【叫】 五十嵐螢

　うぇー、お腹いっぱい幸せ〜……。
　え、あついー？　そうかなー……。

［僕は席を立ち、壁にかけられているエアコンのコンソールを覗き込んだ。
設定温度は21度。人間が快適に過ごせる温度になっている］

　うん、お部屋の温度はふつー……う？　ぬぐ？

［振り返るとそこにはふにゃふにゃして可愛くなってる詩ちゃんが長袖インナー姿になるところだった。
詩ちゃん、グラマーなのでこう、ばるんってなるのだ、どこがとは言わないが僕はその動きに意識を取られてしまった。
ジーンズに手をかけ、ボタンを外してチャックを下ろしたあたりではたと気づき慌てて詩ちゃんの背後に移動すると両手を押さえた］

　まって、まって、まって。
　僕がいるからね、僕がみてるよー？

［背後から抱きしめるのは先程と一緒の形か。今は両手をそれぞれ押さえており、どうどうと制止の言葉を投げかける。
既にジーンズはちょっと脱げているけどまだ全部じゃない。

　尚、仲居さんがホントに何事もないかのように食べたお料理を片づけていき、テーブルを拭いてシャーベットを置いていってくれた。
置いていかれたメッセージには後は若い二人に任せましょうみたいな感じで『食べ終わった器は廊下にお願いします』と書かれており部屋は二人きりの空間になった］