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―― 悩める父親へ、正義のヒーローからの手紙 ――
[それはいつの頃だっただろうか。
ツァリーヌ宛てにペン子が一通の手紙を持ってくる。
仮面ライダーのイラストが描かれた便箋の中。
一文字ずつ丁寧な筆致で書かれた手紙にはこう書かれていた。
『ツァリーヌさんへ
あれからヒーローゴーグル大事にしてくれてありがとう。
(実はバーで着けている姿をこっそり見てたよ)
もし子供たちとの接し方で悩んだ時、アタイに相談してくれれば力になれると思う。
だから、困った時はここに連絡してください。
困った人を助けて子供たちの笑顔を守る。
それがヒーローの仕事だからサ。
正義のヒーロー・アーネストより』
手紙の最後にアーネストの連絡先が添えられている。
正義のヒーローへのエマージェンシーコールだ。*]
――午後・カフェ(過去軸)――
[私は緩慢な動作で廊下を歩く。壁にはまだ、グリーディアと一緒に眺めた落書きが残されている。消されていないで良かったな、など考えたり。
そういえば庭園には小さなネズミがいるなんて噂も耳にしたが、小さな生き物も、落書きも。そんなには宇宙船の運航を邪魔するものではないし、そのままであると嬉しいと願った。
――と、ぺたぺたと何か丸っこいシルエットが近づいてきた。
あれは……ペン、ペン吉。
私はペンギンアンドロイドたちに勝手に通名を付けていて、知り合いの何人かには「この子はペン吉って呼んで見てるんですよ」など紹介したことがある。
だから同じように呼んでいる人もいたりするだろう。
ペン吉は私に、アーネストが私を探している旨を機械的な発声で伝えてきた。
私は先程彼女に珈琲豆を送り、そのお返事を頂いている。
何か直接伝えたい事や用事が出来たのだろうか。]>>32
[私は考える。彼女は血の繋がらない妹を助けるためにホワイト・マーブルに向かっていた。明日にはこの船が到着する事を鑑みると、その為の準備に忙しいはずであるが…(だから私は珈琲豆を直接私には行かなかったのだ。彼女の邪魔をしてはいけないと)。
いや、もしかしたらその絡みで何か私の助力が必要なのかもしれない。
込み入った話をするならは人がいるカフェよりも部屋の方が適切と私は考えた。
ぺん吉に伝言を頼む。『お部屋で待っているのですぐに来てください。私の部屋番号は――』
ぺん吉は丸い頭でこくりと頷いて(頷いたように見えたが顎はなかったかも)去っていく。]
[私は彼女の来訪に備え、軽く部屋を片付けておこう。
元々散らかすような事はしないのでトランクを脇に置いたりするぐらいだが。
この時はまだ鞄を購入していないので、荷造りは完成していない。
まだアーネストから頂いたサインは壁に飾られているし、テーブルの上にはカラントから頂いた私の後ろ姿のスケッチが置かれている。
彼女は新しい装いのまま来てくれるだろうか?
ヒーローは変身するのがお約束。
それは必ずしも戦闘スタイルに、とは限らない。
麗しき姫にだって、きっと…。
舞踏会にて王子はシンデレラを待つ。
魔法が解けない内に逢いに来てほしい。]*
[丁寧な字の持ち主は、どうやらあの豪快で快活な仮面ライダーであったようだ。
非常に読みやすい字のそれを目で追うと、彼女の人助けへの熱意というものが伝わってくる。あと、ゴーグル姿を見られていたということも]
見ていたならば、話しかければいいのに…
高い酒を振る舞う話も、今からの時間だと難しそうだな…
…困った時は、か…
そのような事態にならないことを祈るよ…
[エマージェンシーコールについても一瞥し、
少し考え込んだ末、その手紙を丁寧にビジネスバッグの中にしまう。
彼女のアドバイスはたしかに的確だったように思う。
であれば…いつか再びアドバイスが必要になることもあるかもしれない。と、そういう判断で。]
[…男はこのときまだ知らない。
旅が終わって数週間後のある日、ついに我慢の限界が来て、
正義のヒーローの助言を求めることになることを。
それは日曜朝の話。ヒーローたちが踊る時間。
そんな賑やかで爽やかな朝の中、
こんな助けを求める声が電話から
『助けてくれ。
子供が仕事に行くなと泣きわめいて離さない。
ただ、書斎に行きたいだけなのに、
何度いっても聞いてくれないんだ……』
[スーツ紳士は困り顔。そんな電話は平和の証**]
―― 午後・自室にて ――
[カフェでペン吉にスイッセスさんに用があると伝えた後。
一度、自室でレットからの贈り物の紙袋や小箱などの小物を丁寧にトランクにしまっていた。
大切な贈り物をされた時は梱包された包み紙や紙袋なども大切に保管してしまうほうだ。
だから地球にいる時は弟妹からの贈り物の保管スペースに困ってたっけ。
弟妹たちとのコトを思うと自然と笑みがこぼれる。
そうしていればペン吉が部屋のドアをノックする。
スイッセスさんからの伝言>>35を聞けば、伝言通りすぐに向かおう。
『すぐに来てください』ってコトはスイッセスさんは忙しいのだろう。
貴重な時間を割いてもらっているのだから、と。
ライダースーツに着替える時間も惜しいと自室を後にする。
そして白いサンドレス姿のまま小走りで部屋まで向かおう。
胸元には愛弟子から貰ったタフィーピンクのネックレスを着けて]
―― スイッセスさんの部屋 ――
[部屋の前に到着すると弾む息を整え丁寧にドアをノックする。
招かれたのなら丁寧にお辞儀をしながら]
……あっ、この服装は、えーっとですね。
急いで来たからというか、
ヒーローの休日というか……えっと、
[部屋に入る前に今更に自分の服装の変化に思い至り
かあぁと顔を赤くしながら気恥ずかしそうに俯いて]
お、女の子っぽい服もいいモンだなァって。
スイッセスさんが誰かに頼ってもいいって教えてくれたから。
普通の服が来てみたくなったンです。
[ヒーローの重荷を下ろすきっかけをくれた人。
そんなスイッセスさんに感謝を伝えたくてまだ赤い顔を上げながらも真っすぐな視線を向ける]
[そうして話しながら、部屋へと足を踏み入れる。
そーいえば、男の人の部屋に入るのは初めてだなァなんて、
頭を過ればさっき小走りできたせいか、緊張のせいか、胸の鼓動が早く感じて気まずそうにそわそわと部屋の中に目を泳がせる。
そうすれば視線の先に壁に大事に飾られたアタイのサイン>>36]
わぁ、ホントーに飾ってくれてる……!
ありがとうございます、スイッセスさん!
[胸の鼓動を落ち着かせるように胸元を押さえながらスイッセスさんに笑いかけ。
すこし落ち着いたなら改めて感謝の言葉を伝えよう。
ぺこりと礼儀正しく頭を下げて]
今日は素敵な贈り物をありがとうございました。
手紙でも伝えたけど、直接会って伝えたくて……!
[顔を上げたなら感謝と共に笑顔を贈る]
あ、用事ってこれだけなンです。
貴重な時間を割いてもらってありがとうございます。
あ、それから、えーっと……
[感謝の言葉を伝えたなら用事はこれで終わり。
でも、すぐに別れがたくてしばし言葉を濁らせる。
今日でアタイの知るスイッセスさんは消えてしまう。
記憶を消されればもうアタイのコトも、今まで話したやり取りもすべて忘れてしまうのだろうと思う。
つまりこれが最後のやり取り。
でも、でもそれでも――……]
[意を決したようにスイッセスさんを真っすぐ見つめ]
よかったら、船を降りた後のスイッセスさんの息子さんの住所をおしえてくださいっ!
アタイ、スイッセスさんの記憶がなくなっても会いに行きます。
何度だって友達になりますっ!!
だから、だからっ――……
[どうかまたその温かい手で頭を撫でてほしい。
穏やかな時間を共に過ごしたい、って。
湧き上がる強い想いに伝えたい言葉が詰まり、涙があふれ出して止まらなくなった。
ダメだ、こんなトコで泣いちゃっ、て。
そう思うけど涙は止まってくれない。
頼む涙よ、止まってくれ。
アタイはまだまだスイッセスさんと話していたいんだ――……!*]
――ホワイト・マーブル宇宙港――
[宇宙船リベルテは予定通りの到着時間にホワイト・マーブルの宇宙港に滑り込んだ。今まで無重力の宇宙を漂う際には揺れは全くなかったが、ドッグに入る際には多少の振動があり、もしシートベルトをしていなかったら転んでしまったかもしれない。
未開の土地に早く下りたいという乗客たちはいそいそと船の出口へと急ぐ。私は最後の方でいいと考えて、ほとんど人がはけた後にリベルテを後にした。
一か月の間住み慣れた場所を離れるのは少し寂しい気持ちになる。
ドロシーと過ごす最後の時間でもあったし、新しい出会いも沢山あり…
私はこの船でかけがえのない時を過ごした。
宇宙港から船体を振り返ると、出口のところでペンギンアンドロイドたちが手を振っている。
今までありがとう、さようなら。
私は力強く手を振り返す。]
――マイケルの家――
[宇宙港専用窓口にて荷物を受け取ると、私は無人タクシーに乗ってマイケルの自宅を目指した。
広い庭のある二階建て家屋に、ドロシーとスイッセスの息子・マイケルは妻と子供と共に暮らしている。子供といってももう成人済みだし、マイケルだっていい歳のお父さんなのだが。]
お久しぶりです…。
[彼と顔を逢わせるのは久しぶりだ。ドロシーの葬儀は私独りで執り行い、その後の話し合いはビデオフォンで行っていたから。
以前逢った時にはなかった顎髭に私は見入ったが、その視線を彼は疎ましそうに一瞥する。
『ご苦労様。RS‐63857。母の遺品は…そのトランクか。
上がってくれ。これからの話をしよう。』]
[スイッセスという名前でもなく「あなた」でもなく呼ばれるのは久しぶりだ。
荷物には私の私物もあるが間違いはないので頷く。
私は広い応接間に通された。人間ではない私にマイケルの妻はお茶を出さない。
ソファにも座らない方が良いかと直立していたが、これは『座ってくれ』と言われたので腰を下した。
『父さんと同じ顔で立っていられると威圧感がある。』
マイケルはそう言った。私の中にあるスイッセスの記憶には、父親らしく子供を叱るものもある。老後のスイッセスは穏やかそのものであるけれど、若いうち、父子の間にはそんな関係もあったわけで…。
『端的に言おう。初期化については考えていない。
なぜなら、アンドロイドを初期化した場合、この十年間で
習得した知識や技能も消えてしまうから。』
アンドロイドには、AIには学習能力がある。
成長とはまた異なるものかもしれないが、生まれたままのアンドロイドはからっぽの器で。そこに様々なプログラムを組み込み、それを使って色々な経験を積む。
新たに覚えたことは技能、知識として増えていく、という仕組みだ。
もしも私を初期化した場合、ドロシーに対する記憶は一切消えるが、積み重ねを失うので、働く際のマイナスになる、という話しだろう。]
[私は黙って頷いた。
『それで記憶の部分的消去をする予定だが、調べた結果、消去にもお金がかかるんだ。
しかも消去の量によって金額が決まるらしく…
だから、最低限母さんの記憶だけを消そうと思っている。』
淡々とした口調だった。彼は私を人などとは思っていないからだろう。
勿論、父親とも。
『本当は容姿も造り替えたいのだけれど、それこそ法外な料金だから…』
彼は私から目をそむけた。十年前に亡くなった父親とそっくりのアンドロイドを、受け入れられないという気持ちはおかしくない。
私をまがい物だと考えても、ただの道具だと思っても…。]
[『母さんのたっての願いだから、売却も廃棄もしない。
ただ、働きには出て貰うつもりだから。
消去が済んだら早々にアンドロイド職業あっせん所に行ってくれ。
あと、住居も自分で探すように。』]
わかりました。
[マイケルの家に住まわせて貰えるとは考えていなかったし、仕事をしない状態は私もしんどいのでその提案に異存はない。
膝の上の拳を握る手に力が入る。この湧き上がる気持ちはなんだろう。
そもそも、これが気持ちなのかも私にはわからないが。
でも、私は。]
……マイケル。
[私が名前を呼ぶと、彼は眉を釣り上げる。
『呼ぶな。父さんの声で…俺を呼ぶなッ
お前なんか認めない、俺は…認めないぞッ
この屑鉄野郎ッ
母さんをたらしこみやがって…
ホストみたいに色目を使ったのか?
おばあちゃんの母に?はぁ?』
まるで堰を切ったように溢れる言葉。ソファから立ち上がり、唾を飛ばして叫ぶマイケルは顔を真っ赤にしている。]
[怒りなのか、悲しみなのか。
私の傍までやってきて、私を指さして言った。
『俺はお前が大嫌いなんだよッ
お前の顔が見たくない、声を聴きたくないッ
母さんだって馬鹿だ、こんなぽんこつに大枚はたいて。
父さんの遺産を散財し、俺には一円も遺してくれなかったッ』
くそ、忌々しい…
あんな馬鹿な女の腹から産まれたことが俺の最大の恥だッ』]
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