姉が命を落としたのは警視庁内での出来事だった。当たり前のように生きていたはずの姉がある日、階段から転落したのだ姉が働いていた部署に行ってみれば、それは不幸な事故だったと口を揃えていった。なので、これまでの姉が行っていたすべての業務や行動を調べることにした。全て。全てだ。いつどこで何をしていたのか、だれといたのか何をしていたのか何をさせられていたのか。その努力の数々に、ここ数十年の中でも珍しい女警視総監になるのでは、とさえ言われたあの姉が階段で落ちた程度で死ぬはずがなかった。