石工 アロイス

さて…　やるか。

[シュクルからもらったハーブ味の飴を口に含みながら、目を閉じて考える。
贈りたい相手のイメージ、伝えたいメッセージ。頭の中にあるデザイン。

それを目の前の菫色の石に投影させた結果、浮かび上がる完成形のイメージ。

やがて目を開ける。]

……うん、いけそうだ。時間も…まあ、集中すればギリ、か。

[石板に石筆で図を描き、終わったら彫刻刀を手にする。
静かに石を響く音が小屋の中に響き、それは夜遅くまで続いていた―――――――]

石工 アロイス

祝祭当日

……今何時だ！？　あ痛っ！！？

[がばっと跳ね起きて、勢いで椅子から転げ落ちて初めて、自分が机に突っ伏して寝ていたことに気が付いた。頭を起こして立ち上がる。

陽の差し込む感じからして、まだ午前中ではあるだろうが結構いい時間になってしまっていたようだ。]

シュクル、あいつ……眼が冴える飴って、俺普通に寝てたぞ。こんなので本当に魔法の飴と呼べるのか？？

[それは完全な言いがかりだとして。]

花屋 フローラ

前日：青い空を好きになってくれた人へ

［花飾りを配って歩いて。
ラヴやライトやシュクルにも贈れて。
先程アロイスと会話していた、リトリコが一人になっているのを見かけた。
３年前。新しくこの村に来てくれた人。

私は彼女に歩み寄ると声をかけた。］


こんにちは。リトリコ。
もしよかったら。花飾りはいかが？
無理にとは言わないけれど。
貰ってくれると嬉しいわ。

この村の伝統の一つでもあるのよ……？


［見上げた空は青くて。
彼女が空の青を好きだと聞いた事はあっただろうか？>>0:19］

花屋 フローラ

［無理に押し付ける事はしなかったし。
気に入った物があればそれを選んでもらったけれど。
もし。選ぶのを任せて貰えたなら。

『青い勿忘草』の花飾りを選んだだろう。

深い青は昼の空より青く。
小さな花は星の形に少し似ている。
この季節に咲く青い花自体が少ない事もあったけれど。
花言葉が。アッシャー際にはよく似合うから。
彼女とアロイスのやり取り等知らないけれど。
単純にお祭りを楽しんで欲しくて。
花言葉には特に触れずに。勧めてみた。

もしも受けとってくれたなら。
『ありがとう。』と微笑んだだろう。**］

石工 アロイス

そうだ、首飾りは……できてるな。

[机の上を見て安堵する。石はなんとか彫りきれたらしい。
鎖をつけて完成したものを小箱に収め、入念にサイドポーチにしまい込んだ。

それから一旦部屋を出て、軽く水浴びをして顔を洗い、完全に目を覚ましてから衣装に袖を通す。ズボンは苔のような緑、シャツは金のような糸を微かに刺繍した鈍目の赤褐色。
ただしその上から真紅のビロードのベストを羽織る。
これが祖父の代からの一張羅、らしい。
これによって、たしかに相当派手…というよりは華美な見た目になるだろう。

弟妹達はもう家にはいないらしい。お袋だけは支度がまだだったか、俺が寝坊すると思ったのか（実際したが）家に残っていたから、覗いて声をかけた]

石工 アロイス

……じゃあ、行ってくる。

[飯を食べていく必要はない。今日は祭りなのだ、広場に行けば何でもある…
それより気がかりな事は一つだけだ。
着いた頃にはもう祭りは結構盛り上がって、昼も近いぐらいの時間になっていたかもしれない。

時間の約束をしていなかったのは幸運だったなと思いながら飾り立て賑やかな広場、行きかう人々の中の一人を探し、時間はどのくらいだったろうか、やがて見かけたら声をかけた。]


……すみません！！遅くなりました。リコリト先生。

[先生はどんな姿で、どこにどうしていただろう**]

花屋 フローラ

離れて居た日々

［ラヴにはあんなことを言ったけれど。>>0:364
ラヴも後押ししてくれたけど。>>0:404>>0:405
正直…………

何を用意すればいいか。
さっぱり分からなかった。

シルヴァンとの思い出はほとんどがお屋敷で。
薬草を育てて居た事は知ってるけれど。
ご本がたくさんあって、勉強が好きなのも。
一度だけ行ったお祭りでも、お菓子しか食べてない。

後は…………
何時も私と遊んでくれる。
優しいお兄ちゃんだった。
よく咳き込んだり、熱を出したりしてた。
遊びと言ってもご本を読むか、お話しをするか。
お庭を弄るか。お屋敷で『隠れん坊』をするか。
お祭りに行ったのは一度だけ。］

花屋 フローラ

［そう言えば『鬼ごっこ』はしたことなかったな。
力仕事してるのも初めて見た。
…………元気になったのかな。良かったな。


不意に。本当にそこで記憶が途切れて。俯いた。


彼は。子どもの遊びに付き合ってくれてた。
優しいお兄ちゃん。私は年の離れた妹分。
…………大きなお屋敷。立派な調度品。
王都には溢れているだろう。魅力的な品の数々。
私は…………
彼に甘えてばかりで。
彼の好きな物もほとんど知らない。
一緒に甘いお菓子を食べてくれたけど。
それは普段食べられない私のためだったかもしれない。］

花屋 フローラ

［それに。それに…………


あんな立派なお屋敷に住んでいて。
王都でもたくさんの素敵な物を見て来ただろう人に。
喜んでもらえる物が何も思いつかない。


ずっと離れて暮らしていて。
もう６年も会って無くて。
不意打ちのように出会った今日、６年ぶりに話した人が、喜ぶ物なんて分からない。］

花屋 フローラ

［それが酷く淋しかった。喜んで欲しかったから。］

　

花屋 フローラ

［結局ラヴの店では、レースやリボンと。
銀色の刺繍糸を１０割引きで購入した。
それから刺繍が刺しやすい針。
彼女のお店の針を使うと、針仕事が捗るし。
厚い生地にもすいすいと針が通る。

首飾りの材料は。何も買わなかった。

そうして家に帰ったら。
苺の花と、紫のラナンキュラスとレースの生地と、白いレースのリボンで、少し豪華で可愛らしい髪飾りを作った。
それから白いワンピースに、銀の糸で刺繍を刺した。
あまり時間は無かったから。裾や袖口や襟ぐりに。
それでも出来る限り丁寧に。

花嫁衣裳を思わせる白に。
シルヴァンの髪と瞳の色の銀糸を使って。
明日のお祭りに着ていく服を、夜遅くまで、仕立てていた。**］

花屋 フローラ

ふわふわのお菓子屋さんの前で

［お祭りの当日。
私は昨日、夜遅くまでかかって手掛けた衣装を着て。
ふわふわのお菓子屋さんの。
屋台の前のベンチに腰掛けていた。
本当は『鬼ごっこ』も『隠れん坊』もする気は無かったから。
見つけてもらうために。分かりやすい場所に。
座ってシルヴァンを待っていた。］

花屋 フローラ

[おじさんはにこにこしてた。
私はもうすっかり開き直って。］


もしシルヴァンが私を見付けられなかったら。
あそこに座ってるよって教えてあげて。


［そう言って店の前のベンチを指さした。］


……後で買いに来るから。
お菓子２個。とっておいてね？


［そんなお願いまでして。
そうして。私は青い空の下。
ベンチに腰かけて。
あなたが私を見つけてくれるのを待っていた。**］

菓子屋 コウセツ

　
　大げさなものか。
　衣装も髪型も、君にとても似合っている。
　
[ 褒め言葉に動揺したような声を上げるラヴに重ねるのは、
　更なる上乗せの賛辞の言葉。>>44
　
　眼の前にあるものをただそのまま口にしただけだったから、
　歯の浮くような台詞だと思われていることは露知らず。
　
　着飾ったラヴが今日この日に目の前に居てくれているという、
　何よりも大切な事実に私はきっと浮かれていた。 ]

菓子屋 コウセツ

　
　（しかし本当に可愛いな……。
　　怒っているのは照れているのだろうか。
　　私も普段から特別な事がなければ伝えない方だったから…）
　
[ 決して笑顔ではない、
　戸惑うような…怒ったような複雑な表情の彼女だが、
　言われて不快だった訳ではないとその顔色が物語っている。
　見慣れないその表情に、
　胸が何かに射抜かれたような心地すらして。
　
　今まで彼女に対して、露骨にアプローチをするような
　そんな扱いをした事はなかった。
　それは当然、そういう関係ではなかったからなのだが…。
　今日、このアッシャーの祭りの日の
　呼びかけに答えてくれたのなら、
　”そういう”事をさせてもらってもいいだろうか。
　
　そんな思いから、彼女に片手を差し出した。>>45 ]

菓子屋 コウセツ

[ どういたしまして、という彼女の返事は
　明らかにこういう場に慣れていない事が伝わってきて。
　
　自分だってそう慣れていないくせに、
　彼女の言動があまりにもわかりやすいものだから
　そんな所にもまた可愛いなと思って小さく笑った。>>46
　
　勢い任せに取られた手を、
　そのまま逃さないようにぎゅっと握る。
　
　普段あまり触れることのないその手は、
　自分の手よりもずっと小さくて柔らかくて細くて…暖かかい。 ]
　
　君がなかなか私を見てくれないからだろ？
　
[ 見過ぎだなんて言われれば、普段の私であればきっと
　慌てて気まずそうに目を逸らす所なのに。
　今日ばかりは目を離したくなくて、
　ただ私を睨む彼女と視線を合わせた。 ]

菓子屋 コウセツ

　
　もし君に嫌がられたらどうしようと不安だったよ。
　我ながら、今まで君にそんな素振りは見せてこなかったから。
　
[ 繋いだ手は、もう離してやる事はない。
　そっと彼女の手を引いて、
　出店が立ち並ぶ祭りの中心地へと促そう。
　せっかくの時間を楽しむように足取りはゆっくりと、
　彼女の歩幅に合わせるように。 ]
　
　ところで…ラヴ。
　君の髪に編まれたそれは…
　それが村の花でないのは………
　偶然ではない、と思っても…良いのだろうか。
　
[ そうして目をやったのは、
　ミモザと共に編み込まれた可憐な杏の花。
　それがこの村の花ではない事くらいは、
　きっと彼女もわかっていたんじゃないかと、
　ほんの少し欲張った質問を投げかけた。** ]

飴職人 シュクル

帰り道

焦った……？

[>>13必死に噛み砕いていると、ライトの一言でやっと私にも分かった気がした。
可愛なってすごく胸がキュンとしたけど今はライトが格好つかないとだからって言葉を飲み込んで。
それで本当に来てくれたんだから、やっぱり嬉しい。]

でもライトが焦ってくれたから
ちゃんと一番のりだった。

[首をふるふると振って、独り善がりでも結果良ければ全てよし、は私から言ったら駄目かなって小さく笑う。

でもだからって距離を詰められるのが恥ずかしくないわけじゃない。]

飴職人 シュクル

[さらっと言われて一瞬普通に笑ってたけど、可愛いって言った？今？とまた落ち着きがなくなってしまって。]

そ、そう？

[狙ったつもりなんて全くなかったから、仕草がライトの可愛いの基準にはまるなんて想像してなくて。
家まではそんなに遠くなかったけど、ライトが家まで送ってくれるなら素直にお願いしようかな。
今は一緒にいれるといつも以上に嬉しいから、名残惜しくてそれからは少しだけ歩くのを遅くしたんだけど。気づかれてないかな。]

送ってくれてありがと…
ライトも気をつけてね？

[私のせいでちょっとだけ遅くなっちゃったかな？
家に着いたら、送ってくれてありがとうって手を振ったんだ。]**