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─ 翌日・船室 ─
[さて、明日で宇宙の旅も終わりという朝。
自分の端末に届くのを心待ちにしていた
調査会社からの連絡には
手紙に書かれていた住所にアーネストさんの妹さんが入院していること、
男の所在は調査中ということが記載されていた>>198。
妹さんの安全確保の為の人員は配置済で、
男への警戒も含めて警護に当たってくれていることと、
後はアーネストさんが着き次第、病院で詳細を聞ける手筈も整っているとの報に
こちらが明日ホワイト・マーブルに着く時間を返した上で
待ち合わせ場所の確認も済ませ]
『アーネストさん、妹さんの居場所わかったよ!
ホワイト・マーブルに着いたら
すぐ妹さんの居る所に行けるように
詳しいお話したいから時間ちょうだい!』
[昨日教えてもらった連絡先を早速活用して、返信を待った*]
[アーネストからの返信は何時入ったか、
男の所在は調査中だが、そんなのは後で幾らでも時間を掛けたっていいのだ。
妹さんの所在と、入院中とはいえ無事が分かったことが喜ばしく
アーネストさんと調査会社からの連絡と明日の段取りを話し終えた後は
今出来ることはもう思い浮かばなかったから、
船の中での残り少ない時間を楽しむ気持ちに切り替えた。
先ずはスポーツジムに行って一時間程トレーニングをしてシャワーで汗を流し。
食事にしようとは思ったのだけれど、
なんだか空腹ともなんとも言えない感覚だったので
食堂ではなく、カフェで軽食を頼むことにした]
─ 日中・カフェ ─
えーと、ハムサンドと
あとは…オレンジジュースをお願いします。
[席につき、注文を聞きにきた給仕係にお願いをしたのは
一口サイズにカットされたサンドイッチと、
少し悩んでオレンジジュースを頼んだ。
此処や食堂で良く漂ってきた香りがあれば、
それを頼もうと思ったのだけれど、今は無かったから]
…そういえば。
あの珈琲の香りとも、お別れになるのか。
[その香りを漂わせていた人…厳密にはアンドロイドだけど、
その人とは挨拶も含め何度か言葉を交わしたことはある。
ただ実は、自己紹介だけはしていない。
一番最初に会った時
その人が持っている本を、見てしまったから]
[あの時はまだ船に乗ったばかりで、
どんな人達がいるのかとか、一か月どうやって過ごそうかとか。
出したばかりの、初めて曾祖父と同じ土俵で戦うことになった本が
どんな風に受け取られるだろうとか、不安しか無くて。
そんな中、年配の男性がまさか持っているなんて思わなかったから
つい、名を名乗ることを躊躇ってしまったのだ。
そうして、名前を言うタイミングが見つけられないまま今日まで来てしまったけれど]
……せめて、お礼だけでも
言いたいんだけどなぁ。
[遠目でもわかるくらい、
一枚、一枚。頁を捲る指の動きは早くは無く、
けれど止まることも無く、読み耽ってくれていた。
あれだけ集中して読んでくれていたのだ、
彼が私の本をどう思ったかなんて、聞かなくたって分かる。
ありがとうと、どれだけ言葉を尽くしても足りない位に
私の世界を愛してくれたのだろうと**]
─ 午前・船室 ─
[前日、いきなりの頼みに担当さんからは訝しむ声が返ったけれど、
私のことをデビュー前から、家族の事情も含めて知っているから
友人の助けになりたいと言った私の言葉で引き受けてくれて。
担当さん経由で頼んだ依頼は
可能な限り早く妹さんの所在を特定し、可能なら安全の確保もしておいて欲しいというものだった。
信頼の置ける所を紹介してもらったおかげで、
私の依頼は滞りなく、おそらくは今出来る限りの対応をしてもらって>>218。
逸る気持ちに送った連絡は、程無く返信が届いた>>242から]
『妹さんの居る所に警護もお願いしたから
慌てないで大丈夫だよ』
[ひとまずこれだけ返した後待とうと思ったら、
そう時間が経たないうちに準備できた!という連絡が入ったから]
『アーネストさんが良ければ
そっちのお部屋に今から行くね』
[どうしても気が急いて仕方ないのだろう、
下手にこっちに呼んだら衝突事故でも起こしちゃいそうな気がして
私から彼女の元へ向かうことにした。
そうしてアーネストさんのお部屋にお邪魔して]
あのね、妹さんが手紙に書いてた住所
病院だったの。
それでね、今、妹さんはそこに入院してるんだって。
だから妹さんを保護するにしても、
妹さん本人の意思だけじゃなく
病院から退院の許可を貰えるまでは難しいかも。
だからね、
明日はホワイト・マーブルに着いたらすぐ
調査会社の人が病院まで連れていってくれるから、
妹さんの心身が今どんな状態か説明を受けることから始めましょうって…あ、そうだ。
アーネストさん、妹さんからの手紙は持ってきてるんだよね?
その手紙が妹さんの身内だって証明になるから、
アーネストさんにはそれを持参した上で病院に同行してくださいっていうのと。
妹さんの警護含めて安全確保の人員配置は既に済んでいるから心配なさらず、
笑顔で妹さんの前に出られるように体調を整えておいてください、だって。
[調査会社から届いた報告書と、明日の段取り。
担当者からの言伝を先ずは伝えて、
それからアーネストさんに向き直ると]
妹さんが入院してるのは心配だけど。
見つかって良かったね、
明日が待ち遠しいね。
[そう言って、ふにゃ、と笑って。
明日の調査会社さんとの待ち合わせ場所の確認と、
私が今回の依頼主になっているし、
助けると言った責任は最後まで持つけれど
妹さんからしたら全くの部外者だから
病院への同行はしない方が良いかな?
という点での確認だけ済ませたら、
今ここで出来ることは全部終わったと言えるだろう**]
…終わったって思いたくないっていうよりは、
親から子は生まれるけれど、
子の人生は、親のものではないでしょう?
私が生み出した物語だけれど、
物語を私の勝手にしたくはないの。
私がいなくなった後も
世界に残り続けて欲しい、終わらないで欲しい。
それこそ図書室に並んでる名作みたいに。
そういう気持ちだってあるけどね。
[そう言って笑いながら、
レットが自分の作品に興味を示してくれたなら
この名前のまま書いているから、良かったら読んで欲しいと答えて
彼女との時間を過ごしたのだった**]
─ 日中・カフェ ─
[そんなこんなで
最大の気がかりが一先ず安心出来たことで
残り少ない船の中の時間を過ごす余裕も戻った。
昨日運動しなかった分もジムで動いて、
軽くお腹にものを入れようとやってきたカフェで
休憩がてらゆっくりと食事を摂って。
思い返すのは、この船で出会った人達や過ごした時間。
昨日今日で起きたことは、思いも寄らぬことだったけれど
考えてみれば、思いもよらなかったことはその前に既にあった]
……男の人に
名前を呼びたいとか、呼んでほしいとか。
言う日が来るとは思わなかったよねぇ…
[それだけじゃない、自分から連絡先を聞いたり住所まで教えたり。そのくせ、踏み込む勇気は出せなくて。
近付きたい、知りたいと思う気持ちが空回っている自覚は、流石にある]
[今まで自分が物語として書いてきた中には、
男性の主人公は何人もいる。
机上の感情なら、いくらでも書けるし
その心理も、動きもわかる。
でも、現実はこんな、無様で不格好で]
……怖がってないで、
もっと関わり持つべきだったなぁ…
[人と向き合うことをさぼってきたツケが
今ここに出てるんだな、と
こんな時でも冷静な自己分析に嫌気を感じながら
サンシアって名を呼ばれるようになっただけでこんなに嬉しいのだから、
もっと近づけたら、少しでも意識してもらえたら。
そう願う気持ちはどんどん大きくなっていて]
/*
メモにお休みなさいしたから寝たけども、
眠りが浅かったのと
レットさんの投下見えたのやっぱり返したくてのそっと起きてきたら
アーネストさんのも落ちてたのと、
後カラントさんが名前呼んでくれたのとか海の写真送ってくれるって言ってくれたの反応返したかったからの諸々合わせて連投した…!
これでようやく心置きなく眠りなおせる…
─ 午前・アーネストさんの船室にて ─
[連絡を貰ってすぐに向かったお部屋では
前のめりな勢いでアーネストさんに迎え入れてもらい>>269。
テーブルの上に資料を映し出して、
何より先ずは妹さんの現状をと話したのだが]
男?
あ、そういえば…
妹さんのこと早く伝えなきゃってばっかりで忘れてた。
男の方はね、今行方が分からなくて調査中だって。
正直、妹さんが元気になるまでに見つかれば良い位で
今は妹さんのことだけ考えるで良いと思うよ。
[男が仮に妹さんの所に戻ってきても、今は警護に守られているから
むしろこちらから探す手間が省けるだけだ。
だから男のことは後回しにしていいと怒る彼女を宥めてから、妹さんからの手紙の話に移り]
そうだね、裁判にならないにしても妹さんがその男との縁を切るのに有効だと思う。
この手の案件に強い所、私のお世話になってる所から紹介してもらうね。
[アーネストさんが示したトランクに詰まった手紙>>271はそのまま持っていってもらうことになり。
やっと安心してもらえたか、ほっと一息ついた所で、
どれだけお金掛かった?と質問をされたので、
素直に請求された額を伝えたら驚かせてしまった>>272]
どういう状況かも分からなかったし、
とにかく急いで欲しいってお願いしたから。
これは私の勝手にしたことだから
気にしないで…っていうのも無理か、
アーネストさんの妹さんのことだもんねぇ。
でも私もアーネストさんのヒーローとして
出来ることしたかったからだし、
こっちの負担も半分こってことにしてもらって良いかなぁ?
[こちらの独断なのだから気にしなくていいよ、と言いかけたのだけれど
一月の付き合いだけでも分かる責任感の強い彼女にはその方が負担かもと思い。
折半でと伝えたら、応じてもらえたから]
ふふ、そう言ってもらえると嬉しい。
妹さんが、笑い話に出来るくらい元気になったら
そうさせてもらうかも。
[彼女の言葉>>273に笑いながら頷きを返し、
妹さんが見つかって良かったと更に笑みを崩したら
アーネストさんもいつもの笑顔を返してくれて。
病院の同行までは遠慮した方がいいかなと問いかけたら
見届けてほしいと言ってくれたから]
それじゃ、明日は一緒に病院だ。
ちゃんと明日も傍にいて、手も握ってるからね。
[大丈夫だよと笑って、テーブルの上で手を握った後
明日に備えてゆっくりしてね、と笑って別れた*]
…すごいなぁ。
[移住を決めた時に写真や映像は見ていたけれど
眼下に広がる光景は、その比にならぬくらいに壮観だ。
思わず声をあげたものの、
自分以外にも見に来ている人は当然ながらいると思い至って
慌てて口を手でふさぎつつ、
こちらの声が邪魔をしなかったろうかと周囲を見回した*]
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