
49 うさんくさい夏祭り (2025/08/21(Thu) 07:00:00 に更新) RSS
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「お父さんが倒れた」——姉の声が留守電に残っていた。なんの変哲もない木曜日、なんの生産性もない、終わらない会議が終わったときに、父の命は尽きていてた
医師は僕を待とうと心臓マッサージを続けたが、母が静かに首を振ったという。
白い天井の下で息を引き取った父が急性心筋梗塞だったと知ったのは翌日。
父は健康だったがタバコだけは手放さなかった。
(13) 2025/08/14(Thu) 09:25:47

「心臓は怖いねぇ」——喫煙所で弔問客の呟きを耳にした。
聞いたことがある。癌は死に方としては悪くない、別れの時間があるのだから。
黒い喪服に身を包んだ母は、泣きはらした目を隠すように背筋を伸ばし、淡々と参列者へ礼を述べていた。焼香の煙の向こう、遺影の父は孫の誕生を祝う笑顔だ。まだ58だ。若すぎると思った。母の隣で姉は小さく肩を震わせながら、香を手向ける手は静かに揺れていた。
(14) 2025/08/14(Thu) 09:27:45

「あたしゃ、息子の葬式だけは出したくないよ」——
一周忌の夜、線香の煙が静かに揺れ、母の言葉が煙の中に消えていく。灰皿に残る吸い殻を見つめ喉がきしむ。
ぐうの音も出ないほどの正論だということは分かっている。分かっていたが、父と自分は違うのだという甘えがあるのだ。
今、火をつければ父と同じ道を歩む気がした。震える指でそれを潰し、深く息を吐いた。
(15) 2025/08/14(Thu) 09:29:21

「百害あって一利なし」——
母も姉も、妻も医者も、世間までもがそう言う。ならばなぜそんなものを合法で売るのか。
そんな理屈を胸で反芻しながら、一周忌の帰り道、古本屋の奥で埃をかぶったタロットカードに手が伸びた
一枚静かにめくる。「死神」——の逆位置
意味は「再生」「創造」、そして「意識の改革」。あまりにできすぎた巡り合わせに思わず小さく笑った。占い師
(18) 2025/08/14(Thu) 09:39:25

煙草をやめた途端、匂いにやたら敏感になった。
科学者の部屋には薬品の匂いの中に、わずかな煙草の香りが混じっている。好きすぎて好きすぎて大嫌いなあの匂いだ。紫煙は牙を隠し、香りは獣の匂い紛らせる。
「ならば狂っているのは別にいる」――僕は狂った事を否定できそうな中庸な歌劇役者に狙いを定めた
(すみません。落ち時間早いです。ヘレギム白め。ノチよくわからん)
(40) 2025/08/14(Thu) 20:52:04

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