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─ 回想・午後 展望施設 ─
[満ち足りていく世界において、掛け替えのないものなんてありえない。
現実は綺麗ごとをいったところで奪われてなくなったものは確かに存在するし、救いはグロテスクだ。
ただこれまでもリソースを奪いあっていたことは変わりないし、綺麗ごとのままで救われないままでいるのと、グロテスクだろうと救われるのとどちらがいいかといえば比較的後者だろう。
結果としてアンドロイドという文明に生活も誰かの息子であるという立場も奪われたといえばその通りであるし、一種アンドロイドに人権をもたせたくないと主張するものたちの立場を体験した人間でもあった―――最も自分たちの選択をとやかく言われる筋合いもないが]
ああ、そうだ。
[めでたしめでたしで〆た以上、その物語は自分にとっては終わり。物語から得た教訓をもっていくだけのこと。
物書きな彼女なら終わったものとして同情なんてせずに扱ってくれるだろう。なんて信頼もあったから、サンシアの短い>>240に断定するような言葉だけを返した]
本題だな。こんな長ったらしくてめんどうだから話す気ないことを俺は話したし、サンシアのことも聞いちまったけど、言いたいとこはそこじゃないしな。
[主に労力的な意味で、でもあり、それに付随してとやかく言われる煩わしさは、うんざりしていた。彼女が男に良い思い出がないように、そういう人を被害者に仕立てあげたいやつへの嫌悪感からくるものでもある。
だが歩み寄るには、その煩わしさも一つ乗り越えねばならないとは思えてもいたから話したことを嫌だと思ってもいない。]
― ホワイト・マーブル 到着日 ―
[ゆっくりと休んで翌日。個室のアナウンス>>#2に従ってシートベルトをつけて耐えること十分を過ごす。
そうして残りは1時間と少しでホワイト・マーブルに降り立つわけだが]
思えば最初に聞いてた通りに行動しちまってたなぁ。ありがとな。他の従業員たちにもよろしく。
[自分はこういうのを求める傾向なんだが、気晴らし空間はあるかな。っていうのに対して教えてくれたキグルミ型ペンギンアンドロイド。乗務員係として何かと世話を焼いてくれていたアンドロイドへと挨拶を交わしたり。
後は特別誰かに挨拶もいいだろうと思いつつ、サンシアへと連絡をする。
混雑回避のために降りるのを合わせる>>#3っていうのはできないわけだし、忙しかったりもするともきけば、その日に行動を一緒にするわけではないのだが]
『ところでな、サンシア。隣にいるっていったんだから、可愛いなとかそういうのいってくし、こっちからも抱きしめる>>253からそのつもりでな』
[そんな文字での通信を送った。その後ほ返信はしばらく未読となるだろう]
…ぁあ、あの時の。
[どうやらお迎えだったらしい。
あの堅く気難しそうな>>204乗客の人が恐竜の着ぐるみを抱きしめている。
なんでだろう、家族と再会したシーンだというのに、感動よりも違うものがこみあげてくる。]
[その後お説教?があったり、子供>>207とのやり取りがあったりした。
言葉の内容までは聞こえてはいないが、なんとなく雰囲気で伝わるというもの]
皮なんて変え放題だってのに、見た目で考えてたなんてあほなことしてたなぁ。
[あの、スイッセスさんと二人で喋っている時に、一緒に喋ればよかったかもなーって思いながら、そういう風にすれ違ったり会話するではないが、あの時のと感じるのも縁ってやつだろう。
それ以上はジロジロ眺めることもなく家族と別れて――...のホワイト・マーブルでの生活は始まるのであった*]
― ホワイト・マーブルでの新生活 ―
[転居手続きやらもあれば遅れてやってきた荷物の荷解きもある。
空気を入れ替えるようにリビングの引き戸を開ければ宙からは白く見えたのに間近でみると地球よりは淡い水縹色の海に涼やかな影。そこから伸びるモザイクタイルの道から直接海へと降りれるそこは隣町の橋の下に住処のように作られた家屋であり、耳をすませばさざ波が聞こえてくる。
内装はといえば剥き出しの白い岩肌の壁に、それ以外も白で統一された壁紙仮眠用のベッドやら作業場用の長さが測れる机や椅子等や床は灯りと相性の良いグレイッシュカラーでまとめたもの。天上にはカラフルな資料が置かれスイッチの切り替えで降ろす仕組みとなっている。
そうしてもう反面は元はアトリエとして使われていた場所で、郊外であることや今時古臭く難儀な人間に安く貸してくれるということ借りたのだ。
絵具の香りが今も染みついているが白のスクリーンとジオラマ置き場となっている。
家自体は隣にあるし、玄関だけでなくリビングから出ていくこともできるのだが、こちらでも最低限生活と寝泊まりできる仕事場となっていた]
― 某日 ―
[趣味でやっているジオラマ作りはこの時代で言う変わりものに好かれることもあった。
今日連絡が届いたのも前にもあった顧客であった。
最初はビジネス文句と思いきや、ちょこちょこあげていた動画の一つがよかったらしい。
それは異なる星から現れた迷子の子供怪獣のもとにウルトラビジネスマンなパパがかけつけて説得して一緒に連れ帰るというもの。(なお、その際破壊された街並みは深く気にしないものとする。その辺りは面白く感じたからだ)
決して、とある時に発想を得たなんてことはないとは思う。まあそれはそれとして]]
了解。他に注文は……っと。
[一部破壊された道路や橋にビル。そんな激しい跡地のようなものや、ビル群などを遠望したときの背景用に使いたいものらしい。夕暮れにしたり真夜中にしたりと、確かに雰囲気はでるだろう。またバイクはもちろんバスなどもあると嬉しいとのことだ。]
スリーヒーローズかぁ。
[新しい案>>284 >>285 >>286が降ってきたのか原案などがあったのかは知らないが、趣味でとはいえそれが仕事となるならば拒否するつもりはなかった。
後日、アーネストより>>2:49スタント作品の宣伝として同じ題名を聞かされて思い出したり、その際に作られたジオラマの映像を送り返したりなんてことがあったが、その時は知らないことであった*]
― 〇カ月後 ―
[自分の生活が変わっているといわれようとも、そんな言葉には意味はない。
価値は命の中にあって失くすことはなく、誰にも奪えないもの。
ホワイトマーブルにきて、隣にいることが多くなったサンシアのように真っ直ぐでいながら、達観して、ともすれば受け取ることに不慣れで自分が誰かに与えることにしか慣れていない子がいれば、自分の趣味という在りかたと、サンシアの好奇心というものからくるもの以外にも自分には価値があるのかもしれない。
そのように人に依ってできるものは醜いかもしれないが、元々俺は綺麗ごとで救われないものよりもグロテスクだろうと救われるもののほうが好む性質だ。
そんな誰かにもないものが誰しももっているのだろう。]
― 老人ホーム ―
なぁ、わりぃんだけど教えてもらっていいか?
[その後姿は見覚えがあって、だが確信があるわけではなくて、どちらにしても仕事で来ているからと働くアンドロイドに話しかけて]
猫好きの〇〇〇〇って人の依頼で荷物を届けにきたんだけどよ。場所がわからないから案内してもらっていいか?
……んで、ついでにだけどよ。たまたま同じ船に乗り合わせたときにできた友人に似てるんだけど。俺のことは覚えてるかい?
[失っても失っても、どうありたいかはその人の内側に宿って、奪われないままそこに在るものが、ここにもまた一人いたことを知ったのであった*]
── とある日のアーネストとの一幕 ──
[それは唐突に巻き起こったものだ。
普段にはない電話での連絡]
おう、急にどうして、びっくりしたぞ。
[こンの薄情モノーーーーー!!!>>342からはじまる声に耳が痛い]
いや、サンシアから聞いてると思ったからよ。
[言わなかった理由といえばそれにつきる。ようは共通の知り合いがいたからであり、その共通の知り合いことサンシアとアーネストの仲もこちらにきてからも良好だ。
何やら心身を患ったらしいアーネストの妹のお見舞いにもいっているぐらいだ。
ちなみに事件詳細については知らないカラントだが入院しているという話を聞けばお見舞いの品をサンシア経由で届けてもらうことも自然としていただろう]
悪かった悪かった。今度なんか奢るからそれで勘弁してくれ。
[明らかにあまり悪いと思っていない風のいいかただが、まあ少しぐらい?は反省したつもりという雑さだが、問題はないだろう。
その後に、アーネストがスイッセスとお付き合いしているということを知り、ほとんど同じようなやり取りがもう一度行われることになるのはまた別の話*]
[近いとは思ったが生活圏内>>333に住んでいたサンシア。
結局その後に写真を送るよりも互いの家への案内で、それよりはやく家から見える海の光景を直に見ることになったり。
サンシアの家はやはり仕事と趣味を両立した蔵書とオーディオルームが圧巻ではあったが、物書きとして以上の余暇をあまりもっていないような家であったので、その点だけでいうと自分の家とは真逆だったのだろう]
そりゃー、折角引っ越す以上、自分の理想図を叶えるほうがいいしな。
まだ製作途中、あのあたりのごちゃついてる場所以外ならみていいし、なんならスクリーンでも映せるぞ。
[などと早速興味をしめしたジオラマについてのことを説明したり、それらを作ることもだが見ることも楽しめるようにできていたりというのもお披露目することになる]
[そんな感じで互いの新居のお披露目も終わって、隣で過ごすことも増えた。
お互いの時間もとりつつ、二人の時間も過ごしていたが、カラントは最初から注意していることがあった。
聞かされたサンシアの過去から、彼女は男性にトラウマ的なものを抱えている可能性が高そうだ。そう思えばこの変な距離の詰めかたと免疫のなさと理解してなさ加減にも多少納得がいく。
だから抱きしめるだとか、可愛いというぞ。とかいいはしたものの、あまり多くの熱を向けないようにしてきたし、色んな意味で慣れていくように相手をしっかりみながら控え目に過ごしていた。]
(多分この言葉も、色っぽい意味合いじゃねーんだろうなぁ)
[そんなおかげで彼女が切ない表情を浮かべながらいう我儘>>351も、それは色のある誘いではないというぐらいあっさり認識できるようになってもいた]
[仕事のときは熱心で、時に彼女が描く情景が煮詰まったときなどジオラマでその映像を見せるようなことだってできただろう。
そういう意味で彼女が仕事が忙しくても互いに邪魔しないようにしながら、ここにいることも珍しくなくなっていた。
そっちのほうでは付き合いやすいし理解も及ぶ。その辺り経験があるから時に達観した思考の冴えをみせるときもあるのだが、今回は迷子のような幼い様子もみせる。]
なぁ、サンシア。
[別に警戒心を持てだとか、節度がどうのだとかをいう気はないし今までもいったことはなかっただろう。]
…怖いのか?
[毛布の変わりに求めるように、ぺんだこのある手が頬に触れた後にシャツに伸びる中、意識して落ち着いた声で話す]
どこかにいなくなりもしないし、傍にいるぞ。
[引っぺがした毛布は返さずに、脇に腰掛けて伸ばさなくても触れ合える距離に座る]
でもな、どうしたらいいかわからないって顔してるやつをそのままでいいんだよ。なんていって寄りかからせるような効率のいいことはしたくねーんだ。
[自分からも手を伸ばした先はサンシアの肩。そっと手を乗せる。]
それに俺は……サンシアにとっちゃいいことはなかったんだろうが、粗雑に扱われて蔑ろにされて、それでも自分の価値を示して一人で立ってるサンシアはとても魅力的だと思っている。
[不慣れとかそういうものじゃなく一番の問題は過去のせいで自分を雑に扱ってると思えてしまうところだ]
傍にいてくれるのは嬉しいし、不安な表情はさせたくはないけどな。
そんななりふり構わないとでもいうことしなきゃならないほど、サンシアは魅力がないわけじゃないって、自覚してからのほうが俺は好ましいとも思ってる。
…わかるか?
[落ち着いた声音のまま、自分のもとへと寄せるようにサンシアを凭れかからせていうのであった*]
[自分がいっていることに理解を示す>>279ところと、そうじゃない>>380ところ。
そうか?と首をかしげてみるのは、顔を間近で見つめて、そこに触れやすいような体勢になっていたのだろう。
触れた感触と状況を認識して目を瞬かせ、すっと細める。
これまでは控え目にしていて攻撃的で、身を乗り出すような積極的眼差しだ]
じゃあ、こういえるな。
[触れるほど近く、サンシアの耳に寄せた口。響く声がサンシアの鼓膜を揺らす]
可愛いぞ。
……ほら、自分でもいってみろ。私は可愛い。って、豊かな感情と素直さも魅力的です。って…
[思えば自分もその点については遠慮していたからこそ、遠慮しすぎていたかもしれない。それもあるから理解させるように囁いて]
帰りたくないなら、もう一緒に住むか?
[もちろん、自分のことをちゃんといえたらであるが、彼女はどこまで応えられただろうか*]
そうだぞ。
[いってみろ>>383と自分でしておいて、自分でいったら、それをさも当たり前のように肯定を返す]
そうだな、よく理解してるな。
[その口ぶりは自分で言わせているなんてことのない態度で肩に手を回していた手はそっと美しい菫色の髪を撫でて]
今日は泊まっていけ。
[今までの絆された。魔が差した。とかでの言葉ではない。
自惚れでも構わないし、まだよくわからっていなくても構わない。そもそも泊っていくということに元々拒否をする気はないし、自分を肯定できることを一つでも増えていってもらえるなら、拠り所とすることだってなくなるだろう]
……明日から忙しいわけだしな。
[短い期間で二度目の転居をするのは大変だろう。
頷くサンシアへと、今日は少しだけ我慢をやめて、自分からもそっと唇を交わした*]
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