【鳴】 氷室詩音

ちゃんと、……私の体、興味持ってくれてたのね？
　
　
[そんな言葉が漏れてしまう。
だってついさっきまで、私の体に興味がないのでは、と思っていたんだもの。
だから、普段他の男たちに対してならならすけべとか変態とか罵倒する言葉と共に蔑みの眼差しを送るところ、彼に対してだけは安堵してしまっていた。
でも、キスをして欲しいと言えばすぐに応えようとしてくれる夢助にドキン、ドキンと鼓動がうるさくなっていく。
肩に手を置かれて、目を閉じているところに触れた唇。柔らかくて、直ぐには離れなくて。
途中までは息を詰めていたけど、思ったより長かったから途中から恐る恐る最低限の酸素を吸う。
鼻息、うるさく無いかしら？
こんなにキスって長いものなの？
わからないまま、でも抱きしめられたのに驚いて一瞬だけ体がこわばってしまう。
それでも、直ぐに体の力を抜いて。
恐る恐る、私の方からも手を伸ばした。私も夢助の背中に手を回してぎゅっと抱き寄せる。
胸がその分押し当てられて潰されたけど気にしないわ。]