【叫】 五十嵐螢

［触れていたい、と助べえなのはそれは否定できないところだ。
ジト目を向けられても本当に否定要素はそこには何もないが、一度成ってしまった僕の力はもう変わらないだろう。

　男子と一緒にいるのを忌避するお年頃というのも僕にはわからないがそういうものらしい。
確かにあの頃くらいか男子は男子で、女子は女子で纏まるようになっていた。
確認されたのは僕だけだったのか、ノーカンと言い切る詩ちゃんは流石である。
実に詩ちゃんらしく、同時に僕が我を通し続けているから婚約まで至ったのか］

　うん、僕は頑固なんだよ、他にもいろいろ。

［詩ちゃんが避けて、「トモダチ」で居ようとした間に芽生えた既知ではない僕はたくさんあるだろう］

　う、ん……そっか、そうだよね。
　今日になって、今になって初めて気づいてもらったんだもの。

［僕が積み重ねてきた『好き』と平たい知られていない僕がたくさんある詩ちゃんでは想いの重さが違う。
置いてけぼりなのはそれはそうだろう。
いわばマラソンのスタート位置のさらに手前で準備運動前の私服姿でいるときにゴールが勝手にどんどん近づいてきているのだから――］