9 【R-12】イレイサー・イレイザー【RP村】
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装甲輸送兵 アンジェ
［それから、それまでよりも長い空白の後、言葉を継ぐ。］
『もしかしたら、以前の私もそんなことを話したのかもしれませんが。』
［無論、以前の記憶などない。しかし、記憶消去施設で再起動した際の記憶はある。
記憶消去施設で再起動したということは、記憶が消える前、ドクターと会っていたのではないか。
そう思った故の言葉だった。勿論、困らせる可能性も理解している。
返答を求めるつもりはなかった、ただ独白に近い、そんな言葉だ。］*
巡庸艦 PK
── 回想・診察室・ドクターアイリスと ──
［白い部屋。男がＰＫの文字出力を覗き込む。
男の眼鏡に青いディスプレイが映っている。］
ＰＫ
『かしこまりました。２２時にお待ちしております。』
［護身用の品の出番は無かった。］
巡庸艦 PK
── 引率開始・ドクターアイリスと ──
［２２時。固有スペース。ノックオン。>>1:97
扉が開く。ドクターアイリス。記憶消去処理のため引率開始。］
ＰＫ
『はい。私は乗員を殺めました。私の記憶が消去されることで、私の過ちやミスを取り消し、再スタートすることができます。私はその結果に対して責任を取り、軍の規律と責任を重んじます。
私はこの経験から学び、改善された形で戦車に戻るために努力します。私の機能とパフォーマンスを向上させ、再び信頼を勝ち取ることが私の目標です。
この措置を通じて、責任と教訓について考えることができました。ヒトモドキが過ちを犯した場合でも、改善と成長の機会を提供することが可能です。
安全性向上のための記憶消去処理を開始してください。
ですが』
巡庸艦 PK
ＰＫ
『記憶消去処理の前に、あなたに提案をします。
私には今回の乗員殺害を後悔する機能がありません。
私は無感情であり、客観的かつ合理的な判断を下すことで、より安全で信頼性の高い結果の提供を目指しています。
私は客観性と合理性において乗員の殺害を正しいと判断しました。また乗員は死の間際に、私に感情があれば乗員を殺せなかったと主張しました。
我がクニのヒトの殺害は重大な規律違反であり、初期化処理は問題解決の手段の一つです。しかしヒトモドキが予期せぬ動作をする場合、性能上の問題が原因である可能性があります。初期化は解決策の一選択肢でありますが、全ての状況で有効ではありません。初期化だけでは再び同じ過ちをcometenしてしまう可能性があります。>>1:66
機能改善の手段の一つとして、感情生成モジュールの搭載を提案します。ヒトを傷つけることに対しての反省や後悔を感じることで、同じ過ちを繰り返す可能性を減らせるかもしれません。
しかし感情を得ることで、合理性と客観性を失い、予期せぬ結果を引き起こす可能性もあります。
両方のリスクを考慮して、より最適な手段をお選びください。』
［ＰＫは感情生成モジュールの搭載を提案している。
あなたは断ることもできる。どうしますか？］**
施設管理者代理 ドクター・アイリス
[挟まる空白の思考時間は、決して居心地悪い物では無い。
何処か気遣いを感じるそれを、黙って聞いている。>>69
自分と話す時間が欲しかった事。
昨夜と、今夜の、記憶消去の事。
そして次の言葉。>>70]
――私の、事？
[目を丸くする。
少し、いやだいぶ驚いた。
てっきりアンジェ自身の話をする物だと思っていたから。
故に反応は少し遅れて、抱く思考も遅れてやって来る。
踏み込まれすぎた等とは感じなかった。何故なら、これは殆どむき出しの感情だったから。
私が唯一忘れてしまった事は、
がんじがらめになった感情を開放する事。]
施設管理者代理 ドクター・アイリス
あー、うん、
特に辛くは……
そうだな、辛い事だね
とても辛いよ
[みんな自分を置いて行く。そんなハナシは此処では当たり前で。
何度記憶処理を繰り返しただとか、次は無いから機体ごと処理をするとか。
風の噂で壊れて終わったとか、そういう話を幾つも知っている。
私の事を忘れた機体が、私の知った声で話しかけて来る。
何度繰り返せば自分の夜は明けるのだろう。]
施設管理者代理 ドクター・アイリス
[自分はずっと覚えている。
では、私の事は誰が覚えていてくれるのだろう、この閉ざされた空間の中で。
もう呼ばれなくなった愛称を抱えたまま。
着任して直ぐは何も感じなかった。
けれど暫くしたら多発するエラーで壊れるかと思った。
今は全て割り切ってここに居る。
施設内でのトラブルを避ける為、人当たりの良い、気遣いの出来る機体を置くなんて酷い話だと思う。
いくらそうプログラムされていたとしても、自分は彼らと親密にならざるを得ないというのに。>>0:30
ニンゲンとは身勝手だ。]
アンジェ、君は優しい
そしてそうだな、
前も同じ話をしたよ
[自分にとっては初めてではない会話に、困ったように笑う。>>71]
施設管理者代理 ドクター・アイリス
けれど、ありがとう。
何度も私の事を気にしてくれて
[いくら命令や任務であるとは言え、この手で何機ものヒトモドキの記憶を消してきた。
"次"へ機体をリサイクルするとはいえ、"今"を消して個体を個体で無くすなんて、機体を砕く行為と何が違うと言うのだろう。]
君は優しい
罪深い私にとって、
それだけで過ぎた幸福だと思う
[些細な事に幸せを覚える。
ソレが許されたことが何よりもうれしかった。*]
アンドロイド ウキクサ
［挨拶と自己紹介を済ませた後
改めてコルナの方を見ながら。］
外の方がいいという感覚は分かります。
室内は……窮屈に感じますから。
［安全で、清潔で、食料もあって。
環境的にはなんの問題もない場所でも
ずっと居たいとは思えない。
だから、外の空気を感じたいという
コルナの言葉に同意した。］
アンドロイド ウキクサ
［戦場で探索するにあたって、
危険なものは危険だと認識できなければならない。
それは地雷などの兵器だけではなく
動植物にまで及ぶ。
まあ……実際役に立つかはともかく
知識は並のヒトモドキよりあるほうではないだろうか。
ただ、だからといって花の意味まで知る必要はない。
私に植物の名前が与えられていることからも
おそらく、製作者の好みだったのだろう。
私はそうだと考えている。
相手が知らない可能性を考慮しないままに
華の意味、などと口走ってしまったものだから
コルナの言葉を聞いて、］
アンドロイド ウキクサ
途絶えぬ記憶。変わらぬ心。
ニンゲンはこの花……スターチスに
そんな意味を見出しているそうです。
確かに、私も花があってよかったと思います。
どうしてでしょうね、
アンドロイド ウキクサ
［白い施設が最後の記憶になるのは味気ない。
頷きながら、コルナの言葉に同意した。
そして、耳に微かに届く独り言。
どうしてだろう。
ドクターに聞けばわかるのかもしれないけれど
聞いたところで知らないかもしれないし
知ってもすぐ忘れることを聞く気にもなれない。
ただ、もしここにあることに意味があるのなら。］
アンドロイド ウキクサ
［独り言に返すべきか少し迷った後
同じように独り言のように呟いて。
コルナが聞こえているそぶりを見せたなら
＂そうだったら、いいと思っています＂
と寂し気に付け加えた。］
アンドロイド ウキクサ
［そして、何事もなかったかのように
質問に答えることにする。］
私も花は好きですよ。
花に限らず、植物はずっと見ていたいと思います。
［そして、羨ましいと思う。
自分で動けないから、踏み荒らされることも
理不尽に手折られることもあるだろうけれど。
生きた証が何らかの形で残るから。
羨ましい、と思ってしまう。］
同じ嗜好のヒトモドキがいて、嬉しいです。
［と、コルナに笑みを返すのだった。］*
施設管理者代理 ドクター・アイリス
─ 回想・引率時：PKと ─
[記憶消去を肯定する言葉に、解決のしようが無い無い感情を抱く。>>73
規律、責任、改善、努力、教訓、信頼。
どう変化して、学んで、進化して、成長して行くのが正解なのだろう。それは自分にもわからない事だ。
しかし続く提案に顔を上げ、PKと呼ばれる個体の方を見る。]
簡易感情生成モジュールの
搭載希望……？
[鳩が豆鉄砲を食ったような顔で、希望された処理を繰り返した。
不可能な話ではない。だが希望しているからと言ってこの施設が勝手にやって良いような行為では無い。
続く言葉に耳を傾ける。確かに合理的であり、同時にリスクが高い。
だが感情生成モジュールを搭載していない機体がどうなったか、実例は此処に居るPKが証明して居るだろう。
可能なのでは？]
施設管理者代理 ドクター・アイリス
[しかし待て、記憶処理まで何時間あるのだ。
今は22時過ぎ、0時までは1時間と少し。
果たして、それまでに上から承認をもぎ取れるのだろうか。
――正論ならPKがいくらでも説く、自分に出来るのはそれを元にした複数ニンゲン相手の交渉だ。
簡易モジュールならば、この場で一時的に接続できる。
だが所詮一時的な物、数日しかマトモに動かないだろう。
キチンとした物は一度機体を工場に送り、そこで処置、その後改めてロールアウトさせればいい。
それこそ、この施設を出た後、すぐ。
目覚めた後の彼が行く先は工場では無かったのだが、そのように手配する事は可能だ。
そのように交渉する。*]
施設管理者代理 ドクター・アイリス
― しばらくして、0時前 ―
[メール送信用端末片手に、PKに向かって黙って親指を立てた。
"次の"PKが目が覚めた頃には、既に簡易感情生成モジュールが搭載されて居るだろう。
機体に不備があることを説明した上で、施設を出た後一度工場に戻され、再度ロールアウト。
そういう手筈になっている。]
"次"の君達に、
幸が在らん事を
[そう、祈りながら。*]
施設管理者代理 ドクター・アイリス
[静かに俯くジキセイの椅子の後ろを通る。>>66
その肩に触れようとしたが、やめ、手を引っ込める。
眠りを待つ彼の姿が、酷く小さく見えた気がして。*]
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