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翌朝、 上官 アドニス の死が告げられた──……。
夜が明け、村人達は互いの安否を確認する。
どこからか上がる悲鳴。
村人の一人が、凄惨な赤い跡を震える指で示した。
噂は真実だったのだろうか。隣人の顔すら歪んで見える。
猜疑心に苛まれた村人たちは、怪しい人物を排除する事にしたのだった――…。
現在所在が確認できるのは 社長 ツァリーヌ、 望郷 グリーディア、 一人旅 レット、 籠の鳥 ドルチェ、 かたわれ リーン、 小説家 サンシア、 曇硝子 スイッセス、 有象無象 シャム、 渡航者 カラント、 さすらいのライダー アーネスト、 夢想家 コラーダ の 11 名。
皆さま「リベルテ」へのご搭乗、誠にありがとうございます。
地球発当船は、明日の午後4時50分に、惑星「ホワイト・マーブル」へ到着いたします。
お忘れ物の無いようご注意ください。
本日のワープは、船内時間午前0時、0時半、1時の計三回が既に終了しております。
当船は既に惑星系内に突入しており、本日午後1時から24時間かけて「ホワイト・マーブル」周囲を一巡したのち、明日着陸準備に入ります。
船内バーや展望施設からは、惑星「ホワイト・マーブル」が大きく一望出来るでしょう。
引き続き、よい船旅をお楽しみください。**
― いつかのスポーツジム:サンシアと ―
[そのお姉さんを見かける時は、毎回へとへとだった。>>1:159
私とへとへと度を比べたら、一体どちらが勝つんだろう。>>0:162>>0:163
…なんて少し考えた時もあったけれど、自分の事は自分では分からないから、比べようがない事に気付く。
私のように運動慣れして居ないか、インドア派なんだろうと何となく頭の隅っこで考えていた。]
いつもお疲れ様です
これ、タオル、
どうぞ
[スポーツドリンクを差し入れようかと思ったが、知らない人間からの飲み物は如何かと思う
故にタオル。ペンギン型アンドロイドが運んでいるそれを一枚拝借して、へとへとなお姉さんに差し出した。
自分より低い身長を見下ろす形にはなったけれど、不審者では無いのだと、さわやかめの笑顔を浮かべて。
名を聞かれれば、「レットです」と名乗っただろう。
そのうちジムの外でも出会う機会があったかもしれない。*]
[随分と書いたものだ。
日課のスポーツと同じ、積み重ねていったものはクロッキー帳にある空白の頁を失くしていた。]
………
[口の中で言葉を転がして音となる前に飲み干して、眼鏡型電子機器を弄るように指でなぞる。
立体の映像はひと昔前の都市部が描かれたビルの街]
雪か、煙か、海か
[これまでラフ画として描いていた星雲のラフ画をみながら、記録した映像を添わせる。
穏やかな気候から冬の寒々しいものへと変わるときもあれば、朝から夜にも変わる。
溢れる紫の煙は特撮ものの怪人が現れるような平和を乱すおどろおどろしさにも変わる]
─ スポーツジム ─
[やってきて早々、突然のお願いをした私にアーネストさんは快諾を返してくれた。>>1:349
伸ばされた手で頭をよしよしと撫でられたのは
あまりされたことが無かったからびっくりしたけれど
嬉しかったからそのまま撫でてもらって]
良かった、それじゃあ…
あ、その前に汗拭かないと風邪引いちゃうね。
[アーネストがランニングを終えたばかりだったと思い出して
ペンギンさんAIが来てくれたのに手を振りベンチに移動し、
アーネストと並んで座って連絡先の交換を済ませたのだが]
え…?
[アーネストからの問いかけ>>1:351に、
何を聞かれたのか理解するよりも早く冗談だと言われて
話が切り替わってしまった]
[そのままアーネストから小説家になった理由を聞かれ>>1:353、
彼女がスタントマンになった理由も聞き]
私が小説家になったのはねぇ、親に言われたからなんだ。
ひいおじいちゃんの名前を出せば多少は売れるだろうって。
勿論、今は自分が書きたくて書いてるから
ひいおじいちゃん様様だけどね。
[稼げるから、というのは裏を返せば稼ぎたい理由があって、だろうか。
そんなことを思いながら、聞かれたことに答え。
少しの間を置いた後]
私ね、今日カラントさんともお話してて。
その時アーネストさんのこと考えて、笑ってる顔が浮かんだの。、
それだけで何だか心が軽くなって
ヒーローに救われた人ってきっとこんな気分なんだろうって思った。
でもね、
じゃあヒーローは誰が救ってくれるんだろうとも思って、
咄嗟に答えが出なかった。
[脈絡も無く切り出した話は、さっき彼女が切り替えて
無かったことにした話題のために]
探すよ、アーネストさんが居なくなったら勿論探す。
でも、その前に話してほしい。
いなくならないで、助けを求めて欲しい。
[隣に座っている彼女に手を伸ばす。
避けられなかったら、傍らの手を握り、包んで。
手を引かれたなら、その場でぎゅ、と握り拳を作り]
ヒーローが人を守ってくれるなら
人だってヒーローを守らなきゃ不平等だよ。
だから、ヒーローだって
助けが必要な時は、助けを求めなきゃ
…守った人のことを、
ヒーローが傷つけることにも成り得るんじゃないかな。
[笑って流されたことだ、
私に踏み込まれたくない事情かもしれない。
でも、たとえifであっても彼女がいなくなるような不安を抱えているのなら。
私には関係ない、無責任な言葉だと思われても、
たとえ自分相手じゃなくても助けを求めて欲しいと願い、握った手に力を込めた*]
― 食堂 船旅最終日の朝 ―
[今日で船の旅も終わり、その先の未来をあれこれ考えるのも楽しみではあった。
そんな先でのことをいく前に、一つ一つしていきたいこともあったから、おそらく彼がいる場所へと向かって]
なぁ、朝食頼めるか?サンドイッチ…具材は任せるけど、珈琲は後で頼むな。
[おっちょこちょいな俺>>1:137はまた間違えてアンドロイドと判定されている乗客へと声をかけた。周りから見たら何度か見た光景か、初めてだったかもしれないが、お茶目な彼なら乗ってくれるだろう。
ただいつもと違うのは珈琲を一緒に頼まなかったこと。]
なぁ、どんどん板についていってるけど、俺のせいか?鍛えちまったか。
[なんてわかった振りをした遊びを続けるように二ッと笑みを浮かべる]
スイッセスさん。俺なぁ、人を描くっていまいちピンとこなかったんだよな。
[サンドイッチを一つ一つ頂いた後、お茶目な店員から同じ乗客になった彼へという。
クロッキー帳をみたいと彼や他の面々も知っているだろう。描かれていたのは自然や建物、星雲もだが、そういう背景のラフ画ばかりで人物などは一つも描かれていない。]
正直、見た目もなんも変えられる。じゃあ人って一体なんなんだ?ってな。
外の皮さえ変えちまえば見た目はまるで違うのに、全部同一人物なんてことだって出来ちまう。
[変装の達人みたいだよな。なんて苦笑気味に口にして]
でもな色々と船の中で過ごして考えたんだよ…それまで人生を歩んできた姿を描けて、初めて人を描けるのかもなーってさ。
例えば、なんで珈琲を淹れるのが好きなのか…とかそういうのな。
[教訓(>>1:137)といったものを自分なりの事情に合わせたものとして答えた]
ここで会っただけの俺に、なんで込み入った事情まで話してくれたんだろうなーって思ったけど、返せるものなんてこんなもんだ。
[優しい言葉とかではなく教訓としてその存在が根付いたものを口にして]
………変わっちまうかもしれねーんだろ。
[どうなるかは知らずとも、彼やその家族の人生に踏み込む我儘はいわない。でもあっても返せるのはこんなものだ]
その前に、珈琲と、それを淹れる後ろ姿を描く時間を注文していいか?
正面は……大事な人用にとっておいてくれ。後ろ姿ならおっちょこちょいな客とお茶目な店員のアンドロイドって感じだしな。
[なんて、この船での最後にするのであった。*]
── 遊戯>>1:228>>1:229>>1:230>>1:231 ──
[優れた者は過去の栄光を糧と秘め、愚かな者は過去の栄光にばかりすがる。
いつか考えていたことを彼が正しいと証明してくれたようにも感じられてなんとも感慨深い。
まるで撒き餌のように置かれたポーンの駒、その後ろにはまたポーンが控えている。
より弱い駒で強い駒を潰せ、正に大物食いの布陣である。]
勲章をひけらかす輩も多いというのに
貴方はやはり違うみたいだ。
[ともなれば彼の原動力は他にある。
それが何か、それが一番私の知りたいことで。
誘いに乗るようにポーンをビショップで取り、ポーンの刃が届く位置にビショップを配置する。
このチェスとしての最悪手こそが、答えだ。]
安い言い方になるが、トレンド、と言えばそうだね。
参入障壁が高い分、その見返りも大きい。
[どうやら彼は社長をやっているらしい。
ともなればどこかで人伝いに声をかけられた事もあっただろうか、何せこの参入障壁の高さの由縁は研究者の確保にあるのだから。
次の手を待つ間テーブルに置かれた名刺を手に取って眺める。
確か一度依頼があったことがあるが、その時は適任が他にいるだろうと断った。
時を渡るのではなく人を運ぶことを生業とする者の依頼なのだから当たり前だ。]
夢を現実へと昇華する。
私の研究者としての価値はそこにある。
そう思っていたんだけどね。
3年前、か。過去に戻りたい気持ちはよく分かる。
しかしどうにも障害が多くてね。
なんと言えばいいか…
今の技術では、貴方が我が子の誕生を目にする頃には貴方という物体がパスタのように細くなってしまう。
ご家族の手前それではあまりに格好がつかないだろう?
事業拡大…………ふむ。
[私には夢があると誰しもが語る。私には譲れないものがあると誰しもが口を開く。
だがその一歩を踏みしめ、力を得れば得るほどに夢は無機質な『目的』へと変わっていく、それが人間の力であり性であり、私もまた例外ではない。]
誰かの為に今ある環境を捨てるなど
誰でも出来るような芸当じゃない。
貴方にそこまでさせる奥様の器の大きさが窺い知れる。
[自らのためだけにホワイト・マーブルを目指す私とはまるで違う。
その言葉を素直に受け止めるとしたら、私から言わせれば彼こそが人間の善い姿に見えるくらいだが。]
例えば、人と機械の違いとはなんだろう。
人が人であるための要素とは何か。
私は『感情』と考えているがこれも答えはひとつではない。
自らが人間と異なると知った時、
それでも共生を選べる者がどれぐらいいるだろうね。
[その定義は人によって異なるだろう、考えれば考えるほど奥が深い話だが。
少なくとも私は目の前の彼に、それらが備わっているように見えているわけで。
更には自らの生き様も見据えているようにも感じられるわけだ。]
思うところは当然にあるのだろうが
少なくとも私は貴方のような人を
立派な人間だと、そう言いたいね。
[彼の生き方に口を挟むなど無礼極まりないだろうが、伝えられた事にはそう返させてもらおう。
彼が特段の意図を持って操作しなければ、チェスの盤面は次第に彼の方が優勢になっていっただろうか。]*
─ いつかのスポーツジム・レットさんと ─
[さて、その日も私はペンギンさんなトレーナーの
「良いよ良いよ。キレてるよ!大腿筋が喜んでるよ!」
なんて声に乗せられて限界のギリギリまで頑張っていた。
もう無理、という声も出せない位へとへとにへばって
いつものようにペンギンさんが運んできてくれるタオルを受け取ろう──としたところで、あれ?と思ったのは人の声>>0だったから]
あ……
ありがとうございます、
[いつもお疲れ様という言葉に、自分がいつも体力切れを起こしているのを知られてるという気恥ずかしさを抱くも
差し出されたタオルと親切はありがたく受け取り。
やっと顔を見る余裕くらいの体力が戻れば、彼女もジムでよく見る人だと気付いて]
こうしてお話するのって初めてですね。
私、サンシアって言います。
タオルありがとう、助かりました。
情けない話だけど、
いつも動けなくなっちゃうから自分で取りに行けなくて。
[ペンギンさんが届けてくれるより早く渡してくれた彼女にお礼を言って、
レットと名前を教えてもらった後は、顔を見かければ話す間柄になれた。
食堂や展望施設などでも、何度か顔を合わせる機会はあったから、その度に他愛ない会話を交わせただろう*]
── キッチン>>1:246>>1:247>>1:248>>1:249 ──
そうか…ご家族とは仲が良いのかな?
[私は幼い頃から独りでいたがために家族の本来ある姿を知らない。少々手探りで言葉を返してしまうことになるのは心の中で謝っておこう。
思い出に踏み込むのではなく、思い出を分けてもらうくらいが今の私にはちょうどいいはずだ。
オーブンから漂う匂いはだんだん香ばしく、しかし私の勘違いか、一つ気になったことがあった。]
バターは使ってないのかな?私の気のせいだろうか。
[だからなんだという話だろうが、もしそうなら何かこだわりがあるのだろうかと聞いてみたくなったのだ。
彼女が空の色を考える前、一言だけ私は間に挟ませてもらっただろう。]
オズの魔法使いは、結局は自分次第だというお話だと思ってる。
脳みそが無いと欲しがるけれど、そんなものがなくても考えることのできるかかし。
心臓が無いと欲しがるけれど、既に心を持ち合わせているきこり。
勇気が無いと欲しがるけれど、十分な勇気を持っているライオン。
そして……──
「……ぁ、サンシアさん」
主人公のドロシーも、最初から行きたい場所に帰れた。
そうか。
それなら明後日は答え合わせといこう。
[否という答えに頷きを返して、オーブンの方へと振り返る。
先入観は時として邪魔になるものだと思ってはいるのだが、それでも事象を目にした後、答え合わせをするという彼女の提案に、私もまた少なからず救われた気もした。
しかし彼女の独り言を聞く私の表情が場に似合わず真剣になってしまうことは、彼女には出来れば悟られていないことを願いたい。]
[人はしばしば過ちを犯す。
例えば、物事をより正確に図るとすれば、誰が言ったかではなく、何を言ったかで判断しなければならない。
しかしそれが出来る人間が少ないことを私はよく知っている。誰が言っていたからただしい、と。そんなくだらない弁論を何度耳にしたことだろう。]
[彼女が出した答えの意図を独り言が紐解いてくれて、腑に落ちた私はそういう考え方かと一人感心をしていたのだが。
クッキーに話題が移ると思わず笑ってしまった。
彼女の言うことが確かにそうだと、思わされてしまったからだ。]
全くもって君の言う通りだな。
確かに君の言うことなら信じてしまいそうだ。
考える前に先ず食べてみればいいのにね。
[彼女の厚意に甘えてクッキーをひとつ、もらえばほのかな甘みにどこか安心感さえ覚えていた。
まさか本当に塩っぱいのかとまだ心のどこかで疑っていたのだから仕方がない。]
私が思うに、ステレオタイプは害悪だ。
それを気にしないことを強さというのなら、私は御免こうむりたいね。
まして人にその強さを求めるなど以ての外だろう。
[クッキーを堪能しながら、彼女の独り言を思い返す。
きっとこの話は解決を目指すような話ではないはずだ、が、そのレッテルという悪魔の所業は私もよく知っているせいで我が事のように考えてしまった。]
知らない事よりも、知ったかぶる方が、相手にとっては毒になるともう少し皆には知ってもらいたいところだね。
[形は細かく違えど、彼女もまた同じような苦労をしたことがあるのだというのは伝わっている。だから彼女の言っていた独り言に今更頷きながら、困ったように苦笑してみせた。
こればかりはどうにも、どう受け止めるかという話になってしまいそうだから。あまりいい話ではなさそうだ。]*
― とある日のシアタールームでのやり取り ―
俺は戦隊もののほうが好きだな。
[彼女がライダーものに出ているのはしっていたし、そのスタントマンとして活躍しているのも、サンシアほど詳しくその爆破シーンの細かいディティールを理解できていなかったが、それでも彼女の語り口調から伝わる熱と臨場感は理解できた。
ただそれはそれとして]
一人でなんもかんもするってのは大変だしな。
[協力しあって戦うものにも浪漫がある。だとか、荷を背負いあう姿ってのもいいよな。とか色々いったが、その一言に集約されるし、ライダーの良さを語られればそれも間違っていないから同意を示しはしたが、本当の意味でライダーが一人というわけではなくても、背負いこみすぎだとも思って見てしまうのだ]
まぁ俺はヒーローに救われなきゃならない存在ってわけでもない。
[アーネストが妹のように可愛がってる存在とも、共に修行をする弟子でもない。
年齢もほぼ変わらずに、背負っている影があろうとそれを踏ませないぐらいに肩の力も抜けている。]
アーネストは騒がしくて、寝てるの邪魔して、熱くクレイジーに難儀で修行好きなスタントマン。
気が合うことを喋って気遣わずに過ごして、体に悪そうなジャンクフードも一緒に食って、そんな関係なほうが、俺の我儘は叶うんだが、アーネストにとってはどうなんだろうな。
[問いをむけたアーネストはどう思うだろうか。
ただだらだらと時折あって喋っていても、特筆する関係性を築き上げるものでもなく優先しあう熱もない。だが無視しあう冷たさもなく傍にいれば自然と言葉を交わす。
一緒にいれば筋トレをしたり映画をみたり酒を飲む。そうやって過ごした間柄だと自分は思っていたためそう言うのであった。*]
[朝食を終えれば今日もスポーツジムにいく。
日課のそれも今日で最後と思えば辛くは…………やっぱり辛いんだろうが、喋っていた面々もよく集っている
あえれば挨拶なりなんなりができるだろう**]
本当だ、懐かしい。
小さなころ、読んだなぁ…
もう明後日には降りるから
借りてたものを返しに来た所なんだけど、
私もちょっと久しぶりに読みたくなっちゃうな。
[グリーディアさんの持つ本そのものでなくとも、
少年少女が冒険をする物語は今昔問わず数多にあるものだ。
先日カラントに話した通り、
船内で片付けようと予定していた仕事の目途はついたから
何か借りるのも良いかもと笑って合槌を打った*]
── スポーツジム ──
[汗を拭きながらサンシアとベンチに腰掛けつつ。>>3
連絡先を交換した後、少しからかいすぐに話題を変えた。
……もしかしたら、心のどこかで、アタイが消える未来を想定して、無意識にそんなコトを口走っていたのかもしれない。
「自分が犠牲になっても妹を助けるのだ」と。
本の話題を出せば気を使って色々言ってくれる。>>4
なら今は本の専門家の意見に従おうか]
ン、わかった。苦手だったら中断するよ。
でも面白いと思うんだけどなァー。
アタイ乙女心より漢のロマンとか分かるし。
[「いつか王子様が」より「いつかヒーローが」派だ。
まるでキノコとタケノコのような違いだが]
[サンシアが小説家になった理由。>>5
聞けばなるほど、と頷いて]
へェ!ひいじーちゃんまで小説家なンだね!
すごいじゃないか。
サンシアの血筋は物書きに向いた人が多いのかァ。
それに書くのが好きってのもイイね。
アタイはそーゆーシンプルな理由、好きだよ。
[そんなことを話していれば少しの間──]
[サンシアが話す言葉に静かに耳を傾ける。
”ヒーローは誰が救うのか?”>>6
言われてアタイは少し胸がドキリとした。
そうしてアタイもその問いに咄嗟に答えが出なかった]
それ、は………、分かンないネェ……。
そんなコト、今まで考えもしなかったからサ。
[いつもアタイは家族のヒーローであり続けていた。
だから分からない。
ヒーローを、アタイを助ける誰かの存在を。
考えても無意味だと思っていたから。
自分を救えるのは、自分だけ、
そう己を奮い立たせて今まで戦っていたから]
[続く真っすぐな言葉に、>>7
握られ包み込まれる手はサンシアの心のように温かい。
──ああ、スイッセスさんの言葉を思い出す。>>1:244
アタイは困ったように眉を下げて苦笑いする]
困ったナァ……。
この船にはどうもヒーロー候補が多すぎる。
困ってる人に手を差し伸べられる人が多すぎるンだ。
だから本当に、困った……。
[困った困った、と繰り返し、戸惑うように]
[しばしの沈黙。
それから少し戸惑うようにして──]
……そこまで言うなら、頼ってもいいかい?
辛い時、助けてって言っていいかい?
手を──……差し伸べてくれるかい?
[いつものようなヒーローのような快活な笑顔はなく、
ここにいるのは助けを求める一般市民Aのアタイだ。
だから、いつもみたいに笑えないんだ。
ごめんね、ごめんネェ……]
[包み込む手に力が込められたのが伝わる。
それが無性に嬉しくて、申し訳なくて──]
助けてくれ、ヒーロー……。
ただそばにいて手を握ってくれ。
──大丈夫だと、言ってくれ。
[そうして苦し気に弱音を吐いただろう]
[──少し落ち着けば話しただろう。
自分は孤児なのだと、
ホワイト・マーブルへは暴力男に騙された血の繋がらない妹を助けるために向かうのだと。
ぽつり、ぽつり、と。
差し伸べられた手をこちらからも握り返しながら。**]
―― とある日のシアタールーム・カラントと ――
[戦隊もののほうが好きだとカラントは言う。>>31
ならばとこちらも対抗して]
アタイはライダーもののが好きだネ!
やっぱ自分が担当してるモノはひいき目に見ちまう。
まァ、戦隊ものも好きだけどサ。
[勢いでつい対抗してしまったが、戦隊ものもアタイは好きだ。
なんかイイよね、仲間同士の絆とか。
なんて張り合っていればカラントの意見に――]
むぅー……、そりゃ大変だけどサ。
だからこそのヒーローの孤独と苦悩!
それでも戦う強さと誇りとかサぁー
[なんて拗ねたように食い下がるが、
その言葉がなんとなくアタイに向けられた気がして。
席の上で膝を抱えてむぅーっと不満そうだ。
だってズルいじゃないか。
肩の力を抜きながら飄々とコッチの立場を汲んだりしてサ。
面と向かって言い合えないじゃないか。
まァ、お互いそんな気持ちを熱くぶつける青春時代は過ぎた身だ。
これはカラントなりの配慮と距離感なのだろう]
[生意気にヒーローの救いを否定するカラント。
そうして語るアタイの話。>>32
アタイはどうかって?
そりゃァ――……。
今まで通りくだらないコト喋ったり、やったり、
気ぃ遣わずにお互いに好きなコトやってく。
んで、偶に一緒にジャンクフード食いまくって、
次の日に不摂生の分をトレーニングでチャラにした気になって……
…………。
あぁー! いちいち口にすると照れ臭いンだヨ!
今まで通りでいいンだよ! むしろそーしナ!
[行き場のない照れくささで頭を掻きむしりながら叫ぶ]
[お互いに干渉しすぎないで好きなコトをやれる距離。
それがお互いにベストだと思ってる。
つまり趣味仲間で飲み友達だ。
だが、それはそれとして譲れないコトが一つある]
アンタ、そのクロッキー帳見せなよ!
みんなけっこー見てンのにサ。
アタイだけ仲間外れみたいで悔しいんだよッ!
[ビシッとカラントのクロッキー帳を指さす。
みんなずるい!アタイだって見たかった!!]
[もしクロッキー帳を見れたなら、
うわ!アタイの100万倍ウマイとか、
めっちゃ描いてんじゃん、画家志望?とか、
風景画ばっかー、とか、これ、星雲?とか、
アンタ、無骨そうに見えて変なトコで個性光るよね、とか。
アタイとかサンシアの似顔絵はないの?
よく一緒にいたじゃん、薄情モンーとか
好き勝手に感想を述べただろう。
これがアタイのカラントとの距離感だ]
―― 最終日の朝・スポーツジム ――
[そうして最終日にジムにくればカラントに歩み寄り]
そーいやカラント、連絡先交換してなかったよネ?
船を降りた後もまた会えたら酒飲み仲間がいないと寂しいんだ。
アタイのスタント作品の宣伝もしてやっからサ。
交換しといてくれよ。
さァ! さァ! Hurry Hurry!
[ずいっと端末を差し出し連絡先を交換する気満々だ。**]
─ スポーツジム ─
うん。
私も、頑張って書いたから
面白いって思ってもらえたら嬉しいなぁ。
[過去に出してきたものはともかく、
『宙色の鍵』は主人公と同じ世代から読んでも楽しめるように
意識して書いたものだから、面白いと思ってもらえた方が良い。
アーネスト>>36に同意しながら、
自分が小説家になった理由も続けて話し]
んー、どうかなぁ。
私以外の家族が書いてるのは見た事無かったから
血筋かどうかはよくわかんないや。
[彼女の反応に返した答え>>37は、曖昧なものになった。
仮に他の家族も物書きであったなら、離れることも無かったかもしれない。
家族の中で自身が異端だったとは言葉に出さないまま]
最初はひいおじいちゃんのお陰で、ってよく言われたけど
実際ひ孫って話題性が無かったら注目してもらなかっただろうし
話題性がある内に沢山書かせてもらえたお陰で
今こうして自分の好きなことさせて貰えてるからね。
[噓無く自分の好きなことをしているのだと笑って答えた後
アーネストがつい先程流した話を引き戻したのだが、
ヒーローは誰が救うのか。
私が出した疑問は、アーネストからも分からないという答えが返った>>38。
重ねて続けた私の言葉に、
今まで私に見せてきた快活な笑みとは違う困惑が表に出て、
困ったな、と眉を下げて笑う顔は、初めて見るもので>>39。
彼女の手を自分の両手で包み込んだまま、
いままできっと笑顔に隠されていた、その言葉>>40を聞いて]
[そうして落ち着いた彼女から話された事情、
彼女と同じ孤児である、妹を助けるためにこの船に乗ったこと。
その話を、手を握りあったままに聞いて]
…アーネストさん。
助けてって手紙を受け取って、
すぐにこの船に乗ることを決めたんだよね?
じゃあ、少しでも早く妹さんの所在を確認しよう。
そういうこと調べてくれる人、私の担当さんに伝手を頼めるから。
それで妹さんの今の状況を把握した上で、保護に動こう。
悠長な手に思えるかもしれないけど、私はこれが最善だと思う。
[聞いた事情から私が提案したのは、
アーネストさんが直接動くことは少ないだろう方法。
彼女はどんな顔をして聞いていたか、
私はそれから目を反らさぬまま、まっすぐ見つめて]
…妹さんが助けを求めたのは、
おねえちゃんっていうヒーローでしょう?
どんな屑でも一般市民に手を挙げたら、
それはヒーローじゃなく犯罪者になっちゃう。
どれだけ腸が煮えくり返っても、
相手の男と、暴力野郎と同じ土俵に立たないで。
妹さんのヒーローで、いてあげて。
[アーネストが妹を弄んだ男のことを殴るつもりでいたと話の中で聞けたか。
聞いていなくても、一人で助けに行くつもりでいたなら、
きっと彼女は殴り込みでもしようと考えていたのだろうとは推測出来たから。
妹さんが救いを求めたヒーローを貫く為に堪えて欲しいと願い、言葉を重ねた**]
── スポーツジム ──
[本の話やサンシアの血筋の話。>>50
頷きながら]
まァ、実際のトコアタイは血筋とか分かンないし。
やっぱサンシアの努力じゃないかネェ。
[曖昧な答えが返れば家族を持たない自分には分からない苦労など汲めるはずもなく、少し悩みつつ。
「やはり最後は自分の努力」、と。
孤児でここまで這い上がった自分の根性論しか出ないのであった。
色々な苦労はあるが好きな仕事ができるコトはきっと幸せなのだろう、と。
サンシアの話>>51に笑みを返す]
[それから真っすぐな言葉を聞けば戸惑う心。>>52
包み込まれた手の温かさに、言葉に、救われた気がした]
ああ、あンがとう。
サンシアは本当にいい子だ。
こうして出会えて本当によかったよ。
本当に……。
[苦痛に満ちていただけだった顔に穏やかな笑みが浮かぶ]
[そうして落ち着いたアタイは自分の身の上と目的を打ち明ける。
するとサンシアが示してくれた解決案。>>53
学のないアタイには思い浮かばなかった案。
でも対処を人任せにして自分は待つだけなんて、と。
戸惑うように目を泳がせていれば真っすぐ見つめる目に促されるように見つめ返し──]
………、ダメなのかい? グーパン……。
まァ、薄々そんな気はしてたけどさァ……。
一発。せめて一発だけでも……、ダメ?
そっかァー……。
[がっくりと項垂れる脳筋。
だが、サンシアの言葉はもっともだ。>>54
一般人に暴力を振るうのは犯罪。
そうなれば妹を救うどころか地球に残してきた弟妹たちまで悲しませてしまう。それは絶対にダメだ!]
[サンシアの言葉で暴力に任せた救出は諦めるコトにした。
だとするなら、
学のないアタシに出来るコトと言えば──]
さっき言ってた「保護」ってヤツさ。
ソレに頼ってもいいかな……?
最後に届いた手紙の住所は今から教えるから。
アタイ、ホンットーに学がなくてサ。
実はこれが最善だって今もまだよく分かってないンだけど。
でも、暴力はよくないよな。
アタイはあの子のヒーローでいてやンなきゃ。
だから、だから──……
[迷いながら、それでも信じたいと思うのだ。
「助ける」>>52と言ってくれたサンシアを]
[アタイは深々と頭を下げて]
妹のコト、サンシアの担当さんのツテに任せるよ。
[そして顔を上げ、
戸惑いながらもサンシアを見つめ]
……思えば、初めてだな。
誰かに助けてって言ったり、頼ったり、
でも、信じて待つコトにするよ。
世の中には優しくて頼れる人がいるコト。
この船の人たちに教えてもらったから。
[まだこの先の不安が完全に消えたワケではないが。
それでも肩の荷がおりたような、穏やかな顔で微笑んで見せる。**]
――展望施設(過去軸)――
[ツァリーヌとの会話中、私はカラントの姿を視界の隅に捉えた。>>1:335雪国星雲を眺めに来たのだろうか。彼は、ツァリーヌと見知りであろうか。
もし彼が此方に歩み寄ってきて自分なりツァリーヌなりに話しかけるようであれば、三人で会話を愉しむもの吝かではない。
しかし、カラントはいつものようにクロッキー帳を開いた。ホワイト・マーブル到着まで後僅かであるから、彼もきっと心残りなくスケッチがしたいのだろう。
羊たちが彼に描かれたらどんなもこもこ具合を醸し出すかと興味惹かれたが、
私もツァリーヌに倣い小さく会釈だけをカラントに送って>>1:350、目の前の紳士と会話を続けた。]
成程、貴方は「未知への世界の扉を開かれては困る大人」
の行動原理は理解出来た、と。>>1:334
物語の中で彼らは主人公の少年に立ちはだかる存在ですが、
別に悪者として描かれていないのは面白い点ですよね。
見方によっては、主人公の少年のしている行動はとても無謀であり、
未知を暴くのは本当に良い事かと考えさせられる物語構成は
秀逸の一言でした。
[人は相手を理解する際に自分を基準とする。自分と異なる考え、思想を持つ者は中々に紐解きにくいものだ。それを補うためには「相手の立場に立ってみて考える」という想像力と配慮が必要になるが、これは言うほど簡単ではない。
特に、彼のように理屈で物を考えるタイプにとって明確な目的がなかったり、唐突だったり、法則性に乏しい子供の思考は読みにくいものなのだろう。
きっと彼はヘニーデ姫の脳内を覗いたら目を白黒させるタイプだ。]>>1:350
[彼が私と会話しつつ紐解きたいと思っているのは「子供の心」という、彼にとっての最大の難解、ある意味の「未知なるもの」なのだろうか?
心の紐解きに興味が湧くなら当然、そのメカニズムも知りたくなるだろう。
レットが抱えたもやもやをきっかけに恋の仕組みを知りたいと願ったように。>>1:155
それで彼は私に問うているのでは。
だから、この質問は決して無遠慮なものではないのだ、恐らく。
マイケルは気味悪いという理由でそれを問うたが、彼の場合は純粋な疑問と真実への探求心においての問いなのだ、きっと。
物腰の静かな紳士は私の脳内に鎮座ましましているCPUよりも回転が速いのではと思うほどの頭脳をくるくると回して、あっという間に自身の疑問に一つの解を導き出す。それは恐らくまだ紐のはじっこでしかない。しかし、彼がそれを掴んだのはその様子から確実に見てとれた。]
そうですね。実際がどうであるか、
より思い込んでしまう方が強いというのは実験の結果でも
沢山証明されています。
水の入ったやかんを人にぶつけると、
人は「お湯がかかった」と誤認して。
思い込んで、結果肌に火傷の痕が浮かんだりするそうです。
吊り橋効果も然りですね。
[といっても「思い込むのが共感への一歩」と知ってしまえば、意識してしまえばむしろ「思い込むにくくなる」のが人かもしれない。
「何も考えないようにしよう!」としても頭に何かが浮かんでしまうように。
それでも強い精神力があればきっと「思い込み」という手段は共感と理解へ繋がる鍵となるのではないか。
そう「未知への世界の扉を開く宙色の鍵」に。>>1:334]
[彼はもしかしたら今まで、他人とのコミュニケーションに色々と思い悩んでいたのかもしれない。
とても生真面目な人である。わからないことがあればずっと考え、それを解消しようと努めてたりするタイプと見受ける。
子供やそれに準ずる思考や行動をする相手は、彼にとってきっととても難解であったはずで…。
仕事という無機質に向き合うなら彼の手腕は遺憾なく発揮されるのだろうが、人間の心という、感情に支配された非理論的なものに対峙する度に戸惑う彼の姿が想像できる。
なんて不器用で、そして。
なんて愛くるしい人であろうか。
立派な男性である彼にそんな言葉は喜ばれないかもだが、私はそう思って目を細めた。]
[立派な男性である彼にそんな言葉は喜ばれないかもだが、私はそう思って目を細めた。
きっと、彼のように想いを簡単には曝け出さない人間は、相手によっては「気難しい」とか「何を考えているかわからないから怖い」と思われる事もあるだろう。
その上に思考が恐ろしく早くて的確な指摘をしてくるので、もし彼と敵対する関係の者がいるなら脅威を感じてもおかしくはない。
実際、「意見があるなら言うように」と言われた瞬間、私は悪戯を教師に見抜かれた生徒のようにびくりと身体を震わせた。その震えが背中から首までに到達するまでの数秒間、脳内劇場では三人のヒーローの活躍を描いた威風堂々に波乱万丈で七転八倒にて焼肉定食な痛快冒険活劇が華々しいフィナーレを迎えていた。>>1:362
[──船は脆くも崩壊し、波の中へと飲み込まれていく。
それを救命ボートの上から見つめる三人と子供たち。
悪の七味、いや小粒でぴりりではない一味の魔の手から、
囚われていた子供たちはヒーローの活躍により無事解放された。
『ありがとう、お姉ちゃん!おじいちゃん!…それと、あの。』
フルフェイスヒーローとカフェマスターはあっという間に子供たちに揉みくちゃにされる。しかし、スーツ紳士だけはその近寄りがたい雰囲気にぽつん、としていた。彼だってヒーローなのに。
だがそこへ歩み寄る一人の少年。おずおずとした様子であるが、微笑んで。
スーツ紳士の袖をそっと小さな手で握る。
『おじ、さんも…助けてくれて、ありがとう。』]
[大人は子供よりも色々な知識を持っているし、沢山の事を知っている。
でも、そんな余計なものを持たない子供の方が、物事を素直に読み解いたりすることはままあることだ。
スーツ紳士の奥に眠る優しさを見抜いた少年は、ヒーローを見上げながら目一杯の笑みを浮かべて。
その温かな手が自身の頭を撫でてくれるのを信じて待つのであった──。fin]
それは一つの解であると思います。
貴方自身が辿り着いた、見つけたものですから。
万人の正解とは違うかもしれなくとも、
また同じであるかもしれなくても、
貴方の前に立ちはだかる扉を、
貴方が開くことに意味があるでしょう。
…お子さんと、いっぱい遊んでみて下さい。
一緒に時間を過ごして上げてください。
それだけできっと。
沢山たくさん悩んだ貴方の疑問はきっと。
霧のように晴れるんじゃないかなと…
思いますよ。
[きっと彼は「諦めない」
ヒーローのように。
映画の主人公のように。
私はそう確信しているからこそ、言に力を込める事が出来た。*]
― 展望室 ―
あれが、ホワイト・マーブルか
壮観だな
[最終日、今日は昨日読んだ1冊を返却し、読み切れなかったもう1冊をお供として持ち歩いている。
適当に読み始めたシリーズだが、今はさすがに作者の名前も覚えている。
アレクサンド・ロメロ。
どう考えてもこの船の中にいる間では「冒険」シリーズは読み切れないことが判明したためメモしたのだ。
これでこの旅程後もシリーズを読むことができる。
電子書籍なんか…と思っていたが、「冒険」シリーズのためなら導入するのもやぶさかではない。
そしていつものように訪れた展望室。
さすがに今日はいつもより人影が多い。
皆の目的は、厚いガラスの向こうの惑星の姿だ。
もう、遠目ながら表面の雲や大陸の様子までが見える。
全体にクリーム色のように白く見える星、しかしその惑星の陸地や海は地球と異なる形ながら地球と同様に存在しているのだ。]
…
[ふっと、いつもの隅っこの席にも着かず、踵を返した。
毒づく言葉ばかりが出てきそうだったのだ。
今日はバーにでも引きこもろうか。
バーからも星空が見えるとはいえ、訪れる客は酒が第一の目的だろう。
ここのどこか期待に満ちた雰囲気とは違う雰囲気に違いない。] **
ー 白黒の遊戯>>16>>17>>18>>19>>20>>21 ー
[意図したとおり、青年は弱き
男は、この構図を興味深く見つめる。
彼の理論は非常に難解だが、その一方で根拠となる事象が存在する。この返答はその証左。男の意図を読み取ることもできる辺り、この『対話』を楽しむだけの理解力もある
根拠なく暴走する『子供』とはわけが違うというわけだ
通常の人間とは違う観点を持ち、そしてそれに対する理解力の速さや独自の理論を展開する能力]
勲章とは威光。威光とは威圧。
ひけらかしたいものは、単に衰えた自分自身に恐怖しているに過ぎない。愚か者は常に、自らが劣る事実から目をそらそうとする。
優れたるものを貶めて、理解できないものを劣るものと定義する。
…実に惜しいな
君が君の研究に飽きてしまう前に出会えたなら良かった
[そして駒は進み続ける。
互いの会話は、続く。]
[青年の研究の内容にも、男は耳を傾けた]
宇宙ひも理論の一種に近いのかな?
技術の問題を理論で解決できるのが一番だが
その理論について来れる人間はそうそういるまい。
実に惜しいな。研究会の一つでも紹介してやりたかった
対話レベルの違うものと話をするのには苦労するだろうな
[というのは本音。そして研究への感想は]
流石にパスタ状になって病院にいくのは少々困るな。
妻を驚かせてしま…
……
…………
……………………
いや、どうだろう…
存外面白がってしまうかもしれないな…
あいつの笑いのツボはよくわからん
[と、ひものままなのはちょっと。という気持ちとおもしろがられるのではという懸念をぽろり。こんなところで見えてきてしまう妻の器の広さ。堅物男がなぜ捕まえられたのかわからない逸材である]
[その後もチェスはしばらく続き、様々な世間話をしただろう。
その問答の中でも、この男は幾何学的で理論的な言葉を
あえてほんの少し崩して話す。
言葉の表現一つで、人との話しやすさはかわる。
…
……
………
そして感じる。『失われるには惜しい知能だ』と]
……チェックメイト
[しかして、これにて。舞台は幕を閉じる]
ありがとう。楽しい『
実に惜しいな。この旅が終われば
君とこうしてまた話ができなくなるのは
私の話について来れるやつも
そうそういるわけではないからね
[男は青年にそう伝える。
この機械的な男のどこに心があるかは不明だが、
少なくとも彼の脳髄は青年との対話に満足した様子だった]
……
…………
ああそうだ。これも渡しておこう
[そう告げて、テーブルの端に添えたのは
先程渡した名刺とはまた違うカード。
真っ白な紙面に、1行だけ、連絡先が記載されている
それは男個人の連絡先。
気に入った相手にだけ渡す秘密のカード]
…また会おう。
君の奏でる言葉は、とても心地よかった
[別れはさらりとしたもの。
男はそのまま、笑いかけることもなく
遊戯室を去っていく。
しかして遺されたそのカードは、
君のことを気に入ったものがここにいると
…ゲームの間の一時の、居場所くらいは作れると
青年との別れを名残惜しんでいただろう**]
―― ショッピングモール ――
[ジムでカラントにウザ絡みをした後。
アタイは愛弟子へのプレゼントを買いにショッピングモールにやって来ていた。
愛弟子の体形に合うとセレクトしたトレーニングウェア一式!
まず最初の一着。
シックな黒に赤いラインを入れたヒーロースーツっぽいの、
こういうのは自分がカッコイイと思うモノを贈ったほうがいいはず、と選んだもの。
それともう一着。
清潔感ある白にセーラー服風のパーカーと青いラインの黒と真逆のチョイス。
もし黒がダメだった時のための保険のような白選択だったが、これが吉と出るか凶と出るか、愛弟子のみぞ知る。
とりあえず二着ほど選んで、プレゼント用に真っ赤な包装紙に黄色いリボンで飾り付けてもらおうか]
[愛弟子は好きな服の好みを聞いてもきっと上手く答えられないだろう、とは普段からの愛弟子を見ての師匠の判断だ。
なので、色々な服を贈って「好き」を探してもらおうという狙い。
それからランニングシューズも買おう、と思ったが。
よく考えればアタイは愛弟子の靴のサイズを知らない。
昨日の夜に思い立っての行動だからとはいえ、計画性がなさすぎる。
まァ、妹を助けるためとはいえ一般人をグーパンして救出しようなんて行き当たりばったりなコトを考える残念な脳筋だ。
しょうがない、シューズ以外の普段着を一着贈ろう、と。
「押忍!」と書かれたTシャツを一着。
トレーニングウェアと共に贈ろうか。
気に入らなければ部屋着として機能してくれる、はず。(?)]
……そーだよな、ここに悪党はいない。
少しくらいヒーローを休んでも、いいはずサ。
うん……、アタイも久しぶりに服を買ってみるかァ。
[ふっと軽く口元に笑みを浮かべてみたものの。
自分の壊滅的なファッションセンスで選べる服といえば――]
……あ、あった。
[それは店頭のマネキンが着こなす白のサマードレス。
嬉しいコトに足元には白のサンダルまで揃えてある。
これならセンスに関係なく一着着るだけでサマになる。
それに店頭のマネキンの着こなす服を見て一式買うだけなら自分にもできるはず、だ。(たぶん)]
[そう決意して店に入り試着を済ませれば、鏡に映るのは清楚な身なりの一般客だ。
ちょっと背丈が高いコトを除けばなかなかの着こなし!
自画自賛し己を鼓舞してみるが、
まだ自分のセンスの壊滅具合と無計画さから半信半疑。
だが、きっと似合うと自分に言い聞かせていつものライダースーツを脱ぎ捨てゴーグルを外しサマードレスに白いサンダル姿で店を出る]
……うん、きっと大丈夫。
じゃあ他にも移住先で着れる服を見繕おう。
[普段と違い素早くキックを繰り出せない足元に不安を覚えつつ、
それでも移住先でも着れる一般の服をマネキンの服コピー作戦でサクサクと買い揃えていく]
[かくしてアタイはショッピングモールを慣れないサマードレス姿に紙袋を何点か持って歩いていくのであった。
知り合いに会って自分の変身を見てもらいたいような、
やっぱり恥ずかしいから見てほしくないような、
そんな複雑な胸中のまま。
束の間のヒーローの休息を楽しむコトにする。**]
――食堂(船旅最終日)――
[明日には宇宙船「リベルテ」はホワイト・マーブルに到着し、宇宙港への入港を果たす。私はいくつかの事を済ませると普段通り食堂に向かった。
妻ドロシーと過ごす際も、臨終間際になろうと私はこの「普段通り」を大切にした。残り少ない時間に出来る事ややりたい事もある。やるべき事も。でもだからと、毎日日課や生活を疎かにするのも違う。
ドロシーはベッドから、私が珈琲を淹れる姿をじっと見ていた。
彼女はもう珈琲が喉を通る状態ではなかったが、その香りを愉しむことはまだ出来たから。
そんなことを思い出しながら私は食堂のカウンターに立つ。今日も誰かが来てくれるだろうかと心待ちにしつつ、その間に換気扇などの掃除出来る部分をせっせと磨く。お掃除役のアンドロイドペンギンと共に。]
[もう彼と私の間ではこうしたやり取りはお約束。珈琲を頼まない事を一瞬訝しむも、彼の注文通りサンドイッチを用意する。
私が作ったのは、ボリュームを愛する彼にぴったりの焼肉サンドイッチだ。
醤油だれに漬け込んだ牛肉を香ばしく焼いて瑞々しいレタスと一緒に挟む。
七味入りのマヨネーズにて仕上げた一品。]
ええ。貴方のコーチのお蔭ですね。
ホワイト・マーブルでは恐らく
板前デビューを果たすでしょう。
[カフェマスターも捨てがたいが、鉢巻を巻いて「へいらっしゃい!」と威勢いい声をあげるのも悪くない。私の就職先はまだ決まっていないからの呑気な言だ。
そして、私は彼の冗談がとても好きだからそれはそれは嬉しそうに返した。
サンドイッチにはミネラルウォーターを添える。そして使った道具を磨きつつ、私は彼の話に耳を傾けた、興味深く。]>>9
…仰る通りですね。
変えようと思わなくとも人は、
加齢によっても容姿が変わりますし、
外見を服装やお化粧まで広げればそれこそ
無限大に変幻自在、千変万化です。
しかし、それは同一である…
[頂いた言葉の一つ一つを噛み締める。とても深く味わい深い。彼は私のサンドイッチを食べて、私は彼の言葉を食べている。以前アーネストが話していたテセウスの船の話を思い出した。>>1:70
続く彼の言葉は、どうやらこの船内における体験から考えたもののようである。
彼は大柄で運動にも長けるが、スケッチをするなど繊細な部分や芸術性も持ち合わせつつ、ジョークもうまくて頭も冴えるという万能選手だ。
つまり、今まで彼が人物画を描かないのにはきちんと考えられた理由があって、それを今話題に持ち出すという事はすなわち、そこに変化が生まれた、という事を示す。]
…ええ、ええ。
私はドロシーを偲ぶために、彼女が亡くなった後も
珈琲を淹れ続けました。
彼女の愛したものだから。
そうですね、そう…
[その言葉だけで、私はこんなにも嬉しかったのに。
彼はどうも更なる贈り物をくれるらしい。しかもそれを「返せるもの」などと。
私が事情を話すのをまるで頂き物のように言う彼。
胸がきゅっと締め付けられて熱くなるのを感じた。
そこに心臓なんかなくとも。想いが、そこに。]
……私の姿を。
いいのですか、貴重な貴方のお手間を、
貴方が筆を走らせるお時間を頂いても。
[スイッセスの人生にも、写真ならばあるが人に絵を描いて貰うという経験はなかった。彼の絵は、そのひと筆ひと筆に心を込めたものである。
何度もクロッキー帳を見せて貰ったのだから知っている。
何度も彼が熱心に絵を描いている姿をこの一か月に見ていたのだから、知っている。
そんなに素晴らしいものを、私は貰っていいのだろうか。
…答えは勿論。]
後ろ姿でいいのですか。
あのう、髪は乱れてませんかね。
エプロンは曲がっていないでしょうか…。
[アンドロイドである私の身支度にそういう隙がないかといえば、人間らしく設計されているが故、むしろある時はあるのだ。
だから背中を気にしつつくカウンター内でくるくるしてしまった。そんな様子は彼にどんな風に見えただろうか。
いつものように濃いエスプレッソを彼に用意する。
モデルになるなんてドキドキしたけれど、私はちゃんと真っ直ぐな姿勢の後ろ姿を彼に見せる事が出来たであろう。(アンドロイドだもの… スイお)
彼の絵が完成するのはいつか。それを受け取った時、私が心からの礼を言うのは間違いない。
私が変わってしまっても、消去の具合によってはこの船内の事すら忘れてしまうけれど。
紙に焼き付けて貰えたら、ずっとずっと残る。
アーネストのサインに続いて私の宝物がまた一つ増えるようだ。]>>10
――スイッセスの手記4――
[ドロシーの葬儀は息子のマイケルやその家族を待たず私が執り行う事になった。
ホワイト・マーブルと地球はワープを繰り返す宇宙船でも一か月の距離である。
遺体を冷凍保存するというやり方をドロシーが望まなかったので、これは仕方のない事であった。
本来の喪主はマイケルであり私ではないが、私はドロシーの遺影を胸に抱き、棺に眠る彼女の肉体にお別れの挨拶をして額に口づけを落とした。
マイケルにはドロシーが契約していた弁護士から遺言状の内容が告げられた。私はその内容を見るのが叶わなかったが、その中にはハッキリと私を破棄しないことが述べられていたようである。また、マイケルの元に渡る際の渡航費も遺産から出すようにと。]
[私の処遇については、次の所有者であるマイケルに委ねるともあった。
ドロシーとしては、私の破棄は論外として記憶だって消して欲しくはなかっただろう。しかし、息子の複雑な気持ちだって母親として理解していたから、そこまでの我儘は書かなかったのかもしれない。
私はマイケルからその内容を告げられて、ドロシーの遺品を持ってホワイト・マーブルに来るようにと命じられた。
貨物としてではなく乗客として乗るようにとも。
私の現所有者はマイケルとなった。もうドロシーは生きていないので、彼は私をどう扱っても文句は言われない。父親を模した彼視点の「偽物」である私を彼は快く思っていない。私も彼の立場なら同じように思ったかもしれないし、それは仕方のないことで…
私はホワイト・マーブルに着いた後自分がどうなるかに対して天にも祈るような気持ちだったのだが。]
[マイケルの意向は、私の記憶を消去し新しい仕事に就くように、というものであった。
私はそれを電子メールにて一方的に通告されたが、彼に逆らう意思など毛頭なかったし、むしろ渡航の間にドロシーを偲ぶ時間がある事を喜んだ。
彼女との、最初で最後の宇宙旅行。
ドロシーはまだ私の胸の中にいる。
これで、サヨナラだ。
それでも……船を下りて記憶を消去されるまで。
私は彼女に、その思い出に連れ添うであろう。]
…家族とは
仲、とてもよかったです。
[わたしは過去形で言いました。過去形なことに触れられたのなら「今はこうしてひとりですけど」と手を広げて見せたでしょう。同行者はいません。
そうしてバターの話になり、空の話になりました。それからステレオタイプの話になりました。たくさんの話をするうちに、クッキーはほどよい温度になりました。]
……そうですね。皆が。そう思ってくれたらいいのですけど。
[>>30誰かの言ったことを気にしないのは、強さではない、と彼が言ってくれたので、わたしは少し心が落ち着きます。
…人の言うことを、気にする性格になってしまったのは、そうですね。第三者の声に晒されて生きてきたから。だからそう、だれかが「そう言った」ことは、わたしの気持ちに多少なりと影響し続けています。…今も。]
…地球の人は、…いえ。わたしの住んでいる国や街の人、だったのかもしれませんが、そういうタイプの人が多かったように思います。
それこそ大衆的な地球人のステレオタイプというのがあって、それに固執しながら何千年もひとつの星の上で閉鎖的に暮らしてきたから、なのでしょうか。
…ホワイト・マーブルでは、たくさんの星のひとがあつまるのですから、もう少し、暮らしやすいところだといいなあ、って。
わたしにとっても、…コラーダさんにとっても。
……いい旅に、なるといいですね。
[そういってもうひと口、クッキーを貰いましょうか。 *]
─昨日・庭園にて─
[彼のちいさな友人に気付かなかったのは幸いだったのかもしれません。>>60 気づいていたら小さく声を上げてしまったように思いますから。
でも結果的に彼が目を覚ましたのは変わらなかったようで、目が合えば会釈をしました。ちらりと見ていたことがバレてしまったようで恥ずかしく、右や左に目を泳がせてから、取り繕うように笑います。]
…あ、はい、そうですね。
…ここにいると、宇宙空間にいるというのが嘘みたい。ほんと、…えと、そんな感じでお昼寝するのにも、すごくいい風景で。
[目が一度ビールの缶の上を滑ります。酔っ払いだとかは全然思ってないのですが、自分がビールを飲まない故に、「ビールを飲むのにちょうどいい景色」なのかどうかはわからなかったのです。]
…ときどきお見かけしてました。
よく本を読まれていらっしゃいますよね。
[わたしもよく本を読みます。でもわたしは知りません、この船に、好きな小説家さんが乗っていることを。目の前の相手が読んでいる「冒険」の本は、誰が書いたものだったでしょうか]
…ホワイト・マーブルにはあるのかな、紙の本。
図書館、図書室、本屋さん。
もうあんまりなくなっちゃいましたが、紙で読むのも、やっぱり好きなんです。
[もしも相手もそうだと分かれば、同じですねと目を輝かせたかもしれないけれど]
…でも引っ越しにあたって、コレしか持ってきてなくて。
[手元にあるのは子供向けの絵本。残る本は、地元の図書館に寄贈してきてしまいました。
だからもし、ホワイト・マーブルで新たな書棚を作るなら、これが最初の一冊になるんです。わたしはそう言いながら笑うでしょうか。 **]
――食堂に向かう前にスイッセスがした幾つかの一つ――
[珈琲を淹れる際、私は地球から持参した豆を利用していた。その日により数種類をブレンドして飲みに来る方に出していたから、いつも違った香りや味わいを愉しんで頂けたはずである。
その大事な豆を私は綺麗な麻の袋に入れて紐で閉じる。麻の袋は通気性がよく、見た目もお洒落だからプレゼントにぴったりだ。
花柄模様の便箋に手紙もしたため添えると、それを従業員であるペンギンアンドロイド(※ペンギンっぽいフォルムなのか、まんまペンギンなのか。それが問題であり問題でもない。とにかくかわいい。)に手渡す。ある乗客に届けてほしいと。
ほどなくして、船内のどこかにいるアーネストにそれは届いたであろう。
手紙の内容はこうだ。]
『アーネストさんへ。
珈琲を淹れ始めた貴方にこの豆を。
美味しく飲んで下さいね。>>1:268
おじーちゃんより。』]*
─最終日─
[最終日も変わらぬ一日を過ごします。
朝起きて、ご飯を食べて。本を読んで。お昼を取って。
それからふらりとお店などを見て回ります。
お土産を買う相手もいなければ、旅の荷物を増やすつもりもないのですが、そうですね、今まで余り見て回らなかった、というのもあって、最後の機会でしたから。
ふと小物屋の店先で足を止めて、わたしはお土産品に目を奪われました。
淡いブルーのハンカチに、白い花の刺繍が施されています。ひとつひとつ人間の手で縫ったものなんですよと店主は教えてくれました。
…いえ、わたしが見ているのはハンカチの精巧さとか、人間の手を介した珍しさではないのです。
それは白くて小さい花でした。わたしはその花の名前をよく知っています。
………………ジャスミン。わたしが遺してきた、わたしの、名前。>>0:37 **]
ー展望施設(過去軸)ー
[
男が抱く無機質なそれよりはるかに豊かな感性で述べられる>>62>>64
老紳士の増える瞬きの数は、興奮を。
そしてこの男の増える瞬きの数は思考と困惑を意味する。
細い細い正解の糸を手繰り寄せるために、
男は思考を繰り返す。
共感性の乏しい男が、
なんとか世界との調和を求め、
自らの思考を理論に落とし込む>>63>>65
本人は努力とさえ思っていないその無限にも等しい思考アップグレードの数々は、理解し得ない人の心を反応をもとになんとか理解し、把握し、掌握し、人間らしいコミュニケーションの礎となっている。
…まさかそれを、愛くるしいとさえ思うものがいるとは微塵にも思っていなかった]
…………
……………………
私の前に立ちはだかる扉、か
[老紳士は男の思考を肯定する。
そして、男の苦悩をも肯定する。
…その手の中に鍵があることを。
彼がその扉を開けるときを待っていることを。
無機質な、彼の中にも
心があることを、肯定する。]
…小説の影響を受けすぎだぞ、”スイッセス"
私は、あの物語のように綺麗な人間ではない。
あまり夢を見てくれるな。
[男は、"隣人"の名を呼んだ。
それは、彼の言葉は受け入れるべきものと…
心を抱く、人間と変わらないと認めた証左。
口では否定形ではあるが…老紳士の肯定を、
受け入れたいと考えている"心"の現れ]
……そうだな。
これまでは、仕事を優先してばかりで
あまりに妻にも負担をかけていた
…………解析の時間はいくらでもある。
……
…
[男は席を立ち上がる。
そして、そのまま、老紳士の横を通り過ぎて、出口の方へと向かっていく。]
…時間を取ったな。
お前に残された時間はそう多くもないだろう。
惜しいものだ、
お前のオリジナルが亡くなっているのも
お前の思考が喪われるのも。
参考にしたい点は多数あったというのに。
[と、彼の存在が喪われることを悼む言葉と。
彼のアドバイスを受け入れ、参考にするという意思表示を残して。]
お前の主が、多少なりとも
有情な対応をしてくれることを祈るよ。
[男は展望施設を去っていく。
扉を開くための『一歩』をどこかで踏みしめるように**]
―― ショッピングモール ――
[モール内を歩いていると近付いてくるペンギンアンドロイド。>>104
(アタイには可愛いペンギンに見える。
え、フォルム?ペンギンはペンギンさァね。んで超可愛い)
どうやらアタイに届け物があるようだ。
オシャレな麻袋に花模様の便箋が一枚添えられている。
なんだろう?誰からだろう?
そう思いながら便箋の中の手紙を取り出し目を通す。
そこに書かれていたのは――……]
スイッセス、おじーちゃん……。
[手紙の温かい内容にまた涙があふれた。
慌てて腕で拭って大事な手紙を濡らさないようにして]
[キレイな麻袋の紐を解き中を見れば珈琲豆が入っていた。
香ばしい香りがスイッセスさんと過ごした日々を思い出させてくれる。
こんなに大事なもの砕いて飲めない!!!
思わずそう叫んでしまいそうになるが堪えて。
「美味しく飲んで」というスイッセスさんの意思を尊重しなければとも強く思うのだ。
だから、だから――]
ペンギンさん!ちょ、ちょっと待ってて!!
[ペンギンアンドロイドにその場に待機するようお願いして、
大慌てで近くの文具店で雪国惑星のプリントがされた絵葉書とペンを買ってきて返事をしたためるのだ]
[少し動揺していたのでやや筆圧が強く絵葉書の裏まで筆跡の跡がついてしまった絵葉書。
そこには力強い筆跡でこう書くのだ。
『ありがとう、おじーちゃん。
ビューと一緒に仲良く飲みます。
でも思い出に一粒だけ豆を残させてください。
麻袋と一緒にいつまでも大事に持っています。
アーネストより。』
ビューを必ず助けて平和に暮らすという決意と共に。
せめて一粒だけでも。
形ある思い出の数を増やしておきたかったから。
絵葉書をペンギンアンドロイドにスイッセスさん宛てに託すと、アタイはしばしその後姿を見守っていた。
掌の中の手紙と麻袋を大事に握りしめながら。**]
失礼。
なにかお探しかな?
…私も、家族への手土産を考えていたところだが
随分とこの船が名残惜しくてね…
迷ってしまっていたんだ
よろしければ、お土産選びの参考にさせていただけないだろうか
[柔和にレディに声をかける。
それは、そのような話し方のほうが女性を威圧しなくていいという分析の結果なのだが…普段の淡々とした話し方との差に、もし近くに知り合いがいたら驚かれたかもしれない。
もしよかったら、ともに店を見ませんか?
そのように彼は女性を誘うが…はてさて反応はいかがだろうか**]
―― 愛弟子レットへの贈り物 ――
[ショッピングモールのカフェの一角にて。
ペンギンアンドロイドにレット宛ての贈り物を頼む。
それは先程の買い物の品。>>82>>83
流れ星が描かれた便箋に手紙をしたためよう。
今度は筆圧を調整して一文字ずつ丁寧に書いた文字。
『大切なアタイの愛弟子へ。
今日まで熱心にトレーニングを続けてエライよ。
旅立つ愛弟子を見送るのは寂しいけど
これからもトレーニングを続けてくれると嬉しい。
これはアタイが選んだウェアだよ。
センスが皆無だから気に入らなかったらごめん。
その時は部屋着にでもしておくれ!
アーネスト師匠より』]
[追加で紙がもう一枚。
『PS.
一応ここにアタイへの連絡先を書いておくね。
何か困ったコトがあったら遠慮なく相談するんだよ?
(注*ただし恋愛相談以外で)』
手紙の最後に自分の連絡先を添えて、
せっかく出来た初めての弟子だ。
何か困ったコトがあれば手を差し伸べたいと思うのだ。
(ただし恋愛以外で)]
[そうして手紙をペンギンアンドロイドに託して後姿を見送れば、
自分の手荷物も別のアンドロイドに運搬してもらうよう頼み]
あ、コレはアタイが自分で持って帰るからいいよ。
[スイッセスさんからもらった大事な贈り物。>>104
それは自分で丁重に扱いたかったから手ごろな大きさの紙袋に大切にしまっておこう。
そうして身軽になった両腕をぐいっと伸ばしてカフェで小休憩。**]
── ?? ──
電子端末は今日も鳴り続けている。
いい加減、中身を見ないといけないとは思っているけれど、
視線は向く癖に手は伸びないでいる。
一件、ぽひゅん、と新着があった。
博士、もうアンドロイドを諦めてしまうのですか……
新しい人工知能に「人間らしさ」を与える。
研究は順調に、進んでいたし、いくつものアンドロイドに搭載された機能。
此処数年でやっと出来た成長をするアンドロイド。
まだ世にはまともに知られていない貴重なそれを……
私は、捨ててきた。
だって、リーリア姉さんは帰ってこないじゃない。
街中で見かけた、アンドロイドの子供を見て、
…………もう、だめだと思ってしまったのよ。
細かいメンテナンスを必要とするし、
迎えるにも莫大な資金が必要なそれを生み出して……
私は地球を離れた。
もし、アンドロイドに人権が与えられるのなら。
電子映像で流す予定だった映像を編集したものが、どこまでも残っている。*
─現在、土産店─
[ついうっかりハンカチに見入ってしまっていたため、お返事はワンテンポ遅れてしまったでしょうか
何度かお見かけした方です。>>118 こちらも自分から相手に話しかけることはあまりないので、お話したことはなかったと思います。]
……あっ、はい、いえ、
[と、返事は曖昧なもので]
あ、いえ、違うんです、何か探しているわけではないんですけど。…素敵なハンカチがあったものだから。
ジャスミンの花、好きなんです。
[取り繕って笑って、それを相手に見せましょうか。まるで地球の空を想わせる淡い青。白くて小さな花々がワンポイントで刺繍されています。
店先の商品には、優しい風合いの色とりどりのハンカチに、さまざまな刺繍が施されていました]
…ご家族。…ホワイト・マーブルにお住いなのですか?
[奥様だろうか、お子様だろうか、年老いたお母様だろうか。それともお孫さん? ご兄弟? 頭の中ではたくさん考えていますが、口には出しません。
そもそも彼がホワイト・マーブルに行く目的も同じとは限りませんから。そんなふうな聞き方になったでしょう。
家族、と言う言葉にすこし思うところはあれど、わたしはきっと穏やかに微笑んで尋ねています。*]
ー 現在、土産店にて ー
[曖昧な返事と、どこか取り繕ったような笑顔。>>125
話しかけられたことへの困惑もそうだが、それ以上に『何か』を見つめていた理由を誤魔化すような所作に、どうやら土産物に悩んでいたわけではないということを分析する。]
…ああ、きれいなハンカチですね。
様々な刺繍が本当に繊細で…花の模様が可憐だ
白いジャスミン…とても良い香りですよね
小さく可憐な花の姿もあり…私の妻もすきなんです。
[男は、そういって頬をゆるませる。
『刺繍』という技法については好ましく思っていた。
糸によって作られる点と線をつなぎ合わせて作られていく模様や装飾は、非常に緻密な計算の上に成り立つ美しい解法のように感じるから。
理論と合理の世界によく似ていて、比較的受け入れやすい『美』の一つだ]
ええ、そうなんです。
妻と、幼い息子が二人ほど。
私は地球での仕事が立て込んでいて、同じタイミングで移住できなかったのですが…この度ようやくホワイト・マーブルの部署に移ること決まりまして。
…お恥ずかしながら、
仕事仕事と忙しなくしていたせいで、子供たちが好むものや、妻が喜びそうなお土産があまり思いついていなかったんです。
…これからは、子供たちとももっと触れ合える時間を取りたいと思っているのですが…、その第一歩にお土産の一つでも、と。
[そう言って苦笑いをこぼす。
理屈ばかりで共感性の乏しい一面を、普段話しかけない女性に見せる必要もないだろう。こちらも比較的穏やかな表情で話を続ける。
…しかし、お土産店の中を見ると、男の表情は少し固まる。
彩り並ぶ賑わいある土産たち。
男からすると無駄の塊のようにも見えるものたち。
眉間にシワを寄せたところで手を当てて…]
…久しぶりに、家族のために何かしてやりたいのですが
何から吟味すればいいのやら…
あなたのように、好きなものがあれば
分かりやすかったのしれませんが…
私は趣味に疎くてね…
…これまで、大切にしてやれなかった家族に
なにかしてやりたいんです。
最初の出会いがぎこちなくとも、
いつまでもぎこちなくある必要もありませんから…
[そういう様は、『家族』に対してどうしていいかわからない『父親』のすがたそのものであっただろう*]
…お優しいんですね
[わたしが零した言葉はそんな一言でした]
…いえ、そうやってご家庭と触れ合える時間を取りたい、喜んでもらいたいという気持ちが、とてもお優しいなあ…なんて思うんです。
[お子さんの年齢を聞けば、まだ3歳と1歳であることを訊けたでしょうか。幸い子どもは好きなほうなので、わたしは思わず笑顔になりました
売場を見ながら、……そうですね、たまごぼーろや、誰かからもらったゴーグルの話、ねるねるねるねの話なんかも? もしかしたら聴けたかもしれません]
そうですね…男の子には退屈かもしれませんが、
わたしは、そのくらいのころ、父に絵本を買ってもらったんです。
‥もうすこし大きかったかな。5歳くらいだったかも。
[目を伏せ、懐かしそうに話すわたしの顔は、相手にどう映ったでしょうか]
わたし、双子だったので、いつもおもちゃは必ず二つずつありました。
姉のおもちゃと、わたしのおもちゃ、けんかにならないように、同じものが二つずつ。
でも、わたしたちがその本を見つけたのは、リユースの玩具や服を売る、バザーだったんです。もちろん絵本はひとつしかありません。
[だから最初、父は首を振って、買うのをあきらめようとしたのだと話します。折れないわたしたちに、父は、ひとりには同じ本を新しく買ってあげるからといいましたが、それもわたしたちにとっては違ったんです、とも。]
でも、それでも欲しくて。
『ぜったいけんかしないから』
『ぜったいだいじにするから』
そうやって、ふたりで声をそろえて、わたしたち、父に頼み込んだんです。
そうして買ってもらった本に、わたしたちは揃えてなまえを書きました。父に綴りを教えてもらって、二人の名前を並べて書いたんです。
[それは、今も手元に大切に取ってあります。]
…わたしね。
もちろんその本も、本の内容も、とても好きだったんですけど
それよりも、姉と一緒にひとつのおもちゃを持てたこととか、父にそうやって頼み込んで買ってもらった思い出とか、むしろその思い出があるからこそ、今でも宝物のひとつで。
……あっ、あっ、その。
すみません、関係ない話に浸っちゃって。
その。絵本がいいよ、とかそういう話でもなくて。
…お父さんが何かをお土産に持ってきてくれたというだけでも、きっと喜んでくれると思いますし、そうですね‥わたしなら‥
ホワイト・マーブルに着いてから、一緒に好きなものを選びに連れてってあげる、のが。もしかしたら一番喜ばれるかな?とか思っちゃいました。
[参考にならなかったらすみません、と首を少し横に傾げながら笑います。 *]
ー 土産店にて ー
……優しい、でしょうか?
[事情を話し、ともに店内を見ているときのこと…
緑髪のお嬢さんの口から漏れた言葉に、
男は不思議そうに、ひとつ眉を上げた>>132]
…そうでしょうか。
これまでずっと放っておいたから…
幼い子どもでも楽しめるものを、と思い
色々考えているうちに…たまごぼーろだけだったのが、練って食べるお菓子…正義の味方から、撮影に使っていたゴーグルなんかももらってしまって…
…自分自身で選んだものも、
一つくらいと思っただけなのです
[ぽつりぽつり。いろんな人にアドバイスをもらって今こうしてここにいること、そして、それでもなお自分で選ぶとなると迷ってしまうことを漏らす父親は、成り行きばかりの自分であるが優しいに入る…のだろうか?と、本気で不思議そうな顔をする]
…絵本?
……なるほど、バザーで…お姉様とお父上と。
ふふ…お父上はきっと…二人ともに平等に…
買い与えてやりたかったのでしょうね。
喧嘩にならないように…
…けれど、それが、姉妹の…
…家族の絆を深める大切な一冊になった…
…とても素敵な話だ。
[彼女が話してくれた思い出話を聞き、>>133>>134>>135
男は考えるように目を一度伏せ、そして開く。
考えても見れば、男は子供の駄々はまるで聞き入れてやろうとしてこなかった。ほとんどが危ない遊びをしたいとか、年に見合わないおもちゃがほしいとか、そういうたぐいのものだった気がするが…『共に』選び、共有するということはしたこともさせたこともなかった]
貴女のお父上も、お姉様も幸せ者ですね。
貴女のように思い出を大切にする…
素敵なお嬢さんが家族にいてくれて
[零した言葉は、父親の視点を想像しての言葉。
そして、男の本心からの言葉。
喧嘩しないと約束して、姉妹仲良くしてくれたこと。
名前の書き方を聞いてくれて、二人の名前を書いて…
世界にたった一つの本を、ずっと大切にしていること。
見守るものとして…それほど嬉しいものはないだろうと]
[男は、少し思案した後、
さきほど彼女が見ていた
ハンカチのコーナーへ向かう。
そして、彼女が見ていたであろう
白いジャスミンが刺繍されたハンカチを…
淡い
……もしよろしければ。
貴女と、貴女のお姉様にどうぞ。
ご迷惑かもしれませんが…。
…私の家族とは…また、向こうで再開したら…
一緒にどこか買い物に連れて行ってやろうと思います。
…"共に、同じ目線で"好きなものが買えるように
貴女の話とても参考になりました。
これは、ほんのお礼です。
[と…彼女の家族が今どうしているかなど知らぬままであるが…男は、そのように提案するだろう。あなた方の家族の幸せへの感謝を込めるように*]
─土産物屋にて─
[わたしの言葉に本気で不思議そうな顔をする相手に>>136、わたしはちいさく微笑みます。
相手は見ず知らずのわたしの思い出話に相槌を打ちながら聞き入ってくれました。そして、父も姉も幸せ者だ、と彼は言います。>>138
不幸な家族だと憐れまれて生きてきたわたしにとって、それは二度とない機会のような気もしました。
いつの日か、わたしは「自分が幸せかどうかぐらい、自分で決めたい」と思いました>>0:160。……でも。本当はそうでなかったのかもしれません。
自分が幸せに生きていることを、誰かに知ってほしかった、認めてほしかったのかもしれません。幸せであることすら否定され、今の幸せが虚構であるかのように扱われ。誰一人、わたしたちが幸せであると言ってすらくれなかった。
……だから今。見ず知らずの彼が、そう言ってくれただけでも報われた気がします。幸せなのか幸せでなかったのか、わからなかった"自分”が、赦され、認められた瞬間でした。]
ありがとうございます。
わたしも、……今までは、それが上手くできていなかったかもしれないけれど、でも今からでも子どもたちや奥様に向き合い、考え、喜ばせようとしている、そんなお父さまを持ったこと、家族は幸せだと思います。
……いえ、きっと。これからでも。幸せになれると思います。
[だから、わたしも断言します。あなたのご家族は幸せなのだ、と。これから先、幸せになるのだ、と。]
え。
………これを、わたしに?
[暫しのあと、受け取ったのは2枚のハンカチでした。>>139 思わず目を丸くしてぱちぱちと瞬きをし、相手を見つめます。嘘ではないようでしたので、わたしはお礼を言って受け取りました。]
ありがとうございます。姉も、きっと喜びます。
[わたしを見守ってくれる父も、優しかった母も、仲の良かった姉も、もうこの世にはいないことは、彼には話さないでおきました。家の名を捨て、新たな名前で生きていこうとしていることも。
それでも、すべてを捨ててきたわけではありません。家族と写ったいくつかの写真、父の形見のネクタイピン、母の形見の結婚指輪、そして姉との形見の絵本。
誰かに見せたり話したりすることはないでしょう。わたしが捨ててきたのは、憐れみ、悲しまれ、不幸だと言われる毎日です。わたしは、思い出とともに、密やかに生きていくつもりです。]
…素敵なお買い物、お子さまと一緒にできるといいですね。
それから…奥様とも…
あっ…その、
これは本当に勝手なのですが、
もし奥様がジャスミンのお花がお好きであれば、
ホワイト・マーブルでお花屋さんを探してみるのもいいかもしれないですね。
[宇宙船内に、お花屋さんは……どうだったでしょう。
蛇足のような提案は、本当に、相手にとっては蛇足すぎたかもしれませんが。**]
――アーネストからの絵葉書――
[ぺったんぺったん(イメージ擬音)とペンギンアンドロイドが私に近寄ってくる。大体彼らがこうしてやってくるのは言伝か届け物がある時だ。
私はその丸っこい手が差し出す絵葉書を受け取った。>>116
随分強い筆圧にて書かれた文字。
まるで彼女の想いがそのまま乗り移ったような。
それは、アーネストからのもので。
書かれていた彼女の大切な妹の名前に私は微笑む。
私はビューという女性の顔も知らないが、それでもああいう話を聴いて、アーネストだけでなく彼女の無事と幸せを切に祈っていたから。
珈琲は人に飲まれるためのものだ。
それでもアーネストは、私の贈り物全部砕き形を失くしてしまうことに抵抗を覚えたらしい。
文面を追いながら肩の力を抜く。]
優しい人ですねえ、本当に。
[こんな優しいヒーローは、悪者が命乞いをしたら許してしまうかも。
その時に背後を取られたりしたら、スイッセス・サンが駆けつけねばならないのでは?なんて心配までしたけれど、冷徹なヒーローであるはずがない、彼女が。
どこまでも優しくて。
誰よりも強い。
泣いている一人の子供も見逃さず、珈琲の一粒も大事にする。
それがヒーロー・アーネスト。
溜息がでるほどに、その存在は清々しく勇ましい。]
ありがとう、届けてくれて。
[ペン吉の頭をなでなでする。あだ名は私が一体一体勝手につけているもので公式名称ではないから気にしないでほしい。
私は絵葉書を何度も何度も見返して、ぎゅっと胸に抱く。
想いは、暖かい。]**
[ ……しかし、ただの分析結果による返答と割り切るには
あまりに穏やかで、暖かだった
未来はそうであってほしいと思うこれは
論理的ではないのに、なんとなく、ここちよかった]
[男が手渡したハンカチに、彼女は喜んでくれたようだ。
彼女の姉もまた喜ぶと、嬉しそうに答える言葉に
男もまた微笑む。>>142]
…ならよかった。
誰かが喜ぶ贈り物というもののコツが
少し掴めた気がします。
…ふふ、そうですね。
妻は…花が好きで……また何か、選んでみようと思います
彼女が喜びそうなものを…ふたりで
[彼はそう言って、少し思考を巡らせてみる。
園芸系の事業にはまだ手を伸ばしていなかったはず。
もし、彼女がホワイトマーブルの花屋を気に入った暁には…そういった業種にも手を伸ばしてみるのもいいかもしれないな、と。
レディの付け足してくれた蛇足が、
その後、Y&N Corp.に新たな新事業が誕生するとは
このときは誰も知り得ないのであった…]
[そうして、彼女の職業を聞く機会があれば、尋ねるだろう。
己の内より、登場人物と言う名の「誰かの人生」が産まれるのはどんな感覚なのか。
そこに在るのは願い?祈り?己の内にある感覚の渦の結晶?
強く伝えたいからこそ筆を執るのか、
溢れて止まらないからこそ筆を執るのか。
知らない世界の事を教えて欲しいから。]
[人が一生の内に体験可能な情報は、ほんのわずか。>>0:7
勿論、本来実現不可能な情報群をヴァーチャル空間で疑似体験する事は可能だ。だがやはりそれは、リアルワールド上に何時でも存在し、アクセス出来る情報などでは無い。
フィクションは所詮フィクション。
それでも、人と言う物は焦がれるのだろう。自己の知らない情報と言う物に。
己の一生を使い切っても、それでもまだ届かない地点。
異なる世界、他者の経験、体験に触れてみたいと言う、純粋な興味。
想像の翼を広げ、他者が他者の人生を覗き見る、追体験する行為。
古来より存在するとても身近な手法。
それが、物語を編み、時に伝え、紐解く事。
時に興味を、
時に矛盾を、
時に絶望を
時に希望を求め、人はソレを手に取る。]
…貴女に声をかけてよかった。
どうか、貴女と貴女の家族が幸せな未来に続きますように
[男はそう言って、土産店を後にする。
…この場では何も買うことはなかったが
何か、とても大きな収穫があった。
そんな達成感のあるひとときだった**]
――展望施設(過去軸)――
[瞬きも、溜息も。>>1:46言葉ではない形に人の想いは映し出されていく。
私の仕草や癖の中には、生前のスイッセスの想いが沢山たくさん詰まっている。
彼の切れ長の睫毛が臥せられる際は思考のターンなのかもしれない。106
精神と時の部屋を訪れているのかもしれない。
外側を見つめるのではなく、心の内側や思考の深淵を覗く際、人は瞼を開いている必要はないから。
精神や夢想の世界で行った行動は現実のものではないが、それは現実になんの影響がないわけではなく、人を変えるに十分足るものだ。>>108
私は彼の思考を覗く事は出来ないけれど、きっと今考えるべき、今彼に必要な事を考えているのであろう。
長い沈黙はその証拠と考える。
もし寝てるんだったからちょっと可愛いけどちょっと困る。
膝枕をしたくなってしまうからね、おじいちゃんは。]
……。
[先程まで読んでいた本の台詞は私の心に強く刻まれた。感動を覚えた。
私がこの本に勇気を得たのなら、その言葉を借りたら彼にも勇気や、踏み出す一歩を与えることが出来るのではないか。
そんな想いで私は言葉を紡いだ。
聡明で注意深い彼は私の意図にすぐ気付いたのだろう、とても彼らしい言葉が返ってくる。>>110
ともすれば苦言とも取れる言葉だ。しかしそれは、彼の人柄、私との関係性、今までの会話の流れを無視した切り取りに対する評価でしかない。
要するに全く正確ではない。
だから私は、忌憚ない言葉を選んでくれた彼にむしろ感謝すら覚えた。
それはきっと他人行儀と異なるもの、近しいと思う人に与える言葉だと思ったから。]
そうですね。でも、お仕事も
結局はご家族の為の事です。
今まで貴方がされてきたことは、
貴方だけのためのものではないから。
でも、ご家族と過ごす時間はきっと、
貴方にもご家族にも
良いものですからね。
――食堂に向かう前にスイッセスがした幾つかの一つ――
[手記を書き終えた私はそれを小さな宇宙空間用の専用カプセルに入れた。
船員であるアンドロイドにお願いし、船外に流してもらうためである。
私のしたためた拙い文章は、ドロシーとの思い出は、永遠に宇宙の海を漂うだろう。時に羊の蒸れみたいな星雲と戯れたりしつつ。
窓の外には、漆黒の中に浮かぶ真白の球体が見える。
ホワイト・マーブル。
みんなが様々な想いを抱いて赴く場所。
あの地で私はどんな運命を迎えるのだろうか。
答えは、まだ見えない。]
─夜・通路窓辺─
["ふたりで遠くまで旅する” …これは、ジャスミンのひとつの品種の花ことばです。
昔むかし、わたしと姉・カトレアが、自分たちの名が花の名であることを知ったとき、女の子らしく、ふたりで花ことばを調べたことがありました。
ふたりとも、かわいらしい、という意味合いの花ことばが主流となる中に、わたしたちは、この言葉を見つけたのです。
ふたりで、いつか遠くまで行きたいね。
これは、わたしと姉の小さなころの約束でした。
………………忘れたことなんて、なかった。なのに、わたしはきっと逃げ出したのです。ジャスミンの名前を棄てて、家のことを棄てて、誰も知らない場所で、ひとりきりで生まれ変わろう、なんて。
カトレアのお墓も、思いも、全部あの家に街に国に星に、置いてきて。わたしひとりで旅に出ようとしていました。いえ、旅に出てしまいました。
わたしはいただいた2枚のハンカチを握りしめます。地球の色と、ホワイト・マーブルの色をした、美しいハンカチです。あの頃と同じように、お揃いの。]
いまからでも、始められるでしょうか
[つい口に出しました。といっても、あの家に戻るつもりはありません。棄てたなまえも、決意も、今さら撤回するつもりはありません。でも。…わたしひとりで、ふたりぶん。姉の分まで、遠くへ旅に出ること。それなら新しいわたしでも、できるきがしたから。]
ここに、居てくれるでしょうか。
[問いかけます。口に出した言葉に、もちろん返事はありません。それでもわたしには聞こえます。『だいじょうぶだよ』って。『あなたの幸せが、わたしの幸せ』。そんな都合のいい声、でも確かに聞こえた気がしたんです。
通路の窓の外には、間近に迫るホワイト・マーブルの姿がありました。
“ふたりで”旅して、ここまで来ました。
きっと大丈夫。地球と同じく、水も大地も存在するホワイト・マーブルなら、ちゃんと芽吹くはずだから。**]
― 自室 ―
[それはいつもの私のルーチン、船旅の中に組み込まれた行動。
窓の外に広がる星空を後目、ベッドに座ったまま縮こまる。>>0:8
削れて行く自分を守る為、考える時間を欲し、頭の中でぐるぐると方程式を積み上げる。
けれど旅が進むにつれ、幾つもの疑問が生じた。
ねえ私?これって本当に、私を守る行為なの?
まるで他者を拒絶するよう、自室に、自分の殻に引きこもる自分。
何故か不健全に感じ始める行動。
それよりも、誰か他の人と話しがしたい。
知らない事を知ってみたい。知らない自分を知ってみたい。
唯の寂しがり屋?旅が長くて人肌恋しいとか、そういう物?
分からない。けれどこのままじゃダメな気がして。
それは、蛹が羽化を迎えるように。
ホワイト・マーブルが近づくにつれ、私は元の私で無くなって行く。
最初に存在していた、あやふやな私の連続性は消え、代わりに何かが育っていく。]
[いつまでぼんやりそうして居たか。
コンコンと、誰かが私の小さな殻をノックする。
……誰だろう?部屋を教えた人は数少ない。だから全く見当がつかなかった私は、緩徐な動作で立ち上がると自室の扉へ向かう。
閉じこもって居た殻を自ら開き、外の世界へと――…
そこに居たのはペンギンさん。船内常駐のアンドロイド。
何の用事だろうと首をかしげる私に、ペンギンの両手が真っ赤なプレゼントを差し出した。]
わ…
[鮮やかなソレに一瞬けをされるも、壊れ物を扱うようそっと両手で受け取れば、仕事を終えたアンドロイドはそのまま去って行った。
ちょっと!誰からのプレゼントか、聞いてないんだけど!
後に残されたのは、間抜け顔の私一人。
赤い包みをぎゅっと抱きしめて、アンドロイドを見送った。]
[ラブレターだったらどうしよう。
ちょっとしたドキドキを胸に抱きつつも、自室ベッドの上に座り直した私は、添えられた便箋の文字を読む。>>119
差出人は、アーネスト師匠。
流れ星の手紙と、包みの中身は衣服が数枚。
トレーニングウェアの片方は、ヒーローみたいなカッコイイ黒赤。>>82
それと爽やかな白に、抜けるような青いライン。ちょっと可愛いそれに目を細める。
畳んであったTシャツを広げれば、押忍!の文字。いつかの自分が勢いで口走った言葉を思い出せば、私は吹き出してしまった。>>83
師匠らしいそれらの品を、私はぎゅっと胸に抱きしめる。
何故ならば、知らない人からのラブレターよりも、ずっとずっと嬉しかったから。
目を閉じ、便箋に書かれた言葉を思い出す。
ありがとう師匠、私、大事に着る。
恋愛以外で!と添えられた、連絡先付きのPSもね。>>120
二着のウェアが似合うかどうかは私が決める。だって絶対似合うって、既に分ってるから。
早速携帯端末に彼女の連絡先を入力して、包装紙に包み直したプレゼントをホワイト・マーブル行きの荷物の中に大事に仕舞った。**]
─ 前日・スポーツジム ─
えへへ、そうだと嬉しいなぁ。
[私の言葉に悩ませてしまったか、
頷きの後に続けられた言葉>>55はちょっと間が空いた気もしたけれど
笑顔を返してくれたから、自分も正直な笑顔を返し。
それから、アーネストさんから向けられた初めての声、
助けてって言って良いかという確認に一も二も無く是を返した。
ありがとうという言葉と、陰っていた表情が和らいだ>>56のを見ながら
アーネストさんが詳しい事情を打ち明けてくれるのを待って>>57]
ダメだよ、
だってアーネストさんが殴っちゃったら
妹さんが自分でやり返す機会が無くなっちゃう。
[ダメなのかい?としょんぼり項垂れた彼女に
柔らかく笑って返したのは、こんな言葉]
あ、やり返すって言っても妹さんに相手を殴らせろって訳じゃないよ。
もう関わりを断つのも含めて、相手に責任を取らせないとってこと。
勿論、妹さんがもう会うのが怖いとか、
そんなことしたくないとか言ったら
無理強いまですることじゃないとは思う。
でも相手の男に立ち向かうか、
選ぶことすら出来なくしちゃったら
妹さんが自分を守るヒーローになれるかどうかすら、
分からなくなっちゃう。
[そう言ってアーネストさんの顔を見つめ
返事を待っていたら、迷いながらも頼っていいかと聞いてくれた>>58。
頭を下げて、妹のことを任せる、と言った彼女>>59に
信じてくれたことに感謝を込めた頷きを返した後]
うん。妹さんのことは任せて──…
だけど、アーネストさんも待つだけじゃないよ。
一番大事な仕事は、アーネストさんにしか出来ないんだから。
[にこっと笑って、握ったままの手を軽く振ってみせる。
そうして、穏やかな顔で微笑む彼女に問うように見つめ]
妹さんを迎えに行くのは、アーネストさんも一緒にだよ。
妹さんが今どんな状況でいるのかは分からないけど、
助けて欲しいって願ったのはアーネストさんになんだもん。
ヒーローは戦うのが目的じゃない、
助けてって声に応えるのがヒーローでしょ?
[問うように首を傾げ、片目を瞑って見せた後]
それに、アーネストさん
今日までずっと妹さんのこと信じて待ってたんでしょ?
だったらもう待つ必要なんてないよ。
ホワイト・マーブルに着いてすぐ動けるように
急いで調べてもらうから、
そこは、信じて待っててね。
[そういって笑いかけることで、
アーネストさんの不安をまた少し和らげることは出来るだろうか。
ともあれ、助力の了承を得られたわけだし善は急げと
ジムに来て早々船室にとんぼ返りして、出版社の担当に連絡を取った。
嫌らしい言い方ではあるけれど、金銭を惜しまなければこういったことは早く済む話だろう**]
―― とある日のシアタールーム・アーネストと ――
それもわかるぞ。一人ならでは?っていうのかな。
孤高かもしれねえけども、自らの信念のみで立ち上がる。
そうやって自分の足で立っているっていうのはより深く出せるのはライダーだって思うしな。
[膝を抱えてすねるようにいうアーネスト>>45の子供っぽさに小さく笑いながら、別にその考えだって>>45否定はしない。お互いの好みの比重>>44は違っても、感じ入るところは同じである。
ただそれは物語での―――もっというならば自分が登場しない世界での話だ。
話にでる弟妹のことやサンシアやレットとのこと。ヒーローという憧れや志とか、悪印象に思う事柄などもないわけだが、有体にいえば、まかせとけ。って言葉をさらっというぐらいにこいつ背負いこみすぎじゃね?ってことである。]
おう、いいぜ。ほれ。
[特別アーネストに見せないでおこうとしたわけではない。言われたら見せるってのもあるし]
そういやぁ、ちょうどいいから聞きたいんだけどよ。
その中にバイク書いたやつがあるんだ……ああ、それそれ。
[それはそれとしてシアタールームで一緒にみたときに描いていたライダーのバイク。]
俺バイク乗ったことないんだけどよ。どういう感じ震動とか間近で感じる音とか、後は曲がるときとか傾くだろ。あのあたりの感覚とかさ。
[なんて実際に乗ってた当人にどんなものか話がきけたらバイクのラフ画の横にいくつかメモのようなものが書き加えられるだろう。
感想についても、そりゃ長くやってるから上手くもなってくぞ。画家じゃないな。
星雲や背景ばっかなのも含めて趣味だな。とか答えたり
いや、落ち着いて似顔絵描くような暇なかったろ。
そんな好き勝手な感想にこっちも小気味よいぐらいに軽く言葉を返したりしたのであった]
― 最終日の朝・スポーツジム ――
[よぅ、っとアーネストと挨拶をしながらエアロバイクを漕いでいたカラント]
いいぜ。って、急かすな。急かすな。
俺も交換しようぜ。っていうつもりだったしな。
その時は感想と一緒に絵も送ってやるよ。
[エアロバイクを一時とめて、眼鏡型電子機器を起動して、互いの連絡先を交換した*]
――夜・通路窓辺――
[最後の一日って言い方をするとなんだかしんみりする。
私はドロシーの遺品を全てきっちりと詰めた荷物を確認する。
よし、荷造りは完璧。後はホワイト・マーブルに到着したらマイケルと家族の居る家に向かうだけだ。
肩をこき、と鳴らして(アンドロイドである私は疲れないが、スイッセスの癖である)、一仕事終えたとばかり背伸びをすると廊下に出た。
何処へ向かうでもない足取り。
廊下から見ると窓の外にも宇宙空間が広がっている。
なんて、美しい光景であろうか。
と、進行方向先の窓辺に佇む人物の姿を私は捉えた。
あれは…リーンである。詳しい事情までは伺っていないが、珈琲を振る舞い挨拶をした事があった。私がアンドロイドである事は告げてある。
私は彼女に声を掛ける。]
…… 明日には、ホワイトマーブルにつきますね。
静かなときが終わるのはあっという間…
あなたはいかがでしたか。今回の旅路は。
[男は、凍えるようなカクテルとともに、
淡々とした口調で彼にそう訊ねる。
特に深い意味のない世間話だが…彼はどのように反応を返したろう*]
─ 前日・図書室 ─
そうだねぇ。
きっと、何度も読み返したくなる物語だから
今日まで愛されてきてるんだろうね。
[グリーディアさんの手にある本は、それこそ気が遠くなるほどの年月を経ても人気の陰りが無いものだ。
そう考えるとすごいことだなと思っていたら、ふと私の本の話題に水を向けられて]
私の本?
あぁ、うん、置いてくれてたよ。
…もしかして、読んでくれる?
もしそうならね、直近で出した本の感想が貰えたら嬉しいな。
初めて書いたジャンルだから、反応が知りたくて。
[グリーディアさんと話をしながら、
私の本も、遠い未来に残る程愛されてくれたら良いなと願い、
グリーディアさんの愛書の中にも入れたらいいな、と交わした約束にひそり願いを込めた**]
─夜・通路─
[ぼんやりとしていたら、声を掛けられました。>>176 以前コーヒーをいただいた際には、ミルクたっぷりでお願いしたでしょうか。>>0:38 その時、彼がアンドロイドであること、乗客のひとりであることをお伺いしたはずです。お名前もお伺いしていましたね。]
ああ。スイッセスさん。そうですね、ホワイト・マーブルが、こんなに近くに。
[展望施設ほどではなかったかもしれませんが、窓辺からも十分それを見ることはできたでしょう。少し微笑んで、指を指します。]
…ああ、ありがとうございます。
えっと、その… 素敵な乗客の方に、プレゼントいただいたんです。
あの、‥‥その。お名前が、わからなくて。
[贈り物までいただいたというのにお名前が分からない失態を恥じるように、取り繕いながらそう言いました。]
素敵ですよね。まるで地球と、ホワイト・マーブルのよう。
わたし、これがあれば、地球のこと、絶対忘れずに済む気がします。
[うっとりとそれを掲げてそう話した後で、ふと、気になることを訊きました。]
人間は…いつか記憶も薄れます。
もちろんその記憶を定着させるような技術だって、きっと無くもないんでしょうけれど。でも、自然な生を選ぶのであれば、やはり。
アンドロイドだと。やはり忘れることなんて、ないんですよね。
[そう、きっと彼はこの先もずっと、覚えているのだと。
……彼の行く末など、わたしには知らない故に。 *]
―― 食堂(船旅最終日) ――
そこはカフェのマスターじゃなくて板前のほうかよ。
そん時は顔出さねーとな。
[老紳士風の男が板前の服装で鉢巻を巻いて、もう少しいかめしいほうが似合いそうだ。
なんて呑気ともいえる言葉を交わし合うのも幾度かあったこと。
香ばしくボリュームも満点な焼肉サンドはただ醤油の甘タレだけではなくレタスとも合うマヨネーズに七味のピリリとした味わいが飽きさせずにいくらでも味わえそうだ。
相変わらず美味しいな。と感想を口にしながら、食事を挟みつつゆっくりとしたペースで話す時間、食器を磨くスイッセス>>91へと話しかけていった内容。
スイッセス>>91の言う通り年月で変われなくても変わってしまうし、なりたい自分を選べてしまえる様になれば、なんの意味があるんだ。と変わっていくのが当たり前だと思っても思わずにはいれなかったのだ。建物や風景と同じにしたくなかったのもあっただろう。]
なぁ、知ってるか?
スイッセスさんは他の人にも珈琲入れてる時、少しずつ姿が違うんだぜ。
[自分に淹れてくれているときは、食事中の時間を楽しむため。だろうか。
だがその中でも、例えば猫舌の人のために、例えば誰かを慰めたりするために、それは所作や珈琲の種類からとはいえないものだと思っている。おっちょこちょいな客にとって姿の時もあれば、ドロシーさんにとっての旦那の姿ともいえるのだろう。]
誰かがどういおうが、生きてきたからこそできることだって俺は思ってるぜ。
[真実としてどうかはわからない。だから慰める言葉ではなく、見てきて感じたものを口にして、唇を噛み締めて少し目を潤ませるスイッセス>>92に目を伏せて、水を飲み、クロッキー帳を開く]
[さて、答えをもらった後だが、どうにも落ち着きないそわそわとした様子で、まずは吹きだしてしまった]
大丈夫だって、ちょっとおかしかったらそれが残るってだけだから気にするなー。
それも味ってやつだっていえばだいたいいい様に聞こえるんだからいつもの姿でいいんだぞー。
[身も蓋もないいいかたであったが、今までのことからこれぐらいいったら肩の力も抜けてくれるんじゃないかなという考えの元いいつつ、エスプレッソを用意し始めたスイッセスをみながら、ペンを動かす。
紳士然とした佇まいは人の目を惹く若木のような生命力はないが、長く生きてきた落ち着きと品やかさは人に安息を与えるだろう。
より克明に描かれるのは珈琲を淹れる仕草。というより手であり傾ける腕や肩の角度は流麗であり積み上げた経験と想いは……さて、見る者によっては違うという言葉を得そうだ、そこから惚気話に繋がるのか、あるいははもっと機能的で画一的ではないのかとか。]
[スイッセスの後姿を描いた紙をクロッキー帳から丁寧にとって渡し、俺は変わりにエスプレッソをもらう。
苦みと酸味と、やり遂げたような淋しさと充溢感。
手間賃分だけ引かれた料金の支払いもこれで最後]
ご馳走様。
[店にきた客のような挨拶で食堂での時間を終えたのであった*]
― 昨日・庭園 ―
ああ、本当に
[宇宙空間にいるというのが嘘みたい、という彼女>>102に同意を返すが、本当は今はそう思っていない。
最初にここに来た時には、自分も確かにそう思ったものだ。
温かい日差しに、今でも本物かどうか見分けのつかない植物たち、どこからか感じる大気の流れ。
下手な地球以上に地球らしいと思ったものだ。
けれども、1か月の間、特にここ最近は毎日のように訪れる中、そこは何も変わらなかった。
いつ来ても過ごしやすい、楽園のような場所。
雨も嵐も雷も、蜂もミミズも姿を見ない。
もちろん操作すれば虫や動物の発生、気候の変動、そういうこともできるのかもしれない。
けれどもペットの気晴らしの遊び場や旅行者の憩いの場として、そのような苦情の元となることはイベントでもない限りやるだけ手間ということはよく理解できる。
ここはあくまでも、完全に人間が管理している空間だ。]
昼寝をするのには、ちょうどいい
[これには完全に同意する。
要は、快適で退屈な空間なのだ。
小さい友人のみがそれを少しだけ乱している。]
─ いつかのスポーツジム・レットさんと ─
あはは、慣れないとペースってわかんないよねぇ。
私は調子に乗っちゃうから、余計に止め時を見誤っちゃって。
体力がついたら、もうちょっとマシにはなれるかなぁ。
[初めましての時>>148はこんな風に苦笑いを返したけれど。
何度か顔を合わせて、言葉を交わすを経ていった中で
彼女と話す内容も変わっていった。
浮かない表情を見て、どうしたのかと問いかけて
彼女がホワイト・マーブルに行く理由とか
将来とか、交友関係などの、彼女自身の事情を聞いたり>>149。
それに応じて、私も自分が作家業をしていること、
家族と離れてホワイト・マーブルに移住すると決めたことを話したら
レットから教えてほしいと尋ねられた>>151から]
どんな感覚、か…
正直に言うとね、
私、書けって言われたから書かなきゃ、が最初だったから
生み出すって感覚で書いてはいないの。
今度はどんな人を書こうかな、とかそんな位。
でも、そうだな…
私の書くものを読んで
この主人公は自分と同じ気持ちだ、
自分一人じゃないんだって。
そう思ってくれる人に届いたら良いな、
って気持ちで書いてはいるよ。
[そう言って笑って返した後]
あとは、えっとね。
私、一人の人の生を書き切ったことは無いの。
物語が終わっても、
本の中の世界は続いていくように
そこで生きる人達の道も続いて欲しくて。
[長きに渡って一人の男性の生涯を書き切った曾祖父と違い、
私は単作しか書いたことが無い。
宙色の鍵の主人公だって、未知の世界に踏み出す所までで終わっている。
だって少年が困難を経て掴んだ未来は、少年だけのものだ。
私が生み出した彼ら彼女らを送り出すことが、私の書く理由だとしたら]
永遠に続くものはあるんだ、って
一人でも思って欲しくて書いてるのかもしれないねぇ。
[我ながら夢想家だな、と苦笑を浮かべた**]
―― 前日・スポーツジム ――
[サンシアは真っすぐでキレイな子だ。>>167
助けてと言えば即座に返る肯定が眩しく感じた。
グーパンはダメかと項垂れるアタイに、
返ってくるのは変わらず真っすぐなもの]
ははっ……、そりゃそうだネェ。
あの子にもまだ残ってる選択肢、
それをアタイが潰すマネしちゃいけないか。
止めてくれてありがとう、サンシア。
[サンシアの言葉>>168にグーパンを辞める決心もつく。
そうしてアタイの無謀な突撃を止めてくれたサンシアに心からの感謝を送ろう]
[妹を任せると頭を下げ、後は待つだけしか……
と、思っていればどうやらそうではないらしい。>>169
アタイが迎えに行くんだと聞いて心から安堵する]
アタイが迎えに行けるのかい?
なんか、保護とか言うからサ。
特殊部隊みたいなヤツがドザーって妹の家に突入して「保護ー!」とか言うのを想像してたんだけど……。
そうかァ、アタイも行っていいのか。
いや、むしろアタイを優先してくれるのか。
ありがたい話だネェ。
[保護と聞いて勝手に物騒な想像をしていたコトを白状しながら、むしろアタイが迎えに行くのが重要なのだと語るサンシアの配慮が沁みる]
[ヒーローの存在意義を改めて確認させてくれ、
首を傾げて片目を瞑るサンシアの明るさに呼応してこちらも屈託なく笑みを返そう]
ははっ、そうだ。そうだったネェ。
ヒーローは助けを求める声に応えるもの。
少し道を見失ってたけど、
難しく考えすぎてシンプルなその意味を思い出したよ。
サンシアはすごいね。
まるでヒーローみたいだ。いや、ヒーローだよ。
道に迷ってたアタイの道を照らしてくれたヒーロー。
[こうしてまた新たなヒーロが誕生したのである。
おめでとう、そしてありがとう]
[信じて待ってて。>>170
その言葉に少し不安げに、
でも希望も宿るまなざしを向けて
去っていくその背を祈るように見送ろう。
――ちなみに、今回のコトに莫大な金銭を使ったと知れば何も知らないアタイは大慌てでお金を返そうとするだろう。
いやむしろ、自分より年下で時折子供たちの面影を重ねていたサンシアにそれほどの資金力があると知るとそりゃーもうビックリしただろう。*]
[金銭を惜しまなければ翌日には色々なコトが判明するだろう。
最後の手紙の住所は都心部に近い病院であるコト。
ビューがそこに過労と心労で入院しているコト。
肝心の男は行方をくらませ調査中であるコト。
――そういった妹の状況が。*]
― バー ―
[バーには今日も、割合いつものメンツと思われる人々がいつものように飲んでいた。
その何も変わらない様子に少しほっとしつつ、それこそホワイト・マーブルが目前に迫る今、いつもと同じように飲み続ける皆は何を考えているのだろう、と自分のことを棚に置いて考えながら、ウォッカをジュースで割ったものを少しずつ飲んでいた。
持ってきた1冊の本には、大分よれてきたリーフレットもまた挟み込んでいる。
いつもの習慣で、リーフレットを開こうかというその時、少しだけ離れた席から話しかけられた。>>178]
ああ、早いものだ
[彼もバーに来た時よく見かける方の客だ。
一度か二度くらいは、話をしたことがあった。
確か、仕事と家庭の事情とやらでホワイト・マーブルを目指していたはずだ。]
今回の旅路は、そうだな、悪くはなかったよ
[ホワイト・マーブルを見て覚えたもやもやとした気持ちは晴れないまま答える。
いや、旅路自体はけして悪いものではなかった。
それは、本心だった。]
あんたは星についたら忙しくなるのかい?
今日が長き旅路兼休暇の終わりってわけか
俺はなあ…まだずっと旅が続く気分だよ
さっき展望室からホワイト・マーブルを見たが、こんなところに来てしまった、という気持ちしかない
なあ、慣れるもんかな
星を見た瞬間、出発の時に見た地球の美しさと比べて荒探しをしようとするような男が
[ついつい、聞かれても困るような問いかけを目の前の男に愚痴ってしまい、小さく首を振った。]
[俯瞰で見る惑星の大地を踏むまだあと僅か。私は彼女の隣の空間を失礼して頂いて、横に立つ。
話題のハンカチは一つは白く、一つは青い。確かに彼女が言うように地球とホワイト・マーブルのようにも思えた。]
プレゼントですか?それは良い思い出を頂けましたね。
…そうですね。
地球とホワイト・マーブルは遠く離れていますが、
折り畳んだハンカチはいつも一緒に重ねておけます。
しかし、ふむ。相手がわからない…?
[彼女はその相手を「素敵な乗客」と称した。このリベルテには沢山の乗客が乗っているし、私が見知りになった人は誰もが違った意味での魅力を持ち「素敵」である。
名探偵、否、迷探偵スイッセスの丸眼鏡がきらりと光る。
私に解けない謎は…あるが、考えてみようか。
誰かが彼女にハンカチを贈る意図はなんであろう。
感謝?それとも求愛?
こういった上品な振る舞いを出来る人は…]
その方は40代ぐらいのビジネスマン、
スーツ姿の男性でしょうか?
髪は緩いウェーブで薄紫がかり、
眼光は鋭く…片目に薄ら傷のある方では。
ええ。生きることすら、寿命すら。
身体を機械化すれば随分延ばすことが出来ますね。
…そういうのを望む人も沢山います。
私の妻、ドロシーはそれを嫌がり、
亡くりましたが…。
はい。私は製造されてからの十年間、
すべての事柄を記憶していますよ。
ただ…私は出来る限り人間らしく振舞うよう
プログラムされていますから、
それらを都合よく引き出したりはしませんし、
忘れたように行動することもあるのですが。
いや、俺の話はいいんだ
楽しい話をしようじゃないか
星に着いたら何をするんだ
確か、奥さんがもう星にいるんだろう
久しぶりの再会、それこそ旅行やら食事やら、行くところもあるだろう
[と問いかけた。]**
[そう話しながら、私は彼女が何故そんな話をしたのかを考える。
地球に似たハンカチ。記憶。つまり。]
リーンさんには、地球に忘れたくない人や、
思い出があるのでしょうか。
それを残してホワイト・マーブルへ
移住されるのでしょうか。
……貴女はいつもそうして花のように微笑んでいる。
でも、もしかしたら何か、
お辛いことなどあるのでしょうか。
[少し、踏み込んでみるのは今日が彼女と話せる最後の日と思ったからだ。私は船を下りて、この船で出逢った人たちに再び逢えるのかわからない。
その時の私はどれだけ記憶がある状態かわからないから。
今、話を聴くことで、私は何か彼女の手助けになれないだろうか。
烏滸がましいかもしれないけれど、そんな風に思うのだ。]*
─昨日・庭園─
[本を読んでいる姿を目撃した話をすれば>>190それは意外だったようで驚いた顔をされました。紙のほうが目に優しい、はまだ分からない感覚。曖昧に笑います。
そんな彼はわたしの手元に目を留めます。それは古びた絵本。唯一無二、というわけではないので、そのタイトルはもしかしたら既知のものだったかもしれませんが。古い、古い、絵本です。]
……子どものころ、買ってもらった大切な絵本なんです。
地球に遺しておけなくて、持ってきちゃいました。
…こうして、たまに読み返すんです。
[好きというよりかは、大切なのだ、とその人には伝わったでしょうか。]
そういう思い出の本とか、あったりしませんか?
[目の前のその人は、どうだっただろうか、なんて。そんな問いかけをひとつ。*]
─夜・廊下─
[名も知らぬ紳士の話。きっと名を聞く機会はもうないのだと思っていました。だからそうですね、まさに名探偵・スイッセスさんの推理に、わたしは目を丸くしたのです。>>203]
ええっ、まさにその人です。
…スイッセスさん、何か探偵用の機能が搭載されているんですか…?
[驚いた顔のまま、大真面目にそんな問いかけをします。たとえば人間の目には見えない指紋が検出できる機能だとか、過去の記憶を読み取る機能だとか、監視カメラと連動してるとか、心の声が聞こえてしまう機能だとか…!? なにそれちょうほしい… いえ、そんな欲望全開のふざけた心の声までは読まれてはなりません。ふるふるふると首を横に振りました。]
[…閑話休題。
そんなスイッセスチョウスゴイアンドロイドノキノウが搭載されていようが搭載されていまいが、やはり記憶はすべて残り続けるそうでした。>>205 その合間に彼が零した妻が亡くなった、ということばは、すこし哀し気に受け止めましょうか。
そうして、問いかけられた質問に、そんな悲しい顔のまま、曖昧に笑って首傾げます。]
…当たらずも、遠からずなんて、ところでしょうか。
地球には思い出、たくさんありますよ。
とても仲の良い家族だったんです。
だから忘れたくないと言えば、忘れたくなんてない。
でも、スイッセスさんの奥様と同じく。家族はひとりずつ、みな、亡くなりました。すべてが仕方のないことだったと割り切るには時間はかかりましたが、…そうですね、亡くなってなお、これから先もずっと覚えていたい、そう思います。
[地球色のハンカチを握りしめ、そう語ります。]
……でもね。
寂しくて悲しくて、どうしようもない時期もあったけれど、
わたし、たぶん前向きなんです。
だから辛くて逃げたいとか、そんなことは決してなくて。
…どちらかというと、周りの目が辛かったかな。
可哀想だ、不幸だと、わたしに対して向けられる目。
…家族が誰もいなくなった今。わたし、ひとりで初めから、皆の分まで、生きてみようと思うんです。
……そんな中で、ひとつ不安があるとしたら、「記憶」だなって。地球から離れて、いつかすこしずつ薄れていく記憶。
……記憶の残るスイッセスさんが羨ましかったりします。
[だから、そんなことを訊いてみたんですよ、と。わたしは添えました。**]
――食堂(最終日の午前)――
[彼とのやり取りは漫才の相方とのボケツッコミのようでとても楽しいものだった。
スイッセスの学生時代にはこんな感じの親友がいて、彼に少し似ている気がして私は懐かしく想ったり。
友との時間は珠玉である。>>182
焼肉サンドがいつものようにみるみると消えていく豪快な食いっぷりに惚れ惚れする。嗚呼、こんな光景を見るのも今日が最後か。それは少し…ほんの、少し。]
え。本当ですか?
私にも気付かない事が、
私に変化として起きているとは…
なんとも不思議です。
[それは確かに他者からの視点でないとわからないことだろう。彼の指摘はとても興味深くまた、彼が私をよく見てくれていたという事だから嬉しかった。]>>183
[初めてのモデルに私は照れてしまったが、彼の好意とお言葉に甘えていつものように珈琲を淹れた。
クロッキー帳の上を走るペンの音を耳にしながら用意したエスプレッソは、ある意味の共同作業の賜物のような。]>>185
[完成した絵は、彼の独特な線が活かされながら臨場感に溢れるもので、私が、スイッセスが生きてそこにいるかのような仕上がり。
紙を握る手が震えたのは感動のせいだ。何度も何度も礼を述べても足りない気がしたが、描き上げた彼も満足そうであったから…これで、きっと友として対等なのだろう。
実に気持ちいい。]
カラントさん、ありがとうございます。
どうか…どうかお元気で。>>186
[友の行く末に沢山の幸と、喜びと、成功がありますように。
手を振りながら私は願いを込めるのだった。]**
― 展望台 ―
わ、
――もうこんな近くまで来ちゃったんだ
[透明なガラス壁に手を当て、白く巨大な惑星を見渡す。
不安はまだある。けれど、いざ今日と言う日を迎えてみたら、不安で押しつぶされそうと言う事は無かった。
何故?何故だろうね、レット。
明日の夕方には船を出て、ホワイト・マーブルの大地に立っている。
私はどんな気持ちでその時を迎えるのだろう、全く想像がつかない。]
でも
大丈夫な気がするんだ
[こつんと額をガラスに当て、ゆっくりと目を閉じる。
ひんやりしたソレが心地よい。
少し前まで孤独と寒さを恐れていたのが嘘みたい。
だからきっと大丈夫だよ。*]
─ 前日 ─
[私の言葉に納得してくれたらしい、
そうだねという言葉>>194にほっと息を吐く。
ありがとう、と言ってくれた彼女に笑顔を返して]
ううん、こっちこそ
我慢してくれてありがとう。
[大切な人を傷つけられてるのに我慢しろと言ったのだ、
それを受け入れてくれた彼女に、こちらも感謝を返した後
妹さんの保護についての誤解を聞いて>>195]
妹さんの状況によっては
そうなる可能性もあるだろうけど、
出来るだけ妹さんに負担が掛からないやり方で
保護できるように動いてくれると思うよ。
だから、周辺の安全確保はプロに任せるだろうけど
妹さんを連れ出すのはアーネストさんに任せてくれるんじゃないかな。
[今まで頼んだことはないから想像でしかないけれど、
その道のプロならば安全策を選んでくれるだろう。
見ず知らずの他人に連れ出されるより身内の方が安心するだろうし、
何より妹さんが助けを求めたヒーローはアーネストなのだから。
そう伝えようと言った言葉は、彼女の笑みを明るく出来たよう>>196。
まるでヒーローだ、ヒーローだよと笑う彼女に
こちらもにこっと笑みを返して]
それじゃ、ここにはヒーローが二人もいるんだね。
なら、絶対妹さんは助けられるよ。
[今はまだ詳細も分からない、無責任な言葉ではあるけれど
信じて待ってて、との言葉も含め、絶対大丈夫だと希望を込めて言い切った。
金銭的な話はここで出さないまま終わったけれど、後でお金のことを聞かれたら私もヒーローとして助けたかったから折半で良いよって笑って返したとは余談**]
─ 翌日・船室 ─
[さて、明日で宇宙の旅も終わりという朝。
自分の端末に届くのを心待ちにしていた
調査会社からの連絡には
手紙に書かれていた住所にアーネストさんの妹さんが入院していること、
男の所在は調査中ということが記載されていた>>198。
妹さんの安全確保の為の人員は配置済で、
男への警戒も含めて警護に当たってくれていることと、
後はアーネストさんが着き次第、病院で詳細を聞ける手筈も整っているとの報に
こちらが明日ホワイト・マーブルに着く時間を返した上で
待ち合わせ場所の確認も済ませ]
『アーネストさん、妹さんの居場所わかったよ!
ホワイト・マーブルに着いたら
すぐ妹さんの居る所に行けるように
詳しいお話したいから時間ちょうだい!』
[昨日教えてもらった連絡先を早速活用して、返信を待った*]
[彼女の家族について、私は今まで聞いたことがなかった。若い女性が一人で移住するには何か事情や理由があるとは思っていたが。
小さな蕾みたいな唇から漏れ語られる言葉に、耳をそばだてる。
その声は小鳥の囀りのように愛らしく可愛らしいのに、
私が知った内容は中々にヘビーなものであった。]
そう、だったのですか…
では貴女は一人なのですか?
…大切なご家族だったのでしょうね。
[私の妻は老齢であったから、亡くなるのはある意味の人の自然だ。しかし若い彼女の家族が次々亡くなるとは、余程の事情があるのだろう。災害や事故に一家事巻き込まれたか、または病気か…。もっと物騒な事も考えられるが、憶測を重ねるのも良くない。
彼女は地球を離れることになった理由について話してくれた。
周囲の目、の話しには胸がズキンとする。私だって、話を聴いた時は同情してしまったから。
でも、彼女の言葉はとても力強い。
こんなにも、手折ればぽきんと折れてしまいそうな花なのに、真っ直ぐに咲いている。]
記憶は結局容量だと言われてはいます。
似たものは上書きされていくと。
でも、もしそうであるなら、大切な人の記憶が
上書きされる時っていつなんでしょうね?
…貴女はとても家族を大切にされてきた。
しかし、これから先貴女は沢山の人に出逢い、
その中に家族のように大切にしたいと
思う人がいるかもしれません。
その時に、記憶の上書きが起きるならば…
それは多分、貴女の隣にまた大切な人がいる、
という事ですよ。
新しい幸せがあるという事です。
…亡くなったご家族はきっと、
貴女の行く末を心配しているでしょう、天国で。
幸せを願っているでしょう。
だからもし、その時が来たら。
…失う事を畏れるよりも、得ることに喜びを感じて。
幸せになってほしいなと、私は思います。
[彼女に寄り添えたか、どうか。私は常に自信がない。
ただ精一杯、想いを込めてそう言葉を贈った。]*
―― とある日のシアタールーム。カラントと ――
そーだよなっ!やっぱライダーってカッコイイよな!
やっぱカラントも分かるか、この良さが。
[ライダーの良さをカラントから聞けば、>>171
膝を抱えて拗ねていたのも忘れて瞳を輝かせてライダー愛を語る。
やっぱり好きなものをのびのび話せる時間はいい。
好みの比重もまた会話のスパイスだ。
しかし油断は禁物!コイツ飄々としつつも観察眼の鋭いヤツである。
ほら!今だって短い言葉で鋭く斬ってく!>>172]
[これもあのクロッキー帳での描写にヒミツがあるのか?
などと無駄にクロッキー帳を見る熱意を秘かに燃やしつつ]
ああ、そーしな、そーしナ!
まったく、改まって何を言うかと思ったら……
[こっちが照れで悶えてるのをさらっと笑うカラント。
そーゆートコだぞッ!!!!
頭を押さえてやれやれだゼと溜息一つ。
熱いアタイを軽く受け流すカラントとの攻防。
それは存外に居心地のいい友との交流の形の一つだ]
[クロッキー帳を見せてくれるなら瞳を輝かせ。>>173
ぱらぱらと眺めているとバイクの話になる。
質問されればアタイはクロッキー帳の鑑賞料も兼ねて自分の感覚でバイクの魅力を語ろうか]
振動はさー、バイクによって変わるよ。
アタイは重量系が多いんだけどサ。
乗ってすぐのエンジン始動中はバルルルルって暴れ馬がアップを始めたみたいな、バイクが目覚めたみたいな感覚を全身で感じるんだ。
慣れてくるとうるさく感じてたエンジン音が聞こえなくなる感じがあるネェ、なんかバイクと一体になったみたいな?そんな感覚!
んでー曲がる時は外側にぐわーって引っ張られる力みたいなのがあって、でもその力に身を委ねるとわりとスムーズにバイクが動くンだ。
あーいいね、バイク!
船を降りたらまたかっ飛ばしたくなってきたよ。
[うきうきとバイクの話を熱弁してたら、バイクのラフ画の横にメモとか書いてる!
え、なにそれかっこいい。プロか?(何の?)
そう思いながらクロッキー帳を眺めている]
[クロッキー帳を眺めながらとりとめなく感想やら言葉を交わす。
本当にとりとめのないことサ。
それなのにカラントは短くもちゃんと小気味よく返事を返してくれる。
そのリズムとテンポが心地いい。
ああ、好きだナァ。この時間――……。*]
―― 最終日の朝・スポーツジム ――
[朝からウザ絡みをしながら連絡先をねだってみせて。>>174
了承されればニッと笑って]
おう!そーこなくっちゃァナ!
これでまた船を降りてもウマイ酒が飲めるってモンよ。
えっ、しかも感想と絵までくれるのかい?
そりゃ嬉しいネェ!
最高にクールなヤツを頼むぜェ?
[端末を操作して連絡先の交換無事に終了!
やったゼ!なんて端末を見せてはまた笑って]
んじゃーアタイもひとっ走りするかネェ。
[準備運動を終えたらランニングマシーンで今日のノルマをこなそう。
カラントもトレーニングを再開するなら特に邪魔をするコトもないからお互いの距離感でルーティーンを消化していこうとするだろう。*]
[アーネストからの返信は何時入ったか、
男の所在は調査中だが、そんなのは後で幾らでも時間を掛けたっていいのだ。
妹さんの所在と、入院中とはいえ無事が分かったことが喜ばしく
アーネストさんと調査会社からの連絡と明日の段取りを話し終えた後は
今出来ることはもう思い浮かばなかったから、
船の中での残り少ない時間を楽しむ気持ちに切り替えた。
先ずはスポーツジムに行って一時間程トレーニングをしてシャワーで汗を流し。
食事にしようとは思ったのだけれど、
なんだか空腹ともなんとも言えない感覚だったので
食堂ではなく、カフェで軽食を頼むことにした]
─ 日中・カフェ ─
えーと、ハムサンドと
あとは…オレンジジュースをお願いします。
[席につき、注文を聞きにきた給仕係にお願いをしたのは
一口サイズにカットされたサンドイッチと、
少し悩んでオレンジジュースを頼んだ。
此処や食堂で良く漂ってきた香りがあれば、
それを頼もうと思ったのだけれど、今は無かったから]
…そういえば。
あの珈琲の香りとも、お別れになるのか。
[その香りを漂わせていた人…厳密にはアンドロイドだけど、
その人とは挨拶も含め何度か言葉を交わしたことはある。
ただ実は、自己紹介だけはしていない。
一番最初に会った時
その人が持っている本を、見てしまったから]
[あの時はまだ船に乗ったばかりで、
どんな人達がいるのかとか、一か月どうやって過ごそうかとか。
出したばかりの、初めて曾祖父と同じ土俵で戦うことになった本が
どんな風に受け取られるだろうとか、不安しか無くて。
そんな中、年配の男性がまさか持っているなんて思わなかったから
つい、名を名乗ることを躊躇ってしまったのだ。
そうして、名前を言うタイミングが見つけられないまま今日まで来てしまったけれど]
……せめて、お礼だけでも
言いたいんだけどなぁ。
[遠目でもわかるくらい、
一枚、一枚。頁を捲る指の動きは早くは無く、
けれど止まることも無く、読み耽ってくれていた。
あれだけ集中して読んでくれていたのだ、
彼が私の本をどう思ったかなんて、聞かなくたって分かる。
ありがとうと、どれだけ言葉を尽くしても足りない位に
私の世界を愛してくれたのだろうと**]
そうだね、
何時までも傍にいて欲しいもん
[それは物語の中の登場人物の話。
本のページが終わったとしても、主人公の物語はまだ続いて行く。>>193
だからこそ、何時までも読者の隣で生き、歩み続ける事が出来るのかもしれない。]
冒険が終わったって、思いたくない
標で居てほしい
そんな、感じ?
[誰かの歩む人生の道筋、永遠の灯台のようにその物語が輝くのなら。
筆者が語る想いに目を閉じる。
彼女の本が船内図書にある事を知れば、喜んで借りに行っただろう。
もしかしたら貸し出し中>>187だったかも知れないけれど、船旅はまだ長い。本の予約表に自分の名前を入れ、それを待つ時間さえも楽しみと感じてた。*]
「父さん」
[自室で一人縮こまり、ぽたりと涙をこぼす。
それは、無かった事にしたかった記憶。
消し去りたかった思い出。
私が地球に残してきた、向かい合うべき小さなトラウマ。]
[一か月と言う長くて短い旅の中、私は大切なモノを沢山見つけられた。
だから、もういいの。私は此処にいるから。
例え幽霊でもいい。
私は私、レット・レジストルと言う個体になれた。
さよなら、「父さん」
私は貴方を弔い、故郷である地球に置いて行きます。
けれど貴方から貰った「愛してる」の言葉だけは、ずうっと大切にするから。]
ばいばい
[私が地球で存在した証は此処に。
私は私の輪郭をなぞる。
レット・レジストルと言う存在は沢山の物で構成されていて、そのどれもが欠けてはならない物。
私が「リベルテ」と言う宇宙船で存在した証は此処に、沢山、沢山、溢れんばかりに。
私は私の連続性を得る。地続きのソレに安堵する。
良かった、私、ちゃんと此処に居たんだ。
ありがとう。**]
[>>229そうしてルーティーンを中ほどまで消化した頃だろうか。
端末の着信でサンシアからの連絡を読む。>>218
これはいてもたってもいられないッ!
タオルをくれるペン太(命名)を横切り]
んじゃ!アタイは急用入ったから行くよ!
カラント、ナイスマッスル!!
[肩からタオルをかけて汗を拭く時間も惜しく、
アタイは廊下を疾走し──……]
―― 最終日の朝・スポーツジム ――
こうして口にしてりゃお互いやることやってるってわかるだろ。
[紹介するにはスタントマンとして仕事をする必要があるし、俺も絵を描き続ける。船内であったときと同じようなものだ。
仮に今やってることが嫌になってもその時は喋っているだろうしな。
そうして無事に連絡先の交換も終えて、屈託ない笑顔のアーネスト>>228へと、そうだな。と同意するように笑って]
ぁあ、きつくても磨き上げてく時間の始まりだ。
[ノルマをこなしにいくアーネスト>>229に、自分もまた淡々と、ロードバイクを漕ぎ出す。
船旅が終わりではない友人へと、先に来ていた自分ははやめにノルマを終えて、またなーと手を振ってスポーツジムを後にした*]
― 船室 ―
[文明の急激な発達は様々な波紋を呼ぶ。
一変したのはつい5,6年前だ。
早期退職すれば退職金が多くもらえるともあって、自分は早期に退職した。
これからの流れ上、人がならなくてもいいことが増えていくのならば、それは避けられなかっただろうし、仕事というものに意義を感じるものではなかったからだ。
スポーツジムでかいた汗を流すシャワーの音。体のラインを描いて這う温水は排水溝に渦を巻いて落ちていく音。
乾いた笑いを響かせて、きゅっと音をたててシャワーの栓をしめた]
……あ、なにも今大至急ってワケじゃないよね。
ふぅー……落ち着け、深呼吸シンコキュー。
[突っ走りそうになる心をなんとかなだめ。
ひとまずサンシアに返事を送ろう。
『ごめんトレーニングしてた!
マッハで着替えるからちょっと待ってて!』
それだけ送ってまた自室にダッシュ!
どこで話す?待ち合わせ場所は?
そんなコトも聞いておいたほうがよかったのだろうがアタイは止まらない!]
『ああ、明日には着く。奇想天外な展開なんて起きなかったが知り合いなら出来たぜ。』
[地球から届く友人からの連絡に返信をして。
届かない両親からやこなくなった知り合いからの使われずに残っているだけの連絡先。
文明の発達は代えがたい利便性とどうしようもない現実を教え
充実した社会保障制度の救いはグロテスクをみせつけて
それらを飲み込んで、変化があるかもしれない、見てみようか。そんな気軽な理由で移住するけれど。
誰かさんたちのおかげで曇ったベールに覆わずに新天地に足を踏み入れることができそうだ**]
── 自室 ──
[大急ぎでシャワーを浴びて新しいライダースーツに着替える。
さあ、準備はできたぞドンと来い!
そうして再び端末にサンシア宛てにメールを送る。
『準備できた!
あ、時間。いつどこで会う?』
大急ぎでそれだけ送り、返事を待つ。*]
── ?? ──
電子端末にはまだ研究員からの連絡が来る。
何行も綴られているだろうそのうちの一行目ばかりが目に入り、
そうして私はそれから目を逸らす。
逸らし続けるわけにもいかない。
逃げ続けるばかりでは、いけないの。
だって、新しいものを手に掴むのに
前に進まなくちゃ、意味、ないじゃない。
わかってるのよ、本当は、私──
「馬鹿みたい。」
もうすぐ、ホワイト・マーブルに着く。
だから、その頃には……ちゃんと、全部受け入れるから。
そうして、私は前を向くわ。
過去を捨てて、新しいものを……
──手に、入れられるかしら。
たぶん、無理そう。*
―― 時を少し戻したスポーツジム ――
[大急ぎで走り出そうとするアタイ。>>239
しかし、カラントも丁度ジムを出るところで>>240]
へへっ!お先ッ!
んじゃーまたねっ!!
[またなーと手を振るカラントに同じく手を振って。
ダッシュで追い越して慌ただしくその場を後にしたのだった。*]
── 自室 ──
読み終えた宙色の鍵。
感想を言おうと、思ったけど。
部屋の場所を聞いていなかった……
食堂エリアに行けば会えるかしら。
でも、今はあまりうまく言葉に出来そうにない。
傍らの電子端末に意識が行って、
『一歩を踏みだす勇気』を
どこで手にするべきか……悩みあぐねているから。
「……勇気、」
─ 午前・船室 ─
[前日、いきなりの頼みに担当さんからは訝しむ声が返ったけれど、
私のことをデビュー前から、家族の事情も含めて知っているから
友人の助けになりたいと言った私の言葉で引き受けてくれて。
担当さん経由で頼んだ依頼は
可能な限り早く妹さんの所在を特定し、可能なら安全の確保もしておいて欲しいというものだった。
信頼の置ける所を紹介してもらったおかげで、
私の依頼は滞りなく、おそらくは今出来る限りの対応をしてもらって>>218。
逸る気持ちに送った連絡は、程無く返信が届いた>>242から]
『妹さんの居る所に警護もお願いしたから
慌てないで大丈夫だよ』
[ひとまずこれだけ返した後待とうと思ったら、
そう時間が経たないうちに準備できた!という連絡が入ったから]
『アーネストさんが良ければ
そっちのお部屋に今から行くね』
[どうしても気が急いて仕方ないのだろう、
下手にこっちに呼んだら衝突事故でも起こしちゃいそうな気がして
私から彼女の元へ向かうことにした。
そうしてアーネストさんのお部屋にお邪魔して]
あのね、妹さんが手紙に書いてた住所
病院だったの。
それでね、今、妹さんはそこに入院してるんだって。
だから妹さんを保護するにしても、
妹さん本人の意思だけじゃなく
病院から退院の許可を貰えるまでは難しいかも。
だからね、
明日はホワイト・マーブルに着いたらすぐ
調査会社の人が病院まで連れていってくれるから、
妹さんの心身が今どんな状態か説明を受けることから始めましょうって…あ、そうだ。
アーネストさん、妹さんからの手紙は持ってきてるんだよね?
その手紙が妹さんの身内だって証明になるから、
アーネストさんにはそれを持参した上で病院に同行してくださいっていうのと。
妹さんの警護含めて安全確保の人員配置は既に済んでいるから心配なさらず、
笑顔で妹さんの前に出られるように体調を整えておいてください、だって。
[調査会社から届いた報告書と、明日の段取り。
担当者からの言伝を先ずは伝えて、
それからアーネストさんに向き直ると]
妹さんが入院してるのは心配だけど。
見つかって良かったね、
明日が待ち遠しいね。
[そう言って、ふにゃ、と笑って。
明日の調査会社さんとの待ち合わせ場所の確認と、
私が今回の依頼主になっているし、
助けると言った責任は最後まで持つけれど
妹さんからしたら全くの部外者だから
病院への同行はしない方が良いかな?
という点での確認だけ済ませたら、
今ここで出来ることは全部終わったと言えるだろう**]
…終わったって思いたくないっていうよりは、
親から子は生まれるけれど、
子の人生は、親のものではないでしょう?
私が生み出した物語だけれど、
物語を私の勝手にしたくはないの。
私がいなくなった後も
世界に残り続けて欲しい、終わらないで欲しい。
それこそ図書室に並んでる名作みたいに。
そういう気持ちだってあるけどね。
[そう言って笑いながら、
レットが自分の作品に興味を示してくれたなら
この名前のまま書いているから、良かったら読んで欲しいと答えて
彼女との時間を過ごしたのだった**]
─ 日中・カフェ ─
[そんなこんなで
最大の気がかりが一先ず安心出来たことで
残り少ない船の中の時間を過ごす余裕も戻った。
昨日運動しなかった分もジムで動いて、
軽くお腹にものを入れようとやってきたカフェで
休憩がてらゆっくりと食事を摂って。
思い返すのは、この船で出会った人達や過ごした時間。
昨日今日で起きたことは、思いも寄らぬことだったけれど
考えてみれば、思いもよらなかったことはその前に既にあった]
……男の人に
名前を呼びたいとか、呼んでほしいとか。
言う日が来るとは思わなかったよねぇ…
[それだけじゃない、自分から連絡先を聞いたり住所まで教えたり。そのくせ、踏み込む勇気は出せなくて。
近付きたい、知りたいと思う気持ちが空回っている自覚は、流石にある]
[今まで自分が物語として書いてきた中には、
男性の主人公は何人もいる。
机上の感情なら、いくらでも書けるし
その心理も、動きもわかる。
でも、現実はこんな、無様で不格好で]
……怖がってないで、
もっと関わり持つべきだったなぁ…
[人と向き合うことをさぼってきたツケが
今ここに出てるんだな、と
こんな時でも冷静な自己分析に嫌気を感じながら
サンシアって名を呼ばれるようになっただけでこんなに嬉しいのだから、
もっと近づけたら、少しでも意識してもらえたら。
そう願う気持ちはどんどん大きくなっていて]
――カフェ(最終日の日中)――
[昨日私は『宙色の鍵』を読了、その感想をツァリーヌと話し合ったりした。
そして今朝はアーネストに珈琲豆を贈り、書き上げた手記をカプセルに入れて宇宙に放って貰った。
これはそんな後の一幕。食堂にてカラントに焼肉サンドを振る舞い、スケッチを頂いた後、私はカフェにやってきた。
食堂ではカラントの為にエスプレッソを淹れたので(※エスプレッソはマシンで淹れる。圧力が必要だからだ。私はアンドロイドだが、珈琲マシンではないので圧力をかけてお湯をろ過することは出来ない。)、今度はいつものように普通の珈琲を点てたくなったのである。
よって、かの小説家がハムサンドとオレンジジュースを先に注文していた時、カフェにはまだ珈琲の香りは漂っていなかった。]>>231
[私はいつものようにカウンター内にずけずけと入る。慣れた手つきで珈琲を点てると、カフェ内にこう声を掛けた。]
どなたか珈琲を召し上がりませんか?
淹れたてですよ。
[私は、何度か珈琲を振舞った事がある女性の姿を視界に捉えた。彼女の職業など詳しいことは聴いてはいないが、
私の方の事情――アンドロイドであることや、亡き妻の存在、ホワイト・マーブルにいる息子の現所有者、記憶を消去される予定などは特に隠さず話したとは思う。
私が自己紹介をし、相手がしないのを私は全く気にすることはない。
人には人の事情があるし、特に女性ならば猶更言いたくないことだってあっておかしくないから。
なので、私は彼女の名前を存じ上げているぐらいだ。
さて、私の声掛けに彼女が応じてくれるかはわからない。
もしも食後の珈琲を望んでくれるのならば、すぐに提供は出来るのだけれど…。*]>>232
……まあ。慣れるでしょう。
人という生き物は、存外早く非日常に慣れていく。
だからきっと…貴方がこの環境に慣れたいと願うのならば、存外早く、心はその日常を受け入れてくれると思いますよ。
[と、最初は男は、慰めのような言葉を送る。
地球と似ているが似つかないあの星を受け入れる日も来るだろうと
…同時に]
…ただ。貴方が心の底から望む『終着駅』がここではないなら…貴方が本当に欲しかったものが別にあるのなら…その非日常と比較して、どうしても慣れないこともあるかもしれません。
…私は、場所への執着が薄いのでなんともいえませんが…
貴方にとって、あの星に何か思うところがあるのなら…貴方にはきっと辿り着きたいどこかがあるのだろうな、と思います
[そのようなことを述べる。
彼の過去に何があるかは分からないが…彼の気持ちにできるだけ添えるように]
…私があの星についたら、ですか?
そうですね…仕事…という話ではないですよね
[楽しい話、とこれから何をするのか問われれば、
男は少し考えて、一つ瞬きをして]
…まずは、家にいって、妻と子どもたちに会います
それから…贈り物をひとつ、ふたつ…
……それから、三人を買い物に連れて行ってやろうと思っているんです。
私は今まで、そういった娯楽施設には連れて行ったことがなくて…いやそれどころか、家族とほとんど触れ合うこともしてこなかった。
……あの子達や、妻が喜ぶプレゼントをしたいなと思うんです
本当に、今更な話なのですが
…けど、いい買い物をする場所も思いついてないから、ここからは割といきあたりばったりですよ…はは
[そう言って、少し苦く笑う。
世間話の花になる、家族とのぎこちないところを面目なく思うような表情は、対話のときのツールの一つだが…男の内心の無意識が、ほんの少しだけその表情を自然な人間のそれにしてくれていた**]
[その時、つけっぱなしになっていた壁面の薄型テレビがこんなニュースを告げた。
『次のニュースです。
アンドロイドの人権問題に関して、市民から賛同と反発の二つの対立する声が上がっています。
人間の生活に今や欠かせないアンドロイドという存在。
昔のロボットとは異なり、アンドロイドは心を持つような言動や行動を取ることがあります。
そういった彼らを家族のように思う人も多く現れるようになりました。
家族に人権がないなど、以ての外です。
しかし逆に、アンドロイドに人権を持たせたら人間の人権が脅かされると考える人たちも存在します。
本番組では独自の取材によってこの問題を掘り下げて行きたいと思います。
アンドロイドは、人なのか、それとも機械なのか。
彼らの人権は認められるべきか、否か――』>>124]
[私はただぼんやりとその内容に耳を掛け向けていた。
これは自分について語られている事なのか?
その実感すら薄い私とは、一体……。]**
[素直さに溢れる彼女を私はとても好ましく思っている。
スーさんなんてあだ名で私を呼んでくれたのも嬉しかったし。
花に喩えるならマリーゴールドのような女性。
私は何も恋をするだけが幸せだと、彼女の元同級生みたいな価値観は持ち合わせてはいないがそれでも。
まだまだ長い人生を歩むであろう彼女に、いつか素敵な出逢いがあるといいなと思わずにはいられない。
…この船では色々な出会いがあったなあ、と感慨深く思い出に浸る私である。]**
―― 午前・自室にてサンシアと ――
[そわそわと部屋の中を歩き回っていると端末に返ってくる返信。>>251
思わず前のめりに確認。
部屋に来てくれるというなら即座に返事を
『分かった。待ってる』
短くそう送り、サンシアが来るまでの間。
妹は警護されている>>250ってコトは生きている。
それだけ分かっただけでも最悪な事態は想定しなくていいのだと不安の中にも安堵を感じていた。
そうしてサンシアが部屋に来てくれたなら、
来客用に用意された椅子を勧めて座ってと促す。
アタイはテーブルを挟んだ対面の椅子に腰かけた]
[そうして聞く妹の話。
妹が入院していると聞いて苦し気に顔を顰めつつ]
そう、か……あの子は入院して……、。
あ!あの男。あの男はどうしてるンだい?
警護してるって言っても名義上の夫なら……って、行方知れず?
なんてヤツだ。
妹をボロボロにしたくせ、
都合が悪くなったらトンズラってヤツかい。
まったく……!
でも、男がいないほうが妹も安全、か。
[会話の合間に男が行方知れずと聞けば、
呆れと怒りで語気を荒げつつも、ひとまずは妹の安全を喜ぼう]
[病院からの退院許可など難しいコトも悩ましい。
でも、明日になれば会えるのだ。
病院で妹の病状をちゃんと把握しよう。
そうして妹が話せる状態なら話をしよう。
そう希望を持ちながら、
手紙の話になれば頷いて最後の手紙以外の手紙も何通か見せよう。>>252]
ひとまずあの子からの手紙は持てるだけ持ってきてるよ。
もし今後、裁判なんてコトになっても証拠の一つにはなるかなってネ。
学がないなりにかき集めて持ってきたものサ。
[手紙には妹の筆跡で男に追い詰められていく日々が詳細に書かれていた。
トランクに詰め込まれたそれらを指で指し示しつつ]
[サンシアとサンシアの手配してくれた人々に感謝を示そう。
アタイが思ったよりも最大限のフォローをしてくれている。
これなら妹は大丈夫、と。
ほっ、とサンシアの言葉に安堵の吐息を吐いた]
ホントにありがとう……。
こんなに妹のために手を尽くしてくれるなんて、
なんてお礼を言ったらいいのか……、
……ってか、これってけっこー金がかかるんじゃ……?
え、ちょっと待って!そんなに使ったの!?
なンで言ってくれなかったんだい!?
払う、払うよォ。
友達にそこまで世話かけれないよォ……!
[アタイが大慌てでお金を返すと主張すれば、サンシアは折半でと>>217笑って言ってくれただろう]
[さすがはアタイのヒーロー。器が違う、なんて感心しつつ。
今後、お金が必要な場面は何度も出てくるだろう。
アタイも今まで働いてきた貯えはあったがそれでも全額は心もとない。
ここはサンシアの好意に甘えて折半でと受け入れようか]
じゃあ折半でお願いするよ。
それにしてもサンシアはすごいネェ……
もしかしたらアタイよりヒーロー適正があるかも知れないよ?
二人のヒーローが妹を救うために立ち上がる、か……。
もしかしたらコレで小説が一冊書けるかもしれないネェ?
[二人の女ヒーロー>>217。いい、なかなかに味がある。
そんなコトを思いつつ]
[ふにゃと笑うサンシアは可愛らしい、そして癒される。
サンシアの言葉>>253にアタイは笑顔で頷こう]
ああ、妹が見つかってホントによかった。
明日会えるのが待ち遠しいよ。
[サンシアが同行しないほうがいいのかと聞くなら、
アタイは即座に否定の意を示そう]
何言ってンだい!サンシアも来てくれるならアタイは歓迎するよ!
妹の容態が不安なのはあるけどサ。
アタイはサンシアに見届けてほしいと思うよ。
なんせここまで付き合ってくれた仲じゃないか。
[願わくばこの経験がサンシアの作品の糧になりますように。
そうして笑顔を見せて明日を指折り待ちわびよう。**]
―― 午後・礼拝堂 ――
[ショッピングモールを後にした後、一度スイッセスさんからの贈り物を自室に持ち帰り大事にトランクにしまっておく。
その後は妹の無事を祈るために礼拝堂を訪れる。
アタイは特に信仰深いワケではないが、
妹が入院していると聞いた今、妹のために祈りたくなったのだ。
1か月の船旅の中、初めて訪れる礼拝堂は綺麗な場所だった。
アタイは聖母像の前に跪き手を組んで祈りを捧げる。
――どうか妹が無事でありますように。
元気になりますように。
幸せになれますように。
また一緒に笑い合えますように。
しばらくそうして熱心に祈りを捧げていよう。**]
[それからわたしはスイッセスさんの語る記憶の話に耳を傾けます。>>222>>223 記憶の上書き。大切なものは、大切なもので上書きされていくのだ、と。失うことを恐れるよりも、得ることに喜びを感じてほしいのだ、とスイッセスさんは語ります。]
新しい幸せ…
[ゆっくりその言葉をかみしめるように、わたしは独り言ちます。]
忘れることも、怖かったのかなあ…
[これは、独り言でした
いまある幸せを、すこしずつ拾って、見つけて、わたしは暮らしてきました。ささやかな日常を繰り返しながら、少しずつ、記憶が風化してしまうのではないかと、それを恐れていたように思います。
幸せを得ることが、“忘れる決心”だなんてヘンな話だけど
でも、これから新しい暮らしを始めていくうえで、忘れることをも恐れないで生きていくのが、今までのわたしを“棄てる”と決意したわたしの、次なる課題なのかもしれません。]
……実感、わかないですけど、
だけどありがとうございます。なんとなく、心の在りようが見えた気がします。
スイッセスさんの、おかげで。
[そんな風にお礼を述べましょうか。そして思っていたことを口にします]
……あの。
これは、失礼に当たってしまったら申し訳ないのですが
[前置きは、とても大事なので。そんな言葉を添えてから]
スイッセスさんって、とても“人間らしい”なって思います
わたしなんかよりずっと、人の心の在り方がわかってる
[もしかしたらアンドロイドの技術自体がすごいのかもしれない。昨今、色々言われていることも>>265目にしていないわけではありません。でもわたしは、こんな言葉を選びました]
今を生きているスイッセスさんが素敵な方であるのと同時に、
過去を生きていたスイッセスさんのモデルになった方も、とても素敵な方だったのでしょうね。
[詳しくお伺いしていなければ、その方の詳細についてはわかりません。妻が、という言葉からも「そういう」モデルがいるのだと推察くらいしかできなかったんです。
だけど、過去の人格を作り上げたのであろうモデルの方と、今のスイッセスさん、どちらが何か欠けていてもきっといまの素敵なお言葉はいただけなかったのでしょうから。
ふたりでひとり、という言い方も何かが違って
同じ人格、別の人格という言い方も何かが違って。
でも確実に、過去から未来へふたりが紡いで、今のスイッセスさんを作っているのだろうと、わたしは思うのです。 **]
[彼女の問いには笑って答えた。]
俺はそもそも本なんて読まないからな
すぐ飽きちまう
まあ、此処ならではだよ
こんなに暇でしかなかった日々は、人生で初めてだったかもしれない
ま、おかげで本の面白さってやつは多少理解したつもりだ
暇があれば図書室に行ってみるといい
「冒険」シリーズがお勧めだ
[言いながら、自分の読みかけの本を持ち上げた。
暫くの後、会話も尽きれば今度は近くの寄りかかれる木―なのだろうか―に寄りかかり、座ったまま本を読み始める。
近くに彼女がいても、お互い静かに穏やかな時間を過ごせたのではないだろうか。]**
― バー ―
[意気込みを新たに、という男>>261に、若いな、と思った。
彼もそれなりの年齢には見えるが、まだまだ先には目指すべき場所がたくさん見えているようだ。
自分も20年…いや、10年かもっと最近まではそんな風だった気もしないでもない。
今はもうよく思い出せないが。]
そうだろうな、慣れるだろうな
慣れたくないと思ったところで慣れるものだからな
[慣れが成長につながったもの、本当は慣れてはいけなかったもの。
自分の人生にも色々あったのだろうが、彼のいうことは正しい。
嫌でも人間慣れていく。
しかし、彼の次の言葉>>262には、少し言葉を詰まらせる。
誰に強制された訳でもなく、自分で、人生の終着駅としてここの星の施設を選んだ。
けれども、そこが終着駅ではない、ということも往々にしてありうる、と、彼は言う。]
―― 余談・悪のヒーローの可能性についての考察 ――
[唐突だが、
「最初は悪の組織の幹部(表向きは大企業の社長)>>1:298として暗躍していた悪役が
ヒーローたちとの戦いを通して徐々にヒーローたちを手助けしたり>>1:345ピンチの時に颯爽と助けに来たり>>1:362
そうして最後にはヒーローたちと和解して子供たちに慕われる>>67>>68」
なんて悪のヒーローとかアタイは好きだ。
悪側からのヒーロー側への「光堕ち」は最高だ。
最初は悪役として登場するから視聴者の子供たちから露骨に嫌われるけど、だんだん味方になっていく過程で『実は病弱な妻や幼い子供がいる父親で今までの悪事は家族のため』とか隠された背景が明かされ始めた頃から徐々に子供たちが興味を持ち始められ、
『実はたまごボーロなどのお菓子を子供たちのために常に持っている』『子供とどう接していいか固まる』などの可愛いく不器用な一面から好きになっていく子が増加していきラスト付近ではみんな悪のヒーローを大好きになりスーツ姿のお父さんに『ヒーローゴーグルかけてー!』とおねだりする子供が続出する社会現象すら起こすほどの人気を得たりするのだ。
これだから悪のヒーロー沼は一度入ると抜けられない]
[こういう話を聞くと、ホワイト・マーブルに対する嫌悪感が薄れるのは不思議だ。
知らない不気味な星ではない。
ほんのわずかでも知っている人々が精一杯生きる場所だということを実感するだろからだろうか。]
俺もな、よく考えようと思うよ
けれど、まあ、多分だが…
[手元のカクテルを一口飲みながら考える。
多分だが、やはり、俺は地球に戻るんだと思う。]**
[ちなみにこの場合。>>1:346
悪のヒーローはスーツ姿だからこそ輝くのである。
そこに他のヒーローたちと一線を画す闇夜になびく漆黒のマントなんかだと最高にクールだと思う。
むしろ積極的にスーツ姿に漆黒のマントをなびかせてくれ!
――などと考察する日もあっただろう。**]
─昨日・庭園─
[深入りしないその言葉が優しく、そして温かく感じられました>>281]
ありがとうございます。
だと、わたしもうれしいです。
[だからわたしも父のことについては触れず、そう答えるに留めて微笑みます。もちろん本心です。
ところで、目の前のひとは、庭で本を読むほどの人ですから(お菓子やお酒を片手にのようですが!)、てっきり本がお好きな方だと思って話を聞いたのです。そうしたら「本は読まない、飽きてしまう」と返ってきた言葉に、すこしびっくりしました。]
そうなのですか?てっきり本がお好きなのかと
……ふふ、もしかして飽きて眠っていらっしゃいましたか?
[くすくすと笑います。もちろん気分を害されるようでしたら謝りました。]
[そんな彼の勧めてくれた本は「冒険」シリーズ。名前は聞いたことがあったでしょうか。わたしの好みは純文学のほうでしたが、ファンタジーや冒険もとても好きなのです。なにせ、今手元に持っている本だって、冒険の絵本でしたから。>>0:37]
ありがとうございます。気になります。探してみますね。
[それからしばし、わたしは絵本を読んだり、穏やかな風景に目をやったりして。夜は言われた通りに図書室に足を運んで本を探してみたりして。(つい読み込んでしまいそうになって、ぱた、と閉じて我慢したりして!)
…いつか本当にどこかで奇跡が起きて、名も知らぬ庭園の隣人とまた会うことがあるならば、冒険シリーズの感想を言えたらいい、なんて、思う一日だったのです。 **]
でも。
もしそう見えたのなら、それは
この船で出逢った人たちと
たくさんお話し、考え助けられた結果では
ないかと思いますよ。
[彼女はとても謙虚な女性だ。その言葉は人を傷つける事など決してないのではと思えるほどに、柔らかい。真綿のようにふわふわとしていた。]
…ええ。ドロシーは生前のスイッセスを
とても素敵な伴侶であったと言っていました。
「大好きなおとうさん」と。
…息子がいると、妻は夫の事をお父さんって
呼びますからね。
…リーンさん。
良かったら、貴女のご家族のお話、
もう少し伺っても?
楽しかった思い出を教えてください。
好きな食べ物や、一緒に見た映画でも…なんでも。
[そんな他愛ない会話をしたいと考えたのは、私がドロシーや生前のスイッセスについても少し話してみたいな、雑談をしたいな、と思ったからで。
そうして私たちはもう少し共に緩やかな時間を過ごせたであろうか。
この船で過ごす最後の夜の過ごし方として、
優しい刻が、宇宙のようにどこまでも、どこまでも広がっているような気がした――。]**
…そうですね、とてもとても楽しみです。
家族と再会するのが…
優しい、に該当するかはわかりませんが、
それでも、これは良いことなのだろうとは思います
[男は、笑う彼に一度クスクスと同じく笑ってみせる。
しかし、少し目を細めるようにして前を向くと、
少しばかりの淡々とした言葉。]
…自信はありませんけどね。
これまでの人生、諦めてばかりでした。
…私の『終着駅』がまだ先にあると知って…
幸せな終着点にいつかたどり着けるだろうかと、
考えるべきことがたくさんあって…
……けれど、少しだけ…
扉に手を伸ばしてみようと思ったから
[多分だが…>>286と、
言葉を切った彼の心はなんとなく察しがつく。
彼は旅をしている。この航行のことではない。
もっと途方もなく大きな旅を、今までもこれからも
男の終着点とは違う方向を向いていることが分かる。
過去のことは振り返るな、とも
ここまで来たのに勿体無い、などとは言わない。
惑星間の移動ごときでは、きっと足りはしない旅路に]
…どんな場所に流れ着くのであっても
貴方が心から終着駅だと思う場所が、
きっと貴方にとって必要な場所なのでしょう
[*セックス・オン・ザ・ビーチ*を注ぎ、カウンターを滑らせ彼へと届ける。
これからも、旅を続けるだろう彼に]
[……バーは静かな時を告げる。
寡黙な男は、カクテルを飲み干し、
しばらく静かにそこにいただろう。
雑談等を交えながらも、
かちりこちりと針をすすめる時計の音が静まったとき、
男はそっと席を立つ。
彼の旅路とは別の方に、歩むように**]
…わたしの?
[スイッセスさんは家族の話が聞きたいのだといいます。
…拒むことはありません。スイッセスさんに話したのは、きっと15歳よりも昔のこと。まだ父も母も姉も揃っていた時の話。家族四人で行った場所、見た映画、食べたもの。一緒に母と姉とよくクッキーを作った思い出ももちろん話します。
もしも、そんな他愛ない話の中に、なにかスイッセスさんさんとの共通項を見出して、彼が奥様との話を聞かせてくれるのならば、遮ることなく話を聞いたと思います。
きっとそれは穏やかで、静かな時間でした。もう間近にホワイト・マーブルは迫っています。
一段と白く宙を彩るその星で、……いつか。今話した「思い出」と同じくらい大切で、かけがえのない「出会い」があることを、わたしは、…願って。 **]
[私は少し背伸びをして、キラキラの世界へ足を踏み入れる。
そこでは、スーツを着た私はとても場違いに感じるのだけれど、いっとう素敵な物を選びたかったから。
ここならそれを、叶えてくれるはず。]
― 最終日:アクセサリーショップ ―
[そこは、ショッピングモール内にある煌びやかな店舗。
地球やその他惑星で採取された貴金属、天然石、小さな宝石で構成されたネックレス、ブレスレット、ピアスの類が、壁や棚を埋め尽くしている。
デザインは最新の流行からフォーマル、ヴィンテージ混じりな物まで様々で、何処を見て良いのか分からなくなる程の輝きで溢れていた。
私の足は、自分でもなんとか手が届く範囲の値段に設定された棚へと向かう。
ゼロが1つ所か2つも多いソレの横をおっかなびっくり通り過ぎながら、眺めるのはネックレスが並ぶ区域。]
――えっと、
[どうしよう、来たは良いけれど分からない。]
[棚の前、困った顔でまごつく私の横に、すかさず店員のお姉さんが登場する。
「お困りですか」と言う言葉に、ハイと小さく、素直な返事を。]
あの、
ピンク、の石が付いたネックレスを
人に贈りたいんです、けど…
[何とか絞り出した言葉に店員さんは笑みを浮かべ、「こちらです」と私を棚の一角へ案内してくれた。
凡その予算を伝え、言葉を交わしながら品を選んでいく。
これは少し大粒。
これは今風じゃない。
これは完全に予算オーバー。
幾つもの品を吟味し、
最後に自分で選んだのは、タフィーピンク色の、小粒のガラスネックレス。
透き通ったそれはどこか飴玉にも似ていて、シンプルなペンダントトップデザインと相まり、何処か柔らかな印象を抱く。
細いチェーンからなる金のショートネックレスは、今にも千切れてしまいそうなドキドキを与えるけれど、主張が激しい物はきっと邪魔になってしまうから。
そんな、贈る相手の事を一生懸命考えながら選ぶ時間は、とても楽しい物だった。]
[大人の女性が身に着けるに相応しい品の為、バイト代を貯めた自分なりにそこそこの奮発をしたものの、大人には全然手が届かない。
私がもっと大人で、しかもお金持ちであったなら、いっとう美しいレッドベリルとかを贈るのに……。そんな考えが首を擡げるも、それはあまりにも重すぎる!と、小さく首を振って思考を何処かへと追いやった。
小さなそれは、小さな白い箱に納まって。
箱と同じく白いリボンを結んで貰い、メッセージカードを添えれば、ほら、とっても素敵なプレゼント。
店名が入った紙袋を受け取れば、特別な高揚感を覚えた。
ニコニコな店員のお姉さんは絶対何か勘違いをしている気がするけれど、今は特に気にならない。
ありがとうございましたと言う言葉を背に、私は店を後にする。
近くに居たペンギンアンドロイド君に、アクセサリーショップの紙袋を託すと、私は小さく手を振りながら、その背中を見送った。
自分で手渡すのは、少し気恥ずかしくて。]
[ペンギンアンドロイド君に託したソレは、アーネスト師匠宛。]
『とっても嬉しい贈り物、
有難うございました。
ホワイト・マーブルに行っても
私、頑張ってトレーニングを続けます。
師匠のかっこいいライダースーツに
似合うアクセサリーを選べたか不安だけれど、
気に入ってくれたら嬉しいです。
大好きな師匠へ、弟子より』
[シンプルな白いメッセージカードにグリーンのインクで綴られた文字は、少し緊張していた。
けれど、伝えたいことは全部書けたから。
子供の背伸びの品、喜んでくれると嬉しいな。*]
― バー ―
[一見不愛想な彼が、笑いながら家族との再会がどれほど楽しみかを語る。>>296
こちらもその姿に思わず穏やかな笑みが零れる。
自分には妻も子もいない。
ずっと好きだった人は居たし、同じ主人に仕える仲間の子どもの面倒をみたことは数えきれないほどある。
けれどもこうやって伴侶を、血の繋がった子を得る機会はついぞなかった。
彼女が亡くなった後暫くは、少しだけ人のこのような話を聞くことが辛いこともあった。
あと少しの遠慮がなければ、自分にもこのような人生があったのかもしれない、と思うことがあった。
けれどもやはりそれを癒してくれたのも、主人に、仲間たちに、その子どもたちだった。
妻と子を大事にしようとする目の前の彼の姿は、彼らの姿と重なって、どうにも愛しかった。]
[誰かに贈る物をする事自体は初めてでは無い。
けれども、こういった店に入るのは初めてで、何なら母さんにもアクセサリーなんて品を送ったことは無い。
アクセサリーショップ店員さんのニコニコの理由は、この贈り物は恋人宛だろうと言う勘違いから来る物だと思う。>>305
けれどいつか私も、本当に恋人にアクセサリーを贈る日が来るのだろう。
もしくは、一緒に選びに来るのだろうか。
贈られる側なのかもしれない。
そうして、スーさんから聞いた恋の話を思い出した私は、急に熱を持った頬を両の掌で押さえながら、ショッピングモールの道端、おろおろとするばかりであっただろう。
たすけて、スーさん!>>267>>268**]
――ショッピングモール――
[ガッシャアアアアアアン!
砕け散る硝子、私は両手で顔を庇いながら店の硬質硝子に思い切り体当たりしそれを割り、中に飛び込んだ。着地すると同時、くるりと華麗に身を翻してその場にすっくと立つ。
スイッセス・サン、推参ッ
そして、怯えた様子のレットに手を差し伸べた――。]
[私は自室にて荷物の整理をまだ続けていた。
荷物がパンパンだ。パパンがパンだ。これはもう一つ小さな鞄があった方が良いような気がする。
アーネストのサインやカラントのスケッチを綺麗に余裕を持って入れるには。
確か、船内にはショッピングモールがあったはずである。
思い立ったがなんとやら、私は腰を持ち上げて自室を後にした。]
[ショッピングモールを今まで利用しなかったのは、アンドロイドである私は余り消耗品を必要としないためであった。
マイケルに手土産を持参することも考えたが、所有者と道具という関係性を考えるとなんだかおかしい。
マイケルの子供が小さければ玩具でも買っていくのだが、もう成人している。
私は目当ての鞄をある店で見つけると手頃な値段にて購入した。
これで良し。
目的を達成した私が自室に戻ろうとすると。]
…あれは。
[それがレットであることは遠目でもすぐにわかった。彼女も買い物に来たのだろうか。それ自体は特におかしい点はない。ただ、何か困った様子に見えるのは私の気のせい?]
─ 午前・アーネストさんの船室にて ─
[連絡を貰ってすぐに向かったお部屋では
前のめりな勢いでアーネストさんに迎え入れてもらい>>269。
テーブルの上に資料を映し出して、
何より先ずは妹さんの現状をと話したのだが]
男?
あ、そういえば…
妹さんのこと早く伝えなきゃってばっかりで忘れてた。
男の方はね、今行方が分からなくて調査中だって。
正直、妹さんが元気になるまでに見つかれば良い位で
今は妹さんのことだけ考えるで良いと思うよ。
[男が仮に妹さんの所に戻ってきても、今は警護に守られているから
むしろこちらから探す手間が省けるだけだ。
だから男のことは後回しにしていいと怒る彼女を宥めてから、妹さんからの手紙の話に移り]
そうだね、裁判にならないにしても妹さんがその男との縁を切るのに有効だと思う。
この手の案件に強い所、私のお世話になってる所から紹介してもらうね。
[アーネストさんが示したトランクに詰まった手紙>>271はそのまま持っていってもらうことになり。
やっと安心してもらえたか、ほっと一息ついた所で、
どれだけお金掛かった?と質問をされたので、
素直に請求された額を伝えたら驚かせてしまった>>272]
どういう状況かも分からなかったし、
とにかく急いで欲しいってお願いしたから。
これは私の勝手にしたことだから
気にしないで…っていうのも無理か、
アーネストさんの妹さんのことだもんねぇ。
でも私もアーネストさんのヒーローとして
出来ることしたかったからだし、
こっちの負担も半分こってことにしてもらって良いかなぁ?
[こちらの独断なのだから気にしなくていいよ、と言いかけたのだけれど
一月の付き合いだけでも分かる責任感の強い彼女にはその方が負担かもと思い。
折半でと伝えたら、応じてもらえたから]
ふふ、そう言ってもらえると嬉しい。
妹さんが、笑い話に出来るくらい元気になったら
そうさせてもらうかも。
[彼女の言葉>>273に笑いながら頷きを返し、
妹さんが見つかって良かったと更に笑みを崩したら
アーネストさんもいつもの笑顔を返してくれて。
病院の同行までは遠慮した方がいいかなと問いかけたら
見届けてほしいと言ってくれたから]
それじゃ、明日は一緒に病院だ。
ちゃんと明日も傍にいて、手も握ってるからね。
[大丈夫だよと笑って、テーブルの上で手を握った後
明日に備えてゆっくりしてね、と笑って別れた*]
― 展望室 ―
[部屋に戻る途中、図書室にとうとう読み切れなかった本を返却し、展望室に寄る。
起き抜けとは比べ物にならないほど大きいホワイト・マーブルが目の前に迫っていた。
けれども、その姿に以前よりも嫌悪感は抱かない。
皆、この船に乗っている者は少なくとも一旦はあそこに降りる。
そして、さらにそのいくらかは、あの新天地で新たな暮らしをスタートさせるのだ。
こんなに遠くの知らない星で、知っている人たちが生きている]
地球からは…点にしか見えないか
[いや、恒星でもないのだ。点ですら見えない気もする。
もし見えるのならば、地球に帰った暁には大きな支えの一つになる気がするのだが。
それならば、たくさん目に焼き付けておこう。
今目の前に広がるこの星を、そして、この星を発つときに同様に目前にするであろう、皆が降り立ったホワイト・マーブルを。
じっと厚いガラスの向こうのその星を、どこか温かい目線で見つめ続けた。]**
― ショッピングモール ―
[>>310>>311>>312>>313>>314
颯爽と映画の主役がごとく登場し、手を差し伸べる珈琲紳士(既婚者?)に、少女は恋に落ちるのであった――…。
みたいな展開は全く無かったのだが、
脳内で助けを求めた相手に急に登場された私は、背後にキュウリを置かれた猫のごとく、ビクリと飛び上がった。]
ひゃい!
[まあ、キュウリ猫はちょっと盛り過ぎだったかもしれない。
ぽかぽか熱を持つ頬のまま、元気な声を上げると、知った声の相手を見る。]
はい!
買い物、でし!た!
[過去形。
アーネストへのプレゼント購入を終え、いつか来るであろうお姫様か王子様か…、まあ今はどっちでも良いのだが、架空の相手に頬を染め混乱していた。
等と言える訳がない。
アクセサリーショップの脇で悶える様はまあまあと不審者であったかもしれないが、自分を客観的に見れる状況でもなし。
困った様に見えているのみで、大変よろしい感じであろう。]
スーさんも、
お買い物ですか?
[平常心ッ!
熱を持った頬をごまかすよう、手でパタパタと顔を仰ぎながら、すかさず話題を変える。
このショッピングモール、なんか暑くないですか?
ちがう?そう……。]
珍しいですね、
ショッピングモールでお会いするなんて
[船内で彼とすれ違う事はあれど、この場所では始めてな気がする。
珈琲豆などを買いに来たのだろうかと、首をかしげながら。*]
…すごいなぁ。
[移住を決めた時に写真や映像は見ていたけれど
眼下に広がる光景は、その比にならぬくらいに壮観だ。
思わず声をあげたものの、
自分以外にも見に来ている人は当然ながらいると思い至って
慌てて口を手でふさぎつつ、
こちらの声が邪魔をしなかったろうかと周囲を見回した*]
―― 礼拝堂 ――
[聖母像の前でしばらく祈りをささげていた所に。
ぺったんぺったんと近寄ってくるペン五郎。
差し出されたオシャレな紙袋の中には上品な小箱>>305
それとメッセージカード>>306を受け取る]
わぁ……!こいつァ……最高にクールだネェ。
[思わずそう呟いて白いリボンで結ばれた上品な小箱を見つめる。
誰からだろう?こんなに素敵なものをくれる人は。
今まで弟妹の世話と仕事ばかりの毎日で、
恋人や色気とはトンと縁がなく、
こんな女性らしい贈り物を貰うのは初めてだったから。
まるでプロポーズの時に指輪を入れる小箱みたいなソレにしばらく見惚れてしまっていた]
[送り主は誰だろうとメッセージカードを読んでみる。
どこか緊張を感じさせる筆跡。
グリーンのインクがそれを和らげるように鮮やかに。
そうして送り主が可愛い愛弟子からと知ると、まるで弟妹からプレゼントを貰えた時のように優しく目を細めて微笑んで。
文面から伝わるレットの愛情を嬉しく感じるのだ。
素直で生真面目で、そして大切なアタイの愛弟子。
小箱の中身がアクセサリーと分かればさっそく丁寧にリボンを解いて小箱を開く。
中に入っていたのはとても可愛らしいネックレス。>>304]
かっ……、カワイイ……!!
[思わずその可愛さに唸る。
儚げなほど繊細な金のチェーンの中で小粒のタフィーピンク。
可愛い、可愛すぎる……!しばし見惚れる]
[こんなに可愛らしくクールなネックレス。
それが似合う大人の女性だと、レットはアタイを思ってくれていたのか、と。
まだ子供のレットには高い買い物だっただろうとも思うと、そこまで大切に思ってもらっているのを実感できる。
そう思うと気恥ずかしくも自分を誇らしく思うのだ。
ライダースーツとの相性も考えて選んでくれたコトも嬉しい。
さっそくつけてみようと首からネックレスをかけ、しばらく胸元のタフィーピンクに手を添えていい弟子を持てたと感慨にふける]
あ、お礼の手紙……、は今は無理か。
[スイッセスさんの時は近くに文具店があったからその場でお礼の手紙を送るコトができた。
だが、あいにく礼拝堂には紙もペンもない。
すぐに返事を書くのは無理か、と。
去っていくペン五郎を名残惜しく見送る]
[船を降りるまでにお礼をしなければ、と。
しばしその場で感動の名残を噛みしめながら。
会えたならハグして頭を撫でてあげたい気分だ。
手紙なら、手紙ならそうだなァ――……
そんなコトを考えながら時間は過ぎていく。*]
― 展望施設 ―
(んーー……)
[ラフ画を癖のように描いていた。ゆっくりと回遊しながら近づくような船の動きのおかげか、見える景色は遠望するものではなく広がるような景色だ。
それを描きながらも、クロッキー帳をめくった。それは地球を離れるときに描いたページと見比べたり、眼鏡型電子機器を指で押して映像を記録したり、展望施設に訪れる人がいてもその時は気づかずにいたが、聞き慣れた罰の悪そうな声>>324を拾い上げる]
サンシアも見に来たんだな。地球から出たときは一瞬なのに降りるときはゆっくりだから新鮮だな。
[一度視線を向けてから声をかけ、そしてまた視線が眺望のよい施設から降り立つ大地を見下ろした*]
[好き、が分からない。
分からなくてもそれが変じゃないって
分からなければ探せばいいって
あなたが教えてくれたから。
私だけではなくて、あなたも。
一緒に好き、を探して
自由を掴めたなら、素敵でしょう?]
そう、レットも。
一緒にいろんな服を見たい。
レットに試してみて欲しい服、たくさんあるの。
そうして色々試して好き、が見つかったら素敵だもの。
[そうして、私達、の輪郭が
少しだけでもはっきりとしたなら。
不確定で曖昧なままの未来も
ほんの少し確かになる気がするの。
不安だらけの新しい土地での未来が
少しだけ、確かで楽しみなものに変わるなら
こんなにいいことってない、そうでしょう?]
お互いに満足だって思うような
そんなお買い物にしましょうね。
[微笑んであなたと二人、買い物をする時間。
それはぼやけた色のままだった二人に色がつく瞬間。]*
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