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―― スイッセスさんの自室 ――
[恋人のように抱き締められた時、正直動揺してしまった。
だって初めて男の人に抱き締められたのだから。
おじいちゃんだと思っていた彼が見せた男としての一面。
それは確かに怖くもあったけど、それは”人間”として接してきた証。
機械だから、という発想はアタイにはなかった。
仲良くなれていたと思っていた、だけど――……
拒絶して突き放せば糸が切れたようにスイッセスさんはアタイを離してくれる>>148]
スイッセスさん…………、
[失礼なことをしたと呟く彼にどんな顔をしていいのか分からない。
瞳に溢れていた涙が一筋、頬を伝って流れ落ちる。
沈痛そうな、そんな顔のまま呆然とツイッセスさんを見ていた]
[青ざめた顔で腕を見下ろす姿>>149はまるで
抱き締める誰かを失って呆然としているように見えた。
――ああ、この人は今、傷付いている。
それが分かっていても今のアタイに彼を慰める資格なんかない。
その資格はたった今、自分から手放したのだから。
スイッセスさんの言葉をその場で黙ってただ聞く。>>150
何か言いたいのに、言葉が見つからない。
『いいんだ、気にしないで』?
『びっくりしたけど慰めてくれる気持ちは嬉しい』?
『許すよ、アタイも突き放してごめん』?
色んな言葉が思い浮かぶけど、口に出せばとても薄っぺらい慰めに感じて口に出せない]
あ…………、
[独りにしてほしいと言われれば沈痛な眼差しで彼を見つめる。
何か言わなきゃ、慰めてあげなきゃ、
そう思うけれど相変わらず何も言えなくてその場に立ち竦むだけ。
そうして、必死に訴えられたなら>>151
悲し気に目を伏せながらも絞り出すように一言]
ごめん、なさい……、
っ………、
[深々と頭を下げてから、
くるっと彼に背を向けて部屋から走り去っていく。
胸の中は様々な感情でぐちゃぐちゃになって、
アタイは泣きながら廊下を走って自室に帰っていった。**]
―― ホワイトマーブル到着後・病院 ――
[様々な思いを胸にアタイは船を降りてホワイトマーブルの地に降り立った。
今日はいつものライダースーツを身に着けて、
サンシアも来るなら一緒に妹のいる病院へと向かおう。
――病室には妹がベッドに横たわっていた。
人形のように無機質で青白い顔で、
目は虚ろに天井を見つめて身じろぎ一つしない。
その姿のなんて痛ましいコトかッ!!]
ビューッ!!! アタイだ!お姉ちゃんだよ!
アンタを助けに来たんだよっ……!!
[アタイはたまらずベッドに駆け寄りビューに懸命に呼びかける。
感極まり涙を流しながら、何度も何度も]
[呼びかけ続けたなら妹の乾いた唇が緩く開き、
『おねえ…ちゃ……?』
微かにアタイを呼ぶ声。
ぴくりと投げ出された妹の指先が動く。
そうして徐々に虚ろだった瞳に光が戻り焦点がアタイの見つめる目線と合わさる。
つぅ、と静かに妹の瞳から涙が一筋零れた。
『おねえ、ちゃ……、おねえ、ちゃんっ……!
あいたかった! あいたかったよぉ……!』
そう言うと妹は堰を切ったようにベッドに横たわったまま大粒の涙を流して泣き叫び始めるものだから、アタイは妹の体を慎重に起こして優しく抱き締める。
妹の体は枯れ木のように瘦せ細っていて少しでも抱き締める力を強めれば折れてしまいそうなほどに細く、その衰弱した姿に胸が締め付けられた]
[妹を抱き締めながら昔のように優しく頭を撫でてやり、
ぽろぽろと、アタイも妹と一緒に泣いた。
そうして昔のように優しく語り掛けるんだ]
よしよし、よく頑張ったね。エライよ……。
ねーちゃんが来たからにはもう大丈夫だ。
アタイがアンタを助けるよ。
ねーちゃんに任せとけ。
[そう言えば妹はうんうんと何度も頷きながら腕の中で泣く。
『つらかった……つらかったよぉ……』
『私、いっぱいいっぱいがんばったの。でも、ダメだった。
ごめんね。ごめんね……、よわくてごめんね……
”役立たず”の”病気持ち”でごめんね……』]
[妹は男からいつも「役立たず」「病気持ち」と罵られていた。
手紙の内容を思い出してアタイは悔しさで唇を嚙みしめる]
何言ってンだいっ……、アンタは何にも悪くない。
悪いとしたら、そんなコトを大事な嫁さんに言う男が悪いんだッ……!
味方も頼れる人もいない星に放り込まれて、
頼りの男はアンタを奴隷のようにこき使うだけで何もしない。
そんな中でも幸せになろうと懸命にあがき続けたアンタはエライ。
生きているだけで、人間ってなァエライんだよォ……!!
[病室だから声を抑え目にしていたが、
最後のほうは感情が高ぶりやや語気が荒くなる。
そんなアタイの言葉を聞きながら妹はしくしくと泣き続けていたっけ]
[そうして泣き疲れて眠った妹をベッドに横たわらせながら
妹の主治医から妹の容態を聞こうか。
簡潔に言うと妹は睡眠薬の過剰摂取で病院に緊急搬送された。
ODの治療と並行して、慢性的な過労と心労による衰弱の治療。
体の服に隠れて見えない場所には数か所の痣。
痣は慢性的につけられた跡があり、骨折しないギリギリの力でつけられたものだ、と。
そこまで話し終わった後、主治医は溜息をつき。
妹が何度かこの病院に入院していたコト。
体が回復して退院の時にはふらっと旦那が表れて優し気な笑顔で妹を気遣うような素振りで病院を後にしているコト。
今回もきっと妹の体調が回復する頃に現れるのではないか、と。
そんなコトを教えてくれたのだ]
[話を聞きながら怒りを自制するためグッと拳をにぎりしめ。
その日は病院の許可を取り妹の眠るベッドの横にある椅子に腰かけ浅く眠った。*]
―― 男の調査報告書 ――
[調査を進めたなら男の行方も掴めるだろう。
簡潔に言えば男は酒場で大人しく親切そうな女性に手当たり次第に声をかけて身の上話を披露しているそうだ。
『自分は不幸な人間だ』
『両親に愛されず逃げるようにこの星に来た』
『妻とは「一緒に幸せになろう」と誓ったのに冷たくされ、
家計が苦しくても稼ぎもせずに寝てばかり。
俺は裏切られてひとりぼっちで孤独なんだ』
そういった話。
もし同情して寄り添おうとする女性がいれば手を出して、その相手は複数いること。
――報告をアタイが聞けば、男への怒りを新たにするだろう
そして妹とその情報を共有しよう。妹は青ざめた顔ながら『そんな気はしてた…』と力なく言った]
―― 数日後・病室 ――
[病院にきてからアタイはつきっきりで妹のそばにいて親身に世話をした。
そうしてようやくベッドから身を起こせるようになった頃。
主治医がやってきて退院してほしい旨を伝えられる。
妹の治療費が支払われていないコト。
病院へはあくまで緊急搬送で運ばれての処置だったと。
『体が動くようになったなら出て行ってほしい。
病院はボランティアでやってるんじゃないんだ。
病床の数にも限りがあるからね』
主治医はあくまで淡々と事実を語る]
なっ……! っ……!?
[アタイが主治医に文句を言おうとした時]
[――ようやく男は現れた。
親切そうな笑みを顔に張り付かせ、でも全く笑っていない目。
そんな表情で男がにこやかに現れる
そうして怯える妹に向かって諭すような柔らかい声色で語るのだ。
『ごめんね、俺にも悪い所があったと思う。
あれから何度も暴力を振るったことを反省したよ。
もう酷いことをしないと今度こそ誓うよ。
だから、さあ。 一 緒 に 帰 ろ う ?』
男は紳士的な素振りで妹に手を差し伸べる。
妹は現れた男を目にして体を震わせアタイの影に隠れる。
ようやく戻りかけた瞳から光が失われていく――……。
男がそれにチラと蛇のような冷たい目で見降ろしニヤ、と君の悪い笑みを浮かべた瞬間――]
[妹の中で何かが切れたのだろう。
病室に響き渡る叫び声をあげ、手当たり次第に手元にある花瓶や枕などのベッド脇にあるものを男に投げながら叫ぶ。
『ひいぃッ!ごめんなさいごめんなさい!殴らないで殴らないで!
ああああああああああああッ!!!
もうこんな暮らし嫌!帰って!帰ってよ!』
妹の悲鳴と怒号。
投げられたペンが男の額に軽く当たると男は本性を現し逆上する。
『なんだと!?俺に口答えしようってのか!!
誰のお陰で食っていけてると思ってるんだ!!
この裏切り者!役立たず!病気もっ……』
男の罵声が途中で止まる。
なぜなら――……]
[ヒュッ!!!!
アタイの繰り出したグーパンが男の顔面スレスレで止まる。
ブオッ!と拳の風圧と気迫で男の髪がなびき、突然の出来事に男は呆然としたようにその場にへたり込む。
その情けないゴミムシのような姿を冷ややかな目で見降ろしながら]
失せろ。次会った時は殺す。
お前は取り繕った上っ面の不幸を餌に他人の善意や幸せの上澄みを掠め取るだけのクズだ。
せいぜい物乞いみたいに惨めな人生を送って生きていけ。
そうやって独りこの世を呪いながら死んでいけ。
[そう言い放てば男はアタイを見上げながら真っ青な顔でガタガタ震えだし、転がるように病室を後にしていく]
[そうして男が逃げかえれば、
恐怖で震える妹の肩を抱いて優しくさすろう]
よしよし。もう大丈夫だ。
悪いヤツはアタイがグーパンで追い払ってやったからネ。
アンタはもう自由だ。
もうあの男の影に怯えて暮らさなくてもいいんだよ。
これからはねーちゃんがついてる。
アンタが幸せになる手助けをしてやれるよ。
……これからは自分の幸せのために生きな。
[ぎゅっと妹を抱き締めほっと一息。
その後、男が妹の前に姿を見せることはなかった]
―― 数週間後・海の見える病室にて ――
[あの後、アタイは妹を都心の病院から海の見える静かな田舎の病院に転院させた。
妹の病状はあれから徐々に回復していき、
今では調子のいい時は近くの海岸を並んで歩けるほどになっていた。
男との離婚もあっさり決まり。
(調査によればライダースーツの人間を見ると青ざめて怯えて震えながら逃げるようになったそうだ)
ようやく手に入れた妹との平穏で穏やかな暮らし――……
それでも妹の心身の傷が簡単に言えるワケではない。
時折、急に涙を流しながら吐いて寝込んだりして精神的に不安定になることもある妹に寄り添い支えよう。
大丈夫。時間はたっぷりあるし、おねーちゃんもいる。
妹が元気になり一人で生きられる力を手に入れられるまで傍で何度でも助けてあげよう]
[アタイは妹の体調が安定している頃合いを見計らい、
海の見える窓辺のテーブルに腰掛け、コーヒーミルで珈琲豆を砕いて丁寧に淹れた自家製珈琲を妹に振る舞おう。
美味しそうに珈琲を飲む妹が無邪気な声でアタイに声をかける。
『美味しい! おねーちゃん珈琲自分で淹れれるんだね。
味も優しくて気持ちが落ち着くみたい……』
珈琲の味を気に入った妹にアタイは笑いかけながら一緒に珈琲を飲む。
ああ……、やっぱり落ち着くな。この味――……]
この豆はネェ、ある人から貰った大事なものだよ。
この星に来るために乗った船で会った人に貰ったんだ……。
[懐かしさに目を細めていれば、妹がすかさず身を乗り出して。
『ねえ、その人っておねーちゃんの好きな人?』
なんていきなり言うからアタイは思わず珈琲を喉に詰まらせかけてげほげほと咳き込む]
な、なんでそんな話になるンだよッ……!!
[アタイが口元を拭いながらそう聞けば妹はクスクス笑って。
『だって目が恋してる目だったんだもん!
私ね、おねーちゃんより恋愛経験豊富なんだよ。
絶対そうだよー』
なんて生意気なコトを言うものだから]
ち、ちがっ……! アタイは、サ……。
[しばらく口ごもりながら、ぽつりと一言]
……その人に幸せになってほしいンだ。
あと、笑顔が見たいんだ。すごく優しい顔で笑うから……
好きだよ。うん……好きだ。
[なんて言えばすかさず。
『ほら、やっぱり恋じゃん!
おねーちゃん気持ちが顔に出すぎー』
とか、キャッキャと恋バナを始めようとするものだから。
うるさいっ!なんて頭をうりうりしてやろう。
アタイがどんな顔してたかだって?
さァ?鏡がないから分からないネェ。**]
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ふぅー。妹関連のお話、これにて終了です!
サンシアは好きな時に好きなタイミングのロル拾ったり拾わなかったりご自由にどうぞっ!
>>-132 ツァーリさん
ひとまずDV男にはグーパン(寸止め)しました。>>180
そして「恐怖症:ライダースーツの人間」のトラウマを植え付けました。>>182
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