8 【身内RP/R18・R18G】ターレディアンの饗宴
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薬師 ユークレース
>>2:81ヤワタ
警備団で貸してくれるんですか？お風呂……
海に行くなら貝拾い手伝って下さいよ。
報酬にエールとスブラキ渡しますから。
[こうやって何かと仕事を言いつけては報酬を押し付けている。タラッシリアには多くの浮浪者がいるが、この男は人付き合いの多いほうではないから、こんなふうに仕事を与えるのは彼しかいない。
人の家に招かれたこともあまりない。ユーくんちの匂いと言われたら『薬臭いですよね』とややずれた回答をした。
ぽんぽん脱いでいくその後ろから洗濯物を回収しながらついてきた。]
……睡眠も取っていってくれるなら。
一緒に入ってあげてもいいですよ。
[冗談を冗談として受け取ったんだかどうなんだか、真顔のまま。
青年が『ジョーダンだよ？』と言ったなら『なんだ』と言った。]
薬師 ユークレース
*むかしむかし、
*ある漁村にひとりの男がおりました。
*それはじつにまじめで正直な男で、
*海にいれば漁に励み、
*陸にいれば漁の支度をしてよく働きました。
*妻子を大切にし、思いやっておりました。
*男はある日、村のはずれに住んでいる村民に
*その心根を気に入られて家へ招かれます。
*いってみれば男の家の数倍はある立派な家。
*男が呆気にとられているうちに、
*村民は男を歓迎する宴をひらきました。
*これには男もうれしいやら、おどろいたやら。
薬師 ユークレース
*やがて飲めや歌えの大宴会がひらかれると
*男の気分もよくなってきました。
*いい気分で厠へむかっていたら、道をまちがえ
*厨房に迷い込んでしまったようでした。
*そこでは、ふしぎな生き物がおおきな水槽に
*入れられておりました。
薬師 ユークレース
*水槽の中、青く透き通った長い尾ひれを翻し、
*鱗が光を受ければオーロラの輝きを返します。
*薄ピンクの色の肉と、人間の胴と顔。
*クラゲのように漂う、長い髪。
*水中で苦しむことなく漂っていられるそれは、
*間違いなくこの世のものではありません。
*けれど男は、すこしの恐れも抱くことなく
*それに手を伸ばしました。
*それがあまりに美しかったからです。
薬師 ユークレース
*手を伸ばしても、水槽の壁に手をあてることしか
*男にできることはありませんでした。
*水槽の中の生き物もそんな男を見返します。
*ふしぎそうに男の顔つきを観察して、すぐに
*興味を失ったように身体を反転させ、
*また水中を漂います。
*男は、珍しい魚を観賞するのとはちがう、
*恋とも憧れともつかない気持ちになりました。
写真画家 ヤワタ
（>>-520）
[広場からの街道を男女がゆっくりと歩いています。男の方が後ろをたまに振り返りながら、声をかけているようです。]
…それじゃまー、どこか宿に行きますか？
フェイツウェ様のご希望があれば、もちろん聞くつもりはありますが…
実はちょっと問題がありまして…。
[男はごそごそとポケットから窓化した写真を取り出します。それは件の大樹の影につながる窓。]
ご存知かとは思いますが、何処の宿にも宿代というものが人間には必要でして…生憎と我々にはその貯えがなく、誠に畏れ入るのですが…
[ひょいっとカメラを取り寄せながら、言いにくそうにあなたへと申し出るでしょう。]
お美しいフェイツウェ様。
…少しで良いので、肖像画を描かせてもらえません？
[カメラの影から顔を出して男は。記憶を取り戻した弊害かどうか。今となっては分からないことばかりですが。
"ほら、あの綺麗な青い鳥に、ぱぱっとなって貰えたらいいので！"
なんて宣ったかもしれません。]*
薬師 ユークレース
*その数刻あと、
*最後のご馳走が男の食卓に饗されたとき、
*男は愕然としました。
*先ほどのふしぎな生き物を料理したものでした。
*この世のものではないたべものにぞっとして、
*また、美しいいきものを死なせた悲しみと、
*ほんのいっとき心を動かした温かく甘い気持ちの
*かなしい終わりを目の当たりにして、
*すっかり肩を落としました。
*男はそのご馳走について
*『お腹がいっぱいだから土産に持って帰りたい』
*といって少しだけ持ち帰り、
*食べることなくその場をやりすごしました。
警備団-真竜- ウロボロス
［ そのまま帰宅する事はなく、警備団に寄り休みを伝えた。その足で歩く。起き抜けに痛みを覚えた身体は、既に治り掛けている。
幾許も経たないうちに、サイドゲートで身分証を見せていた。
───鱗と同じ、漆黒の羽と尾を広げ飛びたかった
人の寄り付かない場所へ辿り着くか否か、早く、早く、早く飛びたい。
ウロボロスの本当の姿になる。
風を荒々しく巻き上げ、空へ飛んで行く。
その影を見る者が現れる懸念など、持っていなかった。
一晩中そうして飛べば、何時もの暮らしに戻って行く。 ］
霊媒師-鴗鳥- フェイツウェ
[夏の暁──。
白んでくる空を眺めながら、海沿いの道を歩く女の姿があった。
海水や砂、血で汚れた身体を着物で隠し。碧く長い髪は湿り気を帯び。そしてカメラを携えている。
傍から見れば見苦しい姿に見えたかもしれない。
しかし、生憎。人通りはまだない。
そんな事に構うようなモノでもないのだが。]
……………。
[お腹に手を当てれば、自身の中に生まれた力を感じる。
人と同じではなく、進行の早い
2、3日も経てば、完全に自分と同化するだろう。]
…この街にはもう用は無いな。
[人の中に混じって日々を過ごすのはやはり耐え難い。
その時が来るまでは人目に付かない場所で休息を取りたい。
そう思い、街の出入り口へと足を向け。ふと手にしたカメラに視線をやった。]
霊媒師-鴗鳥- フェイツウェ
これも海に還せば良かったか。
[独りごちる。
今から海に投げ棄てても問題ないだろう。
カメラを両手で持ち、遠くへ投げ飛ばそうと反動をつける。
が──。
少し考えた後にそのまま地面に打ち付け、そして足で踏み潰して破壊した。
男の肉体も精神もこの手で壊した。
ならば、男の象徴となっていた
理性も感情も持たない魔のモノはそれが自然だと感じ、
霊媒師-鴗鳥- フェイツウェ
[それから幾日か経った後、タラッシリアの西の空。
その海上を優雅に羽ばたく、宝石の様な鳥の姿が在っただろう。
光の加減で碧にも翠にも見えるその姿。
"見る者に幸福を与える"と言う──。*]
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