20 ― 遺されたモノたちの手紙 ―
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[ 一日が過ぎたが、 通信用端末の機能は未だに回復しない。
暫く冷たい床に座り込み膝を抱えていて項垂れていたが、
ニンゲンに出逢って自分の役目を果たしたい、と話してくれた子に、ニンゲン探しを手伝うといったのだ。
それに、この羽根があれば、他の機械たちのところに行くこともできるかもしれない。
届いた手紙から位置情報を読み取る。
通信用端末が使えないため、精度は落ちるが、だいたいの位置は特定出来たはずだ。
彼女は確りとした足取りで施設の外へと歩いていく。
背中の小さな羽根を展開して、ふわりと空へ向かう。
初めてこの場所を離れるのが空からになるなんて、考えもしなかった。]
(+0) 2024/05/16(Thu) 20:31:07
[ 他の誰かと手紙を遣り取りするようにならなければ、
きっと自分は機能停止するまで施設から出ることなく、
独りぼっちで朽ちていくはずだった。
けれど、いまは違う。
自分以外の誰かがいることを知った。
彼らと話すことの喜びを、他者と繋がれることの尊さを、
彼女は知った。
飛んだところで何も見つからず、辿り着けない可能性だってある。
でも、試してみなければ。]
私が目醒めたのは、きっと、このためだった。そう、信じて。
(+1) 2024/05/16(Thu) 20:43:12
[かつては整備メカもいたのだろうけど、
今走っている道路は、碌に整備されなくなって
かなりの年月が経っているように見える。]
Pi♪PiPi♪Piッ、Pi〜♪
[そんな道を走りながら、僕はご機嫌に歌を歌う。
道端に放置された機械は錆び切って動かず、
たまに、何かの骨のような物がカメラに映る。
以前なら、こんな道を通るときは寂しくなって、
できるだけ何も考えないようにしながら、
次の町を目指して突っ走っていた。
けれど、今、僕の回路に走る処理は止まる気配はない。
昨日までいた町で受け取ったメッセージの数々……
僕は町を出てから今までの間、
それらを何度も何度も、読み返していた。]
(+2) 2024/05/17(Fri) 01:36:15
―― “失” ――
……っ、 う、わ
……いけませんね。
完全に「落ちて」いました………
[ 意識を取り戻した時には
先刻まで背を凭せかけていた壁の傍に
堆く積み上がった瓦礫の山の上に身体が在った。
『ヒト』ならば、気絶、昏倒。
そうした表現になるだろうか。
前触れもなく突然、
落下するような感覚に襲われて
視界がブラックアウトした。 ]
(+3) 2024/05/17(Fri) 15:30:10
こんな風に、ストンと落ちるものなのですね。
受け身を取る一瞬の間もない、とは。
[ 身を護る為に備わっているはずの
防衛機能は咄嗟には働かず。
意識が途絶えることを認識する間も無かった。
完全な『独り言』を口にしながら
『手指』をゆっくりと閉じては開いて動作を確かめ
ひどく打ち付けたらしき『後頭部』をゆっくりと擦る。
確かめる限り、衝撃による大きな損傷はなく
剥離も増えてはいない様子だが
己では内部回路については分からない。
任が任であるため、荒事にも耐え得る造形ではあるが…… ]
(+4) 2024/05/17(Fri) 15:31:13
[ ―― つい先刻まで開くことが出来ていた
通信回路が使えなくなったことには、未だ気付けない。
異変が起きるまでに届いていたメッセージについては
のちの時間に受け取ることになるだろうか。 ]
(+5) 2024/05/17(Fri) 15:33:07
……
[ ”終わり”を迎える時も、
このように突然なのだろうか。
一抹の『不安』を過ぎらせながら
身体に付いた砂を静かに掃い落としている。 ]
(+6) 2024/05/17(Fri) 15:33:41
――遠い昔の回想――
『……ちゃんとわかる? 見える?』
……? はい。
『家事とかって、一式、できるんだよね?』
一応。本来そのために造られた存在ですから。他機種と比べてその点の性能はやや劣るようですが。
『……いや、問題ない。君の仕事場はここだ』
はい。
『最初に、一つ。君の主人は、俺じゃない』
……?
[ 導かれるままついていった先。三階、子供部屋。貴方は、そこに、日差しを浴びて座っていました。黒い髪と、赤っぽい茶色の大きな瞳。]
『ほら%$#*。ご挨拶なさい』
[にいっと。小さな手を振りながら、貴方は笑いました。]
(+7) 2024/05/17(Fri) 22:51:02
[毎日毎日、貴方はこれでもか、というほど、暇さえあれば語りかけてきました。私は、それらになるべくちゃんと答えたはずです。
それは子供が頻繁に抱くいわゆる「なぜ?どうして?」といったものだったり、私に対する質問だったりしました。
三日くらいしてから、貴方は私を「マリねーね」と呼び始めました。
五日目にはやたらと手を握りたがるようになりました。
一週間もすれば、夜に一緒に寝たがるようになりました。
……私は、毎日ではないとはいえ、頻繁に充電されなければなりませんでした。充電は当然、充電器で行う必要があります。
だから私は、申し訳ないと思いながら、断りました。
そうしたら、貴方は、一瞬、今にも泣きそうな顔になりました。]
(+8) 2024/05/17(Fri) 22:52:08
[ ――後で知ったことですが、貴方の両親は、ともにとても忙しい仕事でした。
ですからご両親にはめったに会うこともなかったですし、あったとしてほとんど深夜でした。
だから、貴方は片手で数えきれてしまうほどしか、「誰かと一緒に眠る」という体験をしていなくて、一晩中一緒にいたことに関しては皆無で――それに憧れていたのですね。
貴方はずっと、家では一人だった。
友達はいるから、一人ではない。だけれど友達はどこまで行っても友達で、彼らは彼らの家に帰ってしまう。貴方はあなたの家に帰らなくてはならない。
どこまで仲良く遊んでも、母親と手を繋いで帰る友達の背中を、羨ましそうに見ていた。
食事の時も、一人で食事をしていました。
両親が返ってきた次や、その次の食事以外では、調理なしで食べられる食品しか食べていなかった。
貴方はまだ小さかったから、一人で料理は出来なかった。
ご両親は――もちろんそれは気にしていました。しかしそう簡単に転職できるようなお仕事でもなかったようです。
それが私がここに来た理由でした。
貴方を温めてあげる存在として、私は必要とされていました。]
(+9) 2024/05/17(Fri) 22:52:48
[私は、充電が不要な日は、眠るあなたの傍にずっと付き添ってあげるようにしていました。そう決めた時、貴方は抱き着いてくれて――。
充電しない日は、眠れませんから、貴方に抱き着かれたまま、その寝顔を朝までじっと見て過ごすことになります。ある意味ではつまらないと言えるかもしれないけれど――実際にはそこまででもなかったです。
本当の意味で、貴方と同じように眠れないことは悔しかったです。
でも、貴方はそれで満足してくれた。
じゃあ、充電が必要な日は?]
(+10) 2024/05/17(Fri) 22:54:36
[そんな日にはあなたは、本当に寂しそうな顔をして、『マリねーねもおやすみ』……そのように言いました。
少しでもその寂しさが和らがないか。私はいろいろ考えました。
そうして私が作ったのが、くまさんでした。
大き目のくまさんでした。
家にはほかにも人形はありましたけど、片手で持ててしまうほどのサイズでしたから、夜を一緒に越すには少し心もとなかった。
買ってもよかったのかもしれませんが――自分で作りたかった。
貴方に私が作ったものを使ってほしかったし、貴方もその方がいいんじゃないかという、期待もありました。
……貴方にとって、市販のものと、手作りとで、なにか違いを感じるのかは分からなかったですけれど。]
(+11) 2024/05/17(Fri) 22:55:13
[町に疫病が流行って、貴方も罹患して――
死期が迫ってきたあなたは、私にくまさんを返す、と言い出しました。
『これはもともとマリねーねの物だから』
……どうして返してくるの?
それが必要なのは、私じゃなく、貴方だよ。
『……ちがうの。私ね、お願いがあるの』]
(+12) 2024/05/17(Fri) 22:57:51
『パパもママも、私のこと嫌いとかじゃないのはしってる。でも私に一番いっぱい色々くれたのはマリねーねなの』
……そんなこと無いよ。私は、何にもしてない。
『マリねーねは、そう思うんだ……。
でも私にはマリねーねが一番なの。
そんなマリねーねに、一個だけ、わがまま言っていい?』
……。
『あの、ね。私のこと――』
(+13) 2024/05/17(Fri) 23:02:28
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