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ええ、そうなんです。
妻と、幼い息子が二人ほど。
私は地球での仕事が立て込んでいて、同じタイミングで移住できなかったのですが…この度ようやくホワイト・マーブルの部署に移ること決まりまして。
…お恥ずかしながら、
仕事仕事と忙しなくしていたせいで、子供たちが好むものや、妻が喜びそうなお土産があまり思いついていなかったんです。
…これからは、子供たちとももっと触れ合える時間を取りたいと思っているのですが…、その第一歩にお土産の一つでも、と。
[そう言って苦笑いをこぼす。
理屈ばかりで共感性の乏しい一面を、普段話しかけない女性に見せる必要もないだろう。こちらも比較的穏やかな表情で話を続ける。
…しかし、お土産店の中を見ると、男の表情は少し固まる。
彩り並ぶ賑わいある土産たち。
男からすると無駄の塊のようにも見えるものたち。
眉間にシワを寄せたところで手を当てて…]
…久しぶりに、家族のために何かしてやりたいのですが
何から吟味すればいいのやら…
あなたのように、好きなものがあれば
分かりやすかったのしれませんが…
私は趣味に疎くてね…
…これまで、大切にしてやれなかった家族に
なにかしてやりたいんです。
最初の出会いがぎこちなくとも、
いつまでもぎこちなくある必要もありませんから…
[そういう様は、『家族』に対してどうしていいかわからない『父親』のすがたそのものであっただろう*]
ー 土産店にて ー
……優しい、でしょうか?
[事情を話し、ともに店内を見ているときのこと…
緑髪のお嬢さんの口から漏れた言葉に、
男は不思議そうに、ひとつ眉を上げた>>132]
…そうでしょうか。
これまでずっと放っておいたから…
幼い子どもでも楽しめるものを、と思い
色々考えているうちに…たまごぼーろだけだったのが、練って食べるお菓子…正義の味方から、撮影に使っていたゴーグルなんかももらってしまって…
…自分自身で選んだものも、
一つくらいと思っただけなのです
[ぽつりぽつり。いろんな人にアドバイスをもらって今こうしてここにいること、そして、それでもなお自分で選ぶとなると迷ってしまうことを漏らす父親は、成り行きばかりの自分であるが優しいに入る…のだろうか?と、本気で不思議そうな顔をする]
…絵本?
……なるほど、バザーで…お姉様とお父上と。
ふふ…お父上はきっと…二人ともに平等に…
買い与えてやりたかったのでしょうね。
喧嘩にならないように…
…けれど、それが、姉妹の…
…家族の絆を深める大切な一冊になった…
…とても素敵な話だ。
[彼女が話してくれた思い出話を聞き、>>133>>134>>135
男は考えるように目を一度伏せ、そして開く。
考えても見れば、男は子供の駄々はまるで聞き入れてやろうとしてこなかった。ほとんどが危ない遊びをしたいとか、年に見合わないおもちゃがほしいとか、そういうたぐいのものだった気がするが…『共に』選び、共有するということはしたこともさせたこともなかった]
貴女のお父上も、お姉様も幸せ者ですね。
貴女のように思い出を大切にする…
素敵なお嬢さんが家族にいてくれて
[零した言葉は、父親の視点を想像しての言葉。
そして、男の本心からの言葉。
喧嘩しないと約束して、姉妹仲良くしてくれたこと。
名前の書き方を聞いてくれて、二人の名前を書いて…
世界にたった一つの本を、ずっと大切にしていること。
見守るものとして…それほど嬉しいものはないだろうと]
[男は、少し思案した後、
さきほど彼女が見ていた
ハンカチのコーナーへ向かう。
そして、彼女が見ていたであろう
白いジャスミンが刺繍されたハンカチを…
淡い
……もしよろしければ。
貴女と、貴女のお姉様にどうぞ。
ご迷惑かもしれませんが…。
…私の家族とは…また、向こうで再開したら…
一緒にどこか買い物に連れて行ってやろうと思います。
…"共に、同じ目線で"好きなものが買えるように
貴女の話とても参考になりました。
これは、ほんのお礼です。
[と…彼女の家族が今どうしているかなど知らぬままであるが…男は、そのように提案するだろう。あなた方の家族の幸せへの感謝を込めるように*]
[ ……しかし、ただの分析結果による返答と割り切るには
あまりに穏やかで、暖かだった
未来はそうであってほしいと思うこれは
論理的ではないのに、なんとなく、ここちよかった]
[男が手渡したハンカチに、彼女は喜んでくれたようだ。
彼女の姉もまた喜ぶと、嬉しそうに答える言葉に
男もまた微笑む。>>142]
…ならよかった。
誰かが喜ぶ贈り物というもののコツが
少し掴めた気がします。
…ふふ、そうですね。
妻は…花が好きで……また何か、選んでみようと思います
彼女が喜びそうなものを…ふたりで
[彼はそう言って、少し思考を巡らせてみる。
園芸系の事業にはまだ手を伸ばしていなかったはず。
もし、彼女がホワイトマーブルの花屋を気に入った暁には…そういった業種にも手を伸ばしてみるのもいいかもしれないな、と。
レディの付け足してくれた蛇足が、
その後、Y&N Corp.に新たな新事業が誕生するとは
このときは誰も知り得ないのであった…]
…貴女に声をかけてよかった。
どうか、貴女と貴女の家族が幸せな未来に続きますように
[男はそう言って、土産店を後にする。
…この場では何も買うことはなかったが
何か、とても大きな収穫があった。
そんな達成感のあるひとときだった**]
…… 明日には、ホワイトマーブルにつきますね。
静かなときが終わるのはあっという間…
あなたはいかがでしたか。今回の旅路は。
[男は、凍えるようなカクテルとともに、
淡々とした口調で彼にそう訊ねる。
特に深い意味のない世間話だが…彼はどのように反応を返したろう*]
……まあ。慣れるでしょう。
人という生き物は、存外早く非日常に慣れていく。
だからきっと…貴方がこの環境に慣れたいと願うのならば、存外早く、心はその日常を受け入れてくれると思いますよ。
[と、最初は男は、慰めのような言葉を送る。
地球と似ているが似つかないあの星を受け入れる日も来るだろうと
…同時に]
…ただ。貴方が心の底から望む『終着駅』がここではないなら…貴方が本当に欲しかったものが別にあるのなら…その非日常と比較して、どうしても慣れないこともあるかもしれません。
…私は、場所への執着が薄いのでなんともいえませんが…
貴方にとって、あの星に何か思うところがあるのなら…貴方にはきっと辿り着きたいどこかがあるのだろうな、と思います
[そのようなことを述べる。
彼の過去に何があるかは分からないが…彼の気持ちにできるだけ添えるように]
…私があの星についたら、ですか?
そうですね…仕事…という話ではないですよね
[楽しい話、とこれから何をするのか問われれば、
男は少し考えて、一つ瞬きをして]
…まずは、家にいって、妻と子どもたちに会います
それから…贈り物をひとつ、ふたつ…
……それから、三人を買い物に連れて行ってやろうと思っているんです。
私は今まで、そういった娯楽施設には連れて行ったことがなくて…いやそれどころか、家族とほとんど触れ合うこともしてこなかった。
……あの子達や、妻が喜ぶプレゼントをしたいなと思うんです
本当に、今更な話なのですが
…けど、いい買い物をする場所も思いついてないから、ここからは割といきあたりばったりですよ…はは
[そう言って、少し苦く笑う。
世間話の花になる、家族とのぎこちないところを面目なく思うような表情は、対話のときのツールの一つだが…男の内心の無意識が、ほんの少しだけその表情を自然な人間のそれにしてくれていた**]
…そうですね、とてもとても楽しみです。
家族と再会するのが…
優しい、に該当するかはわかりませんが、
それでも、これは良いことなのだろうとは思います
[男は、笑う彼に一度クスクスと同じく笑ってみせる。
しかし、少し目を細めるようにして前を向くと、
少しばかりの淡々とした言葉。]
…自信はありませんけどね。
これまでの人生、諦めてばかりでした。
…私の『終着駅』がまだ先にあると知って…
幸せな終着点にいつかたどり着けるだろうかと、
考えるべきことがたくさんあって…
……けれど、少しだけ…
扉に手を伸ばしてみようと思ったから
[多分だが…>>286と、
言葉を切った彼の心はなんとなく察しがつく。
彼は旅をしている。この航行のことではない。
もっと途方もなく大きな旅を、今までもこれからも
男の終着点とは違う方向を向いていることが分かる。
過去のことは振り返るな、とも
ここまで来たのに勿体無い、などとは言わない。
惑星間の移動ごときでは、きっと足りはしない旅路に]
…どんな場所に流れ着くのであっても
貴方が心から終着駅だと思う場所が、
きっと貴方にとって必要な場所なのでしょう
[*セックス・オン・ザ・ビーチ*を注ぎ、カウンターを滑らせ彼へと届ける。
これからも、旅を続けるだろう彼に]
[……バーは静かな時を告げる。
寡黙な男は、カクテルを飲み干し、
しばらく静かにそこにいただろう。
雑談等を交えながらも、
かちりこちりと針をすすめる時計の音が静まったとき、
男はそっと席を立つ。
彼の旅路とは別の方に、歩むように**]
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