先生 リトリコ

—広場—


［二人で居る中での、頑張ってね という、小さくも可愛らしい声。
子どもたちが背を向けて去っていくのを見詰めるその頬はまた更に赤くなっていた。きゅうと目を閉じ、その熱を逃さんと頬へと手をぱたぱたと扇いでみる。その様を、彼が見ていることなんて、気付きもしなかった。>>210

　こんなにも優しく、寄り添ってくれる太陽のような方に私なんかが釣り合うなんてない。
　でも、そんな彼が優しい眼差しを向ける先が、好意を向ける先が誰か。
　彼が一生懸命作った首飾りの行先が誰かを考える度に、
　ちくり、と胸を刺すような痛みを覚えてしまう。 ］
　

先生 リトリコ

［—————私だったらいいのに、なんて。
　そんな大層な願いがこうして話す度に膨らんでいくのに、目を逸らして。］

　

先生 リトリコ

—屋台周辺—


　この村に来て最初、緊張していたときに��勇気のでる飴�≠�頂いて。
　そこから、その飴がお気に入りなんです。
　優しい甘さが、力をくれるようで……

　ええ。私も験担ぎにも食べたりしますよ。


［『暁亭』の焼餅の話に大きく頷きつつ、甘味の話で盛り上がっていく。>>211好みや自身の話題に寄り添って、話を引き出してくれる彼の優しさが温かくて、だからこそつい 口が滑ってしまうのだ。>>212
将来の不安なんて、口にしたことなど無く 自分の中に閉じ込めていたのに。こんな暗い、現実的な話をしたいわけでなく。彼と、楽しい話題で 一緒に居たいのに。］

先生 リトリコ

　……そうですね。
　確かに、悪いことはしてない……つもりですが。

　でも悪いことをしなくても、急に変わってしまうこともあるのですよ。
　環境も、人間関係も、何もかも。

　……。
　ごめんなさい、そんな顔をさせたいわけでは無かったんです。


［どうすればいいのか分からない、と。正に顔に書いてあるような複雑な表情に目を細め その陰りを吹き飛ばせるように、彼の頭をそうと優しく撫でる。喧嘩をした後 仲直りをしようとするも中々に声を掛けられない子どもたちへと、普段からそうするように、無意識に。 ］

先生 リトリコ

　……。


［続く言葉に、手が止まる。
　いてくれたら嬉しい、とそう話す彼の言葉がじわりと心を満たしていく、そんな錯覚に。］


　アロイスさんは、もし。
　もし私が先生じゃなかったとしても、此処にいて嬉しいと思ってくださいますか。


［先生を辞めるわけでもない。辞めたいわけでもない。でも、昔と同じように。————貴族だった家が、１日で全てを失ったのと同じように。肩書や身分が無くても、この場所に居てもいいのだろうかと。��先生�≠ﾆそう呼ぶ彼に、つい尋ねてしまった。］

先生 リトリコ

［それからどんな話をしたのだろう。二人でピタを持ち寄り 丁度良い場所へと赴いて 席に座る。>>213手元のピタを見ながら、どのように食べようかだなんて 思案していれば隣からの視線に思わず横を向いた。
　其処には、何時もよりも近くに彼の端正な顔があって 綺麗な真紅の瞳が此方を見ている。ぴくりと、肩が跳ねた。 ］

　
　……何か、顔についていましたか。


［なんて笑みを作って、問うてみる。この動揺が、胸の高鳴りがどうか彼に届きませんようにと願いながら、も。
　続く彼の言葉の、そのしどろもどろな様に、———嗚呼 もしかしたら一緒だったかもなんて。
　彼は首飾りを、私は……、その。と、何に動揺していたかは違っていたかもしれないけども、それでも。
　作り笑いを浮かべる少しばかり緊張していた表情筋が、緩んでいくのが分かった。 ］

先生 リトリコ

　ふふ、首飾りは逃げませんから、大丈夫ですよ。

　食べてからにしましょう。
　……これ、美味しそうですね。いただきます。


［と、口元へと持っていく 控えめにピタを齧ってみる。肉の柔さと野菜の新鮮さが程よく馴染んでて、美味しさが口の中に広がっていく。その間、談笑していたのだろうか。それとも。半分食べたところで、食べ終わりきる彼の姿に 食事に専念しようと もし話していたのなら 口数は減っただろう。*］

菓子屋 コウセツ

[ いざ彼女に想いを伝える時、どんな言葉で伝えよう。

　流行りの詩でも覚えようか、
　それとも花束でも持っていこうか。
　昨晩散々悩んだそれは、結局答えなんて出なかった。

　なんの準備もしないままに迎えた今日。
　
　彼女に伝える言葉は、
　ただただ胸の中の想いを伝えただけのシンプルなもの。
　今まで彼女に考えていたこと、
　私から彼女への気持ちを伝えるのに、
　台本なんて必要なかった。
　
　秘密の恋。
　
　君の笑顔を守るのが、君の涙を拭うのが
　他の誰でもない私であればいいと願う、秘めた想い。 ]

菓子屋 コウセツ

[ 彼女が今日この想いに応えてくれる事はなくとも、
　その想いだけは伝えられればいいと、
　此処に来る前から考えていた。 ]
　
　
　……ラヴ？
　
[ 静かに私の言葉を聞いてくれていたラヴが、
　一瞬黙り込む。
　困らせただろうかと名を呼べば、
　彼女の瞳から綺麗な雫がぽろぽろと溢れてきて
　驚いたようにその顔に釘付けになった。>>204
　
　けれど一拍遅れて届いた言葉は、
　それが悲しみの涙ではないと私に教えてくれて。 ]

菓子屋 コウセツ

[ 涙に濡れた彼女の瞳と目が合う。
　
　太陽の日差しを受けた涙の跡がきらきら光り、
　まるで宝石のように彼女を彩っていた。>>204
　
　”好き”
　
　彼女から返ってきたその言葉に、>>206
　彼女の声以外の周りの音が吹き飛んだような心地がした。 ]

菓子屋 コウセツ

　
　ああ…
　だめだな……こんな時なんて言えばいいのか、
　咄嗟にいい言葉が思いつかない…。
　
[ ドッと湧き上がるような幸福な想い。
　彼女以外の全てが目に入らなくて、
　ずっと前から好きだった、なんて言葉が
　舞い上がってしまいそうなほどに胸に染み渡る。
　
　重ねた彼女の手をぎゅう、と握る。
　愛しさでどうにかなってしまいそうで、
　ただ嬉しそうに目を細めて彼女を見た。 ]

菓子屋 コウセツ

[ 好きだと言ってくれるその言葉は、
　嘘偽りない本音なのだろう。
　
　けれど、彼女の中にどこか複雑な想いがあったのも
　きっと本当のこと。
　
　彼女が恋なんてしないと思っていた事も、
　今まで聞かせてもらえなかった弱音も。
　
　全て知らないからこそ、私は強く頷いた。>>208 ]

菓子屋 コウセツ

　
　聞かせて欲しい。
　君の話を。
　
　君のことなら何でも知りたいよ。
　
[ 察しの悪い私のことだ。
　教えてもらわなければ気付けないことも沢山あるだろう。
　
　だから知りたい。
　知って、君を支えられる男でありたい。>>208
　
　メニューボードを手に笑いかけてくれるラヴの肩に
　そっと手を乗せる。
　そのまま彼女の体を抱き寄せれば、
　彼女の頬に顔を寄せた。 ]

菓子屋 コウセツ

[ 体を離してから、
　彼女の手にあるメニューボードに視線を落とす。 ]
　
　そうだな…
　この花の乗ったケーキなんてどうだ？
　クリームの上には本物の花が乗っているらしいし…
　
　あとこれも気になるな。
　話には聞いたことがあるんだが、
　綺麗な青い茶…ブルーマロウというんだったか。
　それがソーダになっているらしい。
　
[ 彼女の希望はあるだろうかと、その顔を伺って。
　
　メニューが決まったなら、
　店員をベルで呼んで注文してしまおうか。 ]

菓子屋 コウセツ

[ 運ばれてきたケーキもソーダも、
　君と二人で分け合って食べられたらいい。
　
　彼女の話がもしも苦いものならば、
　その甘さで和らげるように。** ]

呪術師 ライト

広場

［誰しもそうなのだろうけれど、自分の中ではシュクルが世界で一番であるからこそ>>215警戒してしまう。
例えシュクルにその気がなくとも、だってこんなにも可愛いのに声をかけられないわけがないだろうと思考に堕ちている。
それを伝えて笑われるとやはり小さく唸りながらも赤くなってしまうのだけれど。

シュクルに似合いそうな髪飾りは銀製のものでフジの花が咲いている様を模していた。
どちらかと言えば自分がシュクルに贈りたい意味合いがあり『恋に酔う』や『決して離れない』と――聞かれたらそれこそ真っ赤になりながら答えただろう。

>>216そんな恐ろしく嬉しいことを言ってくれるのだ。
隣にいるときはいつも可愛いから自分の影響で可愛くなっていることには気づいていなかった］