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21 【完全RP村】夜間飛行で追い越して
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3人目、 望郷 グリーディア がやってきました。
地球には、あらゆるものを置いてきた。
家族、友人、恋人。
それから──
故郷という、代えようのないもの。
(2) 2024/05/29(Wed) 12:17:35
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(3) 2024/05/29(Wed) 12:17:45
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決して着いてこないでね。
そう告げて、出立の見送りは受け入れなかった。
さようならの一言を告げることすら拒んだのは、
言葉にしたら後悔してしまうと思ったから。
でも、結局電子端末は持ってきてしまった。
いくつか届くメッセージを開かないように、
電源を落として充電器に繋いで束の間の別れを告げた。
船内アナウンスを耳にして、気晴らしに漸く。
一度も出ることのなかった自室の扉を開けた。
それは、もう別れを告げた望郷の心を鎮めるため。
新しいその場所を受け入れるための、そう、これは成長。
(13) 2024/05/29(Wed) 12:42:37
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いつか来るホワイト・マーブルでの生活。
きっと私は、地球を忘れられないまま、
この船の中をただ歩き続けるの。*
(14) 2024/05/29(Wed) 12:44:55
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望郷 グリーディアは、メモを貼った。 ![](img/memo.png)
(A4) 2024/05/29(Wed) 13:17:07
恋人のアンダーソンは最後まで私の旅立ちを非難した。
君の愛はそんなものだったのか、
どうして俺を置いていくんだ、
だったら最初から付き合ったりなんかしないでくれ。
そのすべての連絡を
電子端末に表示される短文だけで読み取った。
それほど感情的に殴りつけられた言葉たち。
私、貴方のそういうところ、好きじゃなかったの。
なんて一言言ってやれば、それまでなのに。
(21) 2024/05/29(Wed) 16:41:42
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暗闇の中に浮かぶ星雲は船体の窓から姿を見せていた。
船室から見ていたのと変わらない。
きっと展望施設にでも行けばもっと見える景色は違うのにね。
遠くもう見えることのない故郷を想って、私はそこを避けた。
嗚呼、そうだ。
折角食事を摂れる場所があるのに引きこもっていたものだから。
保存食の味ばかりに慣れているかもしれない。
ねぇ、アンダーソン。貴方珈琲を淹れるのが上手だったわね。
今、貴方の淹れた珈琲が飲みたいわ。
(22) 2024/05/29(Wed) 16:41:53
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── 食堂エリア ──
此処に、貴方の淹れてくれる珈琲なんてないのにね。
だから私は、まだ瑞々しいオレンジを絞って紅茶を注ぐ。
私たち、好きなことも得意なことも、全然違ったわね。
でも、嫌いなことが一緒だったから。
居心地がよかったの。
そんな貴方に、貴方が一番嫌うことをした。
さようなら、私の愛した人。*
(23) 2024/05/29(Wed) 16:42:26
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折角淹れるのだから、良さそうなオレンジを。
茶葉は詳しくないからそれっぽいをの選べばいい。
食品の並ぶカウンターでそれを選んでいれば、声がかかる。>>26
カウンターの内側で今時電気ケトルではなくコンロを使って。
此処には電気ケトルがないのかもしれないなんて思わずに、
老齢のその人の手元、ドリッパーとサーバーのセットに気づく。
その人がそれを日課にしていることも
誰かに振舞っていること>>25も知らず
いくつか見比べるために手にしていたオレンジを戻して、
(27) 2024/05/29(Wed) 17:41:31
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「良いんですか?
私、ちょうど珈琲が飲みたかったけれど
上手く淹れられる自信がなくて。」
その人の前まで移動して、カウンターの椅子に腰かける。
まるで老舗の喫茶店のマスターのような人。
「是非お願いします。」*
(28) 2024/05/29(Wed) 17:41:54
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望郷 グリーディアは、メモを貼った。 ![](img/memo.png)
(A8) 2024/05/29(Wed) 17:42:37
暖かな湯気の上がるカップ。
その間に丁寧に豆を挽く姿。
自己紹介>>34がなければ本当に、喫茶店のマスターですかと
聞いていたかもしれない。
「日課ですか。じゃあ美味しい珈琲が期待できますね。」
そうはいっても、私は珈琲の味に厳しいわけでもない。
稀に美味しくないと思うものはあるけれど
それは大概豆の量が少なすぎて薄いとか、
淹れて暫く放置されて濁りが出てすらいたりとか。
(35) 2024/05/29(Wed) 19:02:42
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「スイッセスさん。
私はグリーディアって言います。
ホワイト・マーブルには……新天地を求めて。」
どうぞよろしく、地球を離れた新しい同志。
この船旅にかかる費用を考慮して尚、
貴方を貨物にしなかった"家族"はとても素晴らしい方なのね。
でも、それなら、
「新しい家族……所有者というのなら、
前の所有者の方は、──ご一緒じゃないの?」*
(36) 2024/05/29(Wed) 19:03:15
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湿度や温度で機嫌が変わる。>>51
それはまるで人間みたいと感じるのは、私が夏が嫌いだったから。
じめじめして、暑くてしょうがない。
だから夏は静かに家の中で過ごすことが多かったし、
外に出る時は不機嫌を出していたかもしれない。
不機嫌な時って、どうしてため息が多くなるのかしら。
豆も、同じなのかもしれない。
質の良い音を耳に、じっと挽く手元を見ていた。
(95) 2024/05/30(Thu) 00:55:05
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スイッセスさんの顔が上がったのを皮切りに、私も視線を上げる。
素敵な名前だと言われれば、
両親の与えてくれた最初の贈り物を褒められて気分がいい。
けれど、求めているものを問われれば、複雑な気持ち。>>52
「新しい自分を求めて、かもしれません。
私、ホワイト・マーブルでしたいことがあるわけでも、
本当はないんですよ。」
だって、私。須らく捨ててきてしまったから。
「地球で捨ててきたものを、
ホワイト・マーブルで新しく手にしたいんです。」
(96) 2024/05/30(Thu) 00:55:24
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所有者が亡くなっても、愛されるアンドロイド。
人間がアンドロイドに何を求めているかはそれぞれで
そうしてその役目をいつか終えていくばかりだと思っていた。
けれど、所有者の夫を模したアンドロイド>>53にその先がある。
俯き、眼鏡に隠れて見えなくなった瞳。
本来なら不要だろう眼鏡を曇らせているのは、感情か、それとも湯気?
「愛されて、いたんですね。」
(97) 2024/05/30(Thu) 00:55:51
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アンドロイドを所有していることは特別なことでもない。
人型を当たり前かと言われればそうでもないけれど、
私にもアンドロイドの家族がいた。
私が大きくなるまで姉として一緒に過ごせるように。
私が成長して、
そのアンドロイドの背を抜いてしまった頃……
買い替えられてしまった。
「夫婦での旅行だなんて、
最近では電子旅行プログラムを利用する人も増えたのに
惑星を渡る大きな旅でいいですね。」*
(98) 2024/05/30(Thu) 00:56:20
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望郷 グリーディアは、メモを貼った。 ![](img/memo.png)
(A25) 2024/05/30(Thu) 00:57:11
親友のマリーはせっかちで、
一緒にカフェに行くと
ドリップコーヒーなんて待てない!とアイスばかり頼んでいた。
一方で、待つのが苦手じゃない、
寧ろその時間を楽しんだ私はゆっくり用意されるそれが好きだった。
だから毎回、またそんなの頼んで、
なんて言ってくるマリーをなだめるのは大変だったけれど
なんやかんや言って待ってくれる彼女は優しかった。
スイッセスさんの優雅な所作を眺めているのは、気分が良かった。>>123
(131) 2024/05/30(Thu) 11:48:52
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今時ペーパーフィルターで淹れられるそれを眺めて、>>124
「えぇ……いずれ、無くなるのが怖かったのかもしれない。
だから、新しいものが欲しかったのかも。」
それは……
(132) 2024/05/30(Thu) 11:49:26
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手元の所作は歪むことなく、語られていく決断とは何か。>>125
私のこの旅路の決断が正しいものとは、誰も言ってくれなかった。
だからか、電子端末に届くメッセージを開けずにいた。
過去を捨ててきましたなんて恰好の付くことは言えないし、
新天地で成功を治めますなんて自信に満ち溢れてもいない。
私自身に一番無責任なのは私自身で、
そんな私の幸福を願ってくれる言葉に微笑んだ。
「ありがとう、スイッセスさん」
(133) 2024/05/30(Thu) 11:49:43
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幸福の形は人の数だけあるものだから。
だからきっとこの先に続くスイッセスさんの言葉も
新しい人生の在り方を語ってくれると、思っていたのに。>>127>>128
(134) 2024/05/30(Thu) 11:49:59
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