星狩りの国-暁の街-


21 【完全RP村】夜間飛行で追い越して


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曇硝子 スイッセス

[元同級生は恐らく同性であろう。女の子同士はよくコイバナをする。互いの恋愛の進展に興味を持つ。
元同級生は「恋愛は良いものだ」と考えているとしたら、彼女に対してそうした無責任な事を言うのも致し方ない。だがそれを、彼女は気に入らなかった…。

私はそれらの状況を頭に整理する。

彼女は「恋」に対する科学的な知識を持ち合わせているようだ。
その言葉が正しい事は、私のCPUに刻まれている情報と合致することからハッキリしている。
しかし、彼女の求める答えはそれではないのだ。]


  そうですね。
  恋をするときに働く部位として
  「扁桃体」と「大脳皮質」の2つが挙げられますが…
  その働きの詳細をお伝えしても、
  貴女の悩みは晴れないでしょう。

(190) 2024/06/01(Sat) 00:57:17

曇硝子 スイッセス

[器具を洗浄しながら私は考える、言葉を選ぶ。他人と会話する時に大切な事は、正しい事を伝えるだけではない。そも、この問題の場合何が正しいのかというのも曖昧ではあるが。

大切な事は、相手が何を求めているか、相手が答えを出すのに何が必要かを見極めて、言葉を掛ける事だ。

大概の悩みの答えと言うのは、自分自身の中にあるから。]>>155

  恋に落ちる、狂おしく想う。
  …どちらも抗えないものですね。
  自分の意思で選択するものでもない。
  だから貴女は…そこに
  「仕組みがある」と考えているのですね。


[アンドロイドである私が、この質問に答えるのは随分難解な気がする。

私はドロシーに「恋」をしていたのだろうか。
そも、私に恋をする「心」はあるのか。
自問自答をした後、私はこう言った。]

(191) 2024/06/01(Sat) 00:58:11

曇硝子 スイッセス

  私の話を少ししても宜しいですか?
  もしかしたら、なんのヒントにもならないかも
  しれませんが。


[つい、と目線を虚空に漂わせる。片手は胸元にそっと添えた。
想いが、思い出がそこにあるかのように。]


  連れ添った妻がいたんです。
  少し前に亡くなってしまったのですけれど…。
  
  彼女はね、生前にこんなこと言ってたんです。
  『朝起きたら一番に私にキスをして』って。

  私は彼女の小さな額にそっと唇をあてるのを
  毎朝の日課にしました。
  その度にね、彼女は恥じらうんです。
  頬を真っ赤にして、目を潤ませて。

(192) 2024/06/01(Sat) 00:58:33

曇硝子 スイッセス

  おばあちゃんですよ。
  でもねえ、とっても可愛かったんです。


[自分から頼んだ事で、毎日繰り返しているのに。ドロシーにとって私のキスは恥ずかしく嬉しいものだったのである。]


  私よりずっと若くて美男子がそうしてもね、
  きっと彼女はそんな反応をしないと思うんです。

  何故って?
  妻が恋をしていたのは、私だから。


[正確には、私の元となったドロシーの夫・スイッセスであるかもしれないが。]

(193) 2024/06/01(Sat) 00:58:52

曇硝子 スイッセス

  そして私もね、そんな彼女を見るたびに
  胸をときめかせていたのです。

  あの気持ちを…感情を。
  脳やホルモンの働きと表現しても私はピンと来ないです。
  理屈で説明するものではないと思うのですよ。

  …人はどうして恋に落ちるのか。
  狂おしく想うのか。
  
  かけがえのないその人の傍にいて。
  会話し過ごし、そこに想いが生まれる。
  抗えるものではない。
  自分でそうしようと思ってなるものではない。

  誰も妻の代わりにはなれない。
  私が恋をしたのはドロシー、彼女だけ。

(194) 2024/06/01(Sat) 00:59:40

曇硝子 スイッセス

 そう。
  ……優しく雨が降るように。
  恋はしとど人を濡らす。
  

[つい、と。私はカウンター越しに彼女の方へ手を延ばす。しわがれた私の指先は彼女の胸元を指さした。]

  そこに恋が実際芽生えたら、
  違いがわかると思うんです。
  
  少なくとも私は言い切れる。
  妻に恋をしていた、愛していたと。


[アンドロイドである私ですら、そう思ったのだから。そういう相手を得た時きっと彼女ならわかるだろうと思ったのである。]

(195) 2024/06/01(Sat) 01:01:06

曇硝子 スイッセス

  すみません…貴女のお役に立てたか
  怪しいですが。


[眉尻を下げてすまなそうにそう言うが、私に出来るのはこれが精一杯であった。彼女が感じた怒りやもやつきが晴れるよう力になりたいと想いながら。]*

(196) 2024/06/01(Sat) 01:01:22

曇硝子 スイッセス、メモを貼った。

(A38) 2024/06/01(Sat) 01:05:25

曇硝子 スイッセス

――カフェ――

[私とアーネストがタッグを組んで悪者(※船のスタッフ?)をニンジャ・カラテで蹴散らすとしたら、どんなシーンであろう。口には出さぬが私の脳内には映画のワンシーンが展開される。>>161

フルフェイスヘルメットの謎のヒーローと、老齢なカフェマスターがぐるりと周囲を囲まれている。二人は背中を合わせ互いの弱点を護りながらニンジャ・カラテの構えを取る。

絶体絶命のピンチだ。

アーネストに襲い掛かる悪者!
私はキェェェェェという威嚇の声と共にそれを投げ飛ばす!
彼女はその隙をついて別の悪者にライダーキック!
阿吽の呼吸で二人は演武のように華麗に舞っては悪者を一人、また一人と倒していく…。最早敵う者なし。]

(240) 2024/06/01(Sat) 10:11:06

曇硝子 スイッセス

[うーん、素晴らしく面白い痛快活劇だが、私と彼女はその晩船内の牢屋で臭い飯を食べることになるだろう。…合掌。

彼女と話していると、こんな風につい楽しい想像が働いてしまう。
ホワイト・マーブルでも仕事を続けると言うのに私は心から喜んだ。

私の記憶に彼女が――この船内での記憶が残るかは、消去の塩梅による。
初期化であれば私は十年前に戻るので全てを忘れるだろう。
ドロシーに関する記憶を部分的に消されるのであれば、私は彼女を覚えていられるだろう。

どちらであってもきっと。
ホワイト・マーブルでの私の居住に彼女のサインが燦然と輝くのは決まっていることだが。]>>160

(241) 2024/06/01(Sat) 10:11:47

曇硝子 スイッセス

[人の人生は悲喜交交だ。楽しく笑っているだけで過ごせる人は稀有な存在だと言い切れる。
良い人も悪い人もいるから、その出逢いによって左右されるのは当たり前のことだ。しかしそれをままならない、と表現するアーネストの気持ちは汲める。

ビューが不幸に陥った、巻き込まれたことは何もアーネストの責任ではない。世の中に悪が存在することも彼女が謝る事でもないのに。

それでも彼女は優しさを溢れさせて。
どうしようもない事にも嘆き、怒り、悔しむ。
アーネストはそんな女性だ。

とても、とても人らしく熱い。
焼いた鉄のようであり、しなやかな竹のようだ。]

(242) 2024/06/01(Sat) 10:12:53

曇硝子 スイッセス

  …それなら、良かったです。
  でも。

[話して心の重みが軽くなったのはあるのだろう。私が何かしたという事でなくとも。彼女の口調は明るくなった。しかし、私はゴーグルの奥、彼女の瞳に滲んだ僅かな水滴を見逃さなかった。>>164

カウンター内にいる私は上体を前のめりにして、手を延ばした。
座っている彼女の頭の上にそれは届くだろうか。
願わくば、その頭を撫でてあげたい。]

(243) 2024/06/01(Sat) 10:13:21

曇硝子 スイッセス

  貴女はとても立派で素敵だけど。
  頑張りすぎて疲れてたり、怖くなったり、不安になったら。
  誰かを頼ってもいいんですからね。
  …泣いても、いいんですからね。

[こんな時、私が彼女の本当のおじいちゃんになれるならどんなにいいかとすら思った。勿論、彼女を支える他の人がいてくれるなら、それに越したことはない。
ヒーローはヒーローであって欲しいが、孤独に戦っては欲しくない。私の想いはそれだけ。

少しぬるめの珈琲を彼女は喜んで口にしてくれた。本当に猫舌なのか、私を気遣いそう言ってくれたのかまでは、CPUでも判断は出来ない。>>165

私は口元を緩めた。]

(244) 2024/06/01(Sat) 10:14:19

曇硝子 スイッセス

[刻は過ぎていく。静かに、残酷に、優しく。

それでも「今」が存在したことは変わらない事実だ。
窓の外を過ぎ行く羊たちだって見えなくなってもいなくなりはしない。

――だから嘆くことなんて何もないのである。]**

(245) 2024/06/01(Sat) 10:15:09

曇硝子 スイッセス、メモを貼った。

(A45) 2024/06/01(Sat) 10:17:52

曇硝子 スイッセス

――スイッセスの手記3――

[ドロシーを可愛いと感じるようになったのは何時からか。

少女のようにキスをねだり、自分でしてくれと言ったのに照れる彼女に。
自然や動物を愛し、それらに出逢うとはしゃいで走り出す彼女に。
美味しいものを食べるとほっぺをおさえて目をキラキラさせる彼女に。
『どうせなら貴方を若い頃のイケメン姿で造って貰えば良かったかしら?
…でも、私がおばあちゃんだものね?』なんて言いながら笑う彼女に。

心がときめくようになったのは何時からだろう。

心。私は造られた存在だ。脳に当たる場所にあるのはCPUである。
記憶はデータである。反応は計算の結果であるといえばそうだ。

私はスイッセスの遺る全てを受け継いでいる。
彼はドロシーを深く、強く愛していた。
大切に思っていた。]

(250) 2024/06/01(Sat) 10:46:14

曇硝子 スイッセス

[私はそれを模しているだけだろうか。
ドロシーと過ごす内、私は様々な事を感じた、思った。

それは、私自身のものなのか、スイッセスのものなのか。
…私にはわからない。

ただこの胸を焦がす想いを誰かが否定するのならば、
スイッセスの名誉において言おう。これは本当の愛だと。]

(251) 2024/06/01(Sat) 10:46:56

曇硝子 スイッセス

[ドロシーと私は平穏で平凡な、幸せな日々を過ごした。
毎日の他愛ない出来事が全て宝物だ。

私はアンドロイドなので、十年の歳月を経ても歳を取らない。
しかしドロシーは人として当然のように老いていく。

何もないのに躓くようになった。
物忘れが酷くなった。
食欲が減った。
髪は真っ白になった。

あげつらねたらきりがない変化。段々とベッドから起きるのが困難になったドロシーの髪を撫で、手を握りながら私は過ごすようになる。]

(252) 2024/06/01(Sat) 10:47:34

曇硝子 スイッセス

[『お父さんにはね、私より先に絶対死なないでって頼んだのよ?
それなのにあの人ったら約束を違えて。酷い人よね。
私を残して逝ってしまうなんて。』

その愚痴は勿論憎まれ口でしかない。亡き夫への愛情故の言葉だ。
話しながら咳き込んでしまったドロシーの背を私は優しく擦る。

『ごめんなさい、私もう長くないみたい。』

彼女がそう口にしなくても、私は知っていた。
医療ロボットほど正確に全てを把握できるわけではないが、延命の治療を受けなかった彼女の命の灯が消えようとしていることを、呼吸、脈拍、心音、肌の状態などから把握していた。]

(253) 2024/06/01(Sat) 10:48:04

曇硝子 スイッセス

[私はドロシーを慰める為に造られたアンドロイドだ。
だから、彼女が私を残して逝く事を詫びる必要はないのだが。

しかしドロシーは、死ぬことがない私の今後を心配しているようだ。

『私と息子のマイケルはそりが合わなくてね。血が繋がっていても…人ってそういう事があるの。
当たり前よね、だって夫婦は血の繋がりなんてないけど家族になるのだから、結局人って個人の相性なんじゃないかしら?と私は思うのよ。

でもね、だからってマイケルが嫌いなわけじゃないの。
考えが合わなくても、私は息子を大切に思っている。』]

(254) 2024/06/01(Sat) 10:48:38

曇硝子 スイッセス

[『スイッセス。愛しいあなた。

私が亡くなったらあなたはマイケルのものになるわ。
どうか私の代わりに息子を見守って頂戴。
マイケルがあなたを粗雑に扱わないようにはお願いしておくからね。』

彼女の瞳から零れた涙は透明で美しい。
私は顎を上下させて力強く頷く。

――彼女が静かに息を引き取ったのはその少し後であった。]

(255) 2024/06/01(Sat) 10:49:07

曇硝子 スイッセス、メモを貼った。

(A49) 2024/06/01(Sat) 14:14:27

曇硝子 スイッセス

――展望施設(午後)――

[午後の時間、私は展望施設にて読書をすることにした。

船に乗った時に持参した一冊の本。
タイトルは『宙色の鍵』。>>32

ジャンルは純文学で、不思議な色の鍵を手に入れた少年が、困難に巻き込まれながら成長していく物語だと裏表紙に紹介されている。

ドロシーは映画、ドラマ、本。
様々な媒体で物語を楽しむのを好んだ。
私と一緒に感想を話し合うこともしばしば。

この本を読み終えても、そういった事を出来る相手がいないのを考えると寂しいものだが、船を降りるまでに読み切りたいと買った一冊だ。

電子書籍ではなく、紙の本である。
本の頁をめくる時紙が立てる音や、紙の手触りが好きだから。]

(288) 2024/06/01(Sat) 17:27:23



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