花屋 フローラ

結婚式の準備

［アッシャー祭が終わって。
村の空気は確かに変わったわ。
それは私達だけでなく…………

大好きな人の幸せそうな表情は。
私の事も幸せにしてくれるわね。
私はシルヴァンが帰って来る前とは。
明らかに心の持ちようが変わっていて。
素直に人に接する事が出来るようになっていた。

大切な幼馴染達に感じていた羨ましさと罪悪感も。
リトリコを素直に歓迎出来ない用心深さも。
春の陽光が雪解けを促し水になり流れるように。
何時の間にか心の中から少しずつ流れ出し薄れていた。］

花屋 フローラ

［結婚式の準備を進める幼馴染達。

私とシルヴァンの結婚式は何時になるかしらね？
ご両親への許可を得て。それからだから……
時間はまだ季節幾つ分もあったけれど。
花嫁さんに憧れのあった私は。
自分の手で少しずつ準備を始めていたの。］

花屋 フローラ

［ドレスもブーケも。自分の手で作りたかったから。
花嫁衣裳の生地や刺繍糸は、ラヴのお店で染めてもらった。錬金術で均一に染められた布や糸で、ドレスを縫ったり。刺繍をしたりした。

デザインに悩んだら。
前より気軽に話をするようになったリトリコに。
図案を相談したりした。
お礼は子どもたちへのお花の種や球根でも良いかしら？
育てる楽しみを知ってくれる子が出ると良いな〜。
なんて思う私はやっぱりちょっとちゃっかりしてるわね。
リトリコが結婚する時は、飛び切りのブーケを作らせてもらうわ。勿忘草の花言葉もこっそり教えてあげましょう。

結婚式の季節は正直何時でも良かった。
苺のお花でブーケや髪飾りを飾るつもりだけど。
お花は、シュクルに作ってもらうつもりだったから。
私のための特別製のお花の飴と。
季節のお花を組み合わせて、ブーケと花飾りを作りましょう。］

花屋 フローラ

［もしかしたら女の子達に声をかけて。
一緒にドレスを作ったりすることもあったかも。
ベールやドレスに使うレースも。
のんびり時間をかけて編んだわ。

お仕事の合間にそうやって。
ドレスが出来上がっていく時間は。
少しずつシルヴァンとの式が近付いてくるようで。
微かな高揚と喜びを感じる時間だった。

女子会が叶ったら。
互いの相手の惚気話をする機会もあったかもしれないわね。
女の子しか居ないから。
赤裸々な話題も出たかもしれないけれど。
ふふって笑って。幸せそうに聞いてましょう。］

花屋 フローラ

［手放しで祝福してくれたライトには。
お呪いを頼んだわ。

少しくらい雲があっても良いの。
真っ青な青空じゃなくて良い。

でも。式の当日は。お日様が見えて欲しいなって。
そんなお願い。
素直に微笑んで頼んだわ。］

花屋 フローラ

［そうしてあなたと結婚する日を迎えたの。**］

　

花屋 フローラ

苺の花嫁さん

［その日は雪解けを迎えたアッシャー村に、春の陽光が降り注いで。日差しの暖かな寒明けの日だった。
微かな風に鳥の声が囀り。春の訪れを予感させてくれる。

手造りの花嫁衣裳とシュクルとお揃いの髪飾り>>43を髪に飾って。苺の花のブーケは甘い飴の香り。
ご両親が帰って来たのだから。
もう少し暖かくなってから。
式を挙げたって良かったのだけれど…………］

花屋 フローラ

[だってシルヴァンが。あんなこと言うんですもの。>>-377］


　

花屋 フローラ

[私の返事なんて一つしかなくて。満面の笑みで。］


喜んで。


［そう。笑って抱き着いた。］

花屋 フローラ

［お祭りよりも早くに。
参列者の皆さんが寒くなり過ぎないように。
暖かなかがり火を焚いてくれたのは。
私がお世話になった村の人たちで。
お屋敷の人たちは美味しい料理と。
それからコウセツが特別なお菓子を用意してくれた。

ラヴやシュクルやリトリコに。
花嫁衣裳や女の子同士のありがとうを言って。

家族の居ない私は。彼の元に連れて行ってくれる親族も居なくて。悩んでたらね？
シルヴァンが私を迎えに来てくれることになった。
王子様みたいねって。ぽっと頬が染まったわ。

迎えに来てくれたあなたの手を取って。
２人で一緒に会場に入って。
たくさんのおめでとうをもらった。
ふわふわのおじさんが大きな声でお祝いを言ってくれた。］

花屋 フローラ

［あなたはコウセツにお礼を言うわよね？
私もあなたに着いて回って。
男の人たちにも祝福の言葉を貰って回った。
ライトの元ではありがとう。ってお礼も言ったわ。
アロイスや、彼のご両親にも。


普段は恥ずかしがり屋で。
２人切りでしかキスなんてしないあなた。


ふわふわのおじさんが囃し立てたけれど……
ほっぺにキスくらいしてくれた？］