―映画の終わり・打ち上げ会場―
[『玉響に“なけ”』映画版の、全シーンの撮影が終わった。
関係者を集めた打ち上げ会場は、青年も知るホテルだった。
>>*36けれど地元を離れている内に全面改装したらしく、記憶と異なった姿に少し戸惑ったりもして。
困ったのは服装だ。
何せ、こういったパーティーには縁が薄い。
どんな服を着たらいいのか分からずに、劇団員たちに意見を募ったところ、白タキシードを着ろ、紋付袴を着ればいい、いやいや真っ赤なスーツだ、などと言いたい放題である。
結局、仲良くなったスタッフからこういう時に相応しい服装などを聞いたりして紺色のスーツを購入した。
シャツは首元と袖口に紺の切り替えが入った淡い水色。
ネクタイを付けるのは窮屈な気がして、代わりにループタイを付けた。
海藤の役作り用に伸ばしていた前髪をほんの少しだけ切って、左側だけ耳に掛けた。
浮いていないか心配だったが、>>*18フォーマルなグレーのスーツや>>*35深紅のドレス姿の人もいるあたり、恐らく大丈夫なのだろう。]