3 ― 星見る手紙 ―
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【秘】 夢渡り アルレシャ > 旅行者 パウゼ
貴方がどれくらいロサを知っているかは分かりませんが、
この星は、神さまによって成り立っています。
私は、神さまを選び、恋人の手を離しました。
奥様と子どもは、貴方にとってどんな存在なのでしょう？
退屈の手慰みにどうか教えてください。
そして貴方が一刻も早く、
愛する人たちのところへ帰れますように。
ロサの案内人 アルレシャより
【秘】 夢渡り アルレシャ > 旅行者 パウゼ
[ 薄茶色の封筒に、一般的な白色の便箋。
赤い封蝋には薔薇の模様が押されている。
宛先には、彼が送って来た病院の住所と名前を。
差出人には、郵送事故が起こらないよう
詳細な住所とアルレシャの名前が書かれている。 ]
夢渡り アルレシャ
[さて、もう一通。
これは送られてきた手紙への返送というわけではなく、
郵送事故から繋がった不思議な文通相手への手紙だった。
最初は全く知らぬ名前に当惑し、
どうしたものか──と悩んだものだけれども
書かれてあった手紙の内容に妙な胸のざわめきを憶え、
以降、定期的にやり取りをし合っていた。
彼女への手紙も認めれば、合計三通。
星間郵送センターのポストへそれぞれを投函すると、
夢渡りは無事の到着を祈った。]
【秘】 夢渡り アルレシャ > 払暁 アカツキ
[何の装飾もされていない、シンプルな白封筒。
同じ色合いの便箋には黒いインクで文字が滲み、
赤い封蝋には薔薇の紋様が押されている。
宛先には、今まで通り彼女の住所とアカツキの名前。
差出人も今までと変わらない、
ロサの住所と、アルレシャの名前が書かれている。]
【秘】 夢渡り アルレシャ > 払暁 アカツキ
アカツキ様へ
少しばかりお久しぶりのような気がしますね。
お元気でしょうか？
最初の郵送事故の時みたいに、今もまだ、
貴方を取り巻く環境は変わっていないのかも。
それならきっと、元気とは言えないんだろうな、と
思っているのに貴方が元気であればと願ってしまいます。
ロサが神さまに与えられる幸福で満ちた星という話は、
確か以前、貴方に送りましたね。
今回はもう少し、他の話をしてみようかな、と思って
お手紙を送ってみたのですが、……ちゃんと届くかしら
貴方に送る時は、郵送事故が不安になっちゃうの
切欠が郵送事故だったからでしょうね。
【秘】 夢渡り アルレシャ > 払暁 アカツキ
ロサは今まで一度も争いが起こらなかった星だから、
他の星にはないような、鉱石や植物の類が多いんです。
例えばダイヤモンドなんかは、多くの星でも有名だけど
この星だと星屑みたいな色を含んでいたり。
そう、この前は小さな子どもがついうっかり、
少しの衝撃でも特異な花粉を飛ばす花を突いてしまって。
その花粉は、吸った人間が暫く妙な高い声になってしまう、
くらいのものだったから、良いんだけど。
治るまで意思疎通が取れなくて大変だったな。
言いたいことが声の高さでぐちゃぐちゃなんですもの。
【秘】 夢渡り アルレシャ > 払暁 アカツキ
ロサは相変わらずこんな調子よ。
物事を与えられた幸福だと受け止めるだけ。
幸せを探すより、幸せを与えられてる。
……そういえば、最初、貴方は幸せが見つかったかを
手紙の相手に聞いていたけど。
貴方の思う幸せって、いったいどんなものかしら。
なんて、こんなの、答えようがないわよね。
それじゃあ、また。
アルレシャより
夢渡り アルレシャ
[ 夢渡りの数は多くはない。
そしてその上、一定の年齢に達すると、
示し合わせたように夢渡りはいなくなる。
年齢が理由ではない。
夢渡りとは、神さまが与えた役割のことであり、
国を出た一部の者などからは、
〝監視者〟とも呼ばれている。 ]
夢渡り アルレシャ
[夢渡りは生まれたときから、役割を強いられる。
神さまに直に役目を与えられた尊い存在であるために、
──余計な情緒が育たないように、
管理施設に入れられ、集団で育ち、やがて独り立ちをする。
何よりも神さまを信じること。
何よりも神さまを重んじること。
だから相手の自由を否定した。
けれど外の世界を知りたかった。
なのに彼らの未来を認めなかった。
そうするのが存在意義だった。]
夢渡り アルレシャ
神さま、……神さま
貴方の言う通りに、私、お役目を全うしているのに
どうして出て行く人たちはみんな
[今日の手紙を思い出す。
妻と娘に会いたいと書かれた、何気ない一文。
ずるい、と思った。
両親の元で育てて貰える、手紙の主の子どもにも
愛した人の傍で生きていける彼のことも。
私は。
役目を全うして。両親も、友人も、恋人も失って … ]
夢渡り アルレシャ
[衝動的に封筒と便箋を取り出し、ペンを取る。
そして殆ど衝動的に走り書いた手紙を抱え、
夜も遅いというのに、星間郵送センターのポストへ駆け、
夢渡りはその頃には妙に落ち着いた心地で、
星空を眺めながら、帰路についた。]
【秘】 夢渡り アルレシャ > 新米修復家 キュー
[差出人の欄は、惑星ロサの夢渡り人と書かれただけ。
宛先は〝 どこか遠くの、見知らぬ貴方へ 〟
シンプルな茶封筒に、白い便箋
急いでいたのか、やや乱雑に押された封蝋は赤く歪で、
手紙の内容も前置きなんてものはなにもない。]
【秘】 夢渡り アルレシャ > 新米修復家 キュー
この手紙を受け取った、どこかの貴方へ
私の懺悔を聞いてください。
傷付いた人の悲しみにも、愛した人の涙にも、
友人と呼べるはずだった存在よりも、
目に見えない神さまのことを信じていました。
いきなりなんの話を、と思うかもしれません
思ってくださって構いません。
壊れた機械や建築物は元通りに直せても、
人の心や関係は治せないのだと
ようやく気付いた私の独り言を、どこかの誰かに、
聞いて欲しかっただけなのです
【秘】 夢渡り アルレシャ > 新米修復家 キュー
貴方が何か、もしもやりたいことがあるのなら
どうか私のように悔やまないよう
生きていけますように。
突然のお手紙を読んでくださってありがとう。
夢渡りだった しがない存在から
感謝を込めて。
【独】 夢渡り アルレシャ
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夢渡りの能力を失って墓落ちしようと思っていたのですが
明日たぶんちょっと時間がないので大筋はもう今日落としちゃった
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