25 【R18】異世界の門と恋の彼方
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【叫】 衣代和かほ
……。
[縁がないこと、とは。
自称おじさんの言うそれはそういうことではないのか。
この瞬間、自分の考えは正解だったと知った。
ピギーの方は平和な勘違いをしているらしい。
なるほど。酔っ払いはふらつけど時に一直線である。
ピギーは後ほどそれを思い知ることになるだろう。]
……いじわる。かわいくない。
[愛らしいのは揺れてるウサギ耳そのものだけだ。]
褒められておだてられたら恐怖でドキドキすると思うよ。
[ピギーらしくないって。
そう言いつつ、照れるかもしれない、とも思う。]
【叫】 衣代和かほ
日本酒とか焼酎みたい。
でも、これは洋酒が近いのかな。
[隣からだと手元を眺める角度が違う。
恐らくピギーの見ている視界と近いことになる。
ライムを絞るのが好むと覚えたところで。]
え、いいの？
私も酸っぱい飲み物好きなんだ。
[あっさりと素直に頷く。
グラスを受け取ると、口に含み、ごくっと喉を鳴らした。
度数が高いと聞いたと思えない豪快さでもあった。]
ん、……うわ、かぁっとする。あつい。
[自分たちの間にグラスが未だひとつしかないこと。
その意味に気付くのは先のことである。]
【叫】 衣代和かほ
私、初心で純情な女の子、じゃないよ。
[ふらっと上体が揺れる。
ピギーの着ぐるみの二の腕くらいに当たる部分に頭をすり寄せるようにして、許されるならそっと触れるだろう。]
ピギーはそっちの方が好みかもしれないけど。
ほら、おじさんらしいし。
[口調と裏腹に引っ付こうとしたまま。]
……おじさんでも、顔知らないままでも、いいもん。
そばにいたら、初めての感覚がしたの。
好きだから、触れたいし、どういうことしたらもっと好きになるのか、実は違うのかも――知りたくなるんだ。
[瞼を伏せて、ふふ、と笑う。]
【叫】 衣代和かほ
だからね。
……わかんなくていい、って。
決めつけちゃダメ。
[そして頭を離す。
ふらつきが嘘のようにきちんと正座し直して。]
あっ、そのまま飲まないで！
新しいの私が作るからっ
[ようやく起こりえることに気付くと、赤くなりながら慌てて返したグラスを取り上げようとするだろう。*]
【叫】 きぐるみ ピギー
可愛さを求めていないからな。
[だがもういいかな。とうさぎ頭は一番よくみるぶた頭へと変わる。
褒められておだてられたら…そうかもな。と頷きつつ]
ああ、いいぞ。って、そんな一気に飲むと―――
[きついぞ。って言おうとしたが、一歩遅かった。]
…そうなるぞ。
[日本酒とか洋酒とかいっていたがそれよりも、先程よりもぐっと酒精を浴びたイヨリ、上体を起こしたときの憶測なさに自然と体の向きを変えて、すり寄ろうとしていたようだが、こっちから見ると危なっかしく倒れこむのを受け止めたため、試みは結果的にかなったことだろう]
【叫】 きぐるみ ピギー
……そうか。
[二の腕に頭を乗せるイヨリ、反対の手は危なっかしいのでグラスを受け取って]
そうだなぁ…純情じゃないかもな。
[腕の中で安心したように微笑むイヨリへと声を細めて呟きつつ、言いたいことをいって離れるイヨリに背を撫でた手を離したが、自分で作るといったイヨリがグラスを取り上げようとするから抵抗するように自分に寄せて、再度腕の中に戻してしまって、少しだけ強く抱きしめる。]
【叫】 衣代和かほ
[気がついたら抱きしめられていた。
どうしてこうなったか、思い出せないなんてことはない。
酔っていてもまだ記憶はしっかりしている。
自分が口に出した言葉も覚えている。
グラスは取り上げることが叶わないまま、着ぐるみの柔らかでふわふわな腕の中で温かさを感じて。
でもそれは、ピギーの本当の熱そのものではなくて。
心臓がうるさく鳴りながらも、音もなく締め付けられている。
欲しいな、と思う。
声も言葉も視線も嬉しいけれど。
こんなになにかを求めることに慣れていないから。
少しも上手く言葉に出来ない。]
【叫】 衣代和かほ
[今なら、ピギーから表情は見えないだろう。
抱きしめる腕の中で顔を伏せる。
都合の良い女になれるか。
少し前の自分なら頷いていただろう。素直に。
希望を持つより、わずかな思い出だけを望んで。
涙を一粒染みこませてまた笑う。]
【叫】 衣代和かほ
……ピギーも、それは本心？
私がピギーにとっての都合のいい女になれると思ってる？
ずっと、ずっと、そうであるって。
[大事に出来ないかもしれない、と言っていた。]
そうなら、そうでしかないなら、いいよ。
……試してみる。
ずっと都合のいい女でいられると思うってことは……ピギーは、私に絶対に恋してくれないって、ことだもん。
それなら、私は勝手に欲しがって、受け取る。
ピギーは私が好きな気持ち以外を、受け取って。
[泣いてない。泣いて、ない。]
【叫】 衣代和かほ
……。
…………ピギーにもう奥さんや恋人がいるなら、しないよ。
[そういえば確認なんてしてなかった。
これだけは大事なことだ。]
都合が良いって、さ。
ピギーにとってそれくらいの魅力はあるのかな。
[悲しくない。でも胸は痛い。
好きになって欲しい。私を。
都合の良い女でずっといるやつ、なんて思って欲しくない。
でも人の気持ちはどうしようもない。
わかんないよ。
でも、ほしくて、一緒に居たいんだ。*]
【叫】 きぐるみ ピギー
[涙を堪えるようにして笑うイヨリは今までよりもずっと大人の表情に見えた]
イヨリ…がんばってるようだが、結構酔ってるだろ。
[そうでしかないならいい。試してみる。というイヨリへと呆れるように嘆息する。]
さっきいった…縁がないことだからわからなくていい。っていった俺の言葉が正しかったじゃねぇか。
[ぽふぽふと蹄は背中を擦るように撫でる]
【叫】 きぐるみ ピギー
イヨリは、考えなしで、感情的で、一途だから、そんな風になっちまうんだよ。
そんな堪えて自分を押し隠したような顔して……
[ぶたの鼻先がぐっとイヨリの顔を押して上向かせる]
…さっきまでのほうがいい。っていおうとしたが、この顔でも可愛いな。
[女心がわかるのかわからないのかな言葉をいう]
【叫】 きぐるみ ピギー
なぁ、イヨリ。
恋しているとか、そういうのまでいうと嘘になるけどもそこは仕方ないだろ？
[今までずっと世話役だったり先生だったりしてきたわけだし、そこには仕事であるというのは当然あった]
でもな、こっちで生きると決めてからのイヨリは活き活きしだしたイヨリは嫌いじゃない。じゃなきゃこんなに世話やかない。
少なくとも一途な気持ちをくれる子を踏みつけにしても構わないか。って気持ちにはなれないわけだ。
[まあそう思っていたら、色んなものを求められたという、言葉通り勝手をされたし、自分もしただろうけど]
【叫】 きぐるみ ピギー
今は都合のいい女になることと、このまま酒を飲んで過ごすのと、どっちが安心する？
[そう聞いて、背を撫でていた手も離れ、自分から抱き寄せる手はとめた。離れようと思えば離れれるだろうが、居留まることもできる。イヨリはどっちを選ぶだろうか**]
【叫】 衣代和かほ
[酔ってない、まだ平気。
溜め息をつかれてしまった。こんな私に呆れた？
違うのに。縁がなくなんてない。
そういうことの知識はある。
身体を重ねて好きになることがあるってことも、より深まることがあるのも、逆に違うと知ってしまうことも、実体験としてではなく。
背中を撫でられる。
また宥められてしまう？
殻なんてなく、自分がどんな顔しているのかわからない。
きっとひどい顔をしているに違いないのに。
鼻先でなんて顔を上げさせられて。
こんな時に可愛いなんて言われても、くしゃっと眉が下がって涙が滲んで、酔っているから我慢できなくなってしまう。
うー、と声にならない声をこぼして。
ぼろぼろと大粒の塩味の水がピギーの着ぐるみを濡らした。]
【叫】 衣代和かほ
……うん。
…………うん、
……。
[ピギーの言葉ひとつひとつに反応する。
抱きしめられ、顔を上げてピギーを見つめながら。
とくとく、とくり。
心臓は速くなったり遅くなったり。
息遣いは抑えたように浅く。
しゃくり上げるたびに身体が小さく震えた。]
【叫】 衣代和かほ
都合のいい女に、……なりたいわけじゃないの。
それでもそばにいたい気持ちとピギーを知りたいって思うのも本当だけど、心臓が痛くてさみしいって、もうなってる。
あとね、縁がないって、わかんなくていいことって言うから。
私だって好きの先にそういうの考えること、教えたかった。
でもピギーがそういうの別に望まないってことも、
私が我儘言ってるだけってことも分かってる。
…………別れが来そうで、こわかったのもあるんだ。
なにか繋ぎ止められたらって、少しはあった。
それで考えを変えるピギーではないんだろうって思うのにね。
あんなに出会いが特殊だったから、
お別れも、突然あり得るんだって、いつもこわい。
ピギーにとって私は世話する異世界の人だから、1ヶ月経ったらじゃあなって手を振られるんだろうなって考える。
感情的な私の予感で、胸が潰れそうで、焦るの。
【叫】 衣代和かほ
私を踏みつけにするって思ってなかったよ。
そういうことが踏みつけになるって言うピギーだから。
……ごめんなさい。
急にいっぱい困らせて。
[背を撫でていた手が、抱きとめていた腕が離れていく。
それでもその場に留まったままでいる。]
…………一緒にお酒、飲む。
2択だけあげるの、ずるいよ。ピギー。
[結局すぐ我儘な想いがつのるばかりで。
抑えて抑えて、ピギーとの想いの差と違いを心に刻んで。
自分が勝手にしてもよい行動を酔った頭で考え、衝動を堪える泣きそうな顔を見せてから――やだ、離れたくない、って。
最後には心のままの声が声にならずに漏れ出す。]
【叫】 衣代和かほ
ピギーといるとね、安心する。
でもね、逆に安心できなくもある。
心がいっつも大変で、心臓がうるさくて、訳わかんないって。
生きてきてこんな風になるの初めてなんだ。
……実は好きとは違ったらどうしよう？
[くしゃりと笑う。
涙も拭っていないありのままの顔で、大好きを心に仕舞う。
ここまで来てからさらに伝えすぎても困らせるだろう。
でも、少しだけ。
手を伸ばして、着ぐるみの柔さに触れて。
腕は背中に回しきれないけれど、包むように抱き寄せる。
幸せを願いたいのも本当。
離れて寂しくても生きていくんだと思えるようになったから。
ピギーがいい、と。ぎゅっと掴んで名前を呼んだ。*]
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