星狩りの国-暁の街-


26 ― 境界の先への手紙 ―


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【秘】 慚愧の妖魔 ガァド > 疼躊化葬 コルデリア




…隅の方に 走り書きがある。
拙い文字。けれども君のための文字。



ずっとのうそ は   だれのため?


 

(-47) 2024/09/24(Tue) 23:47:23

【秘】 越境貿易商 マーチェンド > 泥の男 ガァド

[手紙の封筒や便箋の素材、筆記に用いられたインクや字体は、前回の手紙と変わりない。
 封筒に宛名書きが特に記されていないのも、前回と同様。]


 Dear G.

 おはよう、ガード。
 (署名に泥か何かが滲んでしまっていたため、
  貴方のお名前のうち、読み取れた箇所だけで
  お呼びすることを、どうかお許しください)

 私の手紙へのお返事と、物語の続きの断片を
 送ってくださったことに感謝します。
 貴方からの言葉と物語に私が気づけたことを、
 あの物語に、物語の書き手に、そして貴方に
 喜んでいただけたのなら何よりです。

(-57) 2024/09/25(Wed) 15:55:54

【秘】 越境貿易商 マーチェンド > 泥の男 ガァド


 先日の手紙で物語の感想をお送りした時には
 恥ずかしながら失念してしまっていたのですが、
 私は以前、根源倫敦の街を訪れた際に
 あの物語の書き手にお会いし、
 その方の作品を拝読したように覚えています。

 その際手渡された冊子はまだ試作品の段階で、
 結末についても未定のようでしたが、 
 それでも、誰かに伝えてほしい、とのことで
 書き手の作家から草稿を預けられた記憶があります。

 私自身はその時、書籍の買い付けのために
 根源倫敦を訪れていた訳ではなかったのですが、
 直に頼まれてしまった以上は断れないな、と
 作家先生から原稿用紙を一度お預かりしました。
 

(-58) 2024/09/25(Wed) 15:56:19

【秘】 越境貿易商 マーチェンド > 泥の男 ガァド


 その草稿が丁度、貴方が送ってくださった、
 札束泥棒のエピソードだったように覚えています。

 “能力”無き倫敦が舞台であるにも関わらず、
 札束に爆弾を仕掛けるのは流石に無理がある――
 そう頭では考えてしまうのですが、それでも、
 非現実的なトリックに不思議と現実味を感じさせる、
 読者を魅せる筆力を、当時感じたものでした。

 今思えば、突飛もないトリックだけでなく、
 荒唐無稽に思える物語自体も、
 どこか不思議な面白さを感じさせるものでしたね。

 勿論、草稿はあくまで草稿でしたから、
 原稿用紙は作家先生に一度お返ししました。
 あの後、単行本が実際に発売されたなら
 書籍の買い付けのために、再び根源倫敦に
 足を運ぼうかと考えていたのですが――
 実際にはその機会は得られず仕舞いでしたね。

(-59) 2024/09/25(Wed) 15:57:18

【秘】 越境貿易商 マーチェンド > 泥の男 ガァド


 さて、私のほうからお送りした物語への
 感想をくださり、ありがとうございます。

 “綺麗”の前に“汚い”想いを隠すことが
 「貴女」には上手くできない、ということだけでなく、
 「私」の器用さはそんな「貴女」の為のもの――
 そのことまで貴方は読み取ってくださったのですね。

 相手の為に、という想いゆえに、
 笑顔の嘘を鎧として着込み続けてしまう――
 笑顔に限らず、何かしらの嘘の鎧で
 自らに重しを掛け続け、沈んだ果ての苦しみを
 貴方は既にご存じなのでしょう。
 

(-60) 2024/09/25(Wed) 15:59:36

【秘】 越境貿易商 マーチェンド > 泥の男 ガァド

 ここで正直に種明かしをしますが、あの物語は、
 私自身の経験を基にして書いたものです。
 「私」はそのまま私のことであり、
 「貴女」は不夜城の地で私を助けた恩人のことです。
 (正確には「人」ではなく、古来からの森に生きる妖精ですが)

 それ故に私は、貴方がこの物語に寄せた感想を、
 私自身と恩人のこととして受け取りました。

 貴方がくれた感想、そして忠告のお陰で、
 これまで恩人の前で抑えていた“汚い”願いを、
 思い切って打ち明けることができました。
 その結果、彼女自身の願いをも知ることができ、
 また、彼女の前では笑顔を取り繕わずにも
 いられるようになれた、と感じています。

 私の出立が差し迫っていたこともあり、
 決して多くを話し合えた訳ではありませんが、
 彼女とは手紙を通じて、これからも、お互いに
 様々な話を交わしていけたらと思っています。

(-61) 2024/09/25(Wed) 16:02:37

【秘】 越境貿易商 マーチェンド > 泥の男 ガァド

 私が「正直に、隣にいてあげたい」相手は、
 彼女だけでなく他にもいますが――
 多くをここで書いてしまえば、この手紙を
 更に冗長にしてしまいそうでしたから、
 これについては、また別の機会にお話できればと思います。

 あの札束泥棒の話ではありませんが、
 己が纏い続ける嘘が、己だけでなく、
 他の誰か、愛する誰かの命や心までも
 失わせることもあるでしょう。

 一度染み付いたものを自ら拭うのは
 決して容易いことではありませんが、
 それでも、自分が助けたい相手の前では
 己の弱さも苦しさも、過ちも、
 曝け出せるように努めてみます。

 自分から嘘の鎧を脱がなければ、
 相手のありのままの怖れや辛さ、無念、無力、
 それらに触れることすら、叶わないでしょうから。

(-62) 2024/09/25(Wed) 16:04:08

【秘】 越境貿易商 マーチェンド > 泥の男 ガァド


 最後に、ひとつだけ貴方にお伺いします。
 それこそ、ここで思い抱いてしまったことを
 下手に隠して取り繕ってしまうよりは、
 たとえ誤りであっても、ここで正直に
 打ち明けた方が良いと考えて。

 貴方は、かつて私に
 『ウィラード・ヴァンダインの探偵事件簿』の
 試作品の原稿を預けてくださった、
 「ハーヴィス・ガードロイド」さんで
 間違いありませんか?


  マーチェンド

(-63) 2024/09/25(Wed) 16:07:28

【秘】 泥の男 ガァド > "トラッシュ" イオニス


インクにしては妙に茶色い、
       粘性のある物体が
           拙い文を描いている。



こ  んばんは。 
だれ か そこに います か。

ここは しず か  な うみ。 
いまは あめが  ふ り やまぬ しま。
かみ  なり  が なります。
あめが せ かいを しろく します。

いつ  も   は   しずか  な うみも

いまごろは きっ と あらしの うみ

この あ らし のはて に  だれ か  いますか?

(-71) 2024/09/25(Wed) 21:04:13

【秘】 泥の男 ガァド > "トラッシュ" イオニス




■ は  いま  きのあなのなか に います

きの あなのなか で これを かきます

■は どろ から う まれ た ものだから
きれいな みず が にがてだから
さわれ ないから にげて にげて ここにいます

にげた から あんぜ ん です
あなたの いるところ は  あんぜんですか

あらし は  よくないじ けんを
おこします から 
あなた の  いるば しょに あらし が
あり ま  せん  ように

(-72) 2024/09/25(Wed) 21:10:50

【秘】 泥の男 ガァド > "トラッシュ" イオニス




■ は   ■■を ■■■■ほしく ないので

■は ものがたり  を   おくり ます

ものがたり を ■■にみて ■■■て

きづい■ほ しくて 
■を■■れないで ほしいので


なの  で   あなた  にも
ものが  たりが  とどくと  うれしいです

(-73) 2024/09/25(Wed) 21:13:44

【秘】 泥の男 ガァド > "トラッシュ" イオニス

メッセージの裏側には物語が書かれている。
どうやら、裏側の文字を書いた人とは違うようだ。


「ぜえっ、はあっ…!う、ウィル!あなた一体何をやらかしたんですか!!!」

「まてまてっ…!!! 私はただ酒場で聞き込みをしていただけだ!!!何もしてない!!!」


たくさんの暴漢に追い立てられながら、
ふたりは何度も曲がり道を曲がり、追手を振り切ろうとする。
全く、おかしい。何に彼らがおこっているのか
わからないままにげていく。 たとえば 今の探しびとに何か?と思うところもあったが…それにしてはわけもわからず追われている

(-74) 2024/09/25(Wed) 21:44:52

【秘】 泥の男 ガァド > "トラッシュ" イオニス


…紙の隅に走り書きがある


な  ぜか  いきる だけで
じけん におわれ る  ものが いま す


じけん から かくれる ために
にげるのは   ずる  でしょ うか?

(-75) 2024/09/25(Wed) 21:47:35

【秘】 爆発爆散 ベアー > 煙霞山 山主 蓬儡

電子書簡を紙媒体の手紙にするサービスを経由して封書の住所に届けられた手紙だ。
住所と個人の連絡先に紐づけられていれば、個人が持っている通信機器に電子書簡が届くかもしれない。

『蓬儡様へ

初めまして、ベアーの友人です。
この度はベアーの招待状に返信をしてくださりありがとうございます。
現在リジェットXはステアと呼ばれる混沌嵐のため定期船が動かず、手紙のやり取りができない状態にあります。
この手紙は紙媒体変換サービスを使用して送っています。

これは文通をしたいというベアーの意志を介さない、ベアーの友人としての個人的な手紙です。』

(-78) 2024/09/25(Wed) 22:52:29

【秘】 爆発爆散 ベアー > 煙霞山 山主 蓬儡

『ベアーは絵本とぬいぐるみが欲しいと言っていました。
ベアーは最近ようやく簡単な読み書きができるようになったばかりです、ヒューマンの子供が読むような絵本ならきっと喜ぶと思います。

蓬儡様がリジェットXに来てくれることをベアーは大変喜んでいます。
楽しみにしていた文通ができない状態でありながらも、ステアが終わったら手紙を書くと、とても楽しみにしています。
そこで、もしリジェットXに来られるときには手紙で行く日時を知らせるのではなく、この手紙の連絡先にこっそり教えて貰えないでしょうか?
ベアーをびっくりさせてやりたいのです。
厚かましい申し出だと思いますが、何卒宜しくお願いします。

ベアーの招待状に返事をくれたあなたが良き人だと信じて。
ベアーの友人より』

(-79) 2024/09/25(Wed) 23:01:38

【秘】 "トラッシュ" イオニス > 越境貿易商 マーチェンド

マーチェンド


 この手紙を読んでる時は、何処か遠い空の下でしょうか。
 余裕なんてないかもだけど
 どうしても、あなたにお礼が言いたかった。
 だから、ペンを取りました。


 昔の事を思い出して、沈んでいたから
 遠くにいるあなたが、私の事を気遣ってくれて。
 とても、救われる気持ちになりました。
 

(-84) 2024/09/26(Thu) 08:12:47

【秘】 "トラッシュ" イオニス > 越境貿易商 マーチェンド


 あなたと出会ってから。
 あなたが沢山声をかけてくれたから
 私はとても救われました。


 近くにいる人たちも気を遣ってくれるけれど。
 でも、遠くにいる人が心配をしてくれた事。
 案じてくれる人がいるという事。
 それを教えてくれた事。


 死んでしまった仲間たちもきっと
 あなたのように私を案じてくれているのだと
 そう思えたら、涙が出るくらいに嬉しかった。
 

(-85) 2024/09/26(Thu) 08:13:25

(-86) 2024/09/26(Thu) 08:14:03

【秘】 "トラッシュ" イオニス > 越境貿易商 マーチェンド


 本当はもっといろいろ書きたいけれど。
 言葉が、思い浮かびませんでした。


 あなたの船がどんな壮麗な威容になったのか
 会える日と一緒に、楽しみにしておきますね。


 イオニス
 

(-87) 2024/09/26(Thu) 08:14:26

【秘】 疼躊化葬 コルデリア > 机城勤務 コルンバ


「 もしもわたしたちをおぼえているひとが
  だれもいなくなったならば
  それはなかったのとおなじでしょうか 」
 

何かにくっついて来てしまったのか、
端に血痕のついた弱々しい筆致のメモが
ひらりと一枚、落ちていた。

(-91) 2024/09/26(Thu) 09:10:04



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