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…その人ならきっと、
アーネストさんのこと
誰よりも幸せにしてくれるよ。
それだけじゃない。
幸せにも、なってくれる。
そうなったら、
私たちも、幸せになれるね。
[自分がそうであるように、アーネストも恋をしているなら。
そしてその恋の相手があの人なら、きっと悪いようにはならないだろう。
言葉にした通り幸せを感じる笑顔でビューさんに同意しながら、いい加減恥ずかしさに甘えず自分もカラントとのことを話さないとな、と内心で呟いた**]
[書けと言われたから書いた私の処女作は
曾祖父の著書の出版権を持つ会社から賞を貰った。
受賞の賞金は私の手元に来なかったものの、
三年間の作家契約は私のものとなって
結果、そのおかげで今いる私は守られた。
尊厳が踏みにじられそうになって、
無体を働かれる前になんとか逃げ出したけれど、
怖くてどうしたら良いか分からない私に
担当についてくれた人が、逃げて良いと言ってくれて。
作家としての立場を確立する為に書けるだけ書いて
自立する為の力を付けなさいと励まし、
支えると言ってくれた言葉通り
作家契約の更新と共に家出した私を引き受け、
共に暮らしながら自活できる術まで与えてくれたから]
[そのおかげで私の心は殺されずに済んだし、
家族の思惑を潰しまくった代わりに
血の繋がりだけの縁を切ることも出来て。
でも、それまでに間接的にも直接的にも向けられ続けたよこしまな悪意に、
大柄な身体や、大きな手は苦手になっていた。
勿論、非道を行うのは男性に限った話ではないし、
男性が全員そうではないことも知っている。
なので誰彼構わず避けることは流石にしなかったけれど、
新たに築いた人間関係は、以前より更に距離を保つようになった。
ろくに知らないのに、怖い、と押し付けるのは嫌だったから。
このまま誰にも近付かず、
物語を生み続けるだけで良いと思っていたのが
まさか、一人の人の隣にいたいと願って、
隣にいても良いと言ってもらえる日が来るなんて
地球にいた時には、思いも寄らなかった]
[そんな予想外から始まった新生活の拠点は
一人暮らしには大きな一軒家。
淡い橙色を基調とした煉瓦壁に、深みのある緑の屋根。
シンプルにクリーム色の壁紙で統一した部屋の中
一番目立つのは、オーディオルームと
壁にびっしりと本棚を並べた資料室だろう。
それ以外は必要最低限の家具家電と執筆用の机のみという
シンプルに書くことだけを想定した室内と、
連れてきてもらったカラントさんのおうちは、全然違った]
ふわぁ…
すごい、うちと全然違う…
てゆか、あれ、あっちに置いてあるのってジオラマ?!
カラントさん、あの、近くで見ても大丈夫なのってある?
[お互い荷解きやら何やらがあって、
家に連れてきてもらったのは早くても1週間は過ぎてから。
案内された自宅もだけれど、目を輝かせたのはやっぱりアトリエの方だった。
絵具や木、土などが混ざった独特な匂いは、意外と気にならなくて
カラントさんの隣と同じような、居心地の良さがあって。
わくわくとした様子を隠さない態度は、カラントにどんな表情を浮かべさせたか。
初めての訪問は、それでも長居せずに帰ったものの]
…かえりたく、ないな。
[カラントの作る空間にずっといたい、と
彼自身の傍からも離れたくないという気持ちが、
訪れる回数を重ねるにつれ深くなって、
帰りたくないと我儘を言うことも、増えたのだった*]
[地球に居た頃には思いも寄らなかったことはもう一つ、
海辺の病院で初めましてとなったビューさんとの交流>>338。
入院中で気持ちも滅入るだろうし
時間の自由が利く内はとなるべくビューさんとお話に伺って
何度目かの訪問時に彼女から切り出された話題>>339は
私にとっても嬉しいことだったから]
んー…
お話しても良いんですけど
私がここでどんな人か言っちゃうと、
アーネストさんが惚気る分が減っちゃうんじゃないかしら。
[そう言って笑った後、
どうしても気になるようなら、
好きなものに真っすぐ向き合おうとする人だよとだけ話して
私たちも幸せになろうという彼女の言葉に頷いた
その数日後には恋人が出来た!と勢い込んだ様子>>340に、
身体に障らないかと心配しつつも一緒に微笑み喜びあった]
[とはいえ、そんなこんなもあったものの
アーネスト自身から聞いた訳ではないから
アーネストさんの妹さんが入院されていて
お話してる間に友達になったの、とは伝えていたものの
アーネストさんの恋?話はカラントさんには話さなかった。
その代わりに話すのは、別のこと]
あのね、カラントさん、
その、私…カラントさんの彼女って
アーネストさんに言っても良い?
[そもそも言いふらすものでもないと思うけど、
周りに言われたくない人もいるらしいとは知っているから
確認に問いかけたのだが、カラントからはまだ言ってなかったのか?くらいの反応が返っただろう]
[それから、カラントさんも一緒にアーネストさんと会ったのは
アーネストさんからチケットを貰った映画の席で>>327だろうか。
それならば観た映画>>284>>285>>286の感想でひとしきり盛り上がった後になるだろうけれど、
「なんでこんなヤツが良かったンだい?」とアーネストさんから聞かれたことにぱち、と瞬いた後]
最初はね、
カラントさんの絵が好きだなって思ったからだけど
今はね、手とか、声とか、考え方とか、
カラントさんの全部が好き。
いっぱいドキドキして
どうしたらいいかわかんなくなることも多いけど、
カラントさんが傍にいてくれるだけで、
安心できるし、息もしやすいの。
[カラント自身にも伝えていることだから、
照れも衒いも無く答えたのだが、二人の反応はどうだったろう**]
…だって。
[当たり前だと思っているわけじゃない。
仕事の迷惑になる時なら、遠慮する。
でも、好きな人と一緒にいたくて、
近くにいたくて。
もっと近付きたいと思うのに、
どうしたらいいかわからなくて]
……離れたく、ない。
[被っていた毛布も取られてしまって心許ない手を、
カラントの頬に触れさせた後、シャツの胸元を握った*]
……なりふり構ってない、
わけじゃない、よ?
[顔を上げれば、
先程よりもずっと近くなった距離でカラントと目が合う。
更に顔を寄せて、自分から唇を重ねた後]
…好きな人と、
もっと近くなりたいって、
ちゃんと、思ってる。
[真っ赤になった顔を逸らさず、
まっすぐ見つめたまま、カラントの返事を待った*]
わ……私、かわいい…?
[それでも、自分で言うのは恥ずかしすぎたから、
問うような語尾になってしまったのは言い直させられただろうか。
続けて、ほら、と促されるままにもう一文も声に出して]
豊かな感情と、
素直さも、魅力的、です…
[自分でこんなことを言うという羞恥心と、
カラントとこんなに密着していることへの動悸の早さに涙目になってしまって。
言えたご褒美とばかり向けられた問いかけに、
言葉を返す余裕もなく、それでも一緒にいたいという気持ちを頷きで示した*]
カラ…
[何から手を付けようか、と問うよりも
カラントさんの顔が近付いたのに気づくのが早くて。
さっきの自分がしたことを、
今度はカラントさんからしてくれるのだと分かったら
また声が出せなくなった。
代わりに目を閉じて、
大きな背に手を回すことで応え、
明日からのことは明日に任せることにして
今は、好きな人と近づける幸福に身をゆだねた**]
[地球を飛び立つ所から始まった一か月の宇宙の旅と、
ホワイト・マーブルに着いてからの日々の間に色んなことがあった。
その中でも、
これから先の人生を共にするだろう人も、
もう会えないかもしれない人も、
一度も会えず仕舞い、言葉を交わさずに終わった人も
皆一緒に、
同じ船の中で過ごしたあの時間は
私にとっても掛け替えのない体験であり、
自分だけの『自由』を得られた経験を基に
認められたのは、
ホワイト・マーブルに着いて
二度目の転居を終えて、しばらくした後]
『これから先も私は書き続けるだろう。
これまでも書いてきたように、
平凡な壮年の男性であったり、
AI搭載の機械であったり、
老いて光を失くした女性であったり
自分が選んだ道を進む少年であったり
色んな人生を進むものの物語を書くだろう』
『私にとって掛け替えのない出会いがあったように
この本との出会いが、
貴方にとってかけがえのない出会いとあれるように』
『たとえ過去に置き去られようと、
何度だって頁を開けば
変わらぬものがあると伝え続けるために
何度だって、貴方の前に赴こう。
どれだけ時が隔てようと、
どれ程世界を跨ごうと、
夜間飛行で追い越して───』
[あの船で出会った人、
言葉を交わさずとも同じ空間を過ごした人、
一度も出会うことなく、すれ違うことも無かった人。
その中の誰かの手に届いてくれたら良い。
そんな思いを認めた、初めてのエッセイが出版された**]
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