26 ― 境界の先への手紙 ―
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[ゲッカと呼ばれるリージョンは、妖魔が支配する地である。
上級妖魔を中心として幾つかの派閥があり、数百年前には派閥同士の勢力争いが毎日のように起きていたが、今では小競り合いがたまに起きる程度で静けさを保っている。
けれど何かのバランスが崩れでもすれば、再び数百年前の様相に戻ってしまいそうな、そんな危うさもあった。
妖魔達はその力を示すように雲霧より高く聳える絶壁のような峰の上に住み、その麓に住まう人間は彼らの庇護を願い、定期的に捧げものを行う。
それを怠れば、「恐怖」を至高と掲げる派閥などでは、下級妖魔によって人里で簒奪が起きてしまうだろう。
下級妖魔の手綱を引いているのは上級妖魔。
人里で行われる簒奪行為は山主の監督不行き届きとも目される事もあったが、そう言った場合人間への脅しであった。
妖魔が人間を庇護する事で、バランスを取っている。
それを知らしめるための。
人間と妖魔の比率は人間の方が多いのだが、己達よりも力の強い妖魔に対して服従を強いられていた。]
(72) 2024/09/19(Thu) 21:15:59
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