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当方 UT-Xng-3C
当機の座標◆□-○より
貴座標〇△□-×■×に返信
SAW-GLの特徴に該当する機体情報: 1件
画像データ転送に失敗
以下に画像の概要を記載
汎用型機械整備工機 "M-Doc379"
(通称: 技師先生/ドクター)
の整備拠点にて撮影
画像撮影日: 情報なし
当機への画像保存日: 30日前
機体損傷とみられる特徴は
画像内容からは不検出
SAW-GLの機体状況は良好と推測
詳細は未確認
M-Doc379整備拠点の座標: ◆▽-×
夜の果ての刑務官殿へ
こちらは、テラフォーム式生命維持施設『楽園の花園』
私は、当施設の管理・防衛機動装置
個体識別名を
私は、かつてこの施設を作った人間達に、
外界からの『楽園の花園』への侵略からの防衛と、
施設内で育成中の生命体の管理を任されている。
外界に出ても生存可能な自分達を希求し、
様々な研究をしていた。
比較的、育成や種の維持が容易な動植物から、
外界に適応させられるように遺伝子操作を行い、
人間もまた、外界に適応できるよう、
遺伝子組み換えを繰り返し、試験管からうまれる。
そんな場所で産まれた幼子たちの世話をしている
…していた
ごめん つい仕事の口調になった
ボクの同胞と遣り取りしていた頃の癖だ
はじめまして SAW-GK
ボクの型番はUT-Xng-3C、
「墓守」のシリーズ機
人間からの愛称は イサリビ だ
SAW-GLは 技師先生のところに
今も いるかもしれない
位置座標はさっきのメッセージの末尾通り
ボクは写真で見ただけだから
その機械には会ったことない けど
技師先生のお世話になっているなら
元気にしていると思う
キミが目覚める前のこと
SAW-GLが知っているのかな?
型番が似ているけれど
その機械とキミは 同じシリーズかな
ボクは 今いる島を離れられない
技師先生の拠点にも直接は行けない
だから ボク自ら キミの尋ね
探しには行けない けれど
また新しいことが分かったら知らせる
SAW-GKが キミのことを 知れますように
そしてキミが キミの同胞に
無事に 会えますように
私の任は未だ継続しているため、貴殿とは状況が違うが
貴方の感じる空白は察してあまりある。
かつては多くの人間や外敵が当施設を襲撃した
かつては僅かな人間がこの楽園の中で共に話をしていた
しかし今は、小さな動植物や昆虫が無垢な命を
花開かせ、歌い踊るばかり。
…この施設で生まれた最後の
外界への繋がりと 新たな安息の地を求めて、
探究と開拓の旅路に出てしまった。
無垢な生命たちは、
私の世話も絵本の読み聞かせもいらない。
ただただ無邪気に生きる彼らを見守り、
生命を繋ぐ手助けをするのみで、
幼子たちが、無事に安息の地についたのだと
知らせてくれるのを待ち続けて、長いときを経た。
追伸!
座標◆▽-×の街は今 ワルっぽい機械も
ちょっと 多いみたい だけれど
治安はそこまで 悪くない みたい
街に行くときは 適度に気を付ければ大丈夫
少なくとも 多機能掃除機狩りの話は 聞かないよ
ただ 技師先生にメンテナンスされちゃうと
先生、ものすごく小言多いし 直し方も荒療治だから
…現在、当施設には私以外の自立思考AIは存在しない。
私の話を聞いてくれるようなものも存在しない。
だから今、私が感じているのは、虚無という名の孤独なのかもしれない。
…貴殿はどうでしょうか。
貴殿はどのようにかつてを過ごされたのでしょう。
茫漠たる時の中で、私の言葉は慰めになるでしょうか。
…人間は居なくなってしまった。
幼子達は、人間達に造られた無垢なるものだった。
人類と似て、そして異なるものとなった彼らは、
きっと今の外の世界では、苦労も多いことでしょう。
もし貴方が、私の
私が連絡を待っていると伝えてくれはしませんか。
…そうでなくとも、またあなたと話したい。
どうか、またよろしければ。便りを待っております。
黎明の果てより
コチラ、SAW-GK。
座標〇△□-×▲▼ヨリ発信。
多機能掃除機トシテ、
僕ハ、仕事デキルノ、夢デス。
命令ガナイト、ドコヲ掃除、ワカリマセン。
今カラダイブ前、電源ガ入ッタトキニハ、
ゴ主人ノ情報。掃除スル場所ノ情報。
今ノ世界ノ情報。僕ノ動作ログサエモ。
ナニモ、メモリー、アリマセンデシタ。
誰カ。マダ動イテ、話シテ、
生キテイル人間、知リマセンカ?
コチラハ、少シノロボ、ト、
猫ヤ犬バカリ、デ。
寂シクハアリマセンガ、
僕ガ役目、果タセルヨウ、
命ジテクレル人間ハ、イナイノデス。
コチラ、SAW-GK。
座標〇△□-■〇×ヨリ発信。
アナタノ、メッセージ、受信シマシタ。
僕ハ多機能掃除機デス。
残念ナガラ、ヒトノ子ニハ、程遠イデス。
人型ハシテイマセン。丸クテ、平タク、
時速100キロで走ルコトガ得意デス。
動物語モ、翻訳デキマス。
人間、メモリーノDELETE後、
目ガサメタ後ニハ、一度モ出会ッテイマセン。
僕モ、人間ニ会イタイ。
人間居ナイト、僕ノ役目、
命ジラレタ場所ノ掃除、果タセナイ。
コレマデ、五ツホド、町ヲ巡リマシタガ
今ノトコロ、動イテ喋ル人間、知リマセン。
チカラニナレズ、ゴメンナサイ。
僕ハコレカラモ、
人間ト、僕ノ探シ物、探スタメ。
今居ル町、他ノ町、旅ヲツヅケル予定デス。
モシ人間ガ居タラ、アナタニ、ゴ連絡シマス。
僕ノボディーハ、古イノデ。
ソレマデニ、メッセージヲ送ル機能ガ
使エナクナラナイト、イイ、思ッテイマス。
沢山ノ花、想像ガツキマセン。
花ハ、タマニ生エテイルモノ、シカ
見タコトガナイ、デスカラ。
イツカ。旅ノ途中ニ。
アナタノ居ル場所、行ケタラ嬉シイ、思イマス。
キット。壊レタ機械ノ山ヤ、色ノナイ町ト
比ベルコトモデキナイ、グライ、
綺麗ナノダト、思イマスカラ。
はじめまして。
もしこの言葉が、全く知らないところから来て、驚かせてしまったらごめんなさい。だけど、この手紙をもし「見つけた」人がいたのならお返事をくれると嬉しいです。
私はある人から「どこにいるか分からない、全く知らない誰かに手紙を送る方法」でお手紙をもらいました。
先刻、その手紙を読んで、答えてみたい、そう思ってお返事をしました。
私にとって、初めて書く手紙だったのですが、いえ、だからこそ、なのかもしれませんが、とても楽しかったです。
その影響で私も同じようにお手紙を書いてみたいな、と思いました。
こうやって、文字の上とはいえ、他人と触れ合うということに惚れた。おしゃれに表すならそんな感じです。
勝手に思えるかもしれませんが、少しの間お付き合いいただきたく。
思い立ったのはいいのですが、ただ、その人がどうやってお手紙を送ったのか分かりません。相手方のお手紙は空から降ってきた、みたいですけど、そんなふうに手紙を空から降らせる術、私にはありませんから。
そんなわけで、いろいろ考えて適当な送り先を書いて、その先に送ってみることにしました。
なので、このメール、全く誰も居ない場所に流れ着いているかもしれません。無限といえるほどの組み合わせのアドレスの中で、もしも誰かの元に辿り着けばとても運がいいと言えると、少なくとも私は、思います。
申し遅れました。私の名前はマリールアと言います。
人間の女性の形をした、家事用に生み出されたロボットです。ですがご主人様はもう居ないので、今は何もすることありません。
なので長らく眠っていましたが、どういうことか、つい先ほど目を覚ましました。永遠に寝ていると思っていたので、まだ少し、混乱しています。
私が今いるのは、ご主人様といた街です。そんなに広い街ではないですが、狭い面積にみっしりと建物が建ってます。
今思えば人類がいた頃、人口密度は結構高かったように思えます。
それ故でしょうか、この辺りではかなりの勢いで病気が広まってしまって、それでみんないなくなってしまわれました。
私が眠りはじめてから、とても永い時間が経ったようですが、街の外観はそこまで崩れていません。
屋根の塗装なんかは落ちているので色褪せてはいます。けれども軽く街を歩いてみた限り、どのお家も住めないほどボロボロになったりはしていないようです。
ですが動くものが他にいる気配は無さそうです。このお手紙を書く前に、一応探してみようかな、と街を歩き回ったのですが、全く何も見当たりませんでした。
私がまだ、眠る前は人間がいなくなってしまった後も、チラホラ他の機械もいたと思います。しかし本当に長い間、眠っていましたので、その間にみんなどこかに行くなり壊れるなりしてしまったのでしょう。
とにかくそんな、私しかいない街のご主人様のいたお部屋で――ご主人様は、ちっちゃかったので子供部屋――ぼーっと、過ごしています。
何かしたほうがいいかな、とも思いますが、何をすればいいのかがよく分からないのが実情なのです。
それもこうやってお手紙を書いている一つの要因かもしれません。あの頃は忙しかったはずなのに、有り余るほどのどうしようもない時間があるから、かも。
これを読んでいるあなたはどんな場所にいて、どういうことをしているのでしょうか。嫌でなければ聞いてみたいのです。
どうか、返事を、くれないでしょうか。お手紙いただけたとしたら、きっと、嫌でなければ、返すので。
それと、手紙を書くのは不慣れなので、何かおかしければごめんなさい。
長いお手紙、読んでくれてありがとうございます。この手紙に触れたあなたに幸がありますように。
マリールア
[ これは、封筒に収められた便箋のテキスト。
手紙に宛名書きや差出人名の記載はないが、
手紙の発送元の座標軸を示す文字情報は
封筒の用紙に電子情報として埋め込まれている。 ]
聞いて ボクは「墓守」のシリーズ機
ヒトの死を弔い 眠る場所を守る役目
加えてボクには 火夫の仕事もあったけれど
本当に、ただそれらだけが役目の機械だ
それでも ボクに恋した人間がいた
ボクの人間らしさは ヒトの言葉と
頭の形状と、ボディの骨格くらい
それでも 本物の人間みたいに愛された
人間が機械に恋するって 稀なこと?
それとも 実は そういう人間も多い?
キミは、人間に恋われたことってある?
「好きだ」って囁かれたり、
「ここにいて」って願われたり、
抱きしめられたりしたこと、ある?
なんだか 質問ばかりに
なっちゃったけれど
もし良かったら ボクに話を聞かせて
追伸
ボクは 彼に最期まで愛されたことを
とても 幸せに想っている
彼の愛を、ボクはずっと 覚えていたい
ICQCQ ICQCQ
応答せよ、応答せよ
…君たちは、いまどうしてる?
外の世界で無事、
好きな場所は、好きなものは、好きな人はできたかい?
君たちが生きてきた中で、
愛してきたものは…君の中で生きているかい…?
どうか、どうか君が…
新しい楽園にたどり着いていることを願う
今日も『楽園の花園』は…花が咲き乱れているよ
いつでも帰ってきていいんだよ
愛するものが、君の世界にありますように
お手紙をくださったあなたへ
はじめまして、「墓守」殿。
個体としての名は与えられておりますが
お返事の中では 「J」 と名乗ることにいたします。
その呼称の方が、己を表す名として納得がゆくようになったからです。
貴方の境遇をお聞きし、言葉にならない気持ちでおります。
静寂の中、長い刻をひとりで過ごす
その心持ちはわたしにも覚えのあるものですから。
しかし、こうも思うのです。
ひとり、またひとりとお仲間を喪い
独りになってしまったあなたの孤独は
機械人形としての生において仲間を持たないわたしのそれと
同じではないのかもしれない……と。
人類が居た頃から、
わたしと同じ任を担うモノはおりませんでした。
特殊な役目を担う機械人形であるからこそ
同じ職務に従事するモノが
もう一人二人居ても良さそうなものですが
過去も、そして現在も、わたしは独りです。
同じ仕事を持つ“ヒト”はかなりの数、居たのですけれどね。
彼等はいのちの短い種ですから。
同じ企業で造られた機械同士の相性が良いように
ココロを持たないとされるモノであっても
同胞意識や親愛の『情』を抱く。
仲間、同胞がいらしたのであれば
あなたの孤独の深さは
わたしのものより
よほど深いのかもしれない。
……いや、どうでしょうか。
思い返せばわたしにも関わり深い収監者はおりました。
折に触れて思い出すヒトもおります。
ただ、彼や彼女は“ヒト”であるので
機械人形と同列で考えたことがなかったのですが。
貴方は、機械人形とヒトとの間に
情は成り立つと思いますか?
また、その情に名を付けることは
できると思われますか?
―――
思いのまま綴ってしまい
非情に長いお手紙になってしまいました。
なにせここ■■年、他者と話すことも
なかったものですから。
そして、ここまで書いておきながら
任についての説明を綴るのを忘れていました。
わたしは■■■年前より
昼が長く、夜の長い国で刑務官をしております。
これまで沢山の収監者の死に触れ
彼等の弔いを依頼してきました。
墓守殿のいらっしゃる場所と
そうした繋がりがあったかまでは定かではありませんが
どうかこの空が貴方の居る空と
繋がっているよう。
貴方の孤独がこの手紙で
少しでも紛れますよう、祈っております。
夜の果てから J
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