─舞台裏/梅雨・放送準備室シーン後─
[残念ながら? 申し訳ないながら?
私はそこまで他の役柄のことは考えていたりしない、と言うか考えられていなかった。
>>*63私が演技するにあたり、できたことといえばひたすら自分が演じる子を掘り下げることだった。
どうしてそんなことを思ったのか。
どうしてそんなことを考えたのか。
頭で考えるだけではなくて、家族構成や友人関係、人生史的なものを紙に書き出してうんうん唸ったりもした。
周りの人間は竹村茜の周りにいてくれるけれど、それに関しての理解はしていない。
それは、必要ないと思えた。
あくまで自分は、竹村茜の理解者であれば良いはずだと。
だからこそ、実際にいたらお友達になれなさそうでありそもそもそれ以前に関わり合わないだろう竹村茜を、私は茜ちゃん、と呼ぶくらいには親しみを覚えている。
正直、演技に関しては先輩というかプロの皆さんの胸を借りるみたいなところがあって、もし皆さんの歌の聞き込みや世界観全体への没入方法を聞いたなら舌を巻くことだろう。
私は、この子だけで本当に精一杯なのだ。]