
37 【手紙村】あなたの願いは叶いましたか
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[夜がきても博士は帰ってこない。
人形は一人待つ部屋で、先ほど届いた手紙への返事を書いていた。
かた、と音がして博士が帰ってくると、人形は手紙を書く手を止めて駆け寄った。
最初の一歩は何より勇気がいる。
昼と同じく娘の名前を呼んで微笑む博士は、きっとこの後驚いて悲しんで嘆いて人形を傷つけて自分も傷ついてしまうだろう。
それがわかっているからこそ一歩がすくむけれど、
”どうしても手に負えない時はボクを呼ぶといい”
そう、友達のフローラは言ってくれたから。
人形は勇気を出せる。一歩を踏み出せる。]
(49) moggyu 2025/03/19(Wed) 22:11:29

おかえりなさい、博士。
[人形の言葉に博士は固まる。
彼が何かを言う前に、人形は繰り返した。]
おかえりなさい。
私は、自律魔法人形YU-K110。
あなたの娘ではありません。
[淡々といった人形に博士の顔が歪む。
違う、違う、と言われたけれど人形はそこで止まらなかった。]
(50) moggyu 2025/03/19(Wed) 22:11:44

あなたは、わたしの尊敬する博士です。
わたしをつくった博士です。
[肩を掴まれた、ので、人形も彼の手首を掴んだ。
離してください、と押しやると以外にもその手は離れていった。
唇を噛んでしまった博士を見上げて、人形は懸命に声を出す。]
博士は、わたしが大事ですか?
自律魔法人形YU-K110が大事ですか?
わたしは、博士が大事です。
[大事ではない、のならそれでよかった。
でも──ペコが手紙に書いてくれたように。
人形は、人形のことを博士に見てほしかった。
娘の代わりとしてではなく、モノとして、自律魔法人形YU-K110を扱ってほしかった。]
(51) moggyu 2025/03/19(Wed) 22:12:05

娘の代わりの人形としてではなく
自律魔法人形YU-K110は博士の大事なモノですか?
(52) moggyu 2025/03/19(Wed) 22:12:31

[人形は尋ねる。
博士が何も答えないから、同じ問いかけを繰り返す。
うう、とかああ、とか言葉にならない嘆きを散々繰り返した末に、博士はその顔を手で覆った。]
……はい。わたしは自律魔法人形YU-K110。
魔法でいきる、人形です。
[どうしてこんなことを、夢を見せていて欲しかった。
そんなことを言うのは博士が人間だからなのだろう。
だから人形はそれを飲み込んで、人形であるが故に答えを返す。]
道具ですから。
役に立ちたいです。
役に立たないなら、壊れていいです。
[それは十年かけて自律思考の編み出した答え。
人形に計測機能はない。人形に演算機能はない。人形に戦闘機能はない。人形に魔法補佐機能はない。人形に薬草育成機能はない。人形に調理機能はない。人形に護衛機能はない。人形に飛行機能はない。人形に介護機能はない。人形に記録機能はない。人形に運搬機能はない。人形に冷却機能はない。人形に清掃機能はない。人形に、]
(53) moggyu 2025/03/19(Wed) 22:13:04

わたしは、役に立たないのなら
壊れてもいいです。
でも博士、わたしは、役に立ちたいのです。
(54) moggyu 2025/03/19(Wed) 22:14:11

[博士はゆらりと崩れる。
人形は彼の上半身を支えて、激突だけはどうにか避けた。
腕が力無く人形の体に回る。
大きな手はゆっくりと人形の頭を撫でて、人形が待っている返事をくれる。]
……壊れないでほしい
それが、博士の望みですか?
[そうだよ、と掠れた声は返した。
ひどく疲れていそうだったが、それでもそれはきちんとした博士の返事だった。]
(55) moggyu 2025/03/19(Wed) 22:16:10

[疲れてしまった博士をベッドに寝かせて、水を渡す。
ありがとう、と言われて人形は嬉しくってこくこく頷いた。]
名前、フローラにつけてもらいました。
ユキナです。
ユキナと呼んでください。
[そういえば博士は目を丸くしてから、頭を撫でて。
──ユキナ、おやすみ。
……と言ってくれた。]
(56) moggyu 2025/03/19(Wed) 22:33:51

[人形は微笑む。
嬉しくって、唇が勝手にほころぶ。
これが嬉しいである。これが喜びである。
自律思考が内側の感情を定義づける。]
はいっ!
おやすみなさい、博士。
[人形は返事をして、寝室を出ていった。]
(57) moggyu 2025/03/19(Wed) 22:35:32

[人形は夜、手紙の続きを書く。
書かれた手紙は蝶の封筒に入れて、ひらひらと夜空へ飛んでいった。]
(58) moggyu 2025/03/19(Wed) 22:37:09

─少し後の話─
[そのあと、人形は魔法の授業に出席するようになった。
東の魔女に魔法を習って、フローラにも手紙で質問をしたりなどしながら。
人形だから魔法は使えなくても、魔法の理論を学ぶことはできるし、魔法道具の開発には関われる。]
……で、ここの石の配置を……
これだと魔法がうまくできなくて
博士っ! ちょっと見てください!
[人形だろうと疲弊はするから早く寝なさいと言われながらも、今日も遅い時間まで勉強を研究を続けている。]
(59) moggyu 2025/03/19(Wed) 23:11:34

[目標がある。
いつか海を見にいって、蒸気機関車を見にいって、明るい夜を見にいって、もっと、もっと、もっと、見たいものがこの世界にはたくさんあるのだから──……]
昨日は片足だけ外に出れたんですよ。
……ちょっと危なかったですけど……
ご、ごめんなさい博士! おやすみなさい!
[伝えていなかった事項を呟いたら、優しい博士の顔が険しくなったので、人形は慌てて博士の部屋を飛び出した。
慌てすぎて裸足のまま飛び出してきてしまう。
ぺたぺた、と廊下を歩きながら。
──そうだ、手紙を書こう。と思いついた。]
(60) moggyu 2025/03/19(Wed) 23:13:47

──何年も後──
[そこは海の見える街。
最近線路を伸ばしてきた蒸気機関車が、近くの駅に到着する。
扉からひらりと、人形が飛び降りる。
ふわっとういた帽子を片手で押さえた。
遠くに少しだけ見える海を見つめながら、人形は出発前に受け取った手紙を握りしめている。]
おーい!
[待ち合わせていた人にか。
それとも街にか。
あるいは海にか。
人形は明るい声でそう叫んで、手を振った。
そうして、駅から外へと足を踏み出した。]
(61) moggyu 2025/03/19(Wed) 23:56:49

[ひらひらと舞う蝶が星空の封筒に変わる。
中を開けて便箋を見るとまず驚くのはユキナの文字がいつもより自然で美しく上達していたことだ。
やや角張った文字の名残も残しつつ]
あの子も成長しているんだなぁ……。
[と、子を見守る親の心地で呟いた。
便箋を読み進め。
ボクはユキナに寄り添うように和んだり、時に気難しく考え込んだり、学びの塔に想いを馳せるように東の空を見つめたり。
読み終えれば、ペンを取り返事を書き綴ろう]
(62) sakura-mochi 2025/03/20(Thu) 00:12:02

[手紙を送って何日か経った頃。
再びユキナから返事が来た!
ボクは焦る気持ちをおさえて手紙を読む。
美しい花の封筒や便箋の端に描かれたピンクの花。
和やかな日常が書かれた文面に、
ユキナが幸せに暮らしているんだと安堵する。
さっそく返事を書こうとペンを走らせる]
(63) sakura-mochi 2025/03/20(Thu) 00:12:58

── 何年も後 ──
[あれからもユキナとは文通を続けた。
時に学びの塔に行ってホットケーキを食べたり。
新聞で連載している小説の話をしたり。
そんな和やかな日々の先──、
ボクは蒸気機関車から降りてくる友人を待っていた。
手紙で待ち合わせの日時を確認し、
手を振るユキナに手を振り返す。>>61]
やあ! 待っていたよ!
さあ、さっそく白の街を案内してあげよう。
今ならセイレーン劇団の優待席券もある。
元人魚のスター役者の歌声を聞いてみるかい?
[そう笑いながら、ユキナと軽やかに歩き出そう。
どこまでも自由に、自分の足で──]
(64) sakura-mochi 2025/03/20(Thu) 00:14:09

[窓辺にひらひらと舞う蝶が封筒に変わる。
中身は、青空の下で草原を走る蒸気機関車が描かれた便箋のもの。
筆跡はいつもより歪んでいる。
どこか旅先で書いているのか、と思ったが。
読み進めると機関車の中で書いているのだと分かる。
急いで書かなくてもいいのに、と思いつつ。
早く返信を書こうとしてくれた気持ちが嬉しい。
そうして読み進めてみて──]
(65) sakura-mochi 2025/03/20(Thu) 01:11:12

[私にとってのハッピーエンド……。
そう問われ、手紙を読み進め、
そうして、自然と涙が頬を伝った。
──ああ、ボクのハッピーエンドは……。
こんなに簡単なことだった。
流れる涙を拭いつつ、静かにペンをとる]
(66) sakura-mochi 2025/03/20(Thu) 01:11:29

── その後、春の雪解け頃・南の地にて ──
[あれからペコやトットとも文通を交わし続け。
春の雪解けの頃。
ペコの村に西の空から箒に乗った魔女がやって来た。
上空から優雅に微笑み、
魔法でプルメリアの花を降らせてご満悦]
やあ! ボクはフローラ、西の魔女だ。
この村にペコという子はいるかな?
[そう問いかけながら、ふわりと地上に降り立ち。
やがて歩き出すだろう。
美しい新緑が芽吹くペコのお気に入りの場所へ。
スノードロップがキラキラと、雪解け水を浴びて春の日差しの中で輝いていた]
(67) sakura-mochi 2025/03/20(Thu) 01:14:06

[バーバのお見舞いに出かけ、トットとの暫しのお別れも近づいた頃
とある田舎の農村に、季節外れの花吹雪が降り注ぐ
あたしは、トットと空を見上げ。]
………!
[大きく手を振った。
素敵な素敵なサプライズに、満面の笑みを浮かべて。
手に持った手紙は、七色の星の時から続く縁。
今日の来訪者と、お友達と、恩人と、それから。
あたしは、それらを抱きしめながら
西からやってきた貴女の名前を、呼んだ]
(68) sirotae 2025/03/20(Thu) 03:02:30

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