[ 貧しくてもそれなりの生活を送れていたのが
自分たちの努力の結果だと、思っていやしないか?
奪われた者たちに乗っただけの者もいるだろう。
どうしてそんな奴らにまで責任を果たさねばならない。
あの人にも"安らげぬ瞬間"の方がきっと多かったのだ、と
思い知らされた今は──殊更に。
噛み締めた唇から緋が滲み、鉄錆を飲み込んだ。
しかし、そんな言葉は。想いは。思考は。
医療を君に教えるならば、決して悟らせてはならない。
"私"個人は金輪際、表に出さないと決めている。
この争いに正悪はもはや関係が無い。
生き残る為に皆必死、……それだけだ。 ]