名坂雪

かまくらと灯火

　デッくんはデッくんだねえ。

[せっかく暖かな部屋に引き篭もれるのに。
誘われた瞬間に上着に手をかけた自分も自分である。
幼馴染>>2:2の監督のもとモコモコになると、元気印の夜でも明るい髪と瞳を見上げつつ、幻想的な雪の世界へ踏み出した。

さすが山奥という感じ。
雪が音を吸収しているのかもしれない。
しん、とした空気は静かで澄み切っていて。

ふたりぶんの足跡と、頭上には星の瞬き。

そんな中で大人しく星見をするだけでは足りなくて、自分たちは、せっせと小さなかまくらたちを作った。
地上にも幾つも灯りをつけていく。
ちらちら揺れる燈は、一瞬、胸を痛くした。
そうして幼馴染>>2:3の笑みに溶かされる心地がする。]

名坂雪

　きれい。

[白い息を吐きながら、微笑み返した。]

　今日祓った……子たちが、生まれ変われるといいな。

[黒いモヤのようにも見える存在への言葉。

そして、大雑把なようで繊細で。
元気印のようで柔らかい優しさで包む。
小さなかまくらの灯りは、隣のひとに似ている気がした。

……鼻の頭赤い。トナカイみたい。
やっぱり寒いね、って吹き出しかけたら。

濡れたからと敢えて呟いて外した手袋。
冷えた手を、大きな手が握る。>>7
――指先だけ。あ、今度は頬まで赤くなっている。]

名坂雪

　ありがと。

　デッくんはやっぱり、あったかいね。

[火照る顔は誤魔化さない。
こういうところの往生際は自分の方がいいらしくて。
わかりやすく照れまくっている幼馴染を、眺める。

昔は何の気なしに握って引っ張ってたのにな。
面積は狭くなって、指先が少しピリピリする。
ほのかな電流のように心臓、心まで届くのはなんなのか。

きゅっと、力を込めて親指を回し、握りかえす。

大好きな幼馴染の手は、昔よりずっと大きい。*]