引き換えに、
お腹の子が生まれたいと叫んでいる子を内側から感じていた。]
"…私は絶対、あなた達のそばにいるから。
……例え死んでしまったとしても、絶対に。
あなたと我が子を、ずっとずっと見守り続けるって、
約束するから……だからおねがい…あなた…お願いね…
アップルパイ…焼いて、あげてね……忘れないでね…"
[……ああ、願うことなら、
愛する我が子をこの手で抱きたかった。
愛する人と一緒に焼いたアップルパイを、
あなたに食べてほしかった。
あなたに たべさせて あげたかったなあ
そんなねがいとともに田母神旭はその命を我が子に捧げた]