情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新
[丁寧な字の持ち主は、どうやらあの豪快で快活な仮面ライダーであったようだ。
非常に読みやすい字のそれを目で追うと、彼女の人助けへの熱意というものが伝わってくる。あと、ゴーグル姿を見られていたということも]
見ていたならば、話しかければいいのに…
高い酒を振る舞う話も、今からの時間だと難しそうだな…
…困った時は、か…
そのような事態にならないことを祈るよ…
[エマージェンシーコールについても一瞥し、
少し考え込んだ末、その手紙を丁寧にビジネスバッグの中にしまう。
彼女のアドバイスはたしかに的確だったように思う。
であれば…いつか再びアドバイスが必要になることもあるかもしれない。と、そういう判断で。]
[…男はこのときまだ知らない。
旅が終わって数週間後のある日、ついに我慢の限界が来て、
正義のヒーローの助言を求めることになることを。
それは日曜朝の話。ヒーローたちが踊る時間。
そんな賑やかで爽やかな朝の中、
こんな助けを求める声が電話から
『助けてくれ。
子供が仕事に行くなと泣きわめいて離さない。
ただ、書斎に行きたいだけなのに、
何度いっても聞いてくれないんだ……』
[スーツ紳士は困り顔。そんな電話は平和の証**]
……。いい顔色になったな。
それにもう。
迷子ではなさそうだ。
[男は、告げる淡々と。
彼女の真っ直ぐな目を祝福するように**]
ー リベルテ降機前:薄桃色の君と ー
[声をかけた彼女は、一週間前に見かけた彼女と違い、
淡く明るい、女性的な服装をしていた。>>134
何かに怯え、自らの身を守るように着ていた黒い服とは違い、どこか開放感のある、晴れやかな姿だが、緊張した顔持ちにはあのときの面影もある。
なれない足取りで駆け寄ってくる少女が
男のそばまでくれば、>>135
男は彼女が転ばぬように片手を軽く差し出して迎えるだろう。]
そうだな、一週間あっという間だった
……気にすることは…ハンカチの一枚くらい…
[と、言いつつも、彼女が両手で差し出したそれが、
綺麗に洗われ、アイロンがけされているのに気づけば、それをきちんと受け取るだろう。
男にとっては大したことのない一枚でも、どうやらこの少女は…とてもとても、大切にしてくれていたようだから。それ相応に扱い、そして感謝を受け取るのも礼儀だろうと]
[…男は、膝を軽く折り、
彼女と視線を合わせる。
そして、輝く視線を前に言葉を送る]
君なら、きっとできる。
私は、君が誇らしい。
[そう言って、彼女を頭を、軽く撫でる
その笑顔は、ぎこちなく、作られたものだけれども
"君"に贈りたい、君を慈しむ心の現れ]
[そして、そんなぎこちない笑顔のまま、数刻が経ち]
……
…………そろそろ私の手番か。
もう行かなくては。
[館内アナウンスとともに、ペンギンアンドロイドが男の案内のためにやってくる。男はすっとそのまま膝を伸ばして、最後に彼女に一礼する]
では、私は行くよ
…どうか君のこれからの
幸おおからんことを
[そう言って、彼はかつかつと歩いて去っていく。
…あれが正解だったのかはわからないけれど。存外悪い気はしなかった。そんなことを考えながら**]
ー ホワイト・マーブル宇宙港 到着口 ー
[未来を見つめる輝かしい若者と別れ、
男はアンドロイドや自動音声の案内のもと『リベルテ』から立ち去る。
もとより場所への執着が薄いため、船から離れることには特に何か思うこともない。
大切なのは『どこで』過ごしたかではなく
『誰と』『どのような』会話をしたかなのだから。
様々なことがあった。
また話したいと感じることがあった。
まだ、自分にも何かあるような気がした。
…それをあたえてくれたのが『リベルテ』だった]
……
…………もしもし。私だ。
『あ、もしもしツァーリさん?
よかったわ!やっとつながった…!ほっ…!』
今、ホワイト・マーブルについた。
これから家に向かうから、家で待っていてくれ
『え〜〜〜?うふふ。そうね、そうね〜
うふふふ。じゃあ早くお出口に来なくちゃね?』
[しかし、ここからは日常の話に戻る
ここからなら通信がつながるだろう。
男は通信端末を取り出し、妻が出るであろう番号にかける。ホワイト・マーブルに到着したことと家で待機するような言葉。体が弱い妻に無理などさせられないという合理的判断なのだが…]
………………
…………………………………
[到着口のゲートを通った瞬間。
男は視線をそらしたくなった。とても。
人ごみの中に 恐竜のきぐるみが 立っている。]
『きゃ〜〜〜!あなた〜!一ヶ月ぶり〜!
ようこそホワイト・マーブルへ!うふふふ!
どう?とってもきれいな宇宙港だと思わない?』
…………………………。
[全身ピンクの可愛い色合い。
こっちを見て、めちゃくちゃに小さい手を降っている。
さらにいうと、この恐竜のおててをつないでいるのは、恐竜パジャマみたい服を着てる3歳くらいの男の子。その脇には、ベビーカーを押しているメイドロボ(恐竜の被り物をしている)。
恐竜一家が、めちゃくちゃこっちに、手を降ってる]
…………。
……………………。
『あら?ツァーリさん?どうしたの?
あ、さてはあまりの可愛さにびっくりしちゃった?
うふふ〜、いいでしょ?サプラ〜イズ!
久しぶりに会うんだから、びっくりさせようと思って♪
ほら!アーちゃんもモルちゃんも恐竜さんでかわいいでしょ?うふふ!』
……………………………。
[…目を背けてはいけない…。
私は家族と…向き合うと決めたのだ…。
いやけどそれはそれとして目はそらしたい…男のスパコン思考能力も、流石にちょっと思考を止めたくなった。これが、夫がパスタになってやってきても面白がりそうな女の正体である。>>2:77 今までもかなり妙な笑いのツボを持っていたが、まさか、自分からやるとは]
……ただいま。
[その恐竜のきぐるみの中にいる、
細い細い身体をだきしめて。
君がここに生きて、そして回復している事実に
思いを馳せるのだ。]
…それはそれとして、
周りの人に迷惑だから着替えてきなさい。
子供たちは私が見ているから。
『がーーーーん…!う、うう…!
せっかく可愛かったのにいい…!』
[あ、お説教も忘れずに。
愛しの夫に怒られたピンクの恐竜は、ショックを受けつつ、メイドロボに支えられながら、フラフラとお手洗いの方に向かったであろう…。
のこされたのは、男と恐竜くん(3歳児)と恐竜くん(1歳)。]
『うー、ぎゃおー!かいじゅだぞー!
たべちゃうぞー!ままをいじめるなー!』
……
…………アーベント、
私はいじめている訳ではなく…はあ…
[男は自分の足をゲシゲシと蹴ってくる子供を見やりつつも、はあ、とため息をつく。
どうも、ママをいじめたと思われたらしい。叱ったのは本当なので間違いではないが、あれは絶対ママが悪いと思う。
やんちゃ盛りの男の子を見下ろしながら、
どうしたものかとおもいつつ……
…まずは、練習したとおりに]
…かっこいいかいじゅうだなあー。
お父さん、食べられてしまいそうだなあー。
[地面に膝をついて。
小さな子どもと目を合わせて、
愛しい妻が戻ってくるまでの短い時間の
小さな怪獣劇に付き合ってやるのだ*]
ー …アフターストーリー… ー
[…その後。恐竜のきぐるみを脱いで
ようやく現れた妻と再会し、
自動運転のレンタル車に乗って、私達は街の郊外に建つ少しばかり敷地のある我が家へと帰る。
正確には、私は初めて訪れるため、
帰宅というよりは初訪問という感じではあるが、家族のいる場所が、私のいる場所であると最も感じるのだから、帰宅ということでいいだろう。
息子たちがメイドロボにあやされてぐっすり眠っている。
助手席に座る妻は、黒く長い髪をかきあげ嬉しそうに笑っていた。
地球にいた時は、随分悪かった顔色が、血の気が通った色合いになっている。恐竜ごっこで興奮しただけという可能性もあるが、それだけできるようになったのは僥倖だった]
…………。なにかね?
『うふふ、ツァーリさん、
なんだか嬉しそうなんだもの。
何か旅の間にいいことがあった?』
[男は正面を向きながらも、パチリと瞬きをする。
また妙なことを言い出したと思うが、彼女は何でも分かってますと言わんばかりの顔で嬉しそうに微笑んでいた]
…………なぜそう思ったんだ?
『だって、貴方が何か話したそうにしてたり、
子どもたちと一緒の視線で遊んでくれたの、
初めてでしょう?
こんなに楽しそうにしてるの始めてみたかも』
……そうか?
[何か私は変わったのだろうか。よくわからない。しかし彼女がこの上なく嬉しそうにしているのはわかった]
…いいことは…あったな
…私とよく似た子供が、
何もないことを嘆いていた子供が、前を向いた
…子どもたちと向き合うきっかけをくれた
正義のヒーローがいた
…私の頭脳と渡り合う知性を持った音楽家がいた。
…人の心を理解するアンドロイドがいた。
…家族に愛される娘がいた。家族がいた。
…旅を続ける男がいた。
……他にも、たくさんいた。絵を描く男、
可憐な少女、利発そうな女性、扉を開ける鍵の小説…
……だから、ほら。
貰い物ではあるが…
[私は、そう言って、正義のヒーローから受け取った
ゴーグルを装着してみる。
視界が赤い。自動運転でよかった。]
…お前たち、こういうの好きだろう。
[ちらりと目を横に向けると、妻は…
目を輝かせて…そして、ニッコリと笑っていた]
『うふふ、そうね!きっと子どもたちも好きよ。
かっこいい、私達のヒーロー様!』
ー さらにそのご… ほわんほわん ー
[ぼくのなまえは、あーべんと!
おとーとの、もるげんと、
ままとめいどままとくらしてた!]
『らいだーきーっく!かいじゅーぱーんち!』
『ぱーんちぃー。いっくー!』
[きょーも、ぼくらはおおいそがし!
だって、せいぎのみかたにやすみはないのだ!
わるものは いつもぼくらをねらってる!]
『あーーー!!!』
[そしてきょうもみつけた!
ぼくたちのへいわをみだすわるものを!]
『ぱぱあああああーーーーー!!!
しごといっちゃやだああああああーーーー!!!
びゃああああああーーーーー!!!!!』
あっ、こ、こら待て!!!
私はただ書斎に…!!!!!
[そう!わるものは、おしごと!
おしごとのときのぱぱは、
まるであくのおやだまみたいなかおをする!
きっと、おしごとがぱぱをのっとって、
ぼくたちのおうちを
めちゃくちゃにしようとしてるにちがいない!
ぼくはせいぎのみかただから、ぱぱがおしごとに
いかないようにぎゅっ!としてまもってあげるの!]
『おじごどいっぢゃやだあああああああ!』
[パパはどこかにおでんわをはじめた!>>39
おしごとめ!ぱぱとのじかんをうばうきだな!
ぶくううう!ぼくはもっとていこうする!!!!
ぱぱからでていけ、おしごとめ!!!
…そうおもってたら、パパはおおきくいきをついた
それで、ぼくをだきあげていったんだ]
…………わかったわかった。行かないから。
今日は日曜日だからな…もうすぐテレビも始まるしな…
今日は朝ごはんを食べたら、おやつを食べてもいいから
[ぱあああ!ぼくはおしごとにかった!
ぱぱがいっしょにてれびみてくれる!
やっぱりせいぎはかつのだ!やったー!
ぼくはいきようようと、御飯のおせきに、おすわりするのだった]
…いくら何でも、似すぎだろう。
[くすくす笑う、ぱぱのかお。
ぱくっとねりねりをたべるぱぱはうれしそうで
ぼくのおかげで、
せかいはへいわになったのでした!
…少年は、それはそれは嬉しそうに、そうやって今日も無邪気に笑うのだ**:]
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