呪術師 ライト

呪術師の家前

［するりと賑やかな祭から抜け出していこう。
手を繋いだままにいつもの帰り道を一緒に進む。
いつも別れる場所でも別れることなくシュクルの歩調に合わせて赤毛熊の毛皮を被った骨合成獣が軒下からこちらを見ている家の前まで連れ去ってくる。

自分の家は中心からはほど遠く賑やかな声も遠くのものだ。
この時間なら誰もいないだろう場所で、扉の前で一度立ち止まると繋いだ手を中心にターンをしてシュクルと向き合った］


えと……それで、なんだけど。
話なら誰にでもしてもいいし、見せられるんだけど。
準備してるところは……。


［少しだけ言い淀む。
これを理由にしてはいけないなと小さく首を横に振るともう一方の手を取り両手を繋いだ］

呪術師 ライト

ぼくはね、シュクルのことが好きだよ。
だからこれから先の人生もずっと一緒に居てほしい。
ぼくと家族になってください。


［繋いでいる両手を合わせるとウェストポーチから蓋つきの木箱を取り出してシュクルの手の上に乗せる。
木箱の蓋を開けば銀色の鎖がついた水晶のように透明な宝石がついた首飾りが入っている。
水晶のように透明な宝石は暗がりの中で星のように煌いていたけれど陽の中に出ると少しずつ煌きが消えていく］


星の輝きがずっとシュクルを照らしてくれますように。
そう願いながら……お呪いを重ねて作ったんだ。
世界に一つだけしかない星光（ぼく）の首飾り、かな。

先の返事に、これを受け取ってほしい。


［あの日、冠座のティアラに憧れていたシュクルに。
星の輝きを宿す首飾りを贈りたい**］

菓子屋 コウセツ

[ 私の甘味と彼女の軽食、2人分の注文を乗せたトレーが
　暫くして私達の眼の前に運ばれてくる。>>244
　
　デザートの華やかさに負けないほど、
　春野菜と卵のサンドイッチも目に楽しいメニューだ。
　
　食べられる花とやらに興味を向けながら、
　彼女と二人軽い食事を口にしていく。
　
　少しずつ語られるラヴの話に、
　黙って耳を傾けながら。
　
　時々、そうか。と相づちを打っては
　今まで知り得なかった彼女の心の内を知っていった。
　
　幸せだった家庭も、簡単に壊れてしまうと知った事。
　一人になってしまったあの日の彼女の辛さと、
　信じないと決めた恋への想い。>>245 ]

菓子屋 コウセツ

[ 失うことを知ってるから、関係を変えるのが怖くなる。
　今当たり前に居る存在を、また失うのが怖くなる。
　
　私が抱えていた臆病さとはまた違う、
　彼女のそれは深刻なものだろう。 ]
　
　…………。
　
[ 二年前のあの日。
　消えていなくなってしまいそうに思えた彼女を思い出す。
　
　私が手を伸ばさなかったら、
　あのまま階段の下まで真っ逆さまに
　落ちてしまっていたかもしれない彼女のことを。
　
　耐えられない。
　耐えたくもない、そんな姿を。 ]

菓子屋 コウセツ

[ 長く、息を吐く。

　決して軽い話じゃない。
　苦くて、切なくて、そして彼女の望みが見える、
　彼女を形作ってきた想いの話。
　
　ゆっくりと瞬くと、
　私を信じたいと口にしてくれた彼女の肩を、
　再びそっと抱き寄せた。
　
　今度は何をするわけでもなく、
　ただ彼女の存在を感じるために。 ]
　
　私は……
　君の一人で立てる強さにばかり目をやって…
　
　君が一人で立たねばならない寂しさに、
　目を向けてやれていなかったな。
　
[ 自分の鈍さに、やりきれない思いで瞼を閉じた。 ]

菓子屋 コウセツ

[ 前に進みたいと私を選んでくれたラヴェーナ。
　彼女に根付いた不安の種を取り除く為ならば、
　私は──…… ]
　
　話してくれてありがとう。
　
　それから……　信じようとしてくれて、ありがとう。
　
[ 彼女にはじめに告げるのは、
　そんな言葉だった。>>255
　
　目を開く。
　柔らかく微笑むと、肩に回していた手で彼女の頬に触れた。]

菓子屋 コウセツ

　
　私はな、ラヴ。
　君を見て一番に思っていた事は…
　君に幸せになって欲しい、という事だったんだ。
　
[ 柔らかな頬を優しく撫でる。
　彼女の気持ちを聞いたからこそ告げたい言葉を、
　大切に心の引き出しから取り出そう。 ]
　
　君に笑って欲しい。
　君に元気で居て欲しい。
　君に……側に居て欲しい。
　
　全て、君が幸せであるのを身近で見たいと思っていたからだ。
　
　君が幸せになりたいと思うのと同じくらい、
　私は君を幸せにしたい。
　

菓子屋 コウセツ

　
　それにな。私は…居なくならないよ。
　この身に何かあったら話は別だが…
　そんな事でもない限り、少なくとも心は君から移る事はない。
　
　それだけは保証するよ。

[ そう、絶対なんてない。
　けれど私から君に向ける気持ちだけは、
　ずっと変わらない絶対のものだと
　今君に伝えてしまいたい。 ]
　
　…なんて、未来を保証するような真似は卑怯だと思うが…
　
　私はな、その…　ものすごく不器用なのだ。
　
[ ふ、と笑って
　一口ソーダを口にした。 ]

菓子屋 コウセツ

　
　昔から家族にも呆れられるくらい、
　一つのことに夢中になったらそれしか見えないタチでな。
　
　自分の故郷の話に焦がれてからは、
　それにばかり夢中になって実際に何日もかけて赴いて…
　大人になって仕事にまでしてしまった。
　
　そんな私が、初めて君という女性に恋をしたのだ。
　…厄介だろう？
　こうなってしまってはもう、君以外目に入らないし…
　心も移らなければ、冷める事も考えにくい。
　
[ きっと、想いを伝えられて尚
　彼女の心には不安が巣食っているだろうから。
　
　それを少しでも拭えたらいいと、
　私の厄介さを笑って口にする。 ]

菓子屋 コウセツ

　
　だが…そうだな
　君も、それなら安心だとすぐには思えないだろうし…
　
　信じてもらえるまで、
　いっそ君を困らせてしまうくらい
　毎日君に好きだといいに行くのもいいな。
　
[ そんな事を話しながらふと、
　自分の上着のポケットに手をいれる。
　取り出したのは、何かを包んだ小さな布。
　
　彼女の手を取ると、
　その包を握らせるように掌の上に置いた。 ]

菓子屋 コウセツ

　
　これは、そのはじめの一歩だ。
　幸せの保証ではないけれど……
　受け取ってくれるだろうか。
　
[ 包の中に入っているのは、
　銀のチェーンの先に黄色のリボンを模した飾りと
　雫型の銀飾りがついた、
　幸せになって欲しい君へと手ずから作った手製の首飾り。
　
　ライトにも感謝しなければなるまい。
　それこそ彼の言う通り、
　ラヴを幸せにしたいから贈るものなのだから。**]

飴職人 シュクル

広場

[お互い似たようなことを思ってたんだねって、笑い話にできるのは昨日ライトが勇気を出してくれたからで。

ずっと飴という形で勇気を配ってたはずなのに。
勇気に一番助けてもらった。

>>262何をしても可愛いと言われている気がしてきて、なんでも褒められてしまったらライトに褒めてもらえないと生きていけなくなっちゃいそう。

ライトが髪飾りを買うのを隣で見守りながら、今度は私もライトの為に何か買ってプレゼントしたいなって思いが強くなる。
喜んでもらうにはどうしたらいいかなって、今度フローラとラヴに相談しよう。

二人は絶対私より得意なはずだもん。]

飴職人 シュクル

[何気なく積み上げていく想い出。
なんでもなかったクリームの色でも、今は柔らかな好きの積み重ね。

相手の好きなものを好きになっていくのも幸せだなって。
感じているのはライトも一緒なのかな。

おしとやかな女性はこんなに食欲全開で甘いものを食べたりしないと思うから、むしろ引かれないかとすら思うのに。
そこを好きと言われたら驚いて、でも嬉しいなってもじもじしちゃう。

ライトが好きならいっかって。
すぐにライトに甘えちゃってるのが自分でも分かる。
私って本当にライトのこと信頼してるんだなって。
一緒にいればいるほど感じられた。]**

飴職人 シュクル

ひよこ菓子を食べ終わって

そうだったの？
最初からお呪いだって言われてたわけじゃないんだ…

[>>264ジジからライトへ、ライトから私へ。
生活の知恵のようなものを教えてもらったことはいくつかあったけど。あれも全てお呪いだったなんて、今まで知りもしなくて。

>>265ライトの言葉にうんと頷いて。]

お呪いだってジジやライトが時間をかけてやってくれたたことのはずだから。
私に見えるお呪いも、そうなのかなって。

[ライトの頑張りも、ジジとライトの苦労も。
いつも助けてもらった側として知るべきだとも思っていたから。
すごいって一言で終わらせちゃうのは、寂しい。

>>265だって小さな頃から一緒だったライトが、私の知らない時間の中で呪術師として頑張っていたなら、頑張ったね、すごいねって。言ってあげたい。]

飴職人 シュクル

[ライトの眉が下がるとちょっぴり不安になる。
聞いたらだめだったかなって。

>>266でも、そうではないみたいで。
もちろんと強く頷くとライトの手に引かれながら、あの呪術師の家へと歩き出した。

私から言い出したことなのになんだか緊張してしまった。]

飴職人 シュクル

呪術師の家

[>>267賑やかな広場を抜けて、向かう道は私もよく知っている。ライトに守り神なんて言い方で重圧を与えてないかって、勝手に心配していた頃によく通った道だから。
昨日だってここを通ってライトに会いに行った。

でもよく知っているのは扉の前まで。
その中は、全く知らない世界だった。

ここまで来てしまっていていまさら遅いかもしれないけど、ライトが言い淀んでいるのを見てしまったら。これ以上は無理に、って言いそうになってしまう。
ちょうどその時に、繋がっていなかった手もライトの手と重なった。]