飴職人 シュクル

……いこ？お祭り。

[色んな暖かい気持ちを込めて、ライトにエスコートをお願いした。]*

先生 リトリコ

　
［��ありがとう、先生。……おかあさんたちには、しーだよ。びっくりさせるんだから。��
　ごめんなさい、事前に刺繍を入れていいか確認を取るために言ってしまったのは秘密にしつつ。
　花屋の彼女と別れた後に、小さなトランクケースに折り畳んで入れていた洋服を子どもに手渡す。大人のように着てみたいと学校があった前々日の放課後まで一生懸命その洋服に刺繍を施していたが、間に合わずに託されていたのだ。

そうして帰路に着かんとする最中、自宅への道とは逸れて立ち寄ったのは学校だった。］
　

先生 リトリコ

［無音の廊下を渡り歩き、教室と入っては 自身の机へと向かっていく。窓から差し込む光は橙に傾いて机の影たちが色濃く落ちるその中で、そっと引き出しを開いた。
　奥で鈍く光るのは一つの楕円型のロケットペンダント、————首飾りだ。　
　ロケットの中身を毎年作り変えるも使わないそれへと目を向けて、

　そして。］
　

先生 リトリコ

［小さく首を振って、引き出しを閉じた。］

先生 リトリコ

—前日：自宅—


［一枚、一枚。花の首飾りをくれた子どもたちへ贈るメッセージカードに想いの丈を書いていった。学校はアッシャーの祝祭が終わった次の日から、また何時も通り始まっていく。少し時間があるから、と半分ほどの人数を書いたところで手を止め。

　花飾りに使われた勿忘草の空の蒼さを想起される色味と、紺色のロングワンピース。
　明日着ていく衣裳たちを広げながら、視線が行くのは裾に控えめに縫った草花の刺繍だった。草の上で小さな白い花をぽつぽつと咲かせるその刺繍に、ふと思い起こされるのは昼間のこと。

　「祭りの時、少しでいいんで時間取ってもらえないですか？」

　きっと今も首飾りを懸命に作っているであろう、彼は。
　星をモチーフにしたのだろうか、どのような形なのだろう。
　誰にどのようなメッセージを、其処に込めるのだろうか。］

先生 リトリコ

　………あ、


［濃紺の空に浮かび上がる、白い月。
　ふと、頭に出てきたアイデアに小さく頷いて 刺繍道具を用意していく。あんなに思案していたのだから、渡したい相手がいるのかもしれない。いや、きっと。
　その方に失礼のないように、と裾の草花を照らすようにちょっと上にそしてささやかに縫っていった。

　出来たものを見せてもらうことができる、それだけでも幸せだと噛み締めるように。］

先生 リトリコ

—当日：広場—


［普段一つに結んでいる黒髪は下ろし勿忘草の髪飾りを付けて、濃紺のワンピースをひらめかせながら村の中心部へと赴いていく。何時ものトランクケースは、今日はお留守番だ。
　賑わう広場では屋台に立ち並ぶ親子———子どもたちもちらほらと見られ、その度に挨拶を交わす。中には昨日渡した洋服を着ている子どももいてその満足そうな表情に、此方も嬉しくなる。あの後ろ姿は……だなんて、時には見知った二人が連れ添う姿にくすりと笑みが零しながら歩みを進めつつ。
　そうやって、自分なりにお祭りを楽しんでいる最中に、ふと呼び止める声。>>53
　待ち望んだその声に、くるりと後ろを振り向いた。］


　いえ、だいじょう………

　

先生 リトリコ

［大丈夫ですよ、と。それほど待っておりませんから安心してほしいと伝えたかったのに。
　目の前の彼の姿を見上げて、息を、飲んだ。
　彼の髪色と瞳の色に揃えた鮮やかな服装は気品があり、荘厳さを覚えた。>>52何より、服越しからも分かる鍛えられた身体に調和して————彼の方を見詰め、少しばかり呆けた後に。］


　す、すみません。
　何時もと違うアロイスさんに、驚いてしまいまして……

　とても、お似合いですよ。


［まるで、王子様みたい。少しばかり頬が赤らむのは零れてしまった言葉への羞恥か、それとも。*］

研究者 シルヴァン

祭り当日

[ 澄んだ青空が広がっていた。
　“ジジ”の祈りのおかげでよく晴れている。

　張り切って準備に参加していたくらいだから、
　元々祭りには行くつもりだった。
　スタンドカラーの白シャツに、
　銀の刺繍が施された紫のマントを羽織った。
　マントは防寒用ではなく、装飾用で。

　寝る前に王都から持ち帰った荷物から、
　小さな袋を見つけて、細工を施してから、
　ズボンのポッケにいれた。]

研究者 シルヴァン

[ そうして逸る気持ちを抑えつつ、広場へ。
　同じように祭へ向かう村の人たちに挨拶をしながら。

　目的地は、ふわふわのお菓子屋さんの屋台。
　屋台の場所はやっぱり昨日の内に目星をつけていたから、駆け出したくなるのを堪えつつも、自然と大股歩きになる。　
　自分から言いだした『鬼ごっこ』、
　彼女はどんな風に応えてくれるのだろう。

　目標に近づいて、屋台のおじさんと目が合えば、いい笑顔で頷いて、顎で指し示した先には、

　隠れている様子もなく、鮮やかな花飾りと、
　白いワンピースを纏った彼女がベンチに腰掛けていた。]

研究者 シルヴァン

　……フローラ。見つけた。

[ ああ、綺麗だなぁ。本当に近くにいた。
　ああ、眼の前に君がいる。

　直ぐ側までいって、君の名を呼んだ。
　つい顔を綻ばぜてしまったが、
　待てよ、と真顔になる。]

研究者 シルヴァン

　…もしかして、鬼ごっこはこれから？
　目を閉じて、十を数えないといけないかな？
　…それとも、もう僕の勝ち、ってことでいい？
[ 彼女がどういうつもりで、そこで待ってくれていたのかが、　わからなかったので、恐る恐る尋ねるのだった。
　淡い期待も添えて。

　ああ、でも、それよりも。]

　立ち上がって、衣装をよく見せてくれないか？

[ そのままでも十分可愛らしいけれど、
　立ち姿も見たい。
　急かすように、手を差し出したけれど、
　彼女に座るよう促されたら、素直に従ってただろう*]

石工 アロイス

当日・広場

[探すのに時間がかかってしまった理由は、改めてその姿>>107を見て腑に落ちた。
何しろ、服装はいつもと違うかもしれないから、特徴…というよりチャームポイントでもいうべき結い上げたポニーテールで探していたのだ。]

リトリコ先生…　髪、下ろしてるんですね。
見違えました。おかげで探すのが遅れちゃったですかね。

ワンピースもこう…なんていうか気品があってさすがっていうか…

……先生？？？リコリト先生、どうかしました？

[スレンダーな体つきに濃紺のワンピースはとてもよく似合う。思ったとおり、先生には青がぴったりはまる。ずっと見ていてしまいそうになる。

はたと気を取り直すとこちらを見つめて呆けたような…呆気にとられたような>>108顔つき。昨日のシュクルの言葉を思い出すが…もしかして身支度がなってなかっただろうか？]

石工 アロイス

すみません、祭っていっても普段はこのベストまでは着てないから…
あんまり似合ってなかったらすみません。

…あ、似合ってますか？
そう言ってもらえるなら、嬉しいですけど。

[何かを言おうとするが、面と向かってみると、なかなかうまく言えないのは歯がゆいものだ。いつもは多少緊張しつつも普通に話せるのだけれど…]

…先生も、いつもの格好もいいと思いますけど今日は特別…
何て言うんだろう。気品…ですかね。
そういうの感じます。青い花の髪飾りも…いいなって。
先生は…本当に青が似合いますね。

花言葉とかあるんですよねそういうの。俺全然知らないんですけど。えっと…

花屋 フローラ

お祭りの日

[私の名前と、小さく『見つけた』>>111て声。
甘い笑顔がそこにあって。
思わず私の胸も高鳴った。
銀色の刺繍が施された紫色のマント。>>109
自惚れちゃダメよって言い聞かせても。
どうしても期待しちゃう。

なのに彼はふっと真顔になって。
信じられないことを尋ねたわ。>>112]

花屋 フローラ

［思わず私も真顔になって。
シルヴァンの顔をマジマジと見上げてしまった。］


…………シルヴァン。
あなたこの６年。何をしてたの？
まさか。デートの１つもしたことが無いとは言わないわよね？

女心が分からないにも程があるわ。
……それとも私は女の子として見られてないのかしら。


［呆れたように呟いて。
最後の一言に。微かに胸の痛みが混じった。
昨日からずっと。子ども扱いされてる気がする。
私たちの時は、そこで止まっているのだから。
仕方が無い事なのかもしれないけれど。］