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[気がつくと、いつの間にやら漂ってきていたのは、ケーキが焼ける甘い匂い。>>3
それから少し遅れて、バターのいい香り。>>4
提供されたクッキーは、所狭しと骨型のクッキーが沢山に、ボール型のクッキーが少々。先ほど嗅いだバターのいい香りが、クッキーが近くにあるから、いっそう強くなった気がする。
同時に届いた紅茶からは、香ばしい香りとともに果実のようなフルーティな香りが漂ってくる。]
ありがとうございます。
[クッキーの提供にお礼の言葉をひとつ。
それから骨型のクッキーを手にとって。口にいれるでもなくなんとなしに眺めてみる。
粗熱を取ったとはいえ、まだ少し温かいクッキーを見ていると、なんだか懐かしい気持ちになる、気がした。
この色に、この形。どこかで見たことあるんだよな。どこだったっけ。]
[ウンウン唸っても思い出せないものは思い出せない。
せっかくの作ってもらったクッキーなんだから、考えてないで焼き立てが食べたいと、少年は思考を手放した。
手に持っていた骨型のクッキーを口に入れて、ひとくち。
サクサクしっとりのバタークッキーは、口に入れればバターの風味と甘い味。
素材の味を活かしたクッキーは、至ってシンプル。だからこそ美味しい。]
おいしい……。
[美味しいけれど。ちょっと違う。
ああ、確か、どこかでこんなクッキーをひとつ、ふざけて食べたんだ。
あのとき食べたクッキーは、こんな形で、こんな色で、もっと、もっと甘くなくて、シンプルで。まるで人が食べることは想定されてないような味で。でも思ったよりは美味しくて。
そうだ、あのクッキーは、人が食べる用のクッキーじゃなかった。]**
/*
ボクも思い出していくぞーおー!
参加して思ったけど思ったよりも遅筆だったので遅筆を許してくれてありがとうございましたッ
寝**
[人とうまく話せなくて。人とうまく関われなくて。人間への擬態が下手くそで。
どこへ行っても、どこまで行っても、人との間に分厚い膜があるのが常。
だから『キミ』が唯一の友達で家族だった。
キミとだから、遠くまで散歩しに行って、迷いに迷って帰れなくなったときも楽しかった。
キミとだから、泣きに泣いた夜もいつの間にやら笑顔になっていた。
キミとだから、ニガテな遠出もいつの間にか楽しい予定になっていた。
キミとだから、ふざけてキミ用のクッキーを食べて怒られたことも、楽しい思い出だった。
キミとだから、キミとだから、キミとだから。]
[けれど現実は無情に、時は無情に。
人と動物の生命の埋められない差は確実に存在していて。]
どうしても、休めないんですか?
[キミの命が尽きそうなときも、ボクは人間の擬態に忙しくて。]
わかりました。
……本当にごめんね、帰って来るまで、待っててね。
[キミに、ボクの都合を押し付けて。帰りを待っててくれるように祈るしかできなくて。]
[その祈りは、結局のところ届かなかったのだけど。]
[物言わぬ骸を見た。
温かな生命が、冷たい物になったのを見た。
お別れを、言う事もできなかったことを知った。]
[悲しくて、悲しくて。それでもボクは人間の擬態に忙しくて。
簡素なお別れだけを済ませて、泣くこともできずに、ただただ日々をやり過ごすことしかできなくて。
心が擦り切れて、摩耗して。
もう何も考えられなくなりそうになって。
……気づいたら、記憶を失って、ここにいたのだ]
[甘い、甘いクッキーをかじりながら、温かな紅茶をすする。
クッキーの甘さを紅茶の渋みが包みこむ。
ほう、と息をついた。
そうだった。ひどく傷ついていたのに、傷つく時間すらなかった。
心にポッカリと穴が空いていたのに、穴に向き合う時間すらもなかった。
だから、なのだろうか。ボクがここに来たのは]**
[悲しむ時間がなかった。それに気づいた瞬間にぽろりとひとしずく、涙がこぼれた。
ひとつこぼれたら、もう止まらなくて。ぽろぽろ、ぽろぽろ。ぼろぼろ、ぼろぼろ。
袖で拭って。それでも溢れて止まらないから、隠そうと思って慌ててカウンター席に突っ伏した。
あとでカウンター席を拭わなきゃ、なんて考えながら、流石に人の前だからと声を押し殺してぼろぼろ泣いた。
ひとしきりぼろぼろ泣いて、次に顔を上げた時、ぐちゃぐちゃの顔だったけれど、なんだか気分は晴れやかだった。
ああ、ボクは泣きたかったのだと、その時初めて気がついた。
忙殺された心では、気付けなかったことだった。ここに来たから、泣けたのだ。
美味しい匂いと、美味しいご飯と、温かい空気に包まれて。
ここだから、泣けたのだ。]
すみません、カウンター席で。
[なははとぐちゃぐちゃの顔でひとつ笑って、汚れた席をテーブルナプキンで拭く。
多分後でまた店員さんがきれいにするだろうけど、お世話になった店を汚したままにするのはなんだか嫌だった。]
[ず、ともう一度紅茶をすする。長く泣いたつもりだったけど、紅茶はまだ温かく、泣きじゃくった体を芯から温めてくれた。
さて、これからどうしようかと思案する。
きっと、このままここに居ても誰も文句は言わないし、文句を言う人間は置いてきてしまった。
きっと、向こうに帰らなくても悲しんでくれる人間は居ない、だろうし。
きっと、ここに残れば楽だろう。
きっと、きっと、きっと。
いや。
クッキーを1枚、口に放り込んで、紅茶をもう一口。
キミは、もう居ないけれど。キミは、向こうにいるんだもんね。
キミは虹の橋を渡らずにボクを待ってくれているんだろうか? キミを見送れなかった愚かなボクだけど、待ってくれているんだろうか?
それを確かめてみたいと、思った。その時まで、キミに恥じないように生きていきたいと、思った。
そうしておとなになっていくんだろう。心の傷を踏み越えて、いつかボクは少年から大人になるんだろう。
と、不意に聞き馴染みのない低い声の紅茶の注文が聞こえて、思わず振り返った。>>47
そこには先程まで少年が居たはずなのに、気づけば大人の男性が。
え、とまた驚いた声が自分の口から漏れて、思わず笑ってしまった。本当に、何が起こるかわからない場所だ。]
[クッキーと紅茶を少しずつ食べ進めて。残りが僅かになった頃。
さみしいな、やっぱりまだいたいな。なんて思いながら。最後のひとつと、最後のひとくちを十分に味わってから。老婆にひとつ、声を掛ける。]
すみません、ごちそうさまでした。
お金、何円ですか。
あと、帰り道を、教えてくれますか?
**
/*
そういえば延長ありがとうございましたを言いそびれておりました
延長ありがとうございました
明日閉じ!? 本当に!?
な、泣いてない……は無理がある……か。
[ぐしぐしと荒く涙を拭いながら、小さな店員へと言葉を返す。>>63
泣いてもいいんだろうか。向こうにいる間は泣く時間なんてなかったから。
泣くことは、『ひつようなこと』なんだろうか。
……でも、泣いたらやっぱりちょっとスッキリしたから。
ぐちゃぐちゃの顔で小さな店員に笑いかけた。]
ありがとう、心配してくれて。
[そう告げて、ふと思う。そういえば、彼もまたこの不思議な店の店員なわけだから。見た目が少年なだけで中身は大人なのかもしれない。
なにせ、いっこ、前例が。]
あ、ありがとうございます。心配してくれて。
[今更の、敬語。
もしかしたら、小さな店員さんは気にしていないかもしれないけれど。]
財布を。わかりました。
[カウンターに財布を置くと、ゆっくりとした動作で椅子から降りる。まだ少しだけこの店が名残惜しかった。
それでも、ボクは帰らないといけない。]
あのう、もしもまたボクが落ち込んだ時は、また呼んでくださいね。
[出口へと一歩二歩進んで、振り返って老婆に一言。
それから返事を聞かないでお店の出口へ。
返事は必要なかった。
きっとボクはまた傷ついていく。キミのことを乗り越えたとしても、また別のことで傷ついていく。
人の擬態が下手くそなボクに定められた、ある種宿命のようなものだろう。
でも、もしボクがなにか、また傷ついたとしても。そうしたらきっと、このやさしい喫茶店へ来ることができる。かもしれない。という、それだけで心の支えになると思ったから。
一番最後に来店した少女と、かつて少年だった青年も、メイド服の女性も、店の出口へと向かっている。
もし、もしここに来る面々が皆一様になにかに傷ついていたとするならば、彼らもその傷に決着をつけたのだろうか?
そうであればいいな、と思った。]
[カウンター席で話した少女と__ドールさん、と、目があってもあわなくても、去り際に手を降って。]
またいつか、話しましょう。
[そう声をかけた。きっともう会うことはないだろうけれど、それでも、それでもまたいつかがあるのなら、なんて。これもきっとおまじない。
最後にふと思い出す。この店に案内してくれた黒い影のことを。
あのコは一体誰だったのだろうか。空腹のボクが生み出した幻覚だったのだろうか。
それとも、ボクの心の傷を心配してくれたキミが、案内してくれたんだろうか。
後者であってほしい、そう祈りながら店のドアを押した。
カラン、と『黎明街』のドアベルが鳴った。]**
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勝手にドアベルを生やしました(コロンビア)
改めてありがとうございました! 楽しかったです……!
ドールさんはお大事にしてくださいな 体調第一
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店員さん組もさみしくなくてかなしくないならよかった〜
皆さんの物語、よかったですほんとうに ありがとうございました。
RP村にどれくらい今後入っていくかは未知数なのですがまたお会いできましたらよろしくしてくださいな。
お疲れ様でした!
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