きぐるみ ピギー

――　森林地帯　――
[いくらでも待つ。どれだけでも待つ。ただただ対象を狩るために、なんてことなく狩るために、綺麗に狩るために。
対象の動きを隠れて見つめ、気づかれぬまま観察をし続けて、対象を狩れる絶好の隙がくるまでただただ根気よく。

意識せずに待ち続けることにも慣れたものだ。根気よく、それこそ三日も隠れ続けて隙ができるまで待ち続けたこともあった。
時に罠を張り、時に殺せる場所を作り、弦に殺意を引き絞る機材を設置して、森林の戦いは逃げて隠れて見つけて罠を張り奇襲をする。

ピギーが基本的にソロなのは性格的なところもあったが、そういう狩りスタイルによるものでもあった。
外の騒ぎが近づいてきたのに気が付いたのか、首を傾ける対象。首の斬りやすい継ぎ目が露わになる。]

きぐるみ ピギー

[獲った。
そこに語るべきことなど何もなく、敵の虚を突き、迅速に正確に仕留めただけである。]

　順調と考えてよさそうか。

[シャベルの血を拭いながら音を聞く。
定期的に開催されるその依頼。踏み込んでくる人の音の量を聞けば、順調に推移していることが推測できる。
厄介なのをもう少し狩ったら、後は見守っておくか。そう考えながらうさぎあたまは耳を澄ませた]

きぐるみ ピギー

――　街道脇　――

[商人たちが協賛することで定期的に開催される魔物の掃除。
近くのダンジョンから漏れ出ているだとか、自然発生とかいうが、正直その辺りはよくわからないが、定期的に増えた魔物を間引いて街道を安全に使えるようにするのが今回の任務だ。
浅めの魔物は冒険者になり立ての活きのいいのが戦って、引率するものや腕の立つものなどは厄介なものを狩るために深く潜る。
そうやって自分の狩りの時間が終われば街道の仮拠点へと戻るのだ。当然それだけの規模で時間をかけてやるのだ、ただ武器を振り回すだけでは成り立たない。

食事を作るもの、寝床を用意するものとで様々だし、護衛は大雑把に三チームに別れて狩りにいくチーム。、休憩するチーム。野営地を護衛するチームに別れる。

―――というものに来てみないか？とイヨリを誘ったのは着いていくのが目標>>148ともギルドとも関わるといっていたからだ。
薬草を学び魔術を覚えていけばいずれは医者としていられることにもなるかもしれない。
だが今はまだ料理班に配属されるのが当然といえただろう。]

きぐるみ ピギー

　《こっちは終わった。
　綺麗に狩ったからな、素材も高く売れそうだ。》

[安全性については確約できる仕事なんてない。とはいっていたから、無事なのを報告する。
また素材として剥ぐならば、綺麗に狩る必要がある。ボロボロの素材など金にならない。なんてことは道中にも話していただろう。そういう意味でうまくいったことを伝えながら、自分は休憩して、護衛に変わって―――となるが]

　《そっちがどんな仕事具合か知らんがやっていけそーかー？》

[シンプルに大量生産をすることになってるであろうイヨリに大丈夫かーと、念話で声をかけつつ、荷車に乗せた獲物を引いて野営地へと戻るのであった*]

護衛 オスヴァルト

月の明るい晩に

[現れた門を前に、
緊張を隠せない様子のウタ>>71が、
吸い込まれないように…と語りかける。]

大丈夫だ。絶対離さない。
もし吸い込まれたら、俺も一緒に行くから安心しろ。

[軽口叩きながら、繋いでる手に力をこめた。]

………。

[結局、ウタ以外の他の“旅人”たちも誰も帰らないらしい。
あらかじめ聞いてる人もいたが、全員とは…。

それだけこちらが居心地がいい、と思ってくれるのなら、嬉しいことだ。
世話役との相性も良かったのかもしれない。]

護衛 オスヴァルト

[そうして始まる公開プロポーズを、
おお、と見守っていたら、
同じような反応をしながらも視線は釘付けのウタに、
くいっと袖を引っ張られた。]

…感動するなら、毎日しようか？

[その前に、指輪を買いにいかなくちゃ、だな。
絡めた指に、こっそりと口づけを落としてから、
二人へ惜しみなく拍手を贈った*]

護衛 オスヴァルト

それから

[それから、ギルドの保護から外れたウタは、
まず言葉が通じなくなる…という難関は、
じーさんが翻訳魔法を使える、という裏技で、しばらくは凌げそうだ。

ちなみにじーさんはすっかり元気になった。
ばーさんもまもなく帰ってくるらしい。
まだまだあちらも手がかかるのでは？と心配したが、
…俺が可愛い嫁さんをもらうことになった、ときいたら、
すぐにでも戻る、と連絡があったらしい。のんびりでいいのに。

それはさておき翻訳魔法だが、
ずっと頼ってるわけにはいかないから、
遅まきながら、言葉の勉強をしている。
俺にだけ教えられたら言葉遣いがあらくなる、と、
じーさんばーさんが張り切ってる。

まぁ、お隣さんに旅人仲間がいるし、
案外そちらに頼った方が早く覚えるかもしれない。]

戦士 ランディ

結婚式

［>>156聖子はランディの故郷にて親に挨拶をしたいらしい。
別に嫌というわけではないが心配なのは聖子である。
馬車だとそれなりに時間がかかり、魔道列車を使ってもまだ時間がかかる。
馬車も揺れるので多分お尻が痛くなる。
トイレ問題も深刻で街が町になり、町が村になっていくと次第にトイレの質も落ちていき野宿もすることがあればゼロトイレとなる。
聖子の話に聞いたキャンピング魔道車というものが出来たら行くことを考えようと思うので一先ずは手紙で伝えればどうだろうかとお手紙を書くことを進めよう。

　>>157白い糸は必ず手に入れてくる所存である。
楽しみにしてくれているなら猶更だし、聖子の望む綺麗な衣装を着てもらいたい。
そんなわけで後日、試作型自転車一号機で爆走して通常日程の半分の時間で戻ってきた。
獲ってきた糸は腕のいい機織りに花の模様入りで織ってもらい、出来た布を王都でも有名な職人に聖子のスケッチを元にウェディングドレスを作ってもらう。
もちろん自分で作るならお任せしたことはいうまでもないことだ。
余った布は取り置いておこう］

戦士 ランディ

　ハネムーンか！
　どうせだからキャラック船でも買って南の島に行ってみようか。
　聖子の水着姿も見たいしな！


［そんな話をしていちゃいちゃして過ごしたBBQの日も過ぎ去った日。
王都で有名な教会にて二人の結婚式を催した。

　用意した純白のドレスに身を包んだ聖子は激マブであるし、
ランディもスーツをということで同じく純白のスーツを着て結婚と夫婦仲を司る女神の前で誓いの言葉を述べる］

戦士 ランディ

　ランディ・タカミネは生涯高嶺聖子を愛することを誓う！
　愛してるぞ、聖子！


［参列者は異邦人の三人と世話役だった三人には招待状を送っており、
後は気合と努力と根性で試作型自転車三号機（人力馬車）で連れてきたランディの両親とギルド関係者が居ただろう。

　結婚式は華やかに。
魔法の花が舞い散る中でランディは幸せそうに聖子に笑いかけて誓いの口づけを交わした**］

衣代和かほ

――街道脇・料理班――

[初めてピギーと共に仕事をする。>>166
まだ着いていく、の段階だけれど自身の役目はきちんとあった。
商人協賛なだけあって食事処の主人に話を聞いたこともある、王都の街道の安全のため、必要不可欠な魔物退治だった。

参加人数は多く、チームの中でも細かく班に分かれている。
自分はとあるチームの料理班に配属され、今は戻ってくる戦闘班である冒険者のため、大量の夕飯作り真っ最中だ。
もう幾つめか分からないジャガイモ洗いの魔法を使いながら皮を剥き、めをとり、切る担当に受け渡している。]

　……。

[ピギーは今頃どうしているのか。
何度も参加している手練れなのだろうピギーは、血気盛んな若手とは違う、森の奥深くに入っていっているらしい。
らしい、とは事前に聞いて別れてからは連絡を取っていないから。
集中力の必要な仕事中に、例え音にならないとしても、頭に直接語りかけるなんてできっこなかった。

ジャガイモの次はニンジンもどきをひたすらに剥く。そして必殺乱れ切りならぬ乱切り。包丁ならお任せあれ。
このチームのメニューは新人の自分の発案でカレーなのだ。
福神漬けとらっきょうはなかったため、今回は話し合って、キャベツの酢漬けを添えることにして。]

衣代和かほ

[100本目のニンジンもどきが無残な姿になった頃、感じた気配にふっと顔を上げ――頭に低い声が響いた。>>167
料理用軍手の中、金の輪にほのかな熱を感じる。
眉を下げて大きく息を吸って吐くと、ピギーに応えるのだ。
最近はもう使いこなせるようになった、念の声で。]

　≪お疲れさま、ピギー。
　…………無事で良かった。≫

[やっぱりそう言わずにいられなかったけれど。]

　≪やったね。帰ったらご馳走が待ってるよ。≫

[ピギーの上々らしい成果に嬉しそうに。
そのあたりの素材の価値やどんなことに注意して魔物退治を行っているかは行き道で聞いていた。
魔物もただ倒して終わりではない。
ピギーは栄誉の勇者でなく、堅実に生きる冒険者なのだから。

どんな魔物とどう戦ったのだろう。あのスコップで。
怪我をしていないのなら、よかった。]

衣代和かほ

[そもそも持ち帰る素材ってどんな物だろう。
実は未だ魔物についてはそこまで詳しくないのだ。
本を読むだけでは想像力が追いつかない面もあるわけで。
角とか、牙とか？　皮は少し怖いけれど。]

　≪あ、私はそこそこ順調だよ。≫

[気にされている言葉に小さく笑って。]

　≪今はねー101本目を乱れ切りの末倒したところ。≫

[哀れなニンジンがまた大鍋の中へ放り込まれたのだった。

ピギーが帰還する頃には野営地にスパイシーな良い匂いが漂い、ほかほかご飯にごろごろ大きな野菜入りカレー、炭で焼いた豪快な串焼き肉が待っていることだろう。

自分はと言えばエプロンに三角巾姿で。
ピギーの姿をつい探していた時間の後。
周りの視線を確認してから、お玉片手に小さく手を振ろう。*]

きぐるみ ピギー

[冒険者としての依頼についていくというのをしてみてイヨリはどうだったかというと、十分に役目>>107こなしていた。
そんな任務を三日かけて、隣の町にその後いったりした後、王都へと戻ったりして、試してみてどういう風にしたいかイヨリにとっても経験になったならばいいと思える。

そうやって忙しく経験を糧にして生きるイヨリ。
念話もほとんど滞りなくできており、自らの足で寄る辺を作って生きることに困難はないように思える。]

きぐるみ ピギー

[だからその日が訪れるのは必然であった。
食堂での仕事から帰ってきたイヨリに、先に家に戻っていたピギーはいう。]

　おかえり。

[その言葉一つで、イヨリには違和感があったかもしれない。
通じたことがあって聞いたことのない声。念話で届いたバリトンボイスが、直接耳に届いたからだ]

　今日は花を買ってきた。
　イヨリが元居た世界にもあったっていう花があったからな。

[リビングに入れば食卓には今朝までなかった桃色のカランコエ飾られ、そこから見える炊事場ではスープに火を通し、パンを温めていた男の姿が目にはいっただろう]

　おかえり、今日は少しだけ豪華にしようか。

　なにせイヨリもそろそろ独り立ちしていい頃合いだしな。

[ジューーーっと鳴る音は脂のしかれたフライパンに肉を乗せた音の煙に紛れて見える葵色がゆっくりと振り返って]

衣代和かほ

――その日――

[仕事からの帰り道。
もう歩き慣れた石畳の先。細長い3階建ての家。
窓からやわらかな明かりが漏れている。
少しずつ早足になれば、スープのよい匂いが鼻腔をくすぐった。
ピギーが夕飯の用意をしてくれているのだろう。
膨らんだトートバッグの中身を触るだけで確認し、月のような輪を手首に揺らし、鍵を開けてドアノブを捻る。

今日はずっとピギーに会いたかった。
一人前になるのだと、仕事に影響など出さなかったけれど。
休憩中も、寄り道中も、ずっとピギーのことを考えていた。
溢れる想いはもう日記じゃ抑えられなくて。
もうすぐという予感に、胸が逸っていたのだと思う。

ドアの隙間から柔らかな明かりが差す。
今の自分は、家に居るピギーの気配が何となく分かる。
きっと着ぐるみの手にお玉を持ち、スープの鍋を。
ギィ、とかすかな音を立てながら更に開け、身体を滑り込ませる前に顔を上げて、キッチンへと視線を――]

衣代和かほ

　ただい、ま……

[声が、違う。>>178
いやいつもと同じ低い声だけれど、響き方が違う。
何にも遮られずに、料理する音と混ざりあい、耳へと届く。

鼓動が少しずつ速さを増す。
息を潜めながら、唇を震わせながら、ゆっくり顔を上げた。

その人を見つめる。
色素の殆どない瞳に“彼”が色を宿す。

もう日常となったキッチンの明かり。
魔法の火の眩さ。グラスが反射する光、食器の鈍い白。

そうして、新たに現れた桃色の花。
小さな鉢植えに咲く、寄りそい合うような小さな花々。

元いた世界でカランコエと呼ばれるこの花の花言葉を自分は興味もなく生きてきたが――こちらの世界の図鑑で知った。]

衣代和かほ

　……ピギー。　ピギー……っ

[涙がにじむのは煙のせいじゃない。
ぼやけた先に、夢かと思った葵色が見え隠れする。

そっか。あなたが。

何事もないように料理をする姿。
豪華な料理は嬉しいし、愛らしい花の意味に胸が高鳴るけれど。
それよりももっと、もっと。

自分用のスリッパに履き替える。
トートバッグを壁のフックにかける。
木の床を踏む。一歩、二歩、駆けだして、転びかけて。
料理中だなんて注意、今は何も聞けなくて。]

佐次詩羽

満月の夜

[夜空がこんなに綺麗だなんて、この世界に来てから知った。
それが満月の夜ならなおさら]

　ねぇ、オズ君。こっち来て一緒に月を見よ
　今夜の満月も綺麗だよ

[庭に出て椅子に並んで腰を下ろし、
わたしはあなたの肩に少しもたれるように一緒に夜空を見上げる。
そうして、わたしたちを巡り合わせる事になった満月の夜の事を思い出す。

異世界の門を通じて生まれた恋の彼方は、
これからも二人で一緒に向かう方向にあるのだろう。
わたしたちの左手の薬指には、揃いの指輪がある。
互いの瞳の色の石が月明かりを受けて、瞬きするように煌めく。

それを見つめて微笑むと、
指輪に刻んだ言葉を、あなたにだけ聞こえる囁きで伝えた]