25 【R18】異世界の門と恋の彼方
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衣代和かほ
[いよいよ決行の時――。
窓の鍵を開ける。
朝にピギーが立っていた向こう側。
枠を乗り越え、確認しておいていた排水管に足をかけるつもりで、不器用につかまりながら身体全体を2階の外へ。]
意外と高い……風はないけど……っ
[ここで転落は避けねばならない。
しかし菅に体重かけようとした時、軋む音に心臓が跳ね、震えた身体に履き慣れないブーツの底が滑る。
必死で枠に腕を乗せて体重をかけた。
頬を壁に擦り、ひりひりと熱が走る。
ダメだ、この菅じゃ自分の体重は支えられない。
魔法ですべて回す世界だからこそ耐久性はそこそこなのか。
ぷらぷらと両足をぶらつかせたまま。
顔を顰め、腕の痛みに耐えながらよじのぼり、床に倒れ込むようにして部屋の中へと戻ってきた。
こうして2回目の脱走は失敗した。
翌日ピギーに問われる前に、会って早々、寝ぼけてベッドから落ちたのだと頬の擦り傷について説明したことだろう。]
きぐるみ ピギー
――10日間のこと――
[表面上は大人しいものだ。
職業柄そういうのに目がいってしまう。用途をなしているから問題ない様子の自分が見たときにはなかった排水管の僅かな歪みに翌日の頬の擦り傷>>28。
言葉にしないままアロエをべちゃべちゃ塗ってやった]
（まァでれねーんだけどな。）
[翌日>>29は帰った後、ピギーは宿舎の屋根の上で転がっていた。
音も気配もなく、影に潜んでしまえば視界すらも見破れないひつじのきぐるみは、部屋の音を聞き届けるとうさぎへと変わったりして、扉から出ていく音を聞いて、結界に阻まれて結局諦めて帰ってくるのを見守ってはいたが、溶けるように消えたピギーのことは誰に認識されることもなく、いつからいて、いつまでいなかったかは定かではない]
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