名坂雪

[12月というのはなんでこう時が過ぎるのが早いのか。
勉学に勤しみ、クリスマスを終えたらもう年末だ。
こうしているうちに卒業まであっという間かも。

学生生活がすでに惜しく恋しくもあり。
これからの未来に胸が高鳴り――想像する未来にも何種類かあって、それぞれに不安と期待があるのだが。]

　ま、仕事は決まってるからね。

[旅行用の荷造りの手を止める。
明日からは学園の実戦任務で遠出するのだ。
端を揃えて畳んだ衣類、布製小分け袋に見られたくないものは詰め、歯磨きセットに、簡易スリッパに、充電器に、予備のメガネに、美容品エトセトラ。
そこまでは普通の大学生だが、次に大切そうに詰める本の表紙には古めかしく掠れた魔法陣やら一見解読不可能な文字の羅列。
端っこの隙間には、トランプとお菓子を押し込んだ。]

　おやつ禁止はなかったよね……小学生じゃないし。
　そろそろ金の当たりが出てもいいと思うんだけど。

[我ながらあんまり運はいい方じゃない。]