10 【R18】Sweet Star XXX Night【RP】
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【秘】 阿部 悠輝 > 比嘉 志朗
[校門で、またなって手をあげて
今日が金曜日だった事に気付いた帰り路。
結局、自由登校期間は一度も行かずに
次に後輩と顔を合わせたのは卒業式の後だった。
他の下級生連中と一緒に突撃してきては
寂しいですって大げさに嘆く奴の髪を乱し、
「お前らのやりとりも今日で見納めか」って
笑う同級生に同じ貌で笑い返す。
このご時世、連絡なんて手元でいくらでもできるし
進学先は県外でも、長期休暇に帰ってはくる。
仲の良い後輩との再会なんて
手段も機会も、幾らでも作れたから。
『落ち着いたら連絡するな。』
伝えた時、あいつの目は赤かったっけ？]
【秘】 阿部 悠輝 > 比嘉 志朗
[一度目は文化祭の後に。
その時は直前に周囲に煽られたのもあって
ノリの延長線って感じだった。
やっちまったなって顔でお互い笑って流した。
二度目は何も。
触発する種もなければ余韻もなかった。
甘い後味は舐め取ってしまえばそれまでで。
帰り路も、卒業式の日も、
あいつは何事もなく「後輩」の顔をしていたから。
俺とあいつの間には、それ以外はないのだと。
その事に落胆とも失望ともつかない感情を抱くには
自覚するのが遅かった。]
【秘】 阿部 悠輝 > 比嘉 志朗
[脈のない相手に、
これから離れるだけの相手に、
今更自覚したところで何の報いもありゃしない。
夕焼けに染まる教室で気付いていれば
二人の連絡は、途切れなかったのかもしれないけど。
始まりもしなかった青い感情は
このまま人生の棚に置いて埃を被せしまおうと。
最後にかけた言葉は、結局嘘になった。*]
【秘】 辺見 華蓮 > 杓谷 薫
「喜んで。
私も、薫さんのことを守るからね。」
私もこの人のために、しっかりと立っていくから。
【秘】 比嘉 志朗 > 阿部 悠輝
［切欠は何だったか、上手く思い出せない
きっと些細なことの積み重ねだったんだと思う。
気付いた時にはとっくに彼の事が大好きで
俺の居ない時間を共に過ごす彼の級友に友人に
俺以外に笑い掛ける無邪気な笑顔に
嫉妬で頭が如何にかなりそうになりながら
無害を装って笑って過ごす日々はただただ地獄だった。
これが恋だと理解した瞬間
この感情は誰も幸せにしないだろうなと
他人事みたいに冷静に思った。
多分彼の事も、自分自身も、
彼が愛する周りの人間も、だれひとり。
そう冷静に思えるくらいにどす黒い感情で一杯だった。
それなのに……］
【秘】 比嘉 志朗 > 阿部 悠輝
［彼に認識され
彼に名を呼ばれ
彼に触れられる距離を赦され
彼に、特別な後輩と認識される多幸感の
中毒性はすさまじく
せめて彼だけでも、逃がしてあげなきゃ、と
そう思ったからこそ、期限を定めた。
俺から離れられないのなら、
彼から離れるそのときに、と。
気の毒な彼を逃がしてあげるために
そう自分に言い聞かせて。
俺の気が触れて、この想いを彼に押し付けて
彼に嫌われて俺の心がこれ以上死んでしまわない様に
自分が逃げ出すまでの期限を定めた。］
【秘】 比嘉 志朗 > 阿部 悠輝
［終るものだと決めてしまえば幾らか心は安らかだった。
どうせあと少しだからと思えば
少しくらいは馬鹿をやっても許されるだろうと羽目を外した。
『距離感もはや恋人じゃん、ウケる』
無邪気を装って飛びついて、
空いた椅子が無いのを口実に膝の上に平気で座って
手の汚れを言い訳に手ずから菓子を与えられる俺に
近くの席に居た記憶に残らない女子生徒が笑った。
なんにも意識して居なそうな、彼の反応に殺されたけど
彼の事で俺が死ぬのなんかはじめてじゃなくて
俺はとっくに死人だったので、平然と笑えた］
せんぱい、じつはおれ、
ずっと前から、…せんぱいのこと…ッ
【秘】 比嘉 志朗 > 阿部 悠輝
［彼の手を取って、めをみつめて、大袈裟に
芝居がかった仕草で「本当の告白」を冗談にした。
冗談でも伝えられるのが幸せだと思った時点で
俺はまた打ちのめされて死んだけど
このくらいで音を上げるのなら
もうとっくに俺は学校に居ない。
正しく冗談として、いい見世物として
ゲラゲラ笑って大いに盛り上がる醜い有象無象に
見せ付ける様にとびっきり魅力的に微笑んで
彼の唇を奪った、……ふりをした。
正確には振りをしようとして若干掠ったかもしれない。
全然関係ないとこからまで悲鳴が上がって
廊下から覗くやつまで出て
暇を持て余した連中の娯楽として成立してしまってからが
ほんとうの、ほんとうに地獄だったけど。
どうせすぐ終わると思えば、どうともなかった。］
【秘】 比嘉 志朗 > 阿部 悠輝
［見世物は次第にエスカレートして
腕を組んで恋人つなぎにしてみたり
実際に唇で手の甲に触れ頬に触れ
彼に拒まれても、止められても、叱られても
些細な悪戯として、悪ふざけとして繰り返された。
どうせすぐ終わってしまうんだから。
自分自身に言い訳をして罪悪感を塗りつぶした。
まわりもわりとすぐに飽きたから
回数は数える程度で、
それでも終わりを大人しく受け入れられそうなだけ
苦しくも幸せな思い出ができた。
これで、終わりが来たら、ちゃんと終わらせられる。
祈るような心地で、呪いでも掛けるみたいに
何度も自分に言い聞かせた。］
【秘】 比嘉 志朗 > 阿部 悠輝
― 高校二年・冬 ―
［終わりまでの日数を数えるのも辞めた。
もう終わりにするとわかっていても
それでも好きだと再確認する行為を
毎日繰り返して居たら気が触れそうで。
愛想が良くて、人懐っこい
多少距離感がバグってるけど
なんとなく憎めない後輩
最期までその程度でいたかった。
望みなんかないって打ちのめされて居たかった。
期待する気持ちはゼロなのに
これ以上どうにもなる気はない癖に
心のどこかで奇跡を望んでる
何度死んでも治らない馬鹿で夢見がちな俺がいて］
【秘】 比嘉 志朗 > 阿部 悠輝
［二人きりの教室で笑いながら
このまま時が止まれば良いなんて
ありもしない永遠を願っていた。
叶わないと判っていても
望むくらい、許されると思わなければ
もう、いい加減、限界だった。］
【秘】 比嘉 志朗 > 阿部 悠輝
なんか、ほら、あるじゃないですか。
意中の女子に偶然あえないか顔出したり。
ないんですかそういう青春。
かわいそう……
［知りたくもないのに探りを入れようとして
紡いだ自己紹介に自分で死んだ。
死にながら揶揄する声で笑う。笑え。
こんな風に過ごすのも、もう最後になるかもしれないと
思ってしまう度泣き出しそうになる自分を叱咤して。］
【秘】 比嘉 志朗 > 阿部 悠輝
寂しいなぁ……
俺に会いに来てくれる予定すらないなんて。
こんなにかわいい後輩、他にいないのに。
見てくださいほら、かわいい。
［顔の良い女子にしか赦されないような
ぶりっこみたいなポーズを作って見せて、笑う。
「どうしても」とは言わなかった。
もう何も強請らないと決めていたから。
強請って、与えられて……それが当たり前になっていたから
それがいつまで続くのか、終わった事に気付くのが
怖くて、こわくて、
その頃の俺には、もう、できなかった。］
【秘】 比嘉 志朗 > 阿部 悠輝
［綺麗なまま終わりにしたかった。
思い出して彼が笑えるような。
何もかも滅茶苦茶にしてしまいたかった
忘れられない何かを刻むために。］
【秘】 比嘉 志朗 > 阿部 悠輝
［近い距離に、魔が差した。
だけじゃない。
距離なんか何時だってずっと近かった。
何時でも触れられたのに
だからこそ触れなかったのに、］
【秘】 比嘉 志朗 > 阿部 悠輝
［空白の一秒。
唇に残る柔らかな感触。
その正体を理解しようとするのをやめて
貼り付けた何時も通りの後輩の顔で
殆ど無意識に、そう訓練づけられたまま、
無邪気に、綺麗に、笑ってみせた］
【秘】 比嘉 志朗 > 阿部 悠輝
［なんにもなかったみたいに
なんでもなかったみたいに
その後何を話したかなんて覚えちゃいない。
思い出せない事を後悔したのは
ほんとうにあれが最後になったんだと
理解した、卒業式の後だった。
お世話になった先輩に個別に花束を
贈ったりする生徒も居たけれど
あえてなにもしなかった。
いっそ何も残らなければ良いと思って。
『新しい学校でも、お元気で』
これで終わりと決めていたから、
同じ進路を選んで追い掛ける気はなかった。
どうでもいい他人にするのと同じ貌で
とびきり魅力的に見える顔で笑って見送った。］
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