“正直者” オーネスト

　やれ

[遠距離を得意とする狙撃手に、顎で指示する。当然その命令を直ぐに飲んでもらえるわけではなかったが、それでも再三の指示に仲間が発射したのと、アンドロイドを狙う機械人間が銃を構えるのと同時だった。発射した弾は、見事に機械人間に命中する。崩れる。堕ちる。

莫迦。そう仲間から怒声が上がる。向こうもこちらに気付く、身を潜める。あーあ。やっちまった。ターゲットは変わっただろうか、それともこんな弱小相手にせずに、BloodSun…あれ、BloodSunでいいんだよな…を相手にすることを止めなかっただろうか

どの陣営であれ、狙ってくるようなら応戦して。ダメそうなら即時撤退の構えゆえ、あくまでも前線には飛び出さないまま。]

　お前ッ
　なにやってんだ、そんなとこで！

[基本的にはこの距離から相手を狙うのはライフルやマガジンを構える仲間たちだ。俺のマグナムではそこまで遠方は狙えない。だからその代わり、俺は大きな声を発して、少年アンドロイドを呼び止めた。まさか、敵の親玉などとは、知らないままで。 *]

マフィア『BloodSun』ボス ソル

早朝・乱闘・虚言症

[薄汚いスラムの暴徒と、機械化人類たちが争う。
今この場にいる『BloodSun』のメンバーは戦闘力は高いようで機械化人類相手にも下手な手を打ちすぐすぐ全滅することはなさそうだった。

戦場の隅を逃げ回る少年型アンドロイドを狙う銃口。
それを逆に撃ち抜いたのは、人間たち率いる『リベリオンマウス』の狙撃兵だった>>79]

『…ーーー？！誰だ！！！』

[機械化人類は、第三者の介入に気づいたらしく、
何人かが分散し男のいるところや狙撃された方角へと駆け出した。
『BloodSun』の戦闘員は逃さんとばかりに、
行動が出遅れたり、この場に残った機械化人類を潰しにかかる。

それをみた少年型アンドロイドは、
戦闘が乱闘になったことに気がついたのか、
タタタッと瓦礫の影から影にも隠れて男のもとへ近づいた。

少しずつ距離が近づいて行く中、少年型アンドロイドが目に涙をためて駆け寄っていくのがわかるだろう]