【叫】 五十嵐螢

　うん、ちょっと……うんしょ、待って――。
　う、袖が……よいしょ。

［背中に塗り薬を濡れていないからか動きの回復が悪さを感じる。
袖を通したのはカバンから取り出した白色のTシャツでその上にセーターを羽織る。
着替え終われば謎な塗り薬の蓋をして任務中に着ていた服をビニール袋に詰めて圧縮してカバンに入れておく。

　丁度着替え終わった辺りで扉がノックされた］

　『夕餉をお届けにきました〜』

　あ、はーい。詩ちゃん、入ってもらっていいかな？

［詩ちゃんの方を向いて確認して良さそうなら仲居さんがお料理を運び込んでくれる。
仲居さんはワゴンを押して部屋の入口に入るとまず長方形の座卓を布巾で拭くと箸やスプーンをセットしていく。
対面か横並びどちらが良いか問われるがそこは詩ちゃんにお任せしよう。
真ん中にはコンロが置かれて年季の入った土鍋が置かれる。
素焼きのそれは使い込むと味が滲み込み鍋が更に美味しくなるそうだ。
そして料理が次々と並んでいく］