「それでいて、彼の言葉に肯定を返したかった自分がいることを知っている。浅ましさに眩暈がした。そっと息をつく。せめて心根くらい美しくあれば、優しい先輩になれたのに。彼の言葉に、後ろめたさなく返事をすることができたのに。どこまでもそうなれなかった。そんな自分を悔しく思う。二本の飲み物が、手の中でわずかに温度を変えた。」ー 玉響に“なけ” ー 原作小説より一部抜粋*