3 ― 星見る手紙 ―
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【秘】 青年 シャト > 星の停滞 ステラ
[コバルトブルーの封筒に白いインクで宛先と差出人が記されている。
中の便箋は植物を模した幾何学模様が縁取りのようにあしらわれている。
封蝋はアルカディアの暖かい時季に咲く花を模したものだ。
手紙と共に、小包が届く。中にはシャトの書いたファンタジー小説や短編集が三冊入っている。]
【秘】 青年 シャト > 星の停滞 ステラ
親愛なる友人 ステラへ
手紙を送ってくれてありがとう。君からの手紙が届いたとき、僕は本当に嬉しかった。
自分から手紙を送るのをやめたとき、どこかで、もう手紙はこないんじゃないかと思っていたみたいだ。だから君が手紙を送ってきてくれたことが、本当に嬉しかった。
君が知りたいと伝えてくれた僕の近況だけど、その前に、僕から手紙を出さなくなった理由について書いておこうと思う。
あの頃、僕は周囲からの評価に縛られて、自分が何を書きたいのか分からなくなっていた。
何を書いても納得できなくて、気分転換に自分の好きな本を読んでも、その本が本当に好きなのか自信がなくなって、どんどん気分が落ち込んでいった。
そのうち、何かを書くことも、本を読むことも辛くなって、どちらもやめた。
でも、そんな自分が情けなくて、認めたくなくて、僕の本を好きだと言ってくれたステラには知られたくなくて。
だから、僕から手紙を出すことをやめたんだ。弱くて、臆病でごめん。
【秘】 青年 シャト > 星の停滞 ステラ
近況だけど、そんなだから元気かと聞かれたら、あまり元気じゃない。
でも、君からの手紙が届いたとき、最初に書いたように凄く嬉しくて、今は少しだけ元気になったよ。ありがとう。
【秘】 青年 シャト > 星の停滞 ステラ
君の手紙を読んで、僕は久しぶりに自分の本を読み返してみた。
そのお陰で、ずっと分からなくなっていた自分というものの輪郭を、ちょっとだけ思い出せたような気がする。
君と会ったときのこと、君と色んな話をしたこと、楽しかったときの気持ちも少し思い出した。
封蝋、君と会ったときに咲いていた花を選んだんだ。君は覚えているかな？
アルカディアはまだ寒くて、本物は咲いてないから送れなかったけど、暖かくなったら押し花にして同封しようと思う。
ただの押し花じゃなくて、君がくれたように栞にするのもいいかもしれない。
なんだか、暖かくなるのが待ち遠しい。
今なら創作に触れても大丈夫そうな気がするから、何か書いてみようかと思う。
君からもらった栞も大切にするよ。きっと本を読むのが楽しくなる。
【秘】 青年 シャト > 星の停滞 ステラ
長々と書き連ねたけど、一旦ここまで。
また君に手紙を書くよ。
君の書いた物語や君の近況も気になるけど、教えてくれたりするかな。
君からもらった手紙、少し文字が震えていたのが気になったんだ。
君がよければ、話を聞かせてほしい。
最後に、アルカディアでも雪雲が晴れて、星が見えるときが多くなった。
僕の目に映る無数の星の中に君がいるなら、君の今いる場所からも僕が見えるかもしれない。
そう思うと、僕は寂しくなくなる。
君のいる星の柔らかな光が、暗闇を照らしてくれるから。
僕の友人でいてくれてありがとう。
一緒に送った本、君が喜んでくれたら嬉しい。
シャトより。
【秘】 アルレシャ > 演者 シェルタン
[薄桃色の封筒に、赤い封蝋。
昨日送ったばかりの手紙と同一のそれは、
一目見るだけで同じ送り主だと分かるだろう。
〝惑星FO7402-1938
文学資料館 フルト 様〟
震える筆跡で書かれた宛名。
差出人の住所や名前は、ない。]
【秘】 アルレシャ > 演者 シェルタン
シェルタンへ
先日お手紙を送ったばかりなのに、ごめんなさい。
もし貴方がお返事をくれていたのなら
入れ違いに届いているかもしれないわ。
少し時間がないの。手短に話すわね。
私、夢を渡れなくなってしまったの。
神さまから頂いたお役目の糸が切れてしまったような、
……言葉にすると難しいけど、そんな感じ。
自分のことなのか、自分じゃないことなのか。
長い間夢渡りを続けすぎて、分からなくなっちゃった。
【秘】 アルレシャ > 演者 シェルタン
そう。でもね、でも…貴方に謝りたかったの。
あの日、貴方の悲しみを認めてあげられなかったこと
失うことは幸せじゃないって、否定できなかったこと。
ごめんね。
……本当に、申し訳ないと、思ってるの
[ぽた、と落ちた涙がひとしずく、便箋を濡らした。
インクがぼやけるように滲んだけれども
読めない程ではないと、筆を止めることはせずに]
【秘】 アルレシャ > 演者 シェルタン
私、貴方がロサで血の滲むような努力をしていた時の、
…その横顔が好きだったわ。
何かを得ようとする努力が眩しくて、きれいで。
なんの努力もせずに他人を否定ばかりしてる私が、
貴方の恋人になれたのが、いまだに不思議なくらい。
夢渡りが夢から醒めたらどうなるのか、
実は私にも分からないの。
普通の人は、この星から出ていけるけど。
だから暫く……少しの間手紙は送れなくなるかも。
でも、もしこれが最後になるなら、
これ以上の嘘も見ないフリもしたくないの。
【秘】 アルレシャ > 演者 シェルタン
貴方の事情も、今抱えていることも分からないけど
夢渡りじゃなくなって
〝今まで沢山の人を否定してきた〟ことだけが残った、
……そんな私でも、まだ好きでいてくれるなら
会いたいな
[最後の文字は、小さく掠れて
読まれなくても──読み落とされても仕方ないもの。
髪を結ぶときにいつも身に付けていた緑のリボンを、
丁寧に折りたたみ、梱包して手紙に同封した。]
【秘】 アルレシャ > 次期当主 レグルス
レオンくんへ
お返事ありがとう。私は元気よ。
美味しかったなら良かった。
貴方が随分ロサのご飯を気に入ってくれていたこと、
今でも昨日のことみたいに思い出せるわ。
旅人や活気で溢れる「星の駅」、私も見てみたいな。
……レオンくんがまた、ロサへ来てくれるなら
もちろん私が案内するから、そのお話を──
[ インクが強くにじむ。 ]
【秘】 アルレシャ > 次期当主 レグルス
ああ、ごめんね、少し力を入れすぎたかも。
レオンくんは変というより、面白い子だったな。
あんな風に生きられたらきっと、楽しいんだろうなって。
……ロサを楽しい星だと言ってくれてありがとう。
ここは一度も、争いが起きたことのない星だから
なおさら、ゆりかごみたいに感じるのかもしれないね。
ロサは、……ロサをどう思っているか聞かれると
なんだか答えが上手く出て来ないわね。
私はあんなに簡単に、人へ質問が出来たのに。
【秘】 アルレシャ > 次期当主 レグルス
そうね、私にとってのロサは
他の人から見ても、幸福で、楽しくて、
……そんな風であってほしい星かな。
アッサの街にいるというロサの人はきっと貴方に、
「よくあんなイカれた星を選んだな」とでも言ったかもしれないわね？
どうかしら。当たってる？
ここは変な星よ。これは、今の私だから言えること。
レオンくんが例えば人を傷付けてしまったとしても、
それは神さまからのお恵みで、幸せなことになるの。
……ね？ 理解出来ないでしょ？
【秘】 アルレシャ > 次期当主 レグルス
あの時のオルゴール、まだまだ現役よ。
素敵なプレゼントをありがとう。
私ね、あの案内の中で聞いた貴方の演奏、
……とっても自由で、好きだったから、うれしい。
お姉さんは暫く、事情があって遠くに行くの。
だからまた、レオンくんにお手紙を出せる時が来たら
美味しいご飯と案内人経験談を用意して、
貴方とお喋りが出来るの、楽しみにしてるね。
【秘】 アルレシャ > 次期当主 レグルス
P.S.
ロサにしか咲かない花を使った押し花を同封するわ。
夜になると花弁がクリスタルみたいに輝いて、
まるで星屑みたいにぼんやりと光を飛ばすの。
観光客が持ち帰るのはダメだけど、
案内人から送っちゃダメなんて言われてないから
貴方と私の秘密。……内緒にしてね？
案内人のお姉さんより
勇敢な旅人、レオンくんへ
【秘】 アルレシャ > 次期当主 レグルス
[ 以前と変わらない封筒、便箋、黒インク。
唯一違えているのはその封蝋だけ。
──ロサの紋章ではない。
ありふれた、薔薇の花の模様だった。 ]
【秘】 新米修復家 キュー > アルレシャ
ｰ from チノホシのキュー ｰ
こんにちは
これ どこか遠くの見知らぬ貴方へという手紙をくれた人に
まず、その手紙を受け取らせてもらったこと
これはその手紙の差出人に向けた、僕なりの返事であること
そして、もし返事が必要なければ、この手紙は捨ててもらって構わないということ
たぶん、返事が来ることを望んでたわけじゃない、と思うけど
こうして手紙を出すのは、そうしたい僕の我が儘から
それを最初に書いておくね
【秘】 新米修復家 キュー > アルレシャ
僕は君のことを知らない
どんな人で、なにがあって、いまどうしているかも、なにもわからないけど
でも、君がずっと気づけなかったことに、いま気づけるようになったなら
それは、もしかしたら、今更なことかもしれないけど
いままで知らなかったこと、やれなかったこと、気づきを得た君なら、きっとこれから知っていく
そして、その、ひとつひとつを気にとめて、ちょっとずつ向き合っていく
そういうことも出来るんじゃないかって思う
たとえ過去を直せなくても、未来を作っていくことは、出来るはずだから
【秘】 新米修復家 キュー > アルレシャ
君が出会うはずのいろんな出来事、その全部がひっくるめて、君の力になればいい
僕のやりたいことを応援してくれて、ありがとう
それから、この手紙を読んでくれたなら、どうかその感謝も伝えさせてほしい
こんな、めちゃくちゃな手紙だけど、ここまで読んでくれてありがとう
【秘】 青年 シャト > 演者 シェルタン
[橙色の封筒に白い便箋に黒いインクで本文が書かれた手紙が貴方のもとへ届く。鳥を模した封蝋が押されている。
宛先は惑星FO7402-1938 文学資料館、フルト様へと書かれている。]
【秘】 青年 シャト > 演者 シェルタン
僕の大切な恩人へ
お久しぶりです。この手紙は無事に届いているでしょうか？
僕は貴方から舞台を通して、夢や物語の素晴らしさを、希望を持つことの大切さを教わりました。
貴方の舞台を観て、衝動的に書いた手紙が少しでも貴方の力になったのなら、少し恥ずかしさもありますが、とても嬉しく、誇りに思います。
さて、貴方の行方が分からなくなったことについて、僕の周囲では亡くなったのではないかと囁かれていました。
その噂を聞いて心配していたのは事実だったので、手紙が届いて、貴方が無事に生きていると知って安心しました。
手紙に書かれていたお願い事は守ると約束します。
僕に様々なものをくれた貴方は、僕にとって本当に大切な人です。僕にとっては生きていてくれたことが、何より朗報でした。
どうか貴方が、これまでと同じように無事に日々を過ごせることを祈っています。
いつか貴方が自由に過ごせる日が訪れたら、貴方が手紙に書いてくれたように、貴方の舞台を観に行って、直接感想を伝えたいです。いつになるかは分からないけど、その日を楽しみにしています。
シャトより。
【秘】 星の停滞 ステラ > 次期当主 レグルス
[ 前回と同じ封筒と便箋に、今度はしっかりと宛先が書かれていた。
代わらぬ癖のある字で、文章が書かれていた。 ]
レオンへ
驚いてくれたようで何よりだよ。
きっとあなたのことだから良い顔を見せてくれたんだろうね、絶対に店主さんには聞き出すから心配しないでね。
でも、本当に良かったよ、届いてくれて。
届かなかったら寂しいし、レオンがお返事を書いてくれなかったら悲しかったかも。
正直、会いたいと思ってたのは私だけなのかもってこの手紙を出すときは少し心配していたけれど、あなたも探してくれてたなんて嬉しいな。
次に会えたらのなら、その間のことを話せたらいいね。
お互いに笑って、楽しい記憶に残るような、そんな思い出話ができたらいいな。
探してた人の話もいっぱいしたいから、楽しみにしててね。
【秘】 星の停滞 ステラ > 次期当主 レグルス
私は大丈夫だよ。
レオンも病気とか、怪我とかしないように願っています。
もしそんなことあったら、私悲しむから、自分の体を大切にね。
だからこっちに来なくても大丈夫。
きっと、会いに行くから、待っててね。
ステラより
[ 手紙の封筒の中に入れられていた小さなメモ。
そこには「あなたの一番好きな曲が聴きたい」が書かれている。 ]
【秘】 星の停滞 ステラ > 次期当主 レグルス
[ 真っ白な封筒に、一通の手紙と小さな紙が入っている。
丁寧で綺麗な文字で書かれている。]
旅が好きな少年へ
突然のお手紙驚いたことでしょう。
あなたのお手紙読ませてもらいました。
僕の書いた本に夢中になって、たくさんの想いを感じてくれたというのなら、作家としてとても嬉しい気持ちでいっぱいです。
レオンさんとお姉さんとの関係は僕にはきっとわからないでしょう。
けれど、レオンさんがお姉さんに会いたいと思う気持ちは強く感じて、その思いを少しでも埋めることができたのならとてもよかったです。
僕の方こそこのお手紙を貰って元気が出ました。
僕の作品を読んで、様々な感情を抱いてくれる人がいる、それだけで僕は嬉しくて、小躍りしてしまいそうになります。
だからこそ、僕の方こそお手紙を送ってくれて、ありがとう。
これからも私の作品を、あなたの糧にしてもらえたら幸いです。
旅の好きなルクス・プエルより
【秘】 星の停滞 ステラ > 次期当主 レグルス
[ 小さな紙には文章が書かれており、後から送った手紙への返信だった。
殴り書きのようで、少し文字は雑ではあるものの綺麗に書くことを意識した書き方だった。]
お姉さんと連絡が取れてよかったですね。
でも、お姉さんも旅好きだというのなら、この本のことをきっと知っているでしょう
ですから、この本を紹介するのはやめておいた方がいいかと思います。
というか辞めておきましょう。
【秘】 旅行者 パウゼ > アルレシャ
ロサのアルレシャ 様
こんにちは。
まさかお返事が頂けるとは、誰かに届くかどうかも疑いながらの送付でしたから、とても嬉しく思います。
自分はロサには何度も行く事がなかった（実は商用で伺ったのですが、うまくいかなかったのです。）ので詳しく知らなかったのですが、ロサは昔から平和な星なのですね。
怪我すらも神さまからのお恵みであり幸い。
仰るように、他星人の私には理解の難しい感覚です。
今の私の色々な痛みが、神様からの贈り物だとは…どうしても思えない。
貴方の星を侮辱するわけではありません。お許しください。
さて、彼の星は１度しか訪れたことがないからこそ、その１度が印象に残っています。
仰る通り、貴方が私の案内人です。
アルレシャさん、憶えています。
いつも微笑みを湛えて案内をしてくれた女の子。
貴方はロサの全ての物を讃えるように、街を案内してくれました。
ロサは全てが幸せで溢れていると仰っていました。
【秘】 旅行者 パウゼ > アルレシャ
私の目には、ロサという星が眩しく見えました。
けれども同時に、自分が孤独であることを感じました。
もしかしたら私が幸せ以外の事をこの美しい星で感じた時、この広い星の住民は誰一人として私に共感してくれないのかもしれない。私の気持ちは誰にも理解されないのかもしれない。そう思ってしまったからです。
ロサの方は幸せ以外のことを感じることはないのでしょうか。
もしも、幸せ以外のことを感じてしまったとき。
そんな時は、どうするのでしょうか。
ひとりぼっちで先にも後にも誰にも知られずに、泣くのでしょうか。
【秘】 旅行者 パウゼ > アルレシャ
妻と娘のことを改めて聞かれるとむず痒い気持ちになりますね。
月並みですが、一緒に居ると、幸せを感じる相手です。
煩い事もあるし、疲れる事もあるし、目まぐるしい日々ではあるのですが、家で妻と娘が一緒に歌の練習をしているのを見たり、ふと目覚めると二人が自分を挟んで寝ていたり、そんな時に幸せだなあと思います。
ああ、一緒に家に帰りたい。
一緒にもう一度ご飯を食べて、眠りたい。本当はきっともう
ロサの神さまは、貴方が恋人の手を離すことを是としたのですね。
それが、神さまの考える幸せということなのでしょうか。
やはり私には、理解が難しい感覚なのでしょう。
今もあの時の貴方の微笑みが鮮明に思い出されます。
今は、貴方はどんな顔でこの手紙を書いていたのだろうか、少しだけ心配になっています。
出来るならば、貴方が心の底からの幸せによって、微笑んでいられることを祈ります。
パウゼ
【秘】 青年 シャト > 旅行者 パウゼ
[大きめの白い封筒に、白い便箋。花の咲いた樹木を象った封蝋が押されている。中に暖かそうな手袋が同封されている。]
【秘】 青年 シャト > 旅行者 パウゼ
パウゼさんへ。
こんにちは。僕はアルカディアに住むシャトといいます。
もしかしたら、聞き覚えがある名前ではないでしょうか？
覚えがなかったらごめんなさい。僕も貴方と似た経験をしたことがあるので、相手を勘違いしているかもしれません。同じような思い出を持つ人間もいるんだな、と思ってもらえれば幸いです。
【秘】 青年 シャト > 旅行者 パウゼ
さて、貴方から知りたいと云ってくれていたアルカディアの近況ですが、現地住民の目で探り探り、思ったことを書き連ねた文章になること、ご容赦下さい。
まずは貴方の手紙で言及されていたように雪が積もることは、最近では少なくなってきました。
とはいえ、暖かいというわけではなく、身を切るような寒風が吹く日がまだしばらくは続くでしょう。外に出るためには防寒が必須なのは変わりません。
雪が少なくなって、陽が射すことが増えたせいか、花をちらほら見るようにもなりました。地面に貼りつくように生えている背丈のない花は、風が吹いても散らされないのが逞しいです。
アルカディアの人々に関しては、特に変わりないように感じています。
相変わらず閉鎖的で、でも外の人たちのもたらすものには興味を感じていて、何かしらで接点を持ちたいと思っている。皆そんな感じではないでしょうか。
【秘】 青年 シャト > 旅行者 パウゼ
僕が書ける近況はこれくらいです。また何か気になることがあったらお手紙を下さい。返事をします。
僕からも気づいたことがあったらお手紙を送るかもしれませんが、そのときには貴方は退院しているかもしれないので、よければ連絡先を教えていただけると嬉しいです。
最後に、貴方が手紙に書いてくれていた実を同封しようかとも思ったのですが、圧力がかかると発熱する性質のせいで発火したら大変なので、今回は同封を見送りました。
代わりといってはおかしいですが、手袋を一緒に送らせていただきます。
アルカディアのような寒い星に、また貴方が訪れるとき、役に立ちますように。
シャトより。
【秘】 旅行者 パウゼ > 新米修復家 キュー
チノホシのキュー 様
こんにちは。
誰かに届くかどうかも疑いながら送付した手紙の返事が返ってきて、とても嬉しく思っています。
チノホシのことを色々教えてくれてありがとう。
今は春。
自分がチノホシに行ったときも春の終わりだったから、春と言う言葉とその様子はわかるつもりだ。
でも、夏と秋と冬は、わかるようでわからない。
色んな星を旅しているから、それぞれがどんな様子かと教えて貰えれば、想像はつくと思う。
そうだね、私の故郷の星には四季がない。
暖かいところは年中暖かいし、寒いところは年中寒い、そういうところだ。
四季も概念は分かっているつもりだが、自信はない、という感じかな。
しかし、話を聞く限り、夏は恐ろしい季節のようだね。
オヒサマによる悪い影響。
オヒサマは恒星だったはずだが（あっているだろうか）、それが近づくことで、皆は地下に潜るんだね。
あのビル群が損壊するほどの大きな影響を受けていないことを喜ぶべきなのだろうか。
【秘】 旅行者 パウゼ > 新米修復家 キュー
そう、私は都の中央広場に居たところ、爆破テロの爆風で吹き飛ばされて、段差を落ちてしまったんだ。
その段差で爆発による飛散物を避ける事はできたんだが、全身を打ってぼろぼろだ。
お見舞いの言葉をありがとう。
そうだね、早く元気になって…
いや、後のことはあとで考えようと思う。
君は身体の調子はどうだい？
頗る健康であれば問題ないが、なにせ春の次は夏。
君も「悪い影響」をに気を付けて過ごしてほしい。
パウゼ
【秘】 払暁 アカツキ > アルレシャ
[少女は欲しいと思ったものは手に入った。
……自由以外なら、なんでも。
それ故に使う便せんも様々。
青空のような色の紙に白い鳥が飛ぶものが
お気に入りだったから、今回もその便箋を選んで。]
【秘】 払暁 アカツキ > アルレシャ
アルレシャさんへ
お久しぶりですね。
もしかしたら、アルレシャさんは忙しかったりしたのかな。
そうだとしたら、心配な気持ちもあるけれど……
お返事が返って来たことが嬉しいです。
健康…って意味なら元気です。
アルレシャさんはどうでしょう？元気だといいな。
あの時は見ず知らずの人に
愚痴を送ったのと同じになっちゃって。
今思い返しても、ちょっと恥ずかしいな。
【秘】 払暁 アカツキ > アルレシャ
前にもお話した通り、今も窮屈な生活のままです。
私はこの星の”希望”なんだって。
希望って、いい言葉なはずなのに。
私にとってはそうは聞こえないなんて。
変なお話ですよね。
【秘】 払暁 アカツキ > アルレシャ
ロサのお話、よく覚えてます。
最初に聞いた時、素敵だなって思ったし
多分あの時のお返事にもそう書いたと思います。
神様から貰える幸せが満ちているという事は
アルレシャさんの元にもちゃんと届いてる？
なんてことも聞いたりしましたね。
私のお手紙もちゃんと届いてるといいな。
郵送事故が不安なの、私も同じです。
届くように、夜空のお星さまに祈っていようと思います。
……もし、私からの手紙が来なくなってしまったら。
その時は、……郵送事故ではないかもしれません。
お手紙を書くな、って言われる日が来ないとは限らないから。
なーんて、そんな日は来ないことも一緒に祈らないとですね。
【秘】 払暁 アカツキ > アルレシャ
争いが起こらなかった星……ハーツとは違いますね。
ハーツは小さいとはいえ争いが起こってしまったから、
心が分かる薬を作り出した星だから。
星屑色のダイヤモンド……見られるなら見てみたいな。
もしかしたらロサでは
そのダイヤで指輪を作ったりするんでしょうか？
【秘】 払暁 アカツキ > アルレシャ
花粉を吸ったら声が変わる……
そんな面白いお花がロサには咲いているんですね！
例えば、その花粉を集めて敢えて吸ったら
悪戯に使えちゃったりするかな…なんて
考えてしまうの、ちょっと良くないかな？
こっちの面白い植物と言えば……
食べると毒になるけれど、患部に当てると薬になる
そんなお花があるんだって。不思議だなぁって思います。
こっちでは薬づくりが有名だから。
薬になる植物は色々育てられていて……。
中には”幸せになれる薬”もあるって聞いたけれど
大人に聞いてみたら苦い顔されちゃいました。
【秘】 払暁 アカツキ > アルレシャ
アルレシャさんの所も、変わりないみたいですね。
争いとか、危険なことが起こっていないのは
いいことだな、って思います。
あなたに届いてしまった手紙の人は
元は何処の星にいたのか分からないけれど
押し付けられる幸せが苦しくて、逃げたんだと。
そう言っていました。
アルレシャさんのお話と、その人のお話。
二つを聞いて、幸せって何だろうって考えてみました。
起こった物事を幸福だと受け止めて、
それで心穏やかに過ごすことが出来るのなら
きっとそれも幸せの形の一つ。
でも……。
【秘】 払暁 アカツキ > アルレシャ
もし、私が今の生活が幸せなんだよって
誰かに諭されたとしたら、私は信じられないと思います。
私の思う幸せは、自由に何処までも歩いて行けること。
届かない何かに手を伸ばすだけで終わらないままに。
欲しい物を欲しいと言えないことを
幸せ、とは言えないんじゃないかなぁって。
アルレシャさんにとっての幸せも知りたいな。
次のお返事じゃなくても。
またいつか、聞けたら嬉しいです。
アカツキより
【秘】 払暁 アカツキ > 新米修復家 キュー
キューさんへ
こんにちは、お返事ありがとうございます！
チノホシ、って場所に住んでいるんですね。
沢山の人が遊びに来る……
こっちではほとんど旅人は来ないから
羨ましいなって思います。
この星の人は外へと出ていくこともあるけれど
心が分かるってお話はしないんじゃないかな。
不気味がられてしまうし、分かることの怖さを知っているみたいだから。……これは私の想像なんですけどね。
四季のある星は変化が美しいって
私はそう聞いていたけれど……
キューさんのいる星はそうではないんですね。
……昔はそうだったのに変わってしまうなんて
その時の光景が見られなくて残念……
私がチノホシに居たらそう思ってしまいそう。
キューさんはそう思ったこと、ありますか？
【秘】 払暁 アカツキ > 新米修復家 キュー
ハーツでは、四季はないけれど
自然は豊かなんじゃないかな。
薬づくりが盛んなこの星では植物を大切に育てているし
品種改良？というものをして新しい植物を作ったり。
色々な植物を見る機会は多いんですよ。
動物は……私の住んでいる場所は
野生の動物が住める場所はないけれど
彼らが滅ばないように、って
動物たちが住む場所を壊さないようにしているから。
こんな光景は、チノホシでは珍しいんですね。
面白いな、当たり前だと思っていることでも
星々によって全然違うこと。
【秘】 払暁 アカツキ > 新米修復家 キュー
街並みが有名……綺麗な建物があったりするのかな。
綺麗なだけじゃなくて……すごく高かったり
キラキラ眩しいくらいの街並みとか……
私の想像もつかない世界がそこにはあるんだろうな。
楽しそう、いつか行けるなら行ってみたいな。
自動化されたものばかり……
チノホシはすごく技術力のある星なんですね。
ハーツは薬づくりが盛んだってさっきも書いたけれど
全部を機械に委ねられない、って大人が言ってたから
きっとチノホシほど自動化、は出来てないんだろうな。
【秘】 払暁 アカツキ > 新米修復家 キュー
キューさんもカラクリのこと
大切にしているのかな。
それとも自動化されたものが快適でいいって思ったりする？
どっちの考え方もいいと私は思うけれど……
便利なものって便利なだけでは
終わらないことがあったりして……なんて。
チノホシではそんなことないかな？
沢山教えてくれてありがとう！
アカツキより
【秘】 払暁 アカツキ > 演者 シェルタン
フルトさんへ
こんにちは、お返事ありがとうございます！
正式名称、だと数字で呼ぶんでしたっけ。
一瞬、何処だろうってピンとこなかったのは内緒です。
ヘイヴンって星なら聞いたことがあります。
色んな人が集まる星だって。
もし、新しい暮らしをしたいと望んだら
私も受け入れてもらえるのかなぁ、なんて。
行くことは残念ながら叶わないんですけど。
昼間でも暗いってことは時間を確認するときは
時計に頼ることになるんでしょうか。
それとも暗いだけで空を見上げれば
昼と夜の違いがあるのかな。
違いが分からなかったらいつ寝て起きるのか
わかんなくなっちゃわないかな、なんて思ったりします。
【秘】 払暁 アカツキ > 演者 シェルタン
作物の収穫は機械に頼らないんですね。
狩りや採集もするってことは……
ヘイヴンの人たちはきっと体力があるんだろうなぁ。
それとも、その生活をしてるおかげで体力がつくのかも？
……なんて取り留めなく書いちゃいましたね。
他の星の生活を、想像するのが好きなんです。
すごい乗り物の話も、聞くことが出来たら
もちろんうれしいけれど、私が聞きたいのは
ここじゃない別の場所の話なんです。
そして、そこで暮らす人たちの生活。
だから、フルトさんのお話、凄く楽しいです。
（車に翼がついていて……それが飛ぶ…
そんな乗り物もあるんですね。
速いって聞くと怖さもあるけど乗ってみたいな。
鳥みたいな気持ちになれるかもしれないですから！）
【秘】 払暁 アカツキ > 演者 シェルタン
トカゲに乗って移動できないかって言いだした人
きっとお茶目なんですね。思わず笑っちゃいました。
でも、例えば、動物と心を通わせる、
そんなことが出来たら迷惑にならなかったり…したらいいですよね。
ヘイヴンは自然豊かなだけじゃなくて
温かい人が多い星なんですね。
価値観の違い、考え方の違い。
そこから生まれるのが争いではなく
お互いを思いやる心なんだとしたら
ヘイヴンにいる人たちは素敵な人ばかりなんだろうな、
私はそう思います。
フルトさんを困らせたくないので勿論、
詳しく聞かせて、とは言いません。
このお手紙が初めてのやり取りで
あまりあなたのことを知らない。
そんな私がこんなことを書くのは変かもしれないけれど…
【秘】 払暁 アカツキ > 演者 シェルタン
いまのフルトさんは幸せ、なんだろうな、
居場所に恵まれていてよかったな。
そう思っちゃうんです。
居場所がないって、苦しいから。
フルトさんにとってヘイヴンがこれからも
あたたかな場所であったらいいな。
【秘】 払暁 アカツキ > 演者 シェルタン
ハーツについてはやっぱり……
そんな噂は広まってしまっているんですね。
心を読めるのはこの星の民同士の話。
そして……
いつかハーツは心を読めない星に戻るかもしれない。
これが私が知っていることです。
もし、怖がっている人がいたら
そっと教えてもらえたら嬉しいな、って思います。
勿論、これはわがままなお願いだから
気にしなくてもいいんです。
フルトさんが、私達の星を不気味だって言わないって。
その気持ちが嬉しくて。
ちょっと甘えたくなってしまったみたい。
【秘】 払暁 アカツキ > 演者 シェルタン
心を読む力は、必要だと思われていたんです。
でも今は……やっぱり要らないって
そう思ってる人がほとんどみたい。
私は……必要なんだって思っていたい。
前はそう思ってたはずなのにいつの間にか忘れてた。
……信じ切れなくて忘れようって思ってしまったんです。
でも、フルトさんの言葉を見て。
少し信じていたくなりました。
死んだ人を死んだまま操るウイルス……？ですか。
私は初めて聞きました。
死んだ人を生き返らせることが出来る生き物がいる、
とは聞いたことがあるんですけど……。
【秘】 払暁 アカツキ > 演者 シェルタン
知らないことを怖がるのが人だから。
きっと誤解を誤解のままにしている人は
その生き物の本当の姿を知らないんだろうな。
もし、私の周りで怖がっている人がいたら。
誤解なんだよって伝えてみたいなって思います。
読みにくい箇所なんて全くなかったです！
嬉しくて、楽しくて、何度も読み返しました。
このお返事、ちゃんと届くといいな。
フルトさんの予想通り、わたしは他の星の話も
こうしてお手紙で聞いています。
たくさんお話を聞けたのでヘイヴンの話も仲間入りです！
素敵な星と素敵な人たちの事、
たくさん話していこうと思います。
アカツキより
【秘】 星の停滞 ステラ > 旅行者 パウゼ
こんにちは。
お手紙が届いた時は驚き、思わず筆を取ってしまいました。
少しお時間はかかってしまいますが、早めにお手紙が届くよう願っています。
さて、こちらの星は
[ そんな文章と共に綴られたのは、少年と喋る猫の小さな冒険。
星と星を移動することはないが、様々な場所を巡り、感情豊かに楽しむ少年と、そんな少年をからかいながらも助ける猫、そして少々の悪者。
手紙四枚ほどまで続いたその冒険劇は、少年が母親に冒険の話をしている描写で終わりを迎えた。 ]
【秘】 星の停滞 ステラ > 旅行者 パウゼ
さて、長々と書きましたがもちろんフィクションです。
少しでも楽しんでいただければと思い書いてみました。
改めて、私の現在いる星は自然豊かな別荘地として密かに人気のある星です。
一時期は開発によって自然が破壊されてしまうこともありましたが、現在ではその美しい姿を取り戻した素敵な星です。
是非一度観光しに来ることをおすすめします。
旅好きな女性より
【秘】 青年 シャト > 次期当主 レグルス
[白色の封筒に便箋。宛先は惑星アッサの座標のみ。赤い封蝋にはアルカディアに原生する植物を模した刻印がされている。
その手紙が誰かに届くのか、届かないのかは分からない。]
【秘】 青年 シャト > 次期当主 レグルス
こんにちは。この手紙は、ちゃんと惑星アッサに、そこに住む人に届くでしょうか？
もし誰かに届いているのなら、そしてこの手紙を読んでくれているなら、とても嬉しく思います。
僕はアルカディアで生まれ、統一された価値観、統一された文化の中で育ってきました。
様々な人が集い、異星間の文化交流地となっているアッサにずっと憧れを抱いて、今まで生きてきました。
勿論、現地の人たちにも大変なことや苦労もあるでしょう。それでも僕は、様々な価値観が存在するからこその支えあいや理解が尊いものだと感じるのです。
いつか訪れてみたいと、度々考えてきましたし、近い内に僕はその考えを実現して、星の駅まで旅をしてみたいと思います。
その前に現地の人が、アッサをどう思っているのか知りたくて、お手紙を差し上げました。
貴方の思うアッサとはどういう星ですか？
もしよければ、教えていただけると嬉しいです。
シャトより。
【秘】 新米修復家 キュー > 演者 シェルタン
[宛先には惑星FO7402-1938：文学資料館 フルト
前回と違い、しっかりとそう記されていた。]
【秘】 新米修復家 キュー > 演者 シェルタン
ｰ from チノホシのキュー ｰ
シェルタン
手紙、届いたんだね
君からこうして、返事をもらえる日が来るなんて、すごく嬉しい
確かに、他にも送ってはいたけど
みんな、他の星の宛先を全然知らなくて
そのままの、書いてない手紙を送ってたから、届かなかったんじゃないかな
今回からはちゃんと教えてもらった通りに宛先を書くよ
僕の方は、まだ宇宙に出れる目処は立ってないんだけど
とりあえず申請は出したから
あとは、それが受理されるかどうかってとこかな
とはいえ、他の星に行って、そこでなにがあるか、なんてわからないから
いまからでも心構えくらいはしておかないとね
【秘】 新米修復家 キュー > 演者 シェルタン
シェルタンは、いろいろ大変だったみたいだね
それでも居心地のいい居場所があって、温かい人たちに囲まれているみたいで、ちょっと安心したよ
君が平和に過ごせる日々が続いてほしい
もちろん、星から出ても問題ないってなったら、もともとの生活も戻ってきたらいいなって思うけどね
いつか、どこかの星で、またシェルタンが一座の一員として舞台に立てたら
そのときは、ぜひ見に行きたいな
【秘】 新米修復家 キュー > 演者 シェルタン
ヘイヴンのことは、誰にも話さないようにするよ
でも、もしよかったらだけど
僕が宇宙に行くことが叶ったら、いつかヘイヴンを訪れてみてもいいかな？
豊かな土地に生きるもの、君を受け入れてくれた場所、いろいろ見てみたいんだ。
こういう提案だけでも、しておきたいなと思って
返事は急いでないから、君に余裕があるときにでも送ってくれたら
君がこれからも元気で、日々を過ごせますように
【秘】 演者 シェルタン > アルレシャ
[その手紙に使われている封筒や便箋の材質も、宛名書きも、前回の手紙と同じ。
封筒の裏の差出人の記載は次の通り。
惑星FO7402-1938
文学資料館
■■■■■■ フルト
「フルト」の前の箇所は、その箇所の紙が半ば擦り切れる程に、黒いインクで強く塗り潰されている。]
【秘】 演者 シェルタン > アルレシャ
アルレシャ
返信、ありがとう。手紙が無事に届いて良かった。
アルレシャが変わりなく過ごせていると聞いて、安心してる。
僕も元気にやっているよ。本当に、心配かけさせてごめん。
思えばロサを出てからも、本当に色々あった。
例の警察沙汰だって、今となっては良い笑い話かな。
あの時は本当、そんな面白い話じゃないだろ！って書き殴ったりして、すまなかった。
行列の女の子たちに絡まれただの何だの僕のほうから書いておいて、こんな話でアルレシャをやきもきさせてるかも、って推し量ることもできていなかったんだから。
【秘】 演者 シェルタン > アルレシャ
僕周りのトラブルについて深入りしないでくれて、ありがとう。
……なんて書いている僕からこんな話を切り出すのも、筋が通らないとは思うんだけれど。
「なんでもない」なんて、ごまかさないでほしいくていい。
御役目を授かっている者として他の人たち以上に笑顔でいないといけない、とは解ってる心算だけれど。
僕の夢に渡ってきたあの時だって、あなたは笑顔でいた、けれど。
それでも。
笑えやしない気持ちの一つや二つ、僕に書いてくれていい。
命なき手紙の文字にまで、神さまが御目を下さることもないだろ？
【秘】 演者 シェルタン > アルレシャ
正直に言うと、アルレシャを夢に見たあの時、僕はもっと厳しく断罪されるものと思っていた。
神さまを冒涜し裏切っている、って自覚はあったから。
忠告を届けに来たのがまさかあなただとまでは思っていなかったけれど、それでも、あの時あなたに突き放される覚悟は決めていた。心算だ。
あなたは笑ったまま、それでも、僕の幸せを祈ってくれた。
そして今も、僕の選んだ道を間違いとは言えないなんていう。
僕の思う未来、僕自身が描いた幸福を祈る、だなんていう。
僕の描いた幸福は、自分を偽らずに生きていける人生ってだけじゃない。
いや、寧ろそう願うからこそ、ここでちゃんと伝えたい。
【秘】 演者 シェルタン > アルレシャ
僕は、アルレシャに会いたい。
鳥籠のロサも最果てのヘイヴンも越えて、あなたに会いたい。
今のままじゃお互いに難しいっていうのは解っている。解っているけれど。
だから、僕の傍に誰かがいてくれるように、なんて言わなくたってっていい。
僕にとって大切な人、大事な人は、確かにあなただけじゃない。僕を拾ってくれた一座も、支えてくれた人々も、今そばで受け入れてくれている人々もいる。姉さんだって……もう、会えない、けれど。
それでも、僕が シェルタンが 僕が一番求めているのはあなたなんだって気付かされている。
さいごの時だって、僕の目に映っていたのはあなただった。
来年もまたここであの花を見ようって笑い合ってた、その時のあなたの、曇りのない笑顔だった。
思えばロサにいたあの頃は、僕が苦しい時、あなたがいつも見守ってくれていたような気がする。そしてあなたが僕の隣に来てくれた時、あなたは少し塞いで見えたことも多かったかな。
僕らは互いに痛みを癒していた……なんていう表現は大げさかもしれない、けれど。
神さまのもとを離れた今、あの頃の自分をそんな風に振り返ってもいる。
【秘】 演者 シェルタン > アルレシャ
酷い文章になってるって自覚はあるけれど、許してほしい。
「貴方となら一緒に不幸になっても」なんて想像を聞かされた僕からの、拙い意地悪だと思ってほしい。
アルレシャの立場もあるから、強くは言えないけれど。
それでも、僕の願いが、あなたに届きますように。
シェルタン
[手紙の上には、確りとした筆致で打ち消し線を引いている箇所がいくつかある。
けれどもそのいずれも、十分には文字を打ち消せていなかった。]
【秘】 払暁 アカツキ > 星の停滞 ステラ
[青い空に白い鳥が飛ぶような、爽やかな便せん。
幼い字は前と同じまま、
今回は急いで書いたかのような文字。]
【秘】 払暁 アカツキ > 星の停滞 ステラ
ルクス・プエルさんへ
アカツキです。
ファンレターにお返事が来るって思ってなくて
とってもびっくりしました！
そして嬉しかった。あの手紙は私の宝物です。
質問については……答えにくかったでしょうか、
それでも答えを聞くことが出来て嬉しいです。
ショウにとって幸せの記憶が眠る星……
寂れてしまっても、その記憶まで風化することはない…
そういうことだとしたら、答えにもすごく納得できるんです。
【秘】 払暁 アカツキ > 星の停滞 ステラ
同時に、ショウが羨ましくもあります。
私は自分のいる星をそうは思えないから。
私のいる星はハーツ。
心が分かる星、と呼ばれることもある星です。
星の民は言葉を発しなくても心が分かる。
そして、そんな星に一人だけ……
言葉にならない心は分からない子がいるんです。
その子は確かに大切にされてきたけれど
自由がなくて、日々を退屈だなと思っていました。
……私のいる星はこんな感じです。
どうだろう、あまり面白い話ではないかもしれないですね。
【秘】 払暁 アカツキ > 星の停滞 ステラ
こんなお話でよければ
またいつでも……って言いたいんですが
きっと私はもう手紙を出すことが出来ません。
だからせめて、このお手紙が
きちんと届くように祈っています。
アカツキより
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