星狩りの国-暁の街-


21 【完全RP村】夜間飛行で追い越して


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曇硝子 スイッセス

 ――自室前――

[人とアンドロイドの差の一つに入ってくる情報量とその処理の速さ、記憶力がある。人ならざる私がその落書きに気付くのは普通だ。
しかし、そんなアンドロイドの私が人である彼女に劣る事がある。

それは、素敵な比喩。
ある遊園地にてイメージキャラクターの刻印があちこちに隠されていて、それを見つけるのがファンの間では流行っているというのは有名な話。
隠れペンギンがそれをなぞり言われたことはすぐにわかったが、その表現に思わず笑みが広がった。>>176

人というのは素晴らしい。
いや、人ではなくきっと私の隣を歩いている彼女が。]

(192) 2024/05/30(Thu) 21:07:11

曇硝子 スイッセス

[シトリンに込められた言葉を勿論私は知っている。
私を追い越して老いていく、いつか死を迎えてしまう妻が精一杯、
共にいる時間幸せであるようにという願いを込めて贈ったものだから。>>181

彼女の歩みに幸あれ。

贈り物をする時、胸が高揚するのは人らしい反応である。
私の胸にはないはずの心臓が弾んでいるように感じた。
それが行動を後押ししてくれたのかもしれない。
私の所有者の命に反しても。]

(193) 2024/05/30(Thu) 21:07:54

曇硝子 スイッセス

[宝石よりも深い輝きを称えた彼女の瞳に去来した想いはなんだったのだろう。

どんなに優れたAIも、人の複雑な心を正確に推し量る事は出来ない。

でも。

その橙が瑞々しく彼女の胸に咲いた瞬間──私はそこに亡き妻の面影を確かに見た。
小さく息を吐いて、自身の胸を抑える。
何かがそこに溢れていた。見えない何かが。

それは彼女が私の贈り物を受け取ってくれたために溢れたのだと思う。そう、きっと。]

(194) 2024/05/30(Thu) 21:12:21

曇硝子 スイッセス

   ありがとうございます、グリーディアさん。
   …本当にありがとう。>>182


[重ねて礼を述べる。目尻から零れる水滴は、人工的な皮膚を濡らす。
きっと妻の為に私は泣いている。そう思った。

…それから私と彼女は、二、三言葉を交わして別れたと思う。下船までにまた話す機会があるかもしれないし、ないかもしれない。逢ったら嬉しいと思う私がいるのは否定できないけれど。

そして私は、廊下に佇んで彼女の去り行く背中を見送ったであろう。緩く手を振りながら。]**

(196) 2024/05/30(Thu) 21:13:09

曇硝子 スイッセス、メモを貼った。

(A44) 2024/05/30(Thu) 21:15:21

曇硝子 スイッセス、メモを貼った。

(A49) 2024/05/30(Thu) 22:28:01

曇硝子 スイッセス

――スイッセスの手記1――

[目を開いた瞬間、私はまず年老いた女性の顔を見た。
彼女は「まあ、起きたわ…」と驚いたように言って。
それから私の頬を撫でた。皺だらけの指で。
そして私の事をこう呼んだ。

「あなた」と。

十一年前、ドロシー・サイフォンは長年連れ添った夫に先立たれた。
夫のスイッセス・サイフォンは多額の遺産を遺してくれたが、その使い道として選んだのが…アンドロイドをフルオーダーで造る、という道で。
既存のアンドロイドを買うのと違い、それは破格の値段を要求された。
息子のマイケルは母親の決断に激しく反対を示す。
しかしそれでもドロシーは、アンドロイドを造る事を諦めなかった。

夫を模したアンドロイドを。]

(215) 2024/05/30(Thu) 22:41:32

曇硝子 スイッセス

[そして一年後。
産まれたのが私である。

亡き夫と同じ顔、同じ声、性格パターンや記録をコピーし製造された、RS‐63857。
当時の最新級技術を詰め込んだリッツ‐ルッカ社製のアンドロイドである。

「スイッセス、今日からまた逢えて嬉しいわ。これからどうかずっと、私の傍にいて頂戴ね。」
涙を零すドロシーを私は抱き締め、背中をすった。生前の夫がそうしていたのがデータにあったからだ。

この時の私はまだ「ドロシーの夫として振舞う、それが自分の仕事である」という認識しか持ち合わせていなかった――。]

(216) 2024/05/30(Thu) 22:41:55

曇硝子 スイッセス

――カラントとの出逢い(回想)――

[この船に乗り込んでから、私は日課として食堂に足を運んでいた。
食事を取る為ではない。アンドロイドである私は、人間と同じ食事を口にする事は可能であるが、それが動力源として必須かと言われたらノーだ。

私の目的は珈琲を淹れる事。
本来は従業員型ロボットたちや、珈琲サーバーの仕事であるが、私は勝手に器具を持ち込んで珈琲を点てていた。
それを喜んで飲んでくれる方がいるのは大変有難い事である。

その日も私は黙々と珈琲の準備をしていたと思う。
私のそんな所作が目に止まったのであろうか、彼の人が声を掛けてきた。

眼鏡型の電子機器を装着した大柄な男性。薄オレンジ色のフィルター越し、此方に注がれる眼光は鋭い。眠気を伴っている状態そうなっていたのかもしれないが、少なくとも私にはそう見えた。]

(242) 2024/05/30(Thu) 23:52:43

曇硝子 スイッセス

[彼は慣れた様子にて注文を口にする。
濃い珈琲と腹に溜まる食事。
これは恐らく私を従業員と勘違いしてのことと、すぐに思い当たる。

くすり、と笑みを零して。慌ててゆると首を振って誤魔化す。]

  失礼致しました。…ご注文を繰り返させて頂きます。
  濃いめの珈琲とお食事ですね。
  かしこまりました。少々お待ちください。


[礼儀正しく一礼をして見せる。地球のレストランでは私のような人間型アンドロイドをウエイターにしている店もあるので、それと同じように振舞えたであろうか。

私はカウンター内に入ると勝手に珈琲と食事の準備を始める。
ちらちらと男性を眺めながら。>>218]

(246) 2024/05/30(Thu) 23:54:52

曇硝子 スイッセス

[彼の声と容姿はどこか人を惹きつけるものがあり、私の興味を刺激した。
一体何をしている人なのだろう。体格から、スポーツマンか何か?
顔立ちは随分と男前だ。

考えながら私はデミタスカップに注いだエスプレッソ珈琲と、大盛りのトルコライスを用意した。
トルコライスとはひとつのお皿にトンカツ・ナポリタン・ピラフを盛り合わせた料理である。おまけとしてエビフライも乗せておいた。

さて、彼はこのサービスに満足してくれただろうか?
私が彼に正体を明かすのはもう少し後だろう。

勿論、私は怒りなどしない。むしろ従業員のふりをして彼を騙した事を詫びたと思う。]*

(247) 2024/05/30(Thu) 23:56:46

曇硝子 スイッセス、メモを貼った。

(A57) 2024/05/30(Thu) 23:58:45



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