星狩りの国-暁の街-


5 【半突発誰歓RP村】映画 ─玉響に“なけ”─


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【赤】 放送部2年 海藤コウ

[話しかけてきた相手が行平と話していた彼女と分かると、青年はぺこりと頭を下げた。]

あ、お疲れ様ですー。
海藤役の烏藤です。
撮影、お疲れ様でした。

全体の撮りではご一緒してても、科白のやり取りとかありませんでしたもんねぇ。
って、えぇ、そうなんですか?
恥ずかしいところ、見られてへんとええんですけど。

[勝手に見させてもらっていた、という言葉には照れたように眉尻を下げた。]

桂木さんは、先生とのシーンが多かったですよね。
俺、先生と最後に抱き合うシーン、優しくて、それでも切なくて、好きです。

(*152) 蒼生 2023/03/11(Sat) 00:52:35

【赤】 放送部2年 海藤コウ

そうですね。
俺が住んでた時は此処も改装とかしてなくって。
こんな高いところにある部屋なんて縁がなかったから、今日、初めて見たんですけど……。
なんか、懐かしいなーって気がします。

そうなんですか。
俺の実家は……川の反対側の、あそこの橋の近くですかね。
小中学校の学区は違ったんかな。
あの辺って確か、川を境にしてましたよね。

[彼女につられ、青年は目を凝らして実家の付近を指さしてみる。
暫く足を運んでいない場所を懐かしむよう、目を細めた。]

(*153) 蒼生 2023/03/11(Sat) 00:53:44

【赤】 放送部2年 海藤コウ

[歌が得意と言われたなら、いやいや、と両手を振ってみせる。]

あれはその、勢いっていうか、断り切れんかったっていうか。

……まぁ、良かったら俺の方も聞いたって下さい。
一応、聞けるもんになるようにセンセについて頑張りましたんで。

[眉尻を下げながら、そう、笑ってみせた。]**

(*154) 蒼生 2023/03/11(Sat) 00:54:36

帰宅部 ケン・ドリック

  ― それから ―

[飛行機の中、窓の外には白と青が広がっている。
離陸から既に大分経過していて
昨日まで住んでいた理澄市は遥か遠く。

2度目の機内食にチキンを選んだ。
当たり前に腹が減って、普通に喉を通る。
そのことが何だかおかしい。

ケンが座っているのは窓際の席。
ひとつ間を空けて、座っているのは見知らぬ他人で
母親と妹が通路を隔てて向かい側だ。
父親は一足先に帰国。

音楽を聴くでなく 映像を観るでなく
ぼんやりと過ごす。]

(179) itutuboshi 2023/03/11(Sat) 01:19:28

帰宅部 ケン・ドリック



[ぼんやりと過ごすことができた。
あれから一ヶ月も経っていないのに。]


 

(180) itutuboshi 2023/03/11(Sat) 01:19:33

帰宅部 ケン・ドリック

[酷いことをした。
それでよかった。それしか選べなかった、自分には。
ぼんやりと、そんな形にならない思いが

ぐるぐると渦巻いて
幾度も幾度も胸の中をめぐる。
なんども廻って このぐるぐるは
薄くなって、やがて―――― 消えて いくのだろうか?
今は分からない。何も。
だけど、特に何かを分かりたいわけじゃない。]

(181) itutuboshi 2023/03/11(Sat) 01:19:51

帰宅部 ケン・ドリック

[滑走路のライトが夜を照らす。

今回は一時の里帰りではない、
降り立った生まれ故郷の空気は、うまく身体に馴染まない。

だけど、すぐに慣れていくんだろう。
そのことが寂しくて、少し笑った。*]

(182) itutuboshi 2023/03/11(Sat) 01:19:59

【赤】 帰宅部 ケン・ドリック

 ― 打ち上げ会場 ―


  すみません、僕、もう時間なんで。
  

[役者という仕事をしているとはいえ
酒も飲めない中学生だ。
撮影以外の門限は案外厳しい家の子なので、
関係者への挨拶を素早くすませた後、
好物だけはしっかり腹に収めて退散だ。

ダメ元の『 サインください! 』は果たされたかどうか。]


  え、鬼束さん、そんな年なの、なんですか?
  ぜんっぜん、見えないです。


[そんな失礼極まりない台詞を吐きもした。]

(*155) itutuboshi 2023/03/11(Sat) 01:26:49

【赤】 帰宅部 ケン・ドリック

[帰り際、駅のプラットフォーム、
電車を待つ数分の間に携帯の履歴の一番上に触れる。]


  あ、ママ? 今帰るとこ。半には着くよ。
  そう、それで、続けてみようと思うんだ。

  役者だよ。
  もっと真剣にさ、あ、電車来たから、またね。


[通話を切って、ステップを渡る。
千木良の軽やかな声は、
他者に見せるいつもの調子と変わらない。]  

(*156) itutuboshi 2023/03/11(Sat) 01:27:01

【赤】 帰宅部 ケン・ドリック

[自分とは違う、自分ではない誰か。
似ていない、知らない、違う存在を

演じるうちに理解して、
望みを知ることができる。

その顔にはあの時の周囲に応えるだけの>>0:91
作られた笑顔とは違う千木良があった。

─玉響に“なけ”─
今から、彼自身のその時青春の始まり。**]

(*157) itutuboshi 2023/03/11(Sat) 01:27:41

【赤】 高校1年 鬼束瑠璃

[烏藤は軽い感じで自分に応えてくれた。
話しかけるのには勇気がいったが、飄々としたその言葉に、ほっと気が抜けていくのが分かる。
行平の時も思ったが、海藤くんとはかなり受ける印象が違い、思わず小さく笑ってしまった。]

 
そうですね…


[しかし、抱き合うシーンの話>>*152をされれば、少し言葉に迷う。
「先生」役の役者も当然居る。
こちらはしっかりとした俳優で、今日のこの打ち上げ会にも参加している。
けれども、今のところ特に挨拶は交わしていなかった。]

(*158) wallander 2023/03/11(Sat) 01:29:51

【赤】 高校1年 鬼束瑠璃

[撮影の途中から、少し不気味がられているのを感じていた。
それでも相手はプロだから、しっかり演技をこなしていたのだが、春に出会ったころの演技外での優しい態度が、冬に一緒のシーンの撮影が全て終わった時にはどこかほっとしたような様子になっていたのは、こちらが少し申し訳ない気持ちにもなったりしたものだ。

きっと、変に気持ちが入っていたのだろう。
小説をなぞったとはいえ、「先生」に心を向ける理想の鬼束を自分が過剰に、不気味がられるほどに演じてしまったのは、本来ならば許しがたいことである。
でも、演じ始めた自分には、どうすることもできなかった。
手を抜くことも、できなかった。]


ありがとうございます。
俳優さんにそう言って貰えるのは恐縮です。
それにしても、行平さんにも思ったんですけど、やっぱりさすがに本職の人ですね。
海藤くんと烏藤さん、全然雰囲気が違う。
海藤くんが勇気を振り絞ってお父さんに放送部を続けるのを直談判したシーンとか、どちらかといえば弱気な雰囲気の海藤くんがよくぞ、って思いましたもん。
あれがもし「海藤くん」じゃなくて烏藤さんだったら、お父さんへの対応もかなり違うものになりそうですよね。

 

(*159) wallander 2023/03/11(Sat) 01:32:50

【赤】 高校1年 鬼束瑠璃

[そして、外を見だすと、今度はそちらで話は弾む。]

そう、川が学区の境なんですよ。
あっちの橋の辺りに住んでる子は向こうの学校の方が近いっていいながらこっちに通ってきたりとか…

[普段の生徒たちの様子を思い出して、微笑んだ。]


でも、あそこの橋辺りなら、母校は…
いや、これ以上は個人情報の詮索になりますね。
家には良く戻られるんですか?
あの支流の川沿いとか、桜が綺麗に咲くでしょう。
いい場所ですね。


[何の気なしに聞きつつ、歌の話を聞けば、またまた、ご謙遜を、と笑った。
しかし「センセについて頑張りました」と聞けば、少しだけむむっとなった。
もしかして、あのNixの個人レッスンのようなものを受けたりしたのだろうか。
それは大分、羨ましい。
けれどもまた、遠い世界の話でもあった。]**

(*160) wallander 2023/03/11(Sat) 01:48:16

【赤】 放送部2年 海藤コウ

[>>*158彼女の笑みが零れた理由は分からない。
けれどきっと悪い意味ではないのだろう。
鬼束の出演していた中でもっとも印象に残ったシーンについて話せば、彼女は少し迷った様子を見せた。

>>*159烏藤は教師役の役者と彼女との間の空気を把握していなかった。
役者として、彼女の演技が素晴らしいものだと感じたから。
機会があるなら、それを素直に伝えたかった。]

どういたしまして。
そう言って貰えると、役者冥利に尽きますねー。

あはは。桂木さん、鋭い。
そうなんですよね。
俺とフジコーは違うから、結果も違いました。

[過去形の発言は、かつてそれに類した事が起きたのだと、彼女に感じさせたかもしれない。]

(*161) 蒼生 2023/03/11(Sat) 02:22:45

【赤】 放送部2年 海藤コウ

境近くの家の子は、ちょっと可哀想ですよねぇ。
俺、登下校の時間は好きでしたけど。

[>>*160彼女の本職は何だったのか。
会話をしていなかった所為で、彼女の事を知らない。]

あはは、詳しいですね。もしかして先生だったり?
あー……、実はここ数年は全然。
あそこの桜、暫く見てないなぁ。

[学区からある程度絞られるという事は学校の関係者だろうか、と予想を立てつつ。
実家について聞かれれば、少しだけ気まずそうにしつつも笑ってみせた。

特典の話。
レッスンについて話せば、何やら彼女の雰囲気が変わったような。
もしやNixのファンだろうか。
だとすれば、彼女に師事したというのはNGだったかもしれない。

Nixさんのファンですか?などと探りを入れつつ、その後も暫く彼女と話していただろう。]**

(*162) 蒼生 2023/03/11(Sat) 02:24:23

【赤】 放送部2年 海藤コウ

―END/そして次の舞台は―

[烏藤は土産を携えてホームへと帰った。
劇団の方は、一つの公演の練習の佳境に入っていた。
今回は映画の撮影があった為、青年は裏方仕事に回る事となる。
小器用な青年は、舞台監督の下について、作業の進行状況に応じてあちこち駆け回った。

そんなある日。
チラシを付近の劇場に配る作業の途中、車中で座長から次回作の構想を聞いた。
二人芝居を若手俳優が複数組で行うという企画。
同じ筋書きだが、役者が異なるなら全く同じ演出にもならないだろう。
役者の個性が如実に表れる。
面白いと思った。
何でも、他の劇団から客演も呼ぶ予定らしい。]

(*163) 蒼生 2023/03/11(Sat) 02:49:09

【赤】 放送部2年 海藤コウ

二人芝居で、二時間、ほぼ板に立ちっぱなしですか?
それはまた、ごっつい……面白そうな企画ですねー。

「何、他人事みたいに言うてんねん。お前も出るんやで。」

……は?

[青年は思わず隣を見た。]

「映画の余韻、まだ抜けてへんのか?出るんは若手俳優やって言うたやろ。お前も若手やし。」

[座長は道路から目を離さないまま言った。]

(*164) 蒼生 2023/03/11(Sat) 02:50:12

【赤】 放送部2年 海藤コウ

え、ほんまですか?

「嘘言ってどないすんねん。」

[青年はじわじわと座長の言葉を実感する。

若手俳優にとってはこの企画はチャンスでもある。
それを与えられた喜びと、二時間舞台に立ちっぱなしになるという珍しい舞台に立つという武者震いにも似た感覚。]

が、頑張らせて貰います……!

「声量落とせ、耳が潰れる。」

[その公演の情報は、一か月後にはSNSで公開される事となる。**]

(*165) 蒼生 2023/03/11(Sat) 02:53:32

【赤】 軽音部2年 竹村茜

―Nix―

[映画撮影という大仕事を終えて、私はとても疲れ切っていた。
とても楽しかったけれど、私には役者は向いていない気がする。あの泣きの演技もそうだけれど、全力投球し過ぎて深みに入りすぎてしんどいのだ。
これがまだ茜ちゃんのような、若いな〜と俯瞰して見られる子なら良い。
いつか悪役とか回ってきた時には自分まで悪い人間になりそうな、そんな予感があった。
きちんと切り替えられる役者さんすごい。

でも、そんなすごい役者さんたちと肩を並べて仕事ができたのだからとても貴重な経験だった。
自分の演技もおおよそ好評価を貰えて一安心。
ライブなどの仕事も順調で、嬉しい悩みと言えば役者や声優としてのオファーがチラホラ入ってきた事だ。
今の所一通りお断りはしているけれど。
あんなに全力投球して誰かを理解し、誰かを演じようとすることは、多分無いと思うんだ。
…誰かに恋をしたりしたら、別かもね?]

(*166) もくもく 2023/03/11(Sat) 04:06:41

【赤】 軽音部2年 竹村茜

[だからNixは今日も歌う。
言葉を紡ぎ、曲を編んで、自分の歌を空に送り届け続ける。

玉響に泣く誰かの為に。
玉響に泣いていた自分の為に。
劇薬のような青春を送る皆の為に。

Nixは今日も、歌を唄う。]**

(*167) もくもく 2023/03/11(Sat) 04:07:06



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