氷室詩音

　
[夢介が声を荒げる>>193のに、こちらもカッとなりそうになって。
いけない、任務中、他のメンバーにも迷惑がかかると冷静さを取り戻す。
でも。
小柄だから可愛いって、本音が漏れてるわよ。>>192
私だって好きでこの体型になったんじゃないわ。少なくとも努力できる部分は努力してる。
身長だなんて1番自分でどうにもできない部分じゃない。
なんて、声を荒げる夢助に見当はずれな苛立ちを募らせていた。
悪いとすぐに謝るのは美徳だけれど>>195しっかりしてよね。夢助が怪我するのは嫌なのよ。私がしっかり護るけれど、……そう素直に伝えられたら良かったのだけど。]
　

氷室詩音

………………はあ？
　
　
[ただ、彼のつぶやきには眉を顰めた。
どう言う意味か察することができなかったから。
一歩後退り彼を見つめる。意味を測りかねて首を捻りながら。
彼が悪いと口にするようなこと。
でも。
さすがに。
──そこまで嫌われていないわよね？
　
でも。
私は彼に背を向ける。
　
──そこまで嫌われていない、その自信すら無かったから。]
　
　
……そこまで私の事嫌いなの。
　

氷室詩音

　
……あなたの望む通りにしてあげるから。
早く任務を終わらせてしまいましょう？
　
　
[私の予測が外れていなければ、一階はもう仕事を終えているはず。
勿論その予想が外れてる可能性もあるけど。
ただ、そっと目元を擦って。
夢助に背を向けたまま、歩き始めた。]*
　

市川夢助

[正直なところ、任務の進捗は程々といった感じだが、俺の調子は到底いいとはいいがたいし、それ以上に隣の婚約者とは過去一というぐらい色々なものが噛み合っていなかった。

厄日というのがあるならまさに今日だろう。
家の事を抜きにしても……最悪だ。

軽はずみに呟いた言葉は、思った通り詩音の気に障った>>204らしい。
どう気に障ったのかは…微妙に意図を測りかねるところもあったが。

ただ、俺に背を向けて歩き出す様子を見れば、嫌でもそう実感せざるを得ない。
このまま任務が終わったら、終わったものと諦めて、互いの家に婚約解消を伝える……事になるのだろうか。
そろそろ上の階の連中も担当の階層を片付け終える頃合いだろうし、再度合流したら後はそのまま宿に戻るだけだ。]

市川夢助

[仕方ない。元々、ずっと前から噛み合ってなかったんだ。
いくらお互い氷使いの家だと言っても、それだけで結婚してそのままやっていくような時代でもないし。

ただ、それでもなんだか腹のうちが納まらないのは詩音がどうしてそんな風に怒って…いや、悲しんでいるように見えるのか、だ。
だってそうだろう、嫌われるだけなら話は分かるが…泣く事はないだろ。
いやそりゃ、俺の言葉はショックだったかもしれないが、だったら…

くそ。…なんでこうなんだ。一方的に言われっぱなしで終わるのはさすがに癪だ。
最後の敵の一群に残りのダーツを投げつけ、ダイヤモンドダストみたいに辺りに散らばせてから後を追い、その肩を掴んで振り向かせ、言ってやる。*]

名坂雪

回想・詩羽ちゃんと

[あーれーと喫茶店に連行されたなら>>116、軽く5杯分もあると評判の紅茶を注文して詩羽と向き合ったあの日のこと。

ひとしきり彼女の言葉を頷きながら聞いて。
机に突っ伏したところから起き上がれば、ケーキを一口分どうぞとして、質問には目を瞬かせてしばらく考え込む。]

　うーん。受け入れられたというか……。
　私とデッ……デクスターくん……デッくんは、

[言い直しを経て結局最初に戻した。
詩羽が相手ならば良いかなって思ったから。]

　物心つく前には婚約者同士だったの。親同士仲良くてね。
　そんなわけで、感覚的には生まれてからずっと婚約者じゃないときはなかったっていうか。

　だから、私たちの、私にとっての“幼馴染”って、世間一般や詩羽ちゃんの思うものと違いそう。
　最初から混ざり合っていて……どこまでが幼馴染で、どこからが婚約者の関わりなのかな？と時々考えるよ。

[詩羽>>117の感じるナチュラルさはここ由来なのかも。]

名坂雪

[今は詩羽>>118>>119に寄り添えればと思って。
彼女の言葉を聞き、幼馴染の感覚を心に染みこませようと。

カップで唇を湿らせながらゆっくりと話に耳を傾けて。
詩羽の常より揺れる声が途切れたら、]

　“親友”ってすてきな響き。
　詩羽ちゃんと五十嵐くん、子供の頃から仲良しなんだ。

[詩羽は活発そうだから、自分たちの遊び方とは違うことたくさんしてそうだなぁと思い浮かぶ。]

　その関係性が先だと……悩みそう。

[伝わるのは婚約への拒否感より、戸惑いと焦りのような。
気恥ずかしさと――ほらもう一口、とチョコ部分をあげて。]

　多分、恋人ってさ。
　婚約者と違って、急になれるものじゃないんだろうね。

[焦らなくて大丈夫と簡単に言えないのは、名門の出の彼女には背負うものや意識があると予想できるから。]

名坂雪

[五十嵐の詩羽に向ける視線を思い出しつつ。]
　
　五十嵐くんと、思い出話してみたり。
　昔に一緒にしていたこと、ちょっとやってみたりとか。

　それを詩羽ちゃんは今どんな風に感じるのか。
　ゆっくりお話したりするのもいいんじゃないかな。

[と、一案を穏やかに差し出す。]

　五十嵐くん、詩羽ちゃんと話すのとっても嬉しそうだなっていつも伝わるから、大丈夫でしょう。

[婚約者という現在と、夫婦になる未来は変わらないなら。
昔の幼馴染だった頃を大切に、その頃を思い出して。
詩羽から話したり行動したら、何か切っ掛けになるかなって。
　
またお話しようね、と詩羽に笑いかけた。**]

市川夢助

　……もういい。行こう。
　悪かったな、今まで無理に付き合わせて。

[詩音に先行するように俺も歩き出す。
だから背を向けて、というのとは違うかもしれないが、
心情的には実際そんな感じだ。

結局…俺は、詩音の事、何もわかってなかったんだろうな。
けど…それならそう、俺の事が嫌いなら嫌いとはっきり言えばよかったのに。

ため込んでいた内心を吐き出してまず胸に浮かんだのはそんな事だった**]

市川夢助

（的ってなんだ……？）

[そこだけは今一つよく理解できなかったのだけど**]

氷室詩音

……………はあ？
　
　
[私がいつラブホに誘った！？
そう思うけど、それは私が気付いていないだけ。だってホテルのスイートサービスって言ったら、ねえ？
お風呂だって露天風呂が部屋にあるのよ。誘うのが普通じゃないの？
どうせ一緒に入る気なんてなかったくせに！
いろんな怒りが沸々と湧いてくる。
思い切り夢介を睨みつけて、でも。

でも、確かに、噛み合っていない。>>206

それに気づいたのは歯軋りしながらも、夢助の言葉に耳を傾けていたからだった。

大切な言葉を、聞き逃さないためにも。]
　

氷室詩音

　
[任務が終われば、何事もなかったような顔をして皆に合流する筈。
　
ただ、行きの時より、夢助との距離はまた少し……離れていたかも、しれない。]**
　

名坂雪

[バットを振るう音。魔物の唸り声。
後方に下がっての視界には大きな背中>>199があった。

ちなみに、使役する子には名付けてもいる。>>200
例えば今駆け回っている黒狼は『太郎』である。
巨大ヘビは最近仲間入りしたので、まだ。
そういえば幼馴染はヘビも好きなんだった――自分は大きな本物には逃げ腰になるが、ぬいぐるみとかは好き。

戦闘が終わったら名前案がないか訊ねてみよう。
中二びょ、ごほん、カッコいいのつけてくれるかも！

そろそろバフも切れる頃か。
魔物の残党を追い込み終えた太郎はのんびりモード。
こちらも省エネ体勢に移行しつつ。
太郎は幼馴染を邪魔せぬよう、でも不意打ちしてくる奴がいたら噛んでやるぞ！と背後を歩き回っている。

幼馴染は後衛の自分を、生身の戦闘能力がない自分を、……とてもとても、昔から、守ってくれるから。
自衛も心掛けながら、全力でサポートしたかった。]

名坂雪

[幼馴染のお眼鏡にかなったのは小さなウサギ。>>201
もふもふ漆黒の身体に赤い瞳が爛々と光っている。
あ、かわいいかも、じゃなくて。
狭いところに侵入してもらうのに役立ちそうだ。]

　あはは、干支シリーズ。

[思わず小さく笑う。
太郎が、まるで戌じゃないからなと訴えるように幼馴染にガルル…と軽く唸って尻尾を逆立てていた。

本の、まだ簡易的な魔法陣が書かれたページを捲る。
一歩二歩ウサギの魔物に近づいていく。
幼馴染と視線を交わし、頷いて、その場の床に膝をつけると、逃げ出しかけたウサギの赤い瞳と見つめあう。

急に動きを止めた身体。交わる視線。
小さな声で語りかける。繋がりが生まれるように。
大丈夫だから、あなたは戻っておいで、と。
この子はまだ染まりきっていない。
境界が滲み気が遠くなる一瞬の後、ぴょんっとこちらに跳ね――本のページにふわりと吸い込まれていった。
これにて、仮の封印完了である。]

名坂雪

　よし、おっけー。ありがと！

[体力にまだ問題はないと示すために、にこりと笑う。
多少疲れているのは日常の範囲内だ。
指でOKサインをしながら立ち上がる。
この先は幼馴染の思うがままに暴れてもらおうと、安全位置で応援の姿勢である。
生徒のみの実践だからかそこまで苦戦せずにすみそうなレベルで、助かったような、湯治に来た感じのような。

ヘビは幼馴染が気になるようで。
戦闘が終われば尻尾を巻きつけようとするだろう。**]

市川夢助

はあー……？


[このはあ？っていうのはどういう意味なんだ。まさかラブホに誘ったのも温泉に誘ったのも本人の自覚がナイトはこっちだってさすがに思わない。
まあ…知ってたら当時何もなくて良かったと思う事ではあるが。
ともかく、詩音と俺は何か決定的にずれているという違和感はかなりはっきりと形になりつつあったのは間違いない。]

市川夢助

[他の組との合流は何事もない顔で済ませたが、俺達の距離は最初よりもさらに少し離れていて。

ついでに言えば、俺達2人は多分、全く違う事を考えていたかもしれない。少なくとも、詩音が何を考えているのか俺にはなんだかよくわからなくなっていたし…詩音が俺の考えている事に気づいていたとも思えなかった**]

氷室詩音

[最低な告白の仕方だった自覚はある。
でも、それに溜息を返されたら……嗚呼、もうダメなんだと心が絶望に染まっていく。
　
自分が無知だったのが悪い。
意固地だったのも、変なプライドを持っていたのも。
素直になれずに空回りし続けて、言葉の選び方を間違え続けていた事も。
言葉だけじゃない、態度も、やり方も全て。
でもそれらは今更で、過去を変えることはできない。
　
だから、今の私にできることは。

夢助の望むことを、彼に不利益にならない形で叶えることくらいだと考えていた。
　
市川の家に傷がつかないよう。
私自身に傷がつくのなら──それは自業自得というものだ。]**
　

佐次詩羽

うっ…　ぅっ……　うわぁぁん……！！

[ぼろぼろと両目から大粒の涙が溢れはじめる。］

もーやだっ、なんでアタシばっか
こんなはずかしいめにあうのっ、
もーやめるっ、　退魔士なんてキライ！

[今までの鬱憤が爆発したように、
わんわんと声をあげて泣きじゃくるのだった。**］

五十嵐螢

　あう、あう……ごめんね、ごめんね。

［>>221僕は泣きじゃくる詩ちゃんをよしよしと慰めることしかできなかった。
大体全部僕の固有能力のせいだし。

　微妙な空気が漂う中、皆と合流し任務完了を確認すれば宿へと帰っていこうか。
市川くんと氷室さんのところも何だか微妙な雰囲気になっていたかもしれないけれど――もう温泉に入って美味しいもの食べて卓球してさっさと寝たい気分にもなりそうなものである**］