星狩りの国-暁の街-


5 【半突発誰歓RP村】映画 ─玉響に“なけ”─


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視点: 人

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幸阪結月


 ところで……さ。

[幸阪の手が止まった。
相手を伺うような視線、手はグラスを前へずらす。]

 今日まだ寒かったー。冷たい。
 ね、交換しない? 駄目?

[飲み物の交換を迫る彼女の表情は穏やかだ。
苦しいと躊躇いなく口にして、笑う。
不安も不満も受け入れた結月は、もう子どもではなかった。]

(163) cle 2023/03/10(Fri) 12:14:25

幸阪結月



[開いたままのスケッチブックが映る。

見覚えのある花がデッサンされた紙の上に
薄桃色の花びらが落ちて、ただ静かに寄り添った。]*

(164) cle 2023/03/10(Fri) 12:15:06

3-C 飯島明良

ー 一月・■■大学、受験会場にて ー

[その場所を包むのは、静寂であり、静かな喧騒だった。
全てが恙無く終われば、数ヵ月後には、この場所は少年の生活の一部となるのだろう。

周囲で自分と同じように机に向かうのは、いつか知人となる誰かだろうか。それとも交わらないままの誰かだろうか。

高校という世界は狭かった。たった数百人で築かれる、小さな世界。
すれ違う名前も知らない生徒の顔を認識してしまえるくらいに高校は狭かった。

それに比べて、大学という世界は格段に開かれた世界だった。構内に足を踏み入れれば、嫌でも分かる。
広い敷地に、多くの人。きっとすれ違う全ての人の顔を認識することは不可能だろうし、高校の時よりもずっと、何も知らずに終わっていくのだろう。

目の前の紙面に視線を落とす。この結果が自分の未来に繋がっている。合図の声で紙面を開いた。
あまりにも薄く、あまりにも軽い人生の音が辺りに満ちていった。]

(165) Shadow 2023/03/10(Fri) 14:50:35

3-C 飯島明良

[不意に白い塊が転がり落ちた。音を立てなかったそれは、誰の意識にも留まることなく、少年の意識すら掻い潜って、少年の足元へと転がる。

手を伸ばしたそこに、目的の感触を空振りして、少年は瞬く。
一瞬の空白。文房具入れから、まだ角の取れない新品を取り出した。

そうして紙面に視線を戻し、合図が再び聞こえるまで、手を動かす。
時折、まだ使い慣れないそれで、ぎこちなく間違いを訂正しながら。]

(166) Shadow 2023/03/10(Fri) 14:54:02

3-C 飯島明良

[全てが終わって、息をついた。それから机の下を覗き込む。

自分の足元、誰の目にも留まることのない小さな塊が、薄闇の中、白く存在を主張していた。

手を伸ばして、小さな文房具を手の中に収める。]

(167) Shadow 2023/03/10(Fri) 14:57:13

3-C 飯島明良

ー 三月・卒業式 ー

[いつかの全校集会と同じように、生徒たちが規則正しく並んでいる。>>0:5

違うのは全校集会と違って、生徒たちは椅子に座っていること。
あのときの三年生は(一部を除いて)いないこと。
これを最後に、自分を含めた現三年生も、またいなくなること。

一人一人、名前が呼ばれる。
その度に前へ出ていく生徒が、卒業証書を受け取って帰ってくる。]

(168) Shadow 2023/03/10(Fri) 20:19:32

3-C 飯島明良

[知っている名前。
一年生の時の知人。二年生の時の知人。現在の同級生。三年生の美化委員。

『幸坂結月』

聞いたことのある名前。壇上に意識を向ければ、明るく短い髪が揺れた。>>1:56>>91

わずかに、いつか見た印象を思い出す。>>1:55
名前を知らない少女が頭を過って、目を伏せる。

彼女の名前は、知らない方がいい気がしていた。
あのとき、名乗らなかったのだから。>>2:58

彼女の名前を知る前に、それが実像を結ばないように。
彼女と過ごした、わずかな時間が、意味を無くしてしまわないように。

ただ、目を伏せていた。]

(169) Shadow 2023/03/10(Fri) 20:20:47

3-C 飯島明良


飯島明良

呼ばれた名前に、視線を上げる。
いつの間にか、自分の番が巡ってきたのだと知った。

壇上に登る。視線は前に、一歩、一歩と壇上へと登る。
小学校、中学校と、当たり前に経験のあることなのに、何故か一歩が重く印象に残る。

体育館の匂い。静寂。人がいるはずなのに、その気配よりも、どこか静かで寂寥感を感じる空気がこの場所を満たしている。

卒業証書を受け取って、壇上から降りる。
注がれた無数の視線は痛いくらいなのに、やはりどこか静かだった。]

(170) Shadow 2023/03/10(Fri) 20:21:34

放送部2年 海藤コウ

―12月・海―

[>>147自転車を停めて、歩く。
ケンの装いは少年よりも軽装。
少し着ぶくれた少年と違い、彼らしい動きやすそうな格好だった。

寒い、と漏らす隣の声に、やはりチョイスをミスしただろうかと眉尻を下げたが。]

あ、ありがとう。

[投げられたカイロは危ういながら少年の手に。
じんわりと伝わってくる熱が少年の手指を温めてくれる。]

(171) 蒼生 2023/03/10(Fri) 20:39:56

放送部2年 海藤コウ

[救われた、と言えば、大袈裟だと言われた。
けれどそれは少年の本心だと、彼も理解しているらしい。]

ありがとう。
後輩達も段々うまくなってきて、追い越されないようにしないとって。

……あのさ、出場が決まったら、報告してもいい?

[>>148少し高い位置にある級友の方を見て、少年は笑う。
応援しているという言葉は素直に嬉しかった。
身長はそこまで伸びていないが、猫背が改善されれば身長も伸びて見えるもの。

連絡してもよいかという問いを口にするのは、少しだけ勇気がいった。
否と言うなら、素直に従っただろう。]

(172) 蒼生 2023/03/10(Fri) 20:40:57

放送部2年 海藤コウ

それなら良かった。
……うん、
何だか、落ち着く感じがするよね。

[>>149 一緒に来られてよかった、と返ってくれば、少年の顔には心の底からの笑みが浮かんだ。

そうして、背負っていたリュックから餞別を取り出して、渡す。
遅いクリスマスプレゼントとはいかないが、持ち歩きやすいように手持ちのついた袋に収めていた。]

そっか、出国の準備も佳境だろうしね。

えぇっ、そんな事ないよ?
思い出、みたいな感じで。
もっと撮っておけばよかったなって。

[>>150正月は神社に行く時間がなさそうとの言葉は、いよいよ旅立ってしまうのだという実感を伴う。
泣かせようとしている、と言われれば、大いに慌てた。]

(173) 蒼生 2023/03/10(Fri) 20:42:11

放送部2年 海藤コウ


……え?

[>>151彼は少し慌てた様子で自分も何か渡す、と言った。
餞別は、見送るものがする事だ。
お返しなんて想定していなかった。
少年はそんな、気にしないで、ともごもごとしていたが、やがて彼がポケットから探り当てたのは紺色の馬蹄型。]

あ、ありがとう。
本当にいいの?

[>>152差し出されたコインケースを、両手で受け取った。]

(174) 蒼生 2023/03/10(Fri) 20:42:40

放送部2年 海藤コウ

そんな、こちらこそ、だよ。
ケン君、ありがとう。

[少年は、心よりの笑顔を彼に向けた。
微笑む彼に手を振って見送る。

──風が少年の前髪を浚う。
灰色がかった空を、海藤は暫く見上げていた。

カメラは少し引いた位置にある。
空は高く、広く。
少年の髪越しに窺えるその横顔には、無事に見遅れた安堵と一抹の寂しさが混じっていた。*]

(175) 蒼生 2023/03/10(Fri) 20:44:00

3-C 飯島明良

ー 卒業式後・学校敷地内にて ー

[卒業証書を持って、一歩。二歩。意味もなく歩いた。
頭の隅に何かが引っかかっているような気がして、歩く。

自身が過ごした三年C組の窓を。>>0:58
体育祭のときに競技を行ったグラウンドを。>>0:286>>0:400>>1:64
文化祭のときに歩き回った部室棟を。>>2:80
敷地内の花壇を確認するように歩き回る。

校舎前花壇で足を止めた。パンジーの鮮やかな色彩が揺れる。
視線を上げて、本校舎の図書室がある辺りを見た。カーテンが閉まっていただろうか。]

(176) Shadow 2023/03/10(Fri) 20:51:09

3-C 飯島明良

[飯島は暫く、校舎前花壇から、図書室の窓を見上げていた。

それから歩いて。向かった先は敷地内の自販機。
小銭を入れて、ボタンを押した。鼓膜に響く音は一本分。

身を翻して校舎前花壇へと戻った。そっと縁に腰を下ろす。
キャップに手をかける。ぱき、という小気味いい音が、やけに大きく軽快に響いた。

ゆっくりと口をつけて、傾ける。慣れない味が口の中に広がった。]

(177) Shadow 2023/03/10(Fri) 20:52:16

3-C 飯島明良

げほっ

[実はそんなに甘いものは好きではない。それでも、ペットボトル一本のカフェオレを飲み干した。

一年間の記憶。辛いことも苦しいことも沢山あった。
忘れてしまいたいことも、誰の記憶にも残ってほしくないこともある。
それでも手放してしまうに惜しかった。

この場所に確かに生きていた。せめて数人の記憶だけでも。]

覚えてる。ずっと…

[花壇に視線を落とした。揺れる花に合わせて、わずかに視界が揺れた。
暖かく、過去が滑り落ちていく。

少年は、そっと顔を覆った。そして息を殺す。

いつか忘れてしまいたくなっても、何もかも手放したくなってしまっても。

この記憶だけは、絶対に手放さない。]**

(178) Shadow 2023/03/10(Fri) 20:59:34

帰宅部 ケン・ドリック

  ― それから ―

[飛行機の中、窓の外には白と青が広がっている。
離陸から既に大分経過していて
昨日まで住んでいた理澄市は遥か遠く。

2度目の機内食にチキンを選んだ。
当たり前に腹が減って、普通に喉を通る。
そのことが何だかおかしい。

ケンが座っているのは窓際の席。
ひとつ間を空けて、座っているのは見知らぬ他人で
母親と妹が通路を隔てて向かい側だ。
父親は一足先に帰国。

音楽を聴くでなく 映像を観るでなく
ぼんやりと過ごす。]

(179) itutuboshi 2023/03/11(Sat) 01:19:28

帰宅部 ケン・ドリック



[ぼんやりと過ごすことができた。
あれから一ヶ月も経っていないのに。]


 

(180) itutuboshi 2023/03/11(Sat) 01:19:33

帰宅部 ケン・ドリック

[酷いことをした。
それでよかった。それしか選べなかった、自分には。
ぼんやりと、そんな形にならない思いが

ぐるぐると渦巻いて
幾度も幾度も胸の中をめぐる。
なんども廻って このぐるぐるは
薄くなって、やがて―――― 消えて いくのだろうか?
今は分からない。何も。
だけど、特に何かを分かりたいわけじゃない。]

(181) itutuboshi 2023/03/11(Sat) 01:19:51

帰宅部 ケン・ドリック

[滑走路のライトが夜を照らす。

今回は一時の里帰りではない、
降り立った生まれ故郷の空気は、うまく身体に馴染まない。

だけど、すぐに慣れていくんだろう。
そのことが寂しくて、少し笑った。*]

(182) itutuboshi 2023/03/11(Sat) 01:19:59



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ケン・ドリック
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