
39 おひとりさまCafe7
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[──その時は、数年後に訪れた。
けれど、それが望ましい形であったかというと……。]
(37) 蒼生 2025/04/20(Sun) 00:38:23

[奥様と同じアメジストの瞳を凍てつかせたご子息は、事業に失敗してしまったらしい。
その補填の為に、このお屋敷と周辺の土地を引き払うのだと。
だから奥様には本邸に戻るようにと。
それは打診ではなく、決定だった。
使用人は古株の執事と侍女頭以外は解雇すると聞かされて、私達に動揺が走った。
紹介状を書いて持たせればいい、と言ったご子息様の目はとても怖かった。
“どうしてそんな子に育ってしまったのか”と嘆息する奥様に、”貴女がそう育てたのだ”とご子息は言った。
奥様はまるで重大な罪を突き付けられたように沈痛な面持ちで黙り込んでしまった。
執事から聞いた話だけれど、奥様はご子息を立派な跡継ぎにすべく、とても厳しく接していらっしゃったらしい。
旦那様が亡くなられた後、ご子息と上手くいかなくて離れて暮らすようになったのだと。
厳しい奥様のお姿を想像する事は出来なかった。
だって私の知る奥様は、とってもお優しい方なのに。]
(38) 蒼生 2025/04/20(Sun) 00:39:14

[奥様は私達の就職先を世話する為に時間が欲しいと頼んで下さったけれど、猶予期間は譲歩して頂けなくて。
ひと月の間に奥様はあちこちに連絡を取り、人と会って何とか私達の就職先を探して下さった。
私の就職先は、遠方にいる奥様の知人のお屋敷だった。
奥様はお疲れのご様子で、厨房に足を運ぶ元気もなくなってしまわれた。
私達の気持ちを置き去りにして、刻一刻とお屋敷を引き渡す時期は迫っていく。
此処を離れたくない。
奥様と、皆と一緒に居たい。
けれど仕方のない事。
私達使用人に決定権なんかはない。
奥様は私達の就職先を見つける事で真心を示して下さった。
だから、弁えなければ。
そう言い聞かせた。]
(39) 蒼生 2025/04/20(Sun) 00:39:55

[最後の日の朝。
身だしなみを整えると、料理長が作った朝食を食べる。
何人かは既に次の就職先へ発っていて、休憩室は広く感じた。
乗り合い馬車に間に合うように、お屋敷を出る。
玄関前には奥様や残った使用人がいて、思わず目の奥がつんとなったけれど、奥様に泣き顔を見せたくなかったから拳を握り締めて我慢した。
もしも私の事を思い出して下さる事があるなら、笑顔がいいから。
奥様は私の肩に触れて、今まで勤めた事への感謝を伝えてくれて、“貴女はまだ若いから、きっと新しい屋敷にもすぐに慣れる”と声を掛けて下さった。
“そんなの無理です”と言いたかったけれど、私は笑顔で今まで優しくして下さった事への感謝と奥様の健康を祈っている事を伝えた。]
(40) 蒼生 2025/04/20(Sun) 00:40:44

[これで、私と奥様は無関係の人間となる。
遠方に出掛けられる程、奥様のお身体は丈夫ではないし、新しい主人が奥様に会いに行かれるとしてもお供をするのはきっと私ではない。
もうお会いする事は叶わないだろう。
門の前で一礼すると、乗合馬車の停留所を目指して、手提げ鞄を持って歩きだす。
泣いてしまうかと思ったけれど、涙は流れなかった。
まるで凍ってしまったかのように。
林を抜けて、街の方へ近づいていく。
お使いや、休日の日にちょっとした小物を買いにいった店が、余所余所しく見えた。
奥様達は明日に本邸に向かわれると、侍女頭から聞いた。
本邸は冬の寒さが厳しい土地にあるそうだ。
奥様は寒いのが苦手なのに。]
(41) 蒼生 2025/04/20(Sun) 00:41:37

[何故、奥様がご子息の事業の損失を補填しなければいけないの。
ご子息は奥様との同居を望んではいなさそうだった。
きっと奥様だって、ご子息よりも私達と一緒に暮らしている方が──。
そんな考えが過ったけれど、私は首を振ってそれ以上考えない事にした。
雇い主の事情によって使用人の身の振り方が変わるのはよくある事。
ご子息を恨む意味も、権利もない。
紹介状を渡されて、放り出されたっておかしくなかった。
就職先の世話をして下さった事に感謝しなければ。]
(42) 蒼生 2025/04/20(Sun) 00:42:44

[涙が口の中に入って塩辛い。
氷が解けたように涙が溢れていくのを、慌ててポケットを探ってハンカチを取り出して拭った。]
おくさま……。
[零れた声は、まるで迷子のようだった。
私は奥様を慕っていたけれど、奥様は私達を少しは惜しんで下さっただろうか。
叶わなくたっていい。
同じ熱量でなくたっていい。
あの時、“手離したくない”と言って欲しかった。*]
(43) 蒼生 2025/04/20(Sun) 00:43:45

/*
延長ありがとうございます。
皆さんの背景がちらほらと…。
シュクルさん、RP村が初めてとは思えませんでしたね。
(-33) 蒼生 2025/04/20(Sun) 00:50:11

/*
死別か、お別れか、村中に悩んだなど。
ユキナさん、いっぱい食べてー。
ニコラさんの変化にも気付きたい!と思いつつ、今夜は失礼します。**
(-35) 蒼生 2025/04/20(Sun) 01:15:27

[涙が落ち着けば、女は再びキャロットケーキに向かい合う。
あの時のキャロットケーキは、休憩室でホールの大きなものを切って、皆で分けたのだった。
奥様は使用人達が舌鼓を打つのを嬉しそうに見ていた。
皆と離れ離れになるなんて、想像もしていなかったあの日の記憶。
二口、三口と進めていけば、心の痛みが慰められるように感じた。
美味しいものを食べたからだろうか。
もしかしたら、この店の料理が特別なのかもしれない。
店内に視線を走らせれば、テーブル席にいたのは大人の男性で声こそ上げなかったが驚いた。
けれど先程までいた少年の姿の面影を残している。
不思議な事が起きる、不思議な店。
女がメイド服を着ているのも、そうなのかもしれない。
屋敷を出る時には、確かに私服を着ていた筈なのに。]
(58) 蒼生 2025/04/21(Mon) 00:18:56

[客人の半数が記憶を失ったという女の言葉に反応を示していたが、今では皆、先程までとは少し雰囲気が違うように見える。
忘れていた記憶を取り戻したのだろうか。
やがて、木苺のジュースが届けられる。]
ありがとうございます。
[女はサーブしてくれた人に笑顔を向けた。
グラスの中に入った濁りのない綺麗な赤。
何故注文したくなったのか、今なら分かる。
敷地内で取れたのを、ジャムにしたり、ジュースにしたりしていたからだ。
女は味見をさせて貰うのが楽しみだった。]
(59) 蒼生 2025/04/21(Mon) 00:19:59

[そっとグラスに口を付ける。
店員の少年が持ち込んだのを使ったのだろうか、新鮮な木苺の甘酸っぱい香りが鼻を擽る。
果汁だけでは強い酸味を感じるものだが、甘みを加え、甘酸っぱさが絶妙なバランスを保っていた。]
美味しいです。
[余韻を味わいながら思わず表情を緩め、そっと息を吐き出しながら、感想を漏らす。
記憶に残る味に似ているように感じて、懐かしいと感じてしまう。
女の好物だったが、木苺の季節は過ぎてしまっていたから。
心残りが一つ解消された気分だ。]
(60) 蒼生 2025/04/21(Mon) 00:20:49

[>>57カウンター席の少年が、会計について店主に声を掛けているのが聞こえた。
──“帰る”。
普通の店であれば、食事を終えたら家に帰るものだ。
女は目を開かされたような心地だった。
けれど一番帰りたい場所には、もう帰れない。
記憶が確かであれば、まだ女は次の就職先に辿り着いていなかった筈。
順当に行くならば、そちらに“帰る”べきなのだろう。
けれど、店主はこの街で仕事を斡旋出来ると言ってくれていた。
戻るのか、それとも。
これまでの女の人生は全て決められたものだった。
暫し、考え込む。**]
(61) 蒼生 2025/04/21(Mon) 00:22:12

/*
他の方のログを味わいつつ、最終日まで駆け抜けねば!
>>-43シュクル
いえいえ、どういたしまして。
こちらこそありがとうございます。
話しかけられたらなと思ったのですが、腰が重いPLで…。
何処かでお会いできたら嬉しいです。
確かにシュクルさんは獣人っぽいチップですよね。
どういう設定なのだろう、と思って村中見ていました。
(-43) 蒼生 2025/04/21(Mon) 00:26:05

[>>62採れたての木苺で作ったジュース。
酸っぱいかもしれないと言われたが、女にとってはいい塩梅だった。
キャロットケーキを食べて渇きを訴える喉を潤す。
それは女の心の傷をゆっくりと染み入るように癒していった。
>>57カウンター席の少年に始まり、>>73カウンター席の女性や>>78テーブル席の男性が席を立って、ドアを潜っていく。]
お気をつけて。
[その後ろ姿に、女は声を掛けた。
彼らの道行きによい事がある事を願って。
声を掛けられれば、応じるように微笑みを向けた。]
(85) 蒼生 2025/04/21(Mon) 21:36:42

[ケーキは段々と小さくなってゆき、いつの間にか最後の一口。
人参とアーモンドの味が女の口に残る。
その余韻をゆっくりと味わった後にジュースを飲んだ。
……かろん。
グラスをテーブルに置いた際に氷が小さな音を立てる。]
(86) 蒼生 2025/04/21(Mon) 21:37:15

[女は自分がケーキを食べながら“どうしたい”か、考えていた。
考えて、考えて──席を立つ。
>>71財布を置いていけばよかったのだろうか。]
私、帰ります。
本当に帰りたいところではないですけど。
この素敵なお店のお役に立てたらとも思いましたけど。
……それでも、帰りたいと思ったので。
美味しいものを食べたお蔭でしょうか。
頑張れる気がします。
[此処は不思議な店。
であれば、此処に来る事はもう二度とないかもしれない。
それも寂しいけれど。
──細い細い縁でもいいから、大切な人達と繋がっていたい。]
(87) 蒼生 2025/04/21(Mon) 21:38:45

ご馳走様でした。
出して頂いたお料理も、全部、とっても美味しくて。
……職場も斡旋できると言って下さって、とっても嬉しかったです。
どうぞ、お元気で。
[女は笑顔で一礼すると、手提げ鞄を下げてドアを潜る。
新しい職場へと向かう道を思い浮かべながら。
女はレグホーン色のワンピースの裾を翻して外へ出て行った。**]
(88) 蒼生 2025/04/21(Mon) 21:39:40

/*
〆られました…!
ドールさんはお大事に。
街の住民になるのも考えたのですが、思いのほか前向きになれたようです。
(-55) 蒼生 2025/04/21(Mon) 21:41:20

/*
ロルラッシュだー。
お疲れ様です。
最近は出現率低いですが、また何処かでご一緒できると嬉しいです。
(-58) 蒼生 2025/04/21(Mon) 21:49:14

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