25 【R18】異世界の門と恋の彼方
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【叫】 衣代和かほ
……。
…………うん。
[目覚めるようにそよ風が吹き始めていた。
ピギーの語る言葉をいつしか隣へ視線を向け、聞き、真剣な眼差しを一度伏せた後に、頷く。
ピギーは大人だ。
自分という存在を大事にしてくれる、大人だった。
それが分かる。感じられる。
そうできる自分であれてよかった。
元の世界、寄る辺がないとは言えなかったとしても、誰かの顔色を窺いながらの生活には覚えがあって。
ピギーへの感情とはなにも重ならないが、そういう状況が何かを歪めやすいことはよく分かっていた。]
うん、できる限り早く独り立ちしてみせるよ。
改めて仕事を探して、魔法の修行も続けて。
【叫】 衣代和かほ
部屋も借りたりしないと……本当はすぐにでも、だけど。
……さすがに難しいだろうから、……申し訳ないけど、たぶん、ピギーの家にお世話に……なり、ます。
[本当はすぐにでも家をと思うけれど。
現実的には何らかの援助がないと厳しいだろう。
元の世界からお金になりそうなものを持ってきているわけでもないし、そう貯金できているわけでもない。
普通に考えて借りるとすれば信用云々も影響しそうだ。
元異世界人です、なんて説明が出来ないなら――いや、この世界に戸籍がないならどうとでもなるんだろうか。
躊躇いがちに、難しそうな顔でそこは頷いて。]
恋愛っていう遊びかぁ。
遊び……ピギーのいう、遊び……。
[自分の物差しで言葉を判断するのはやめる。
眉根を寄せた表情の後に、カップを口に運んでぶつぶつ。
手首の金の輪が朝陽をキラリと反射させる。]
【叫】 衣代和かほ
[門が開くのは明後日のはず。
それまでにできる限りの身支度はしておこう。
部屋にどっさり溜まったメモ類もまとめておかないと。
あとは部屋の掃除をして……それと……。
ピギーの家を想像しても上手く浮かばないなと思いつつ。]
どうしよう。
ふかふか布団に慣れなきゃよかった。
[深刻そうに告げたと思えばそんなことだった。
居候生活の間は分を弁えて、端っこでも倉庫でも寝るつもりだからと拳を握ったりしていたのだが。]
……ピギーの言うことはとても分かった。
私もその通りだと思うから、確認も恋愛も、勝手は後にする。
で、その上で、ひとつ確認しておきたいんだけど、いい？
[顎に指先を添えて、ちらりとピギーを見つめる。]
【叫】 衣代和かほ
……昨日の夜、……私が寝てる間に……、
[つい視線が揺れる。
乱れる鼓動に耐えるよう、金の輪ごとカップを片手で抑え。
勘違いかもしれない夢かもしれない、でも。
覚えている気がする。
本当なら、勘違いしたくなんかない。]
……っ、………キス、した？
[小さな声で。
ひとつ屋根の下で過ごすなら大事なことなのだ、と。
心のつもりがあるんだからと赤く染まった眦にじわりと涙をな滲ませて、――ピギーへ、鼓動の音が伝わるだろう。
初めてなんだよ、と呟いた。*]
【叫】 きぐるみ ピギー
――夜明け・屋根の上――
[過去のイヨリ自身と結びつくことを聞くことはさほど多くない。
ただ、愚痴るというわけでもなく語れるようになったというのは、それを気にしていないという証左ともえいるだろう。]
波の音も今なら違って聞こえるかもしれないな。
[時間があるから試してみるといい。
薄暗さすら感じた灰白が今や煌めくような光ともいえる暁にそまっていて、そちらもまた幻想的であった]
【叫】 きぐるみ ピギー
[ただそんな中でも現実のことをいうのはどうかとおもうが、それは性分というやつである]
そーだな、仕事はどうしたい？今の仕事を続けるか…新しいのを見つけるか。
家は金さえあればどうにかできるが、住み込みで働くってのもあるが、どこまでの家を求めるか次第だな。それによっては信用とかもいるが、それは今は漢がなくてもいいさ。
[難しそうな顔のイヨリへと家についてはこだわらないならば問題はない。とはいう。
ただ金がいるのはどちらの世界でもいえることというやつである。とは知識として教えていく。
仕事はあそこでもう少し時間を増やして働き続けるのか。
ちなみにピギーはというと、イヨリを働かせる時には、同郷の子がきて、などと言っていたりしている。田舎の村の名前なんていちいち把握していないし嘘なのか本当なのかなんてほとんどの人間がわかっていないものだ。
そして小遣い稼ぎながら都の暮らしを案内している。というお題目で働き先にいっているのは――前に説明した気もする]
【叫】 きぐるみ ピギー
そーだな。先に言っとくと、布団だけじゃなくてここでの生活水準と同じだ、とかは思うなよ
……いや、もういらんといえばいらんか。自力でどうにかできるしな。
[ようは、そういう高級宿を維持できるぐらいのサービスをイヨリは他者へ提供できるともいう。どういう拳を握ってどういう決意でいるか知らぬまま、物を置く場所としてだけ使ってる一部屋を使えば大丈夫か。と思いつつ、自分のいってることに同意するイヨリは、確認したいことがあるというので、ん？と空になったカップをもったまま首を傾げ話を聞く。]
【叫】 きぐるみ ピギー
ああ、したぞ。
[初めてなんだよ。っていわれたが。そうかー。と特別重く受け止めることもないような反応をするのであった*]
【叫】 衣代和かほ
――夜明け・屋根の上――
波の音……そっか、こちらにも海があるもんね。
今度行ってみようかな……。
[大きな地図を買わないといけない。
遠いのだとしたら、軽い旅支度も必要だろう。
ちらりと隣を見遣ったが何も言わず地平線へと目を眇めた。
あの先にどんな土地と海があるのか。]
やることも、やりたくなるかもしれないことも。
たくさんあるって……大変だ。
[ふぅ、と大きく息をついた。]
【叫】 衣代和かほ
仕事はね、今の屋台も続けるけど、少し減らすつもり。
逆にもうひとつの食事処のほうを長くしようかなって。
[屋台は短い時間の接客をたくさんこなす。
食事処は給仕メインだが常連さんと話す機会も多く、今までは身分を隠すことを警戒して短めにしていた。
しかしこれからはそうもいっていられない。
むしろこの世界の常識や王都以外の知識を得やすいかもしれないのと、ディナー営業まであるので長く働けるため収入が安定しやすいだろう、と考えをかいつまんで説明した。
住み込みも魅力的だが自分には適性がないと判断した。
結果的に居候させてもらうことになるピギーには申し訳ないが、それも付け足して。]
しばらくお世話になります。
家のことも、嫌じゃなければ色々やるから。
[掃除とか洗濯とか。料理は頑張れる。
母親が家を空けがちだったのでその辺は慣れている――いや、そもそもこちらだと魔法でするんだった。]
【叫】 衣代和かほ
もっと先のことは……。
将来的にはね、ぼんやり浮かんでることはあるんだ。
魔法をもっと使えるようになれたら……だけど。
こういうこと、できたらなって。
[魔法のこの先は才能の問題もあるはず。
だからまだ未知で未定なのだと小さく笑った。]
とりあえずお金貯めて、部屋を借りるのが目標かな。
ピギーの家に長く居過ぎちゃうとね。
生活水準はいきなり求めすぎはダメだろうけど……お風呂とトイレは欲しいから……。
[ピギーの言うことは確り理解できていない。
自分の使う魔法がこの世界でいうどれくらいの基準のものであるかはまだよく分かっていないからだ。]
【叫】 衣代和かほ
[そうして勇気を振り絞った問いは。
あっさりと。たった5文字で、肯定された。]
…………えっ、したの？
私の夢じゃなかったの？ 本当に？
[衝撃のあまり意味もなく勢いよく立ち上がった。
空のカップ片手に、足場の狭い屋上で。
風に吹かれながらしばらくピギーを見下ろした後、すとん、と同じ高さに座って戻ってくる。]
な、……なんで？
[勝手にすると互いに言った。
だからなのだろうが、理由がよく分からなかったのだ。]
【叫】 衣代和かほ
[数十秒でぐるぐる色んなことを考えた。
単純におやすみのキスだったのでは。
この世界では唇へのキスは意外と当たり前にするのでは。
そんなに酔ってなさそうだったけど酔った勢いとか。
寝ていたら自分から見えないから着ぐるみを――……]
ぁ、着ぐるみ、脱いでたんだ……。
[夢の中の薄ぼんやりした記憶。
つまりあれは、本当だった。
そんな。覚えていられない状況でするなんて。
意識が完全に眠りの底にあれば気付くことさえ出来なかった。]
……。
…………初めてのキスは、私には特別なのっ！
[珍しく語気強く訴えると顔を逸らした。]
【叫】 衣代和かほ
もう、いいや。
[ため息をついて空のカップを見つめる。
自分の顔は水面に映らないがくしゃくしゃなことだろう。]
もう、今はとりあえず、いいや。
[言い換えて。]
だって好きも、恋愛も、独り立ちしてからだもんね。
ここで心揺さぶってくるピギーは意地悪なんだ。
……独り立ちしたら。
私から勝手に、――するから。
[浮かんだ涙を風が攫っていくだろう。
それでもキスしたのだという事実に頬が熱いから、ピギーが何らかの心を向けてくれたのだと心臓が跳ねるから。
許すんじゃなく、こちらからもするのだ。*]
【叫】 きぐるみ ピギー
――夜明け・屋根の上――
[やることも沢山ある。というのは、未来を望む言葉としていう>>C32受け止める。
実際自分でも色々考えていたようだ。
初めこそ自分が紹介する形だった>>C33というのもあるが、控え目な付き合いをしていたとはいえ、今ではイヨリが自ら築いてきた人の縁もあるだろう]
過ごしてみた結果、ここで暮らすことになりましたー。っていったら受け入れてもらえるだろうな。
ああ、よろしく。とりあえず明日は家に案内する。
まずは掃除したり部屋を整える必要はあるから期待してるぞ。
[これからどうしていきたいかを語るイヨリに、うんうんと、前向きな未来を語る姿に陰はなく、さほど乗り越えれなくなるほどの障害もないだろう]
まあ場所によっては風呂はないとか、トイレ共用とかあるからな。
[成長していったら、どういうものなのかは後で教えていこう。今いって調子に乗られても困るしな。などと思っているピギーである]
【叫】 きぐるみ ピギー
[だがその後の確認という質問に答えたら、勢いよく立ち上がるイヨリ>>C35]
…ぉ…おお…そういうものなのか。
[初めてのキスは特別らしい。珍しいぐらい語気を強めていう言葉に後ろに仰け反り…はしなかったが、目線を合わせたイヨリへと、学びを得るように頷いた。
恋愛なんて碌でもないなんていっていたのにな。難しい。とかそんなことを考えたりしたが、なんで？という言葉には明確な答えはもっていた]
まぁ―――そうだな。
[でもなぁ。とは思う。俺にも言い分はあるものだ。]
そりゃ、俺は独り立ちしているから先に何やってもいいだろ。
[相手にそういっといたが、それはそれ、これはこれとでもいうように悪びれなくいう]
【叫】 衣代和かほ
――夜明け・屋根の上――
[明日は家に案内してくれるらしい。
急にピギーの正体に近づく感じがして胸が高鳴るような、嵐の前のような、これもまた不思議な心地だ。
掃除に関してはもちろんと頷いて。]
本当に、空いてるところがあればどこでもいいから。
寝袋用意して持っていってもいいし……。
[ピギーの家の広さ予想が窺える言い方であった。]
【叫】 衣代和かほ
……そ、そういうものなの。
[ピギーを珍しく戸惑わせてしまった気がするが。]
ピギーだから、だよ。
[すきなひとだから。
ピギーだから。
どちらが先かわからないけれど、対象は唯一のひとりだ。]
……それは……そうだけど。
[ピギーが独り立ち済みなのはその通りだけれど。
感情的には納得しにくいものがある。
恋愛をしてはならない段階の者に、それを言い聞かせた張本人で、恋している相手がキスしてくるなんて。
どれだけ心を乱して、悶えさせるつもりなのだろうか。
なんともいえない様子でいたら、後から念話が届く――指輪からとはまた違う、より頭に直接響く低い声。]
【叫】 衣代和かほ
……ほんと、言葉が足りない。
私の心臓が止まったら、どうするの。
[そうしてあなたが振り返る。
泣きながら笑う自分と、きっと目が合うだろう。
交わる瞳の色は――……。
勢いのまま近づいて、彼の手首に金の輪の光る手を添えて。
そっと料理道具を手放させる。
魔法の火を弱め、文句は言われるかもしれないけれど。]
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